突然コラム:魔鳥ビンタされるの巻



相方がなんだか学校とかについて日記で書いていたので、僕もち

ょいと学校の思い出について書いてみようかなんて思うわけです。

僕が小学校6年生の時に、修学旅行に行きました。

仙台の小学校の修学旅行といったら、宮城県の南隣、福島県の会

津若松武家屋敷ってのが一つの定番コースにもなっていたわけです

が、小学生が武家屋敷なんかに連れて行かれても何処が面白いんだ

かわかるはずもありません。実際クラスのみんなも騒ぎまくってい

て、武家屋敷の展示物なんか見ちゃいなかったんですが。しかし、

修学旅行に行った後、普通6年生は卒業文集ってものを制作するわ

けです。僕の嫌いだった作文。で、みんな当然作文のテーマは修学

旅行。どいつもこいつも修学旅行が楽しかったなんてほざいてるも

んだから、コリャいっちょ僕も修学旅行のことを書いてやるかと、

面倒くさいけどはりきりましたよ僕は。修学旅行が如何に面白くな

かったかってことを、そりゃもう丁寧に書き上げました。

武家屋敷は面白くなかった、みんなも中身なんて見ちゃいなかっ

たから、本当は面白くなかったんだと思います。とか、最低だった

のは夕ごはん、先生達のくだらない長ったらしいお話のおかげで、

ごはんはガビガビに固くなって、シチューは表面がひび割れて冷め

てしまい、味噌汁も冷めてしょっぱくなっていました。不味かった

です。とか、せっかくだから枕投げをしたけど面白くなかったです。

しかも先生に怒られました。怒るくせに先生達は自分達の部屋で酒

盛りをしていて、べろべろに酔っ払って楽しそうにしてました。と

か。

べつに誇張はしてません。実際こんな調子の作文を書いて提出し

ました。

僕が6年生の時の担任は、40半ばくらいのおばさんで、母親連中

には大変受けが良かった先生で、僕は実際あまり好きじゃなかった

のですが、うちの母親なんかも、いい先生ねえと絶賛していた、そ

んな先生だったわけです。

まあ、生徒が言うことを聞かない時は、「涙ぐみながら」(←こ

こ重要)生徒の頬を張るような先生だったから、想像力と洞察力に

欠ける、単純な人間だったらソリャいい先生だと勘違いもするわな

あ。金八先生とかその手のものに弱いナニな人は、コロリといかれ

てしまうでしょう。実際、あの先生は金八と長渕が好きでしたが。

僕は嫌いだったし、今も嫌いです。

話が逸れましたが、その作文を提出した翌日、僕は何も悪いこと

をした覚えが無かったんですが、教室の隣の空き部屋(なにかいけ

ないことがあると、その部屋は説教部屋に使われていた)にクラス

全員が呼び出されて、僕がなんだか前に立たされてしまったわけで

す。なにそれ僕が何か悪いことしたわけぇ?くらいに思ってたんで

すが、先生が涙ぐんで声を詰まらせながら、僕の作文を朗読するわ

けです。バカですね。これで修学旅行の問題点が生徒達の間に浸透

しちゃうってのに。で、傍らにあった雑巾で(汚いなあ)目頭をぬ

ぐうと、僕にビンタをかますわけです。僕としては、本当のことを

書いただけなのに、なんでビンタされなきゃいけないわけぇ?とか

思ったんですが、先生はその後にほざくわけです。

「叩かれたほうだけじゃなくて、叩いたほうも痛いんだよ!」

はぁ?あんたが都合の悪い真実を突きつけられて、勝手に怒って

僕のことを叩いただけじゃん。って、今なら思えるんでしょうけど、

さすがにまだ12歳の子供、ただ作文を書いただけなのにビンタされ

た。と、憤るだけでした。

この事件は、ものすごい勢いで学校中に広まったわけですが、僕

は生徒達に称賛こそ受けても、非難の対象にはなりませんでした。

そりゃ、みんな内心思ってたことを、僕が正面から書いたわけです

から。我ながら無謀なことをしたもんだと思うんですが。

この事件に関する僕の母親の意見がまた最高でした。

「世の中には本音とたてまえってものがあるのよ。あの先生はそ

れを教えてくれたんだから、良かったじゃない。」だとさ。

おいおい。そういう問題じゃないだろう。って感じもしますが、

確かにそれからは「本当のこと」は、慎重に検討してから口に出す

ようになったから、まあ結果的に怒られたのは良かったのかもしれ

ませんが、実際これは担任のおばさんはビンタ無しで僕を納得させ

ることはできなかったのでしょうか。

大人と子供っていうのは、思考力、経験、体力、あらゆる面でハ

ンデがあるわけです。自分よりも劣った、っていうか、幼い者に単

純な暴力だけで何かを伝えよう、わかってもらおうっていうその安

直な姿勢は、とても許せるものじゃないですな。子供を言葉で納得

させることができない、または納得させる努力をしないっていう教

師は、教師たる資格は無いと思うのですが、皆さんどうでしょう。

世の中にはまことしやかに「子供は叩かないといけないときがあ

る。」って説が流布されてますが、それは言葉でわからせる努力を

放棄しているのと同じって気がします。

世の中の体罰ってのは、多分殆ど教師の憤り、怒りに誘発される

ものと考えて良さそうです。僕を叩いた担任も、あれは憤りによる

ものだと、今では確信しています。「叩かれたほうだけじゃなくて、

叩いたほうも痛いんだよ!」って、自己正当化されても、滑稽なだ

けです。

教師になろうと志している人がまかり間違ってこれを読んでたら、

怒って生徒を叩いたりしない、良い教師になってくださいねぇ。

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