Vigo
ビーゴ

        

9月2日

  再び列車に乗り、ビーゴへ向かう。ア・

コルーニャまで来た道を逆戻りする形になり、

サンティアゴを通過して更に南下すること約

2時間で到着する。途中の景色がまたすばらし

かった。ガリシア州都のポンテベドラを過ぎた

辺りから列車は海沿いを走る。リア(深い入り江)

の多い入り組んだ海岸線で、リアス地方と呼ば

れている。日本の「リアス式海岸」という名称の

語源だ(リアスはリアの複数形)。このリアの

つくる景色は、湿気が多いために白く霞んだ

空気の中に溶けて、とても美しく、やさしい

印象だ。狭い土地を上手く利用したトウモロ

コシやブドウの畑が、次々と窓の向こうに

流れていく。この辺りのブドウ畑は、スペイン

の他の地域とは違って、日本と同じ棚栽培を

している。湿気が多いからだろう。

  また、入り江にはムール貝の養殖をするため

の小さな船がたくさん浮かんでいる。とにかく

素敵な景色だ。


Ría
入り江

静かな水面にムール貝養殖の小船が並んでいる

湿気が多く、うっすらベールが

かかったような淡い色の景色




Ría bonita
美しい入り江




  ガイドブックで見たビーゴの町の印象は、さびれた地方の小さな港町という感じだったのだが、どうしてどうして、かなり

大きな活気のある町だった。後から知ったのだが、ビーゴはガリシアきっての漁港で、水揚げ高は一・二を争うらしい。ガイド

ブックで記載されているページ数で町の規模を判断してはいけないとの教訓を得る。

  諸々の用事を済ませて、夕方、お腹が空いたのでオスタルの近くのバルへ。焼き魚がとてもおいしいよと教えてもらった店で、

行ってみると、薄暗くって味も素っ気もなく、いかにも近所のおじさんがちょっと寄っては一杯ひっかけていくという雰囲気だ。

よしよしと思って、イワシの鉄板焼きを注文すると、イワシは終わってしまったと言う。アジならあるけどどう?というので、

アジを焼いてもらうことにした。ガリシア産のビールを飲み、目の粗い、けれどとてもおいしいパンをかじりながら待つこと
7〜

8
分、懐かしい焼き魚の匂いが店いっぱいに満ちてきた。そしていよいよ目の前にアジの塩焼きが置かれた。いーい匂い。スペイン

らしくビネガーとオリーブオイルをかけて食べる。これがまたおいしいのなんのって、たまらん!苦味の強いガリシアのビールが

お腹にきゅうっとしみて、更に食欲をそそる。中くらいの大きさの
2匹をペろっと平らげてしまった。おいしかった〜というと、

店のおじさんは、そうだろ、そうだろと言いたげにニコニコ笑って頷いた。




Sol poniente
夕陽

ムール貝養殖の小船と対岸に沈みゆく夕陽の帯
  バスに乗ってギーア公園へ行った。小高い

丘の上の見晴らしのよい公園で、絶好のデート

コースだそうだ。

  丘の上の住宅地の一角でバスを降り、更に

ぐるりと歩いて上っていくと、小さな教会のある

見晴台に出る。そこには
360度のパノラマが広がり、

入り江とビーゴの街が一望のもとに見渡せるのだ。

湾にはムール貝養殖の小船がいくつも列をなして

並び、対岸の丘の向こうに沈みゆく太陽が、水面に

強い光の帯を描いている。美しい夕陽。沈むときの

さまざまに変化していく空の色が素敵。きれいな

夕陽を見ることの出来た日は少しくらい嫌なことが

あっても、いい一日だったと思えるから不思議だ。


  先刻のバルから坂を下った所にレストラン街があり、そこへ夕食を食べに行く。生牡蠣を食べさせることで有名なのだが、

なんとなく生を食べるのはためらわれてやめてしまった。注文したのは、魚介のスープ
Sopa de mariscos、タコのガリシア風・

ポテト付き
Pulpo a la gallega con patatas、ヤリイカの鉄板焼きChipirones a la planchaだ。どれも最高。特に魚介のスープが

おいしかった。癖になる味。



9月3日

  ビーゴ
2日目の朝はバスルームのドアが開かない

というハプニングから始まった。ひぇ〜と思って

フロントに電話すると、バレバレ
Vale,vale(OK,OK)

言ってすぐに来てくれ、専用の針金棒でチャチャッと

直してくれた。よくあることらしい。だったらちゃんと

修理しておけばいいのに、と、典型的日本人の私などは

思ってしまう。

   だが、このオスタル、なかなかよかった。実は

前日、町外れの
RENFEの駅からインフォメーションを

探して歩き疲れ(ものすごく遠かった)、とにかく

どこでもいいから宿をと思って決めたところ、そこが

まさに目指していた街の中心ポルタ・ド・ソル
Porta

do Sol
の目の前だったのだ。おかげで歩き回るには

便利だし、しかも窓から見える街の眺めがとてもいい。

特に朝はうっすらと白く霧がかかり、直に始まる喧騒の

気配を感じさせつつも実に幻想的なのだ。


Porta do Sol
ポルタ・ド・ソル


オスタルの部屋からの眺め

白く霧のかかった朝の街





La playa de la Islas Cies
シエス諸島の浜辺

白い砂とグリーンの海が美しく、まるでパラダイスだった
  船でシエス諸島へ遊びに行く。8月にはたく

さんの人で賑わう美しい島だ。
9月になった今も、

遅めのバケーションを取りに来た人で船は一杯だ。

みな笑顔が絶えない。

  ビーゴの港から
45分ほどで到着。船が桟橋に

着くと、誰もがこぞって船を下りた。思った以上に

きれいな島だったので、びっくり。パラダイスの

よう。感激ものだ。真っ白な砂浜が広く長く続き、

海は淡いグリーンをたたえて穏やかに横たわって

いる。太陽の光がさんさんと降り注いで、世界を

明るくやさしく包み込んでいる。シーズンもピーク

を過ぎているため静かだし、もう言うことなし!!

さっそく浜辺に出てタオルを敷き、のんびり過ごす

ことに。


  ここはまるでパラダイスだ。でも、いったん水に入ったら…、それはほとんど入水自殺。死ぬほど冷たいとはまさにこのこと。

水はかなり冷たいとは聞いていたけれどこれほどとは。試しに肩まで漬かってみたものの、
5秒耐えるのがやっとだった。水から

出ると、強い陽射しが実に気持ちいい。そよそよ風に吹かれて、濡れた肌もすぐに乾いた。

  本を読んだり日記と書いたり、うとうとしたり

して過ごす。持ってきたボカディージョと果物を

つまみつつ。う〜ん、私だけがこんなおいしい思いを

しちゃっていいのかしらん。なんと何にもなくて豊か

な時間なのだろう。


  夕方、島の内部のハイキングコースを歩く。1時間

ほどで灯台へ行けるらしいのだが、時間がなくて途中で

引き返すことに。残念。でも、途中の展望台から見た

景色はとてもきれいですごくよかった。いつの日かまた

ここに来ることがあるだろうか。分からないけれど、

また来れたらいいな。




Vista desde el mirador
展望台からの眺め