3日目  その3  夜、飛行機でトズールへ移動



  バスでチュニスに戻る。また農村の風景などを眺めつつ。

  だが、朝早い出発だったことと、あつ〜い中での観光だったため結構お疲れで、バスの中はすっかりお昼寝タイムとなった。

暑さ対策として持っていった「熱さまシ〜ト」をうなじや腕やふくらはぎに貼って、ハ〜、気持ちいい。なかなか効果がある。うと

うとしてハッと目覚めると、美しい夕陽。広い広い大地に沈んでいく。


  8:00近くなってやっとチュニスに戻ってきた。街には寄らずに、チュニス湖を渡った先にあるラ・グレットという町へ。ここで

夕食なのだ。ラ・グレットの町はこの日、何かのお祭りをやっていたらしく、仮装をした子供たちが楽器の演奏と共に街をねり歩い

ていた。とてもかわいらしい。

  夕食は、1品目がトマトベースの魚のスープ、2品目が魚のグリルだった。スープは、魚で出汁をとったもので、具は全く入って

いないのに、かなり魚の匂いがきつく、ツアーのほとんどの人たちが残していた。が、なぜか私と母は全然平気で、おいしく平らげ

てしまった。私たちだけが平らげたとなると、我々母娘の味覚を疑われてしまいそうだが、あの程度ではクセがあるうちには入らな

いと思うんだけどなぁ。

  2品目は魚のグリルといいつつ、グリルになっているのはイワシだけで、別の紅いお魚は唐揚げだった。グリルというと格好が

いいけれど、要するにただの焼き魚なのよね。でも、機内食からお肉の料理が続いていたので、お魚は嬉しかった。尤も、添え物の

フライド・ポテト(を私自身が食べたの)があまりに久しぶりだったためか、やたらおいしく感じられた。

  デザートはプリン。味はとってもおいしかった。なのに、ぬるいんだよな〜。どうして冷えてはいないのか…。


  実はこの食事は大急ぎだった。特に後半。というのも、9:45発のトズール行きの飛行機に乗らなくてはいけないのに、遺跡から

の帰りが結構おしてしまっていて、レストランに着いた時点でかなりヤバイ状況だったのである。にもかかわらず、レストランでは

サービスがとても遅く、飲み物ひとつ出すのにも10くらいかかったし、デザートもコーヒーも2〜3回催促してやっと出てくるといっ

た有様だったのだ。すごく空いているのに、そして、急いで!と言っているのに、なぜこんなにも遅いのか!とイライラする私たち。

コーヒーが出るとすぐに飲んで、バスへ走ったのだった。

  街はお祭りということもあってか、道が込んでいて、なかなかバスは進まない。うぉー、間に合わなかったらどうするのか!

  でも、なんとかギリギリで空港に着き、慌てて荷物をひっつかんで走り、無事、チェック・イン。は〜、よかったぁ。間に合っ

た。すぐに手荷物検査をして搭乗口へ。違う方面へ行く人たちもいるのか、結構込んでいる。

  搭乗はなかなか始まらない。なーんだ、コレならあんなに急いで走ってくることもなかったねぇ。なんて、のんきに笑っていた

この時は、この夜がとてつもなく長いものになるとは誰も予想だにしていなかったのだ…。

  この日最大の苦難はこうして始まった。


  飛行機のフライトは9:45のはずだった。もちろん、ちょっとくらい遅れるのはよくあること。まして、ここはアフリカだ、など

と思ってみる。が、10:00をすぎても搭乗は始まらない。なーに、これくらい、まだまだ。10:00を少し過ぎてから、ジェルバ島行き

の飛行機の搭乗が始まった。待合室にいた半分くらいの人たちが行ってしまう。でも、よかった、トズール行きは私たちだけでは

なかった(当たり前だが)。と、そこでアナウンスが入った。トズール行きは11:30発になるという。えぇー!そんなぁ。走ってきた

のにィ。疲れてて、早くホテルに着きたいのにィ。でも仕方がない。ここは待つしかないのだ。

  遅延のお詫びとして、航空会社から飲み物とサンドウィッチのサービスがあった。でも、夕食を食べたばっかりなので、サンド

ウィッチなんて要らない。しかも、待合室はクーラーの効き過ぎで寒く、冷たい飲み物もあまりいただけない。はぁぁー…。


  11:00になったが、搭乗はまだ始まらない。まぁ、11:30に始まるのかもね。とにかく待つ。11:00をまわった。イライラ。ここ

は日本じゃないんだから、とはいっても、なんなんだ!なぜ遅れているんだ〜?添乗員のNさんも、立場上スケジュールは気になる

し、お客さんの気持ちも気になるしで遅延の理由を探りにいってくれるが、よく分からないらしい。空港職員すら分からないという

ことがあっていいのか?と思ったりするが、それもよくあること。などなど気を紛らわすために考えたりしていると、「出発予定は

1:00です」ときた。ひょえ〜、なんてこったい。こちとら朝早くから動きまわって疲れているは眠いはでヘロヘロだというのに、なぜ

こんなところでこんなにもただひすら待たなくてはいけないのか?!


  それでも待つしかないのである。

  搭乗口のところの待合室の寒さは耐えがたいものになってきた。更に1時間以上待たされるっていうんなら、手荷物検査前の

チェック・インカウンターのある部屋のほうがいいと我々日本人軍団はぞろぞろと移動。他の人たち(チュニジアの人、ヨーロッパの

人など)は、不思議そうな顔をして私たちを見ていたけれど、結局、次第に1組、2組と部屋を移動してきた。あんなところにいたら

凍っちゃう!これだけ待たせておいて、待合室の温度管理もまともに出来ないとは!といよいよぶちきれそうになる。

  ここに来て遅延の理由は一応明らかになった。チュニスからトズールへの便は、トズールから来た飛行機がおり返す形で飛ぶら

しい。で、トズール発の飛行機が遅れているため、つまりチュニスに着かないため、単に飛べない・飛ばないのではなく、飛びようが

ないというのである。おいおい、他の機体は無いのか。そして、なぜトズール発の飛行機は遅れているのだ?結局そこのところは誰

も理由を知らない。ただ、もうトズールを出発したから大丈夫(!?)とのこと。

  もう、真夜中だ、眠いに決まっている。時計の針は遅々として進まない…。

  そして、悲劇はこれだけでは終わらなかったのだ。


  1:00になった。1:00近くになっても搭乗が始まらないので、もしやとは思っていたが、悪い予感というのは当たるものである。

「出発は2:45です」という世にも恐ろしいアナウンスがあったのだ。飛行機はもうトズールを出たって言ったのにィ。呆れるとか怒る

とか、もうそんな気力も無い。ただ、くたくた。そしてイライラ。き〜っっ!


  それまでは日記を書いたりガイドブックを見たりして暇をつぶしていたけれど、いよいよ耐えられなくなり、「私、寝るから」と

テーブルに突っ伏す。もちろん他にもベンチで、中には横たわって仮眠している人もいた。Nさんも疲労困憊といった表情だ。にも

かかわらず、うちの母ったら元気なのだ。ケロッとした顔で、「ぜーんぜん眠くない、疲れてはいるけどね」とか言っちゃって本を

読んでいる。私なんて活字を見たら目が回りそうだったのに。もしかしたら今は日本から来た時の時差ぼけで眠くないだけで、明日

以降、この睡眠不足が祟るのではと少し心配になるが、本人が眠くないというのだから仕方あるまい。「私は寝るからね!」


  2:45発という情報は、今度こそ本当だった。2:20ごろ、ようやく搭乗手続きが始まったのだ。バスに乗って、飛行機へ。ふら

ふらとタラップを上がり、どっすんと席になだれ込む。は〜、やれやれ。ところが、ツアーの中の2人が、席がダブルブッキングで

座れないとのこと!まぁーったく、どうなっているんだか!結局それは、搭乗券の印字が間違っていただけだったので他に空いて

いる席が2つあり、みんな座ることが出来た。でも、こんなときになんで間違えるのかね。はらはらさせないでくれ。

  離陸は2:45ちょうどだった。やればできるんじゃん。最初からそうやってよ。

  そして、まるで定刻に出発したかのようにドリンクサービスが始まる。こんな夜中も夜中、正真正銘の真夜中に、ドリンクを

もらってくつろげというのか!かーっっ、何もかもがむかつくぅ!私は眠いんだい。そっとしておいてくれぃ。グーグー…。


  到着予定より15分早い(!)3:45に無事トズール空港に到着した。

  外に出ると、さすが南、とっても温かい。やっと着いた〜。が、トズールに来た!という感慨も何もあったものではなく、荷物

を回収して空港の外へ。ホテルへは4WDに分乗して行くことになっていた。そうかぁ、私たちもたいへんだけど、4WDの運ちゃんたち

もひたすら待っていたんだよなぁ。空港からホテルまでちょっとお客をおくって、あとはおうちに帰ってのんびりするはずだったろ

うに、いつ到着するかよく分からない飛行機をずっと待っていてくれていたんだ。それは彼らの仕事ではあるけれど、たいへんすぎ

る…。結局きっかり5時間も遅れたのだ。


  もちろん、道も街もホテルも真っ暗。静かだ。チェック・インをしてもらって、各部屋へ。お疲れ様でした〜。本当に。

  とにかくすぐに寝ようとシャワーを浴びる。水の出が悪い…。はぁ。寝支度をして、さぁ寝ようと思って、何気なくカーテンを

めくり外を見ると、空が白々と明けてきていた。時計を見ると5:30、あぁぁ〜、もう朝なのだわ。ベッドにもぐりこむ。寝床があるっ

てすばらしい。

  却って目が冴えて眠れないのではと思ったが、あっという間に眠りに落ちた。