A Coruña
ア・コルーニャ

       

9月1日

  前日サンティアゴ入りして一泊したのだが、サンティアゴは

帰りにも寄るので、先に他の都市へ行くことにする。スペインで

最も西に位置するガリシア地方、夜明けは遅い。
8時半発の列車に

乗るため、
8時前に宿を出てまだ暗い中を駅へ。ホームに入った

列車の中で出発を待つ間、山の稜線から太陽が昇り始める。一筋

の光から始まって、見る見る間に空を明るく染め上げてく様は、

とても美しかった。

Estacion de Santiago de Compostela
サンティアゴ・デ・コンポステーラの駅


列車に乗り、席に着いて出発を待つ間に

生まれたての太陽が山の稜線から顔を出し、新しい一日が始まった

朝霧で白く霞んだホームに光が差しこみ、私の冷えた指先を温めてくれる



  ア・コルーニャへ向かう。途中の景色は、遠く深く霧に沈む緑。ここが本当にスペインなのだろうか、と思わずにいられない。

列車は山あいの深い緑の中をひた走る。重なり合うようになだらかな丘が続き、その起伏に霧が沈み込んでいる。時おり、小さな

家々が寄り添うように浮かび上がり、トウモロコシ畑が窓の向こうを流れていく。とても懐かしいような風景。胸の奥にまで染み

入る緑の景色。

Vista desde la ventana del tren
列車の窓からの景色


なだらかな起伏に霧が沈み込む

半島中央部の荒涼とした景色からは

想像もつかないスペインの別の顔


  10:00ごろ、ア・コルーニャに到着。路線バスで街の中心へ向かう。7〜8分ほどで港に面したマリーナ大通りに着き、そこで

バスを降りた。しばらく辺りをうろうろして宿を探す。日曜日の朝ということで街はとても静かだ。
  宿を決め荷物を置いてから、まず港とは反対側に

ある浜辺に行った。んもう、ホントーにきれい!他に

言葉がない。海岸線は美しく弧を描き、まっさらな

砂浜に淡く濃く澄んだ波がそよ風と同じやわらかさで

打ち寄せている。海岸に沿ってたくさんのホテルや

リゾートマンションのようなものが並んでいて、その

様は、さながらスペイン版熱海といった感じ。しかし、

海の美しさはそれとは比にならない。
9月になって

リゾート客はぐっと減り、また午前中のせいか人影も

少なく、静かで穏やかですがすがしかった。





Playa de Orzan

オルサン海岸



オルサンの入り江に向かって

右手がオルサン海岸、左手がリアソル海岸








Playa de Riazor
リアソル海岸



  ひとしきり海を眺めてから、エルクレスの塔へ行くことに。浜辺に沿って続く道路をひたすら、ひたすら歩く。思ったより

距離があり、塔に着くのに
40分以上はかかっただろう。さらに塔に昇るのには螺旋階段をぐるぐる歩いて上がらなければならな

かったので、すっかりへとへと。でも、そこからの眺めはすばらしかった!
360度ぐるりの景色は、真青な大西洋とア・コルーニャ

の街だ。すごくきれい。海の美しいこの街にしばらく住んでみたいなぁと思ったりする。そんなのは観光客の勝手な言い分だろう

けど、どんなに素敵な街でもここでは暮らせないなと思う場所もある。住んでみたいというのは、私にとっては最高の褒め言葉

なのだ。

  それにしても、塔の上は風がとても強かった。しっかりと掴まっていなければ、本当に飛ばされてしまいそうなほど。でも、

その風が体にたまったもやもやとしたものを吹き飛ばしてくれるのだろうか、海の風に吹かれていると心がすーっと軽くなって

いく気がする。

  ピザとビールのお昼の後、再び浜辺に行った。温められた砂の上にバスタオルを敷き、ごろんと寝転がる。タオルの下の砂の

感触が気持ちいい。午前中は人もまばらだった浜辺も、午後になって、日光浴を楽しむ人達でいっぱいだ。雑誌や本を読んでいる

人、おしゃべりをしている人、眠っている人、ボールで遊ぶ人。トップレスの女性もけっこういる。腕も足も思いきり伸ばして、

全身で太陽の光を楽しむ。なんという気持ちよさ、なんという贅沢。日本での暮らしの中では、こんなにものんびりと時間が過ぎて

いくのを感じている暇などほとんどない。何もしていなくても有意義だと思えるなんてすごいことだ。

  潮風が優しく肌をなでていく。


  
6時半頃まで浜辺で過ごし、涼しい風が吹き始めたので、港の向こうにあるサン・アントン城のほうへ散歩に出かけた。港の

遊歩道を恋人たちや家族連れがのんびりと往き交う中を一緒にそぞろ歩く。

   訪れたのが遅く、サン・アントン城は閉館してしまっていた。まぁ、いいか。そこからの港の眺めが素敵だったから。陽は

傾き、影が少しずつ長くなる。ふと空を見ると、「あ、天使の羽根」。折り重なる雲の合間に、小さな小さな虹ひとつ。


  翌朝、ア・コルーニャを離れる前に、港へ散歩に

行った。マリーナ大通りに並ぶ建物はみな白い窓枠の

美しいガラス張りで、港から眺めると本当にきれい。

ア・コルーニャが「ガラスの町」と呼ばれる所以だ。

  朝の港は静かだ。水面に建物が影を落とし、朝の

陽射しの中でゆらゆらと揺らめいている。



Avenida de la Marina
マリーナ大通り