ひとくちコラム2
SCSIとE-IDE
「ディスクを増設したいが、E-IDEがよいか、SCSIがよいか?」こんな質問をよく目にします。一言でいうなら「使用条件によって変わるので何ともいえない。」のですが、これでは役に立たないので、SCSIとE-IDEをいろいろな側面から比較してみました。最後には、一般によくある環境をある程度想定して使い分けを例示してありますので、参考にしてみてください。
※このコラムの内容は古くなっています。1998年頃の情報として参考にする程度にしてください。
SCSIとE-IDEの比較
- ・接続可能機器数−圧倒的にSCSIの方が多い
- E-IDEの1チャネルあたり2台、一般的なAT互換機で合計4台に比べて、SCSIではボード1枚あたりNallowSCSI(8bit)では7台、WideSCSI(16bit)に至っては15台の接続が可能。ボードを複数使う気なら、さらに接続機器を増やせる。
- ・転送速度−単純な転送なら大差ないが、複雑化してくるとSCSIが有利
- 最大転送速度はUltraDMAを使用したE-IDEで33MByte/s、UltraSCSIで20MByte/s、UltraWideSCSIで40MByte/s。ディスクの速度は一般的にこれより遙かに遅いので、最大転送速度について議論してもあまり意味がない。特殊な例として、RAIDを構成するなどして複数のHDDを同時に読み書きする場合は、これでも不足する場合があるが、一般的な用途ではないので言及しない。
ここで問題となるのは、インターフェイス(ボード・ドライブ共)の能力である。複数のI/Oが錯綜してきた場合、SCSIではコマンドがキューされ、ディスク負荷が少なくなるようコントロールされるが、E-IDEでは全てのI/Oをシーケンシャルに実行するため、ディスクのシーク負荷が高くなり、速度低下が著しくなる。CD-Rやビデオキャプチャーに使うなら、SCSIが必須と考えてよい。
- ・CPU負荷−SCSIが若干有利
- DMAを使用した場合、E-IDEでも比較的低くなるが、ドライバの出来・不出来にも影響されるらしく、またインターフェイスの処理能力も差があるため、一般的にバスマスタを使用したSCSIの方が負荷が小さい。
マザーボードやHDDがDMA転送をサポートしていない場合や、SCSIボードでもISAボードだったりPIOの場合は当然負荷が高くなるが、そんな条件でCPU負荷を問題にするなら、マザーボードやSCSIボードの交換を勧める。
- ・接続機器の種類や形態−一般的にはSCSIの方が種類が多いがHDDはE-IDEの方が多い
- CD-ROMに関してはATAPI接続も一般的になったが、MOやCD-RなどではまだまだATAPIでは選択肢が限られるし、トラブルも多い。テープドライブなどもSCSIでないとソフトの対応などの点で不安がある。また、基本的に内蔵機器に限定されるため外部接続が前提となるスキャナなどは接続できない。(参考までにSCSIボードが無くてもプリンタポートに接続できるスキャナはある)例外的にHDDにおいてはミドルレンジでもSCSIよりE-IDEの方が商品数が多くなる傾向がある。
- ・コスト−E-IDEが安価
- インターフェイスボードを増設することなく機器を増設できる点、個々の機器が安価な点で、E-IDEの方が断然有利。
- ・互換性・安全性−SCSIの方が安心
- SCSIの場合、同じインターフェイスボードを使っている限り、HDDやCD-ROMドライブを交換してもドライバも変わらないし、特殊なドライバを使用している機器を接続する場合でも、そのドライバさえ入手できれば動作するので比較的安心。しかし、SCSIボードを交換する場合、特にメーカが変わったりすれば最悪HDDが読めなくなることもあるので、かなりリスクを伴う。
E-IDEの場合、マザーボードのチップが変わったりしても、比較的問題は少なく、せいぜいバスマスタドライバを変えるくらいで使える場合が多いが、BIOSで転送レートを落とさないといけない場合もないとはいえない。HDDやCD-ROMなどの機器を交換する場合はさらに不利で、プライマリ/セカンダリ間の相性問題が発生したり、ドライバを交換しなければならない場合も多くなるなど、不安な要素が多くなる。
SCSIとE-IDEの使い分け
- MOを使いたい
- 内蔵ではATAPIもありますが、やはりSCSIドライブが一般的で、選択肢が多くなりますし、トラブルも少ないです。この場合、現有のHDDがE-IDEだとしても、そのままで問題ありません。
- CD-Rを使いたい
- E-IDEのHDDを使っていて、DMAを使用できないのであれば、焼くときのトラブルを防ぐためにもみんなSCSIにしてしまうことをおすすめします。UltraDMAを使える場合でも、CD-Rに書き込むドライブは、SCSIにしておいた方が安心して書き込みできます。
- CD-ROMを更新したい
- 将来CD-Rなどを買う気がないならATAPIの方が安価です。CDからCD-Rに焼く場合などは、SCSIにすべきです。
- 2台目のHDDを増設したい
- 2台以下ならE-IDEにしておく方が、ドライブのコストの点で有利です。しかし、近い将来CD-Rなども使いたいならこの機会にSCSIにしておく方がいいかもしれません。
- 3台目(あるいはそれ以上)HDDを増設したい
- まず本当に3台以上必要なのかを検討してください。最近は大きなサイズのドライブが安価に手に入りますから、更新して2台以下にした方が消費電力や騒音の点でも有利です。
どうしても3台以上必要なら、SCSIドライブにしておかないと苦労する可能性が高くなります。
- テープドライブを使いたい
- ミニカートリッジ(Travan)の場合E-IDEもありますが、SCSIにした方が対応ソフト(バックアップ用)も多く、IDEのドライバやインターフェイスに関わるトラブルもないので、安心できます。DATの場合、私の知る限りSCSIタイプしかないので選択の余地はありません。
※Windows98で使うなら、IDEタイプのTAPEでも標準サポートなので安心です。
- スキャナを使いたい
- プリンタポート接続タイプもありますので、SCSIにこだわる必要はありません。ただし、使用頻度が高かったり、高解像度で分解したい場合、SCSIの方が転送速度が速いこともありおすすめです。しかしながら、スキャナへのSCSIケーブルは設置場所の関係から長くなりがちです。内蔵HDDがUltraSCSIだったりすると、長いケーブルはトラブルの元になるので危険。この場合、外部接続用のSCSIカードを別途用意するなどの対策が必要です。
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