資料11:
子どもの性的なメディアイメージの規制について

 ストップ子ども買春の会は、「子どもを性欲の対象とする価値観を醸成する」などとして、子どもに対する性的搾取または虐待の証拠物ではないものについても規制するよう訴えており、その一環として成人女性に子どものような格好をさせた性的表現の規制を求めています。例えば、同会共同代表の宮本潤子さんは次のように述べています。

(以下引用)
「子どもポルノについては99年法が施行して、昔、リップス、その当時コネクションと名を変えていた日本国内では子どもポルノ製造販売の最大手と呼ばれた会社が起訴され、そして有罪判決を受けました。しかし、その判決内容は私たちにとって全く理解のできないものでした。この会社は何年間にもわたってタイやフィリピンなどで何十人、何百人という子どもたちを虐待してきました。しかし、捕まったのは今回が初めて、そして事件としてあげられたのは1件、つまり初犯の1件の 犯罪として見なされ、求刑が1年6カ月、実際は執行猶予がついて、今、そこの社長は大きな顔をして商売を続けています。彼が法廷で言ったのは『これからは合法的にやります』。合法的というのはどういうことか。たとえば18歳の人を使って、中高、時には小学生と見える、明らかに描かれた結果は小学生であるポルノをつくり続け、売り続けていくということです。

(引用元)http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/gijiroku/bo13-g.html

 さらに、国際エクパット依頼によって書かれ、第二回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で配布された論文には次のようなことが書いてあります。

(以下引用)
「イメージと児童の商業的性的搾取の結びつきが最も目立つのは、ファッションと、ミュージック・ビデオの業界である。非常に性的なイメージの服や香水などのファッション・グッズを宣伝するために、未成年の少女(または発育不十分の大人の女性)を起用する今の傾向は、児童擁護団体や、虐待者の行動を研究、分析する人々に強く批判されている。」

(引用元)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdf/p_minkan.pdf

 しかしながら、子どもと間違われる成人女性は現実にいます。二十代でも中学生と間違われる女性はいます。子どもに見える成人女性の性的なイメージが禁止されれば、そのような成人女性が性的であってはならない、または子どもに見える成人女性と恋愛がタブーである、といった価値観を生むことになり、そうした成人女性の容姿差別や性的抑圧に繋がる恐れがあります。

 また、国際エクパットの論文ではやせ型であったり乳房の小さい女性を発育不十分と決めつけ、そのような成人女性の性的なイメージを批判しているのですが、これは「豊満でなければ女性でない」という具合にジェンターを固定化する事にもなります。

 以上を踏まえて、子どもポルノを規制する理由は、「子どもポルノが子どもを性欲の対象とする価値観を醸成するから」ではなく、「子どもポルノが子どもに対する性的虐待または搾取の記録であるから」ということに一本化すべきであると考えます。