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 サイバー経済と企業の将来
<後編>


21世紀の経営手法

2000・9月

 

 

 

 

 

 

40年前の日本は、全就業人口の40%が農業に従事していました。今はわずかに数パーセントに過ぎません。これは、農業が重要ではないということではなく、技術の進歩によって、この労働者数で需要をまかなえるということです。

工場労働者についても同様です。そして、最近では、オフィス労働者、定型的頭脳労働者は、コンピューターに急速に肩代わりされています。

こんな状況に直面すると、かつて欧州に機械打ち壊し運動があったように、雇用を維持するためにコンピューターを否定したくなるお気持ちは良く分かります。しかしながら、経営者にとって重要なのは、雇用を維持することでなく、雇用を維持できるように、ビジネスモデル(業態)を進化させることではないでしょうか。

e-コマースで、スタートアップカンパニーが短期間のうちに市場のリーダーとなり得たのは、インターネット、デジタルテクノロジーの本質を理解し、これを前提とした効率的なビジネスモデルを創造し、その効率性と付加価値サービスという競争優位性を日々イノベーションし続けているからに他なりません。

また、タイミイングも重要です。サイバー経済は無数の機会を生み出しますが、その機会の窓は短時間で閉じてしまいます。この意味ではサッカーに似ています。ボールが蹴り出された方向を確認できてから動きだしたのでは、タイミングに間に合いません。早すぎても遅すぎても機会を獲得することはできない、この意味では株にも似ています。

したがって、デルやアマゾンやヤフーのようなビジネスモデルに着手するのは、既に時代遅れであることがおわかりいただけることでしょう。

これから面白いビジネスモデルは…

今、生れてきている面白いビジネスモデルは、e-コミュニティーです。printeralliance.com は競争力と収益性を維持することを目的にパートナーシップを結んだ、独立系印刷業者の集合体です。購買力を増強するために提携し、紙、インク、化学物質のような消耗品コストを3%から10%削減することができるそうです。

それぞれの製品カテゴリーから、信頼できる供給元を選択し、共同購買力によって、供給元から相当な払戻しを得るようです。この仕組みを通じて、供給元が販売を増やす一方、提携した印刷業者はコストの節約という便益を得ます。

インターネット上に、印刷業者のためのバーチャルコミュニティを築いていており、ウエブサイトから、適切な、タイムリーな、そして役に立つ情報とフォーラムを提供しています。

このコミュニティーに参加する人が多いほど、このコミュニティーの価値が高まることはご想像の通りです。これは、ネットワーク効果と呼ばれています。ネットワーク効果とは、ネットワークの価値は、そこに参加する人数の二乗に比例するというものです。10人の組織と100人の組織を比較すると、規模倍率は10倍ですが、ネットワーク価値という視点で見ると、一方は、10×10=100、他方は100×100=10000、ネットワーク価値倍率は100倍です。

以上は、e-ビジネスと呼ばれる領域です。e-コマースの空間よりも、e-ビジネスの空間が遥かに広大であると同時に、ほとんどが未開拓のまま残されています。

もう一つご紹介したいビジネスモデルは、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)のジェルコ、旅費、交通費、宿泊費、通信費など、出張で発生する費用情報をマネジメントし、クライアント企業がブラウザーでその情報に容易にアクセスするまでをサービスする会社です。財務の専門家や各部門のマネージャーが容易に情報や分析にアクセスし、また、出張者自身が旅費の精算がウエブ上でできるサービスを提供しています。創業106年の老舗ですが、IT,ウエブ技術を見事に取り入れ、従業員400人でフォーチュン500社の40%を顧客とするまでに成功しています。

特筆すべきことは、彼らの強みのルーツは、この100年、脈々と流れ続けているということです。

創業者、エドガー・ウォルツは、米国南西部の牧場労働者で、電信オペレーターであり、簿記係でした。氏は、1894年に当社を設立し、革新的な商品をふたつ開発しました。

「クレジットレター」と「 トラベルカード」です。これは、旅行する従業員にクレジットと現金に引き換える能力を全国的に提供するものでした。一方、旅行関連業者としては、旅行者に対する回収不能を回避することができました。

百年のイノベーションと実績の後に、交易資金と旅行費用のマネジメント、管理と経理のアウトソース業界を代表する企業に成長しました。ミネソタ、エデンプレイリーに本社があり、400人の従業員が、北米8ヶ所とカナダのオフィスに分散しています。

このように、企業には必ず、脈々と流れる強みがあります。その強みを知ることが重要です。その知識をもとに、どこに進出すべきか、どこに進出すべきでないかを決定します。その時こそ、IT,デジタルテクノロ%8!

自社の強みを知り、活用するにはポータルテクノロジーが効果的

さて、e-コマース、e-ビジネスのモデルについて論じてきましたが、どちらで成功するにも、自社自身をe-カンパニーへと変革するために、IT的にも、社風的にも努力していることが重要です。

顧客、従業員、あるいは、外部のパートナーから見えるのは、ブラウザーに表現される12インチの世界に過ぎません。しかし、この限られた面積が、ユーザーに心地よさ、使いやすさ、感動を与え、ユーザーを魅了するか否かは、目に見えないバックエンドおよびミドルオフィスの創造性の問題です。

この段階で始めて、ポータルテクノロジーの重要性がクローズアップされます。インターネット上に、人の集まる人気サイトを作れば成功すると考えるのは大間違いです。

ポータルは、業務プロセス、そのプロセスを自動化するワークフローシステム、企業の強みをしっかりと把握し伸ばして行くナレッジマネジメントシステムを包含した深く複雑なシステムです。コンサルタントやベンダーに大金を払えばできるというものではありません。こんな知識を重視しているかいないかも日米格差の本質的部分です。

自分たちが自分たちの強みを知り、その強みを活用するために、ポータルテクノロジーが必要であることを知ること。重要なのは業務プロセス、そこにこそ貴社の強みが存在しています。それを把握し、計測するのがポータルです。

情報と情報をつなげる助けとなるのがポータル。そこから、アイデアが生まれ、行動が生れ、イノベーションが始まります。それが顧客であれ、従業員であれ。「ここまで来れば大丈夫。」「ここまでできれば一安心。」これは、いかにも20世紀的な言葉です。21世紀では、慢心した瞬間に、個人も企業も競争力を喪失しています。チャレンジの旅に終わりはないようです。

By Hiroshi Mikami in Tokyo

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