この文章は崎田さんから送られて来たメールをそのまま転記したものです。
改行、強調などは私が勝手にしました。
20th アニヴァーサリー 19日
狂乱の一夜が明けた。
今日は昨日と打って変わって快晴。
11時からロニー、スティーヴ、キャシーのお墓でセレモニーがある。
前日に知り合ったヴァージニアからきたチャーリーというデュアンみたいな男性が乗せて行ってくれた。
本当に皆親切だ。
墓地へきたのは2年振りだが、今回は特別感慨深い。
3人の墓は多数の花で飾られている。
マスコミの取材も結構きている。(またもやインタヴューされてしまったが)
セレモニーはジュディ(ロニー夫人)、メロディー(ロニーの娘)、
テリーサ(スティーヴ夫人)、コリーナ(スティーヴの娘)、
そしてアーティマスが挨拶をした。
とくにアーティマスのメッセージが感動的で、涙ぐんでいる人も数多い。
そしてファン全員の献花がおこなわれ、それぞれに3人の冥福を祈ったのだ。
ロニー、スティーヴ、キャシー、安らかに眠れ。
素晴しい音楽を本当にありがとう。
その後、我々はアレンのお墓へと向かう。
彼は3人とは別の墓地で、コリンズ家の墓に眠っている。やはりここにも皆きている。
お参りを済ませたあと、メイン会場のヴァン・ザント・パークへと向かう。
その途中でドニーの家を見に行った。残念ながら誰もいなかったが。
車に乗せてくれた、チャーリーとデビーとはここでお別れ。
彼等はもうヴァージニアへ戻らないといけないらしい。
どうもありがとう。
パークでは昨日に予定されていたイヴェントの続きが行われていた。
本来なら今回のイヴェントは墓地でのセレモニーで終了のはずだったのだが、
雨で予定がくるってしまったのだ。
そのため先ほどのチャーリーとデビーのように帰らないといけない人も多く、集まった人の数も昨日ほどではなかった。
それでもかなりの盛況をしめしていたが。
面白かったのは、南北戦争のアトラクションで史実とは異なり北軍がこてんぱんにやられていた。
軍服を着込み馬に乗り銃をぶっぱなして、やんやの喝采をあびていた。
そういえば南軍の大将役はレイシーだった。
ステージではライヴが始まった。
ローカル・バンドやトリビュート・バンドが熱い演奏を繰り広げる。
オリジナルを中心にプレイするバンドが多かったが、どれも影響がまるわかりだ。
名前は知らないが若手のバンドでスキナードがミクスチャーになったかのような演奏をしていたバンドが
結構人気を集めており、実際とても格好よかった。
ヴォーカリストはロニーそっくり、ギタリストはアレンそっくり。
客は皆座ったり寝転んだり踊ったり思い思いのスタイルでこの場の雰囲気を楽しんでいる。
空は晴れ渡り広々とした環境の下、サザン・ロックを味わうには絶好のシチュエーションだ。
一番うけていたのははるばるイタリアからきたサザン・スティールというトリビュート・バンドだった。
じつはこのバンドのベーシストのレオンとはメールのやりとりをしていたのだが、
本物の南部人相手にサザン・ロックを演奏することにかなりナーヴァスになっていたようだ。
ギタリストなどは見ていてかわいそうな位緊張しておりアンプのチューニングすらまともにできないようだった。
演奏はリズム隊がしっかりしていたので安心して聴いていられた。
スキナードのカヴァー中心のセット・リストだったがやはり「フリーバード」は演奏しない。
昨夜もそうだったが、どのバンドもそうなのだ。
この曲はそう簡単に演奏することは認められないらしい。
スキナード自身の演奏でないと認めない、
ロニーの歌でないと認めない、
という気風があるのだ。
ジョニーですら、最初は歌えなかったそうだし、弟だからコアなファンも許しているのだろう。
さてサザン・スティールの演奏だが徐徐に受け入れられはじめ踊り出す人もではじめた。
「サーチン」「ポイズン・ウイスキー」「ザット・スメル」等に自分達のオリジナルをおりまぜたステージは、
ラストの「コール・ミー・ア・ブリーズ」で最高潮にたっする。
イントロが始まったとたん、客席からアーティマスがステージに駆け上がり一緒に歌い出だしたのだ。
皆大騒ぎである。
しかし一番嬉しかったのはメンバー自身だろう。
大いに盛り上がったステージが終り、アーティマスが客にお礼を述べ始めた。
そして嬉しいことにステージから私の名を呼び全員に紹介してくれた。
おかげで私まで拍手喝采を浴びてしまった。これは一生の記念になるだろう。
セット・チェンジの間にブライアンに「ロック魂」のジャケ写真の撮影場所に連れて行ってもらう。
そこはスワンプにかかった線路の橋の上だった。
思わず記念撮影。
今はもうないがあのヘルハウスもその近くだそうだ。
練習の合間にこのスワンプで釣りをし、
近所のドラッグ・ストアまで買いに行ったりの毎日の中からレーナード・スキナードの名曲の数々は生まれたのである。
ステージのトリは昨夜のセッション・バンド。
ラストにはアーティマスがドラム、そしてジュディとテリーサがニュー・ホンケッツとして紹介され
バック・コーラスで「スゥィート・ホーム・アラバマ」。
もうえらいことになっている。
こてこてのコアなファンの集まりで、こてこての強力なメンツでこの曲だ。
サビの大合唱は果てしなく続き、このイヴェントのクライマックスは異様な程の盛り上がりをみせた。
かくいう私も発狂していた。
ライヴが全ておわった後、
ステージ後方のおおきなスクリーンで「フリーバード・ザ・ムーヴィー」が上映された。
ド迫力である。まるで当時のライヴを観ているかのような錯覚すら覚える。
ラストの「フリーバード」はライターの火を灯し、皆感慨にふけっている。
今回のイヴェントの終焉にふさわしいフィナーレであった。
この夜、翌朝、"SEE YOU NEXT YEAR" 皆口々にそう言いながら、
それぞれの町へ国へと帰っていった。
次も絶対行くぞ。
崎田さんありがとう