Feria de Abril en Sevilla
セビージャの春祭り

其の1

          

4月29日

  通っていた語学学校でセビージャの春祭りへ行くエクスカーションの募集をしていたので、迷わず申し込んだのだが、実際には

某旅行会社が主催するツアーだった。同じ学校から申し込んだアメリカ人のおばさんカティと
2人で参加することになった。

  ツアーは
4月29日の夜中にサラマンカを出発して、翌朝セビージャに着き、セビージャには2泊して3日目の午後にサラマンカに

戻ってくるというもの。宿泊はセビージャの町から車で
20分くらいの郊外にあるユースホステルで、フェリア会場へは毎回送迎して

くれる。


  
29日は夜の23:00ごろに集合。けっこう参加者がいるらしく、だんだんとたくさんの人が集まってきていた。同行者のカティと

バスを待っている間に、ドイツ人の男の子やイタリア人の女性と知り合ったりして、フェリアではいっしょに周りましょうという

ことに。

  バスが来て乗りこんだら、ひたすら眠るだけ。観光とフェリアのために体調を整えておかなくちゃ。



5月1日

  やはり夜行バスではほとんど眠ることが出来なかった。常にうとうとはしていたけれど、眠ったという実感はないまま、
7:40

ごろセビージャに到着した。バスはグアダルキビル川のそばに停車し、いったん自由行動となった。カティや昨夜知り合った人たち

と近くのバルに入り、朝食にする。私はあまりの寝不足に全く食欲がなく、ナチュラルのオレンジジュースだけを飲んだ。

  集合までまだ間があったので、川のそばをぶらぶら歩く。川辺に立つ黄金の塔
Torre de Oro の写真を撮ったり、薄紫の花が

満開のジャカランダの木を眺めたりして過ごす。


  
9:00にバスに戻り、少し移動。セビージャに来るのは実に8年ぶり。以前来たときは、初めてのスペインという興奮もあったし、

8月の最も暑い時期だったので、とにかくいろんなもののインパクトが強く、見るものひとつひとつに感激していたけれど、今回は

春の、しかも朝早いのでけっこう寒く、セビージャのイメージがちょっと違って感じられた。マリア・ルイサ公園やスペイン広場に

まず行ったが、ああ、こういうところだったんだと改めて思うばかり。


  マリア・ルイサ公園は、緑豊かな散歩道が気持ちのいい大きな公園。

ヤシの木や噴水を配したところもステキだし、濃いピンクやオレンジ色の

ブーゲンビリアの花が満開で、それはそれは見事だった。
8年前の思い出の

白い鳩がたくさんいるところは、こんなに小さなスペースだったのか…と

思ったり、私にとっては歩いているだけで楽しかった。

  スペイン広場は、
1929年のスペイン・アメリカ博覧会の会場として造ら

れたもので、半円を描く広場にそって建てられた建物の下部には、スペイン

各地の様子を描いたタイル絵が並んでいる。とても素敵。でも、ひとつ

ひとつじっくり見ているひまはなかったので、サラマンカを探して見るだけ

になってしまった。スペイン広場の
8年前の思い出は、あまりの暑さに観光

どことではなく、屋台を見つけてレモンのグラニサーダ(シャーベット状の

ドリンク)を飲んでいたこと。そんなことを思い出しながら、涼しい広場を

歩くのはなんだか妙な感じがした。私のとってのセビージャは、やっぱり

あの暑さだなと思う。


Parque de María Luísa
マリア・ルイサ公園
Plaza de España
スペイン広場


  再びバスに乗って移動。マカレナ地区へ。マリア信仰のとりわけ強いセビージャ

だが、この地区にあるマカレナ教会のマリア様はとても美しい。私も訪れる町ごとに

教会を見にいき、いろいろなキリスト像やマリア像を見たが、ここのマリア様ほど

美しく清らかな表情のマリア像を見たことがなかった。その表情は涙を流しながらも

本当に美しくて、そこにセビージャの人たちの信仰の厚さを窺える気がする。


María de Esperanza Macarena
マカレナのマリア様

(これは、教会の入場券の一部)


  町の中心へ戻る。今度は、アルカサールの脇を抜けて、迷路のような細い路地が魅惑的なサンタ・クルス街を散策。狭い路地の

日影はひんやりと涼しいが、陽光を反射する白壁は眩しく、咲き乱れるブーゲンビリアやゼラニウムの鮮やかな花が本当によく

似合ってきれいだ。時々こっそりと家々の中を除き込むと、パティオに溢れる緑や花が見える。イメージどおりのスペイン、アン

ダルシアの街並みを満喫できる。

  ぐるっと一周し、ムリーリョ公園のところからアルカサールやカテドラルのある広場へ戻り、ここで昼食のための解散となった。


  何を食べようかと少しうろうろした結果、パエジェリア
Paellería に入ることになった。これは、最近流行りのパエジャ屋の

ことだが、要はインスタント。
1人分が鍋ごと冷凍になったものを焼くだけの簡易パエジャだ。1人ずつ好きなものが頼めるし、

値段も安い。お店にとってはなんといっても楽なので観光地にはけっこうこの手の店がある。味は相応。悪くはないが、やはり

本当にゼロから作るパエジャとは全然違う。この時は周りの人たちがパエジャを食べたいということでこの店に入ったのだが、

私としては、まぁ一度くらいはたべてみるのもいいかという感じではあった。


  昼食の後、カティが翌日の闘牛の入場券を購入。彼女は大の闘牛ファンらしく、特に翌日の闘牛にはけっこう有名な闘牛士が

出場するらしく、絶対に行くんだと朝から言っていたのだった。さすがアメリカ人と思わずにいられないほどのノリで、圧倒され

る。一緒に見ようと誘われたけれど、チケット代が高く(いい席だったので)、牛が殺されるのを目の前で見るなんてごめんだわと

思って私は遠慮した。闘牛は、
8年前の初スペイン旅行の時マドリードで一応見たことがあったので、特にまた見たいとは思わな

かったのが正直なところだった。


  いったん宿に行くことになった。

  宿はユースホステルなので、大部屋にずらっと
2段ベッドが並んでいる。ツアーの参加者は40人くらいはいたと思うが、とても

広い部屋でベッドの数も多かったので、みな下の段で寝ることが出来た。毛布はちゃんと用意してあったのでよかった。

  フェリアへ出かけるのは
6:30集合だったので、それまで休息。すぐに寝る人もいたけれど、私はまずシャワーを浴びる。お〜、

よかった。ちゃんとお湯がでる!狭くて使いにくかったけれど、まあ、こんなもんかという感じ。外国でユースホステルを利用する

のは初めてだったので、けっこう楽しい。


  少し遅れて
7:00に宿を出発。フェリア会場へと向かう。いよいよだ。ワクワク。

  バスは会場からも街からもけっこう離れたことろにある駐車場までしか行かれない。その先は、駐車場とフェリア会場を往復し

ているシャトルバスを利用するようにとのことだった。そのシャトルバスに乗るのに、また長蛇の列だった。さすがだ、ここだけで

こんなに人がいるなんて!


  さてさて、フェリア会場は、それまで私の知って

いた「お祭り」をはるかに上回る規模の、延々と続く

仮設小屋
Caseta(カセータ)の集合体で、敷地の広さも

人の数もすごい!とにかくすごい。女性はほとんどが

フラメンコのような衣装を着ている。馬に乗っている

人も多く、馬車もたくさん出ていた。その分、道にも

落し物がいっぱいで、周りばっかり見ていると危ない。

足元にも注意が必要。衣装をバッチリ決めたカップル

2人で馬に乗っていたりするととても格好よくて、

ついつい写真を撮ってしまう。彼らも得意げにポーズを

とってくれる。




Caballos y casetas 馬とカセータ
  まだ日が沈むまでにはしばらくあったが、すでにあちこちのカセータでは演奏や歌や踊る音が響いてきた。だいたいは

カセータの中で踊るのだが、外で踊っている人も結構いる。みんな、とっても楽しそう!



Una pareja

カップル


カメラを向けると

ポーズをとってくれた
En una caseta
カセータの中




  カセータは、お祭り用の仮設小屋のことで、テントのように赤や緑の太いストライプの布が張ってある。基本的には個人の

所有で、その関係者や招待状を持っている人しかカセータの中には入れない。通りに面した側は開放されているので中を見ることが

出来るが、入るためには招待状を持っているか、その場で所有者に誘われるかしかないので、ふつう観光客はあちこちを覗きながら

見て周ることになる。ちゃんとガードマンを雇っているところが多く、まぎれてもぐりこむことは期待できない。外国人だったら

バレバレだし。

  カセータの中にはだいたいステージが設置されていて、大きいところだとバンドが生演奏をしている。ステージ以外のスペース

にはテーブルと椅子が所狭しと置かれ、招待客がここで食べたり飲んだり、おしゃべりしたりと楽しく過ごす。そして、演奏が始ま

れば踊りまくるというわけだ。

  招待客に出すための食べ物や飲み物も用意しているので、カセータの中には電気も水道も通っているし、ガスボンベも設置され

て調理もしている。もちろんトイレも完備。お祭りのためにこれだけの設備を置いてしまうなんて、しかもそれが何百軒もあるん

だから本当にすごい!


  バルのカセータもある。これは純粋にバルがカセータになっているもので、食べたり飲んだりするためにあるので誰でも入る

ことだ出来る。お祭りだから値段は相場より高い。でも、前述のように調理が可能な設備が整っているので、けっこういろんな

ものが食べられる。


  日が暮れてきて、だんだん暗くなってくる

と、通りに沿ってたくさん張り巡らされている

堤燈や電飾に灯かりがともり始めた。とっても

きれい!日が完全に沈みきる前のまだ明るい空

のブルーが、イルミネーションの灯かりとあい

まってとても美しい。会場のメインゲートで

あるPortadaポルターダにも灯かりがつく。

デザインが細かく凝っているので、暗い空に

浮かび上がる姿は本当にきれいだ。

Iluminaciones
イルミネーション




Iluminacioens y casetas

イルミネーションとカセータ



Portada iluminada

イルミネーションを施したポルターダ



  暗くなってくると、お祭りもいよいよ盛り上がってくる。あちこちのカセータから響いてくるバンドの演奏や歌声はひっきり

なしになり、カセータの中でも通りでも踊りまくる人がいっぱい。ときどき調子のいいおっちゃんやおばちゃんが、一緒に踊り

ましょうと手を引っ張ってくる。以前セビジャーナスを少しだけ習ったことがあったので、適当に合わせていると、「踊れるん

じゃないの!」と大喜びで、どんどん引きずりこまれてしまう。この陽気さがたまらん!最初は照れくさくてなかなか踊れなかった

けれど、だんだんと我を忘れて一緒に踊りまくってしまうのであった。


  いやぁ、それにしても、会場が広くて広くて、歩いても歩いても端っこが見えてこない。しかも座って休む所もないのに

踊ったりもしているから足が疲れる。おなかもすごく空く。時々バルのカセータに入ってつまみを食べたり飲んだりしながら

ひたすら会場をさまようのだが、お祭りとはなんと体力の要るものか!しかし、楽しい雰囲気や人々の笑顔をこんなにもたくさん

味わえるのはやはりお祭りならではだ。


  フェリア会場の一部は遊園地になっている。

お祭りの間だけ操業する移動遊園地だ。といっても、

アトラクションの種類も豊富で、しかもみな動きが

すごい!ジェットコースターの類など、移動遊園地

ならではのチャチな造りが丸見えなのに、ものすごい

スピードでガタガタと動いている。日本でいうところ

のバイキングのような乗り物もあり、これまたもの

すごい回転をする。私などは見ているだけで気分が

悪くなりそうなシロモノなのだ。

  もうひとつビックリしたのは観覧車。日本では

観覧車というと乗って高いとことからの眺めを楽しむ

ものという感じだが、スペインの観覧車は、景色など

眺めてられるか!というくらいのスピードでぐるん


Parque de atracciones
遊園地

ぐるん回っている。それはものすごい速さで、もちろん一周では終わらず、1回の乗車で何回転もしていた。観覧車もやはり、

乗ってその動きを楽しむものらしい。観覧車くらいは乗ってみようかな〜と思っていたけれど、回転の早さを見て即刻、この

案は却下した。

  遊園地は子供たちでいっぱい。みんな本当に楽しそうにあっちへこっちへの大騒ぎだ。フェリア用のブリブリの衣装を着た

女の子達も躊躇せずスカートをまくり上げてロディオのような乗り物やジェットコースターに乗っている。これぞ祭りだ!


  その後再びフェリア会場に戻った。うろうろしていると、とあるカセータのご主人がマンサニージャ
Manzanilla(シェリーと

似た酒精強化ワインの一種)をふるまってくれた。しかも、カセータの中へもどうぞと誘ってくれたのだ。なのに、一緒にいた

人たちはみんな入るのを拒んでしまったので、私も入ることが出来なかった。すっごく残念!せっかくのチャンスだったのに…。

今でもこれだけが心残りだ。


  バスには
AM.2:00に集合して、宿に戻った。とっても疲れていたので、あっという間に眠りに落ちた。