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 美都の起業経営奮闘記〜新米ビジネスウーマンの挑戦 Vol.2  2003/5/12

       http://www2.gol.com/users/misana/mito.htm   by 佐成美都

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《今日の格言》
 
      「明日の勝利のために、今日の屈辱に耐える」

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  立ち上げたばかりの小さな会社はもちろん、
  すでに成功を手中にした大きな会社でも、
  そういう忍耐の時期は必ず経験するものだと思う。
  そしてその逆境をいかにバネにするかで、
  勝利の程度が変わってくる。
  逆境を味わい、楽しめるようになったら・・・もう、怖いものはない。

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今日のメニュー

 (1)初めての方へのご挨拶
 (2)読者からの質問と答え
 (3)「アウトソーシング」
 (4)「苦労は買ってでも・・・」

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《初めての方へのご挨拶》

はじめまして。
佐成美都です。
ご登録ありがとうございます!

このマガジンのバックグラウンドについて簡単におさらいしますと、
私は現在ボストンでMBAを取得中。
近日中に卒業し、日本に帰国した後は、
友人の建築家とともに設計事務所を始めます。
秋には株式会社として本格的にスタートする予定です。

6月からは日々の葛藤・進展をリアルタイムでお伝えできると思いますが、
今月は、起業を前にして私が考えていることや、
パートナーである建築家の友人との、
起業・経営についての議論などをお届けする予定です。

ナマの話を楽しみに登録したのに!という方は、
ぜひ6月まで根気強くお付き合いくださいますよう、お願い申し上げます!

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《読者からの質問と答え》

今日は本文の前に、まずは読者からのメールをご紹介します。

#####ここから読者メール#####

私も会社員ながら、実家が自営業のせいか、会社員で満足できず、
自分で不動産経営をしています。
私の会社は、不況の真っ只中。
私は会社をリストラされようが困りませんが、
やはり、人生の、男のロマンを夢見ています。

最近、本当の会社を興したくて、
会社の売り買い会社にもいろいろ聞いてます。
結論からして、MBAって本当に必要なのかどうかです。

私の年齢からして、MBAの2年は、辛いです。
日本にも早稲田、慶応など有りますが
残された時間を考えると・・・2年、痛いです。

#####ここまで読者メール#####

MBAが会社を始めるのに必要かどうか。

おっしゃるとおり、2年は長いですよねー
そのお金と時間の投資に見合うだけの価値があるかどうかは、
正直言って本人次第なので何とも言えません。
一つ私に言えることは、同級生には65歳という日本人男性もいました。
ようするに、本人が必要と思ったら、歳は関係ないということです。

それと、単純にMBAMBAと考えるのではなく、
まずはご自分に必要なものをリストしてみることだと思います。

できるだけ具体的に、これからの自分の成功を考えたときに、
自分にはどんなリソース(自分の能力含め)が現在あり、
そしてどんなリソースが今後必要なのか、を
じっくり考えてみることが大切だと思います。
その上で、今後知るべき・獲得すべきことの中に、
MBAで得られる・学べることがあるかどうか、
という判断になるのではないでしょうか。

例えば日本には中小企業診断士という資格がありますが、
けっこうMBAで学ぶことに近い路線みたいですよ。
中にはMBAに行くよりもそちらの方が良い人がいるかもしれません。

それと、日本でのMBAがどういうシステムなのかはわかりませんが、
例えば米国の大学では
最短で15ヶ月程度でMBAが取れるプログラムもあります。
MBAはやってみたいけど2年は長すぎる・・・という方にはオススメです。

ではここで、この読者の方からの3つの質問にそれぞれお答えします。

>1)MBAを取られて(まだかな?)良かった事は?

本当にMBAが実践で役に立つかどうかは
これから先、現場での結果で明らかになってくることだと思いますが、
卒業を目前に控えた今の時点で、来て良かったと思うことは・・・
来る前に比べて、明らかに「経営」についてのアイデアが
クリアになったことかなぁ・・・

例えば、2年前、
これから会社を始めるぞ、と考えたときに、
どこから手をつけていいのか全くわからなかったし、
経営していく過程で具体的にどんなことをしていけばいいのか、
はっきり言って五里霧中という感じでした。

でも今は、すべきこと、してみたいこと、などなど
進むべき道筋さえはっきりすれば、やろうと思うことはたくさんあります。
こういう具体的なアイデアは、この2年間のMBA在学中に
自分の中に確実に積み上げられてきたものだと思います。

じゃーそれってMBA以外では得られなかったものなのか?と言えば、
例えば会社を始める人のための本だってあるだろうし、
実際に会社を興した人のもとで修行してもいいかもしれない。

でも私の場合は、一人で米国に住み、
米国の大学でいろいろな国の人と共に学ぶことで得られた貴重な経験がある。
それは私にとって、MBAに来なければ得られなかったことです。

>2)この不況の中、どんな職業の経営、何をするか?

この質問を読んで真っ先に私が思ったことは、
不況はあんまり関係ないよなぁーということ。
というのも、一番重要なのは、「自分に何ができるか」だと思うから。

スタートは常にそこだと思います。
自分が得意なことを、今の市場でどう活かせるのか。
どこに限りある(自分の)リソースを集中したら一番リターンがあるのか。

とは言え、この答えでは物足りないでしょうからもう少し足すと、
不況を逆に利用する方法もあるかな。
例えばもしお金があるなら、
この機会に落ち込んでいる会社を買うのもいいかも。
そして地盤を整え、景気の回復を待つ、とか。

あるいは、その国特有の状況を利用する。
例えば、米国では不況になると起業しようとする人がグっと増えます。
そこで、起業したい人にアドバイスするコンサルティングを始めるとか。
例えば南米では、不況時は犯罪率が上がります。
そこで、防犯システムを販売するとか。

>3)儲かりそうな市場には、必ず競争相手が現れます。その時どうするか?

おそらくほとんどのMBAホルダーが同じ答えをすると思いますが・・・
(友人3人に聞いて全員同じだったし)
あなた(あるいはあなたの会社)に
ライバルと差をつけるcompetitive advantage(強み・長所)があるなら
競争相手を恐れず参加するでしょう。
でももし、それほど目立った優位性が見出せないなら、
他を探した方がいいでしょう。
「他」とは、競争相手が少ない市場か、
自分の強みを活かせる市場か。

この質問は(2)と大いにつながっていますが、ようするに、
何を選ぶにしても一番大切なのは
自分のcompetitive advantageだと思います。

というわけでここから、今日の本題に入っていきましょう!

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《アウトソーシング》

ある日、日本で美都を待っているパートナー(建築家)に、
二人で会社を始めたら最初、美都に何を一番してほしいか、と聞きました。
彼の答えは、「営業」。
そうよね、だって最初は仕事を取らないことには始まらないもんねー

でも美都は、営業をする気はないの。
だって営業は美都の一番得意なことじゃないもの。
というより、苦手な方かも・・・

そんなワガママ言うなって??(笑)

でもね、ちょうどそんなとき学校で、ある米国大企業の副社長のプレゼンがあり
アウトソーシングについていろいろとお話を聞きました。
アウトソーシングって日本語で言うと「外部委託」みたいな感じ?
ようするに自分の社内で必要な作業の一部を、他の会社にやってもらうこと。

美都の友人がQ&Aのときに、この副社長に、
「どんなときにアウトソーシングしますか?」と聞きました。
彼の答えは:外部にそれをできる人がいたらいつでも!

例えば簡単な例をあげると、
今までは社内でデータ入力をしてたとするでしょ。
でも社外でデータ入力を請け負ってくれる会社があるなら、
すぐにそれをアウトソース(委託)しろ、ってこと。

一瞬「え?」と思う答えだったんだけど、
この答えの背景にある考え方がすごく面白かった!

まず、そのアウトソースの値段が高かったら?と思うだろうけど、
ここには仮定があって、
市場には競争の原理が働いて、常に需要と供給のバランスが取れるってこと。
だからたくさん同じことをしている会社があったら、
値段は自然に下がるはずだよね。

それと同じ理論で、
自分以外でも同じことをしてる人がいるとすると、
その作業によってあなたは高いマージンを得ることができない。
だからあなたは、他に誰も同じことをしていない作業を見つけた方がいい。

う〜ん、ちゃんと言いたいことは伝わっているでしょうか?
もう少し現実的な例をあげると・・・
例えば美都は、結婚した後、家事を自分でするつもりは一切ない。
というのも、もしお手伝いさんに時給2000円払うとすると、
自分が外で1時間働いたら2000円以上の価値を生めると思うから。

この例はわかりやすいでしょ?

前述の副社長の話を聞いていて、
この人は大きな会社の人だからそんなことが言えるんだ、と
確かに思わなくもないんだけど、
でも小さな会社でも、そういう発想って実は大切かも、と思う。

もしも会社を始めたばかりで、お金が一銭もなく
外部に払うことなんて全くできない!というならまぁ仕方ない。
でももし、少しでも余裕ができたら、
自分の仕事が、本当に自分がすべきことなのか、他にやってくれる人はいないか
一度見直してみた方がいいと思う。

例えば、今自分が100円の価値を生む作業をしていて、
その作業のせいで300円の価値を生む作業を諦めていたとする。
でももし外に150円でその100円の作業を請け負ってくれる人がいたら
それをアウトソースすることで自分は300円の作業を担当でき、
結果として利益は150円残るでしょ。元の100円よりも高い。

ようするに、
本当に高いリターンが得たかったら、
自分が一番得意なことをできる環境を作らなくちゃいけない。

一番最初の「営業」の例に戻ると、
美都に営業させるような会社では、
美都は「宝の持ち腐れ」になってしまう。
営業なら、美都よりもはるかにスキルの高い人が
世の中にはゴマンといるわけだから、
そういう外のスキルを上手に使う方法を考えた方がいい。
ちなみにそういう方法を考えるのが、美都がすべき仕事。

さて、このコンセプトを実行するのに必要なのは、
まずは自分には何ができるのか、
自分が一番高い価値を生めることは何かを理解すること。
その上で、今自分がしてる作業は本当に一番高い価値を生んでいるか、
他にその作業をしてくれる人はいないか、をチェックしてみる。

この考え方ってものすごく応用範囲が広いと思うので、
会社を経営している方のみならず、
普通に主婦をしている人でも、ぜひ一度考えてみて!
もちろん、会社以外の世界では、「経験」がもっと重要になると思うので、
価値の量り方は「お金」じゃなく「楽しさ」になるかもだけどね。

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《苦労は買ってでも・・・》

「経験」という言葉が出てくると、駆け出しの起業家としては、
最後に一つ書いておきたいことがある。
冒頭の格言にもつながることだけれど、
たとえ苦手なことだろうと嫌いなことだろうと、
そういう苦労を経験しておくことは後々すごく役に立つかもしれない。

もちろんわざわざ外部でその「嫌な」作業を安くしてもらえるとわかっていて
あえてそれを自らやろうなんて人はそうはいないかもしれないけど、
「若い頃の苦労は買ってでもしろ」って言うでしょ!

実はパートナーが、営業が問題だ・・・と言い始めたときに、
美都の友達の営業マンに相談したことがあるんだけど、
この営業マンというのは自分ですでに会社を作って軌道に乗せた人なのね。
で、彼が、
大きな組織から独立して苦労している私のパートナーに対して、
とってもステキなコメントをくれました。

「最初の営業は、絶対に彼自身が必死にやるべきです。
  組織での知名度と個人になった時のギャップはこのタイミングでしか
  経験できないので、もっともっと楽しんだほうがいいよ。」
 
彼は本当に自分で一から会社を始め、酸いも甘いも全て経験した人だからこそ
このセリフは重みがあるんだよねー

美都は彼といると本当に元気が出る。
そうよね、今しかできないことを楽しまなくっちゃ!
いつまでそんなノンキなこと言ってられるのか?とも思うけど、(笑)
やっぱり人生どんなときにも、
目の前の逆境を楽しむ気持ちがなくっちゃ大きなことはできないって。

辛いことがあるから、楽しいことがもっと楽しくなる。

未来を信じて、
今の逆境を楽しまなくっちゃ!

最後にもう一つ、この営業マンの言葉:

  「目指したものを手にすることを成功といい、
  その道のりを楽しむことを幸せというんだよ。」

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発行者      : 佐成美都 
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《編集後記》

♪おかげさまで第二号にして読者が800名を越えています。
本当にありがとうございます。
早くリアルな日々の出来事を書きたいと思っていますが、
どうか6月までお付き合いくださいね! 

♪創刊号にさっそく読者の方からメールをいただいて
とっても嬉しかったです!
ご意見ご感想ご質問メール、お待ちしております! 

♪先週はアンケートにご協力いただきありがとうございました。
このマガジンをいつ読みたいですか?という質問に、
週末と答えてくださった方が一番多かったのですが、
月曜日という答えもかなり多かったので驚きました。
基本的には週末発行にするつもりですが、
またしばらくしてアンケートを再度とってみたいと思います。