Japanese Only
森の中では100年という時間が静かな寝息をたてている
均一な光の粒が森の中を充たしている。
和人は残してきた影を探しに街へと出てゆく
街にかかるもやは、様々な形をした小さな粒でできている
街はもやの中でその姿を変えてゆく
一時も同じ姿を留めず
幻の様相を呈す
小さな粒が街の風景を少しずつけずりとり
風が運び去る
様々な形をした小さな粒は街にかかるもやとなる
和人は、もやの中に、同じように歩いている人々の姿を見る
みな、おしだまり、あてのない探し物をしているかのようにさまよいあるく
和人も、しだいにその人々と歩みをあわせてゆく
その人々の間をすりぬけるように小さな粒が流れてゆく
和人がかつて傷つけた風景も今では姿を変えている
その前で和人は影に出会った
影はもやの中から不意に現れて、そして和人と影とは小さな粒となり、
様々な形をした小さな粒は街にかかるもやとなり
街の風景を少しずつけずりとる
けずりとられた街の風景は風に運ばれて
やがて海の底へとたどり着く
海の底では100年という時間が静かに寝息をたてている
太古よりの湖
その水底に宿る二つの泡と
互いに絡み合う二本の鎖
やがて泡がよりそい
鎖は解かれる