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 美都の起業経営奮闘記〜新米ビジネスウーマンの挑戦 Vol.6  2003/6/15

       http://www2.gol.com/users/misana/mito.htm   by 佐成美都

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《今日の格言》
 
    「この人生は、どんなにつらくとも生きるに値する。
     そのためには三つのことが必要だ。
     それは、勇気と、希望と、いくらかのお金だ。」

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  チャップリンの言葉。
  そうなのよねーやっぱりお金って大事なのよ。
  でも「いくらか」って言ってるところがミソかも。
  勇気と希望はたくさんあった方がいいけど、
  お金って・・・なければない、あればあったでいろいろ問題あるかもねー

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今日のメニュー

 (1)近況報告
 (2)口約束と信頼関係
 (3)読者メール:手段と目的

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《近況報告》

私、佐成美都、米国ボストンにてMBAを取得し
とうとう日本に帰ってまいりました。

建築家の友人と設計事務所を立ち上げる夢を抱いてのこの二年間でしたが、
いよいよ、その成果が試されるときが近づいてきました。

おととい帰国したばかりで、
まだ実際に建築家のパートナーとは会っていません。
近日中に彼に会い、具体的に今後のことを話し始める予定です。

でも実はすでにパートナーシップには暗雲たちこめるといった気配が・・・
さんざん過去にパートナーシップの経営は難しいと言われてきましたが、
始める前にすでにそれを実感し始めている美都でございますぅ。

何がって、例えばさ、
留学前の彼との話では、
二人で一緒に会社をやってる限りは二人の給料は常に半々、と言っていたのに
最近のメールで「きちんとお金の話をしよう」と言ったら
「いくら欲しいの?」と彼が書いてきた。
そうじゃないだろー!(笑)
美都は君に使われるわけじゃないんだから、その言い草はなんだ!と
一瞬美都は憤慨しておりました。

ま、そこらへんはメールのコミュニケーションの難しさもあるのかもだから
対面できちんと話し合って
改めてパートナーシップの基本ルールなどについて確認しなきゃね!

でも内心かなりドキドキしてるのもホント。
ふぅ〜
やっぱりスタートは大事だしさ。

実は美都は昔一度その辺の契約条件やお金の問題で失敗しているので。
今日はその失敗談について書いてみたいと思います。

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《口約束と信頼関係》

数年前、友人が一人で始めたベンチャー企業を
ほんの数ヶ月だったけど手伝ったことがありました。

アウトソーシングの会社で、
データ入力・管理、人材派遣、テレマ、DM発送などを請け負っていた会社。

彼とは、大卒後の新入社員時代に出会い、
いずれは一緒に何かビジネスをしよう!と熱く夢を語り合った仲。

入社前に彼から、給料はいくら欲しいのか、と聞かれ、
とりあえず25万くらいかなーと返事しました。
「もちろん儲かったら儲かった分だけちゃんと還元するよ」という
彼の言葉を信じつつ。

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入社後、彼は美都のために仕事をバンバン取ってきました。

美都は当然やる気マンマンで、週末の休みもなくひたすら働きつづけました。
帰宅は毎日終電で、家ではシャワーを浴びてベッドへ直行の日々。

死ぬほど忙しかったけど、死ぬほど充実していた。
ま、とにかく、美都は働き者なの。(笑)

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ある日、日曜日に、急に入った単発の仕事をしていると、
彼がニヤっと笑いながら
「この仕事の売上はそのまま美都の小遣いだな」と言いました。

さらにそういう単発の仕事がいくつかあったけれど、
彼は頻繁に、美都に同じようなことを言いました。

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さて、数ヶ月が過ぎ、さんざん残業?や休日出勤を繰り返す日々の中で、
しかし一向に25万円のお給料以外には振り込まれない。
一方で彼は
「美都が来てからすごい利益の伸びだな!」と
しょっちゅう売上や利益率の推移をグラフにして眺めては喜んでいる。

次第に、美都の心の中にわだかまりが・・・

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実はもともと半年の約束でのお手伝いだったんだけど、
美都の働きぶりと会社の経営状態の好転に、
彼はぜひとも会社に残って欲しいと言い始めました。

あのねー
そのまえに何かすることがあるでしょ?と美都は思った。

仕方なくここで初めてお金の話をし始めました。
儲かった分だけ還元する、という彼の言葉や、
単発の仕事はそのまま小遣い(ボーナス)という話はどうなったの?と。

何だかんだと御託を並べる彼を前に、
もし続けるんだったら、
会社の利益の何%というお給料の支払いにすることが条件、と言いました。

美都は自分が残業してることや休日出勤してることを問題にしてるんじゃなく、
自分が利益に貢献した分はちゃんと認めて還元してほしい、ってことね。
もちろん、彼自身が新入社員時代から
そういう実力主義の会社を作る夢を語っていたわけだし、
彼がそういう人だと知って、美都は一緒にやろうと思ったわけだからさ。

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結局彼は、美都が出した条件を飲むことができなかったので、
美都は予定通りにやめることになりました。

でもね、美都は退職金を要求したの。
彼が口にした分はきちんと払ってほしい、って。
もちろん、彼は最初から金額を口にしていたわけじゃないけどさ。
彼の言葉を聞いてるこっちには、
彼の言葉によってそれなりに期待が生まれるわけじゃない。
それを裏切られると、もうそこに信頼関係がないよねぇ・・・

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ま、早い話、きちんと契約書を作って
お給料やボーナスについて入社前に取り決めしなかったことが悪いんだけどね。

でも、日本って社会は歴史的に口約束で成り立ってきた社会でしょ。
米国の契約社会とは全く異なっていて、
大企業でも、トップ同士の会合で口約束だけでコトが済んでしまうのが
日本の企業文化の特徴でもあった。

もちろん契約書に全て書かれていた方が
後々何かあったときにラクだよなーとは思うけど、
でも、人と人との信頼関係の上に成り立つ日本的なビジネスには、
やっぱり日本人として民族的な美徳を感じるのも事実。
「武士に二言はない」の世界なんだよ。

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今度自分が経営者(お金を払う立場の人間)になることを考えると、
この経験から美都が学んだことはね、
やっぱりどんなに小さなことでも、従業員の前で口にしたことには
責任を持ちたいよなーってこと。

美都ママ曰く、特にお金をもらえる話では、
人間って絶対に一度聞いたことを忘れないし、
裏切られると根に持つもんなんだってさ。
それはほんとに納得。
お金はコワイ。

従業員を誉めたり、ボーナスを約束することで機嫌取りをするのもいいけど、
言ったことは、やっぱりちゃんと守らないとね。
それに、誤解を招きそうな発言は、最初からしないことだよ。

もちろんこれはビジネスの世界だけじゃなく、
どこの社会でも通じる超基本原則のはず。
言ったことは、守ろう。
守れないことは、言うな!

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さて、最終的にこのベンチャーをやめるときにどうなったかというと、
彼との話し合いの結果、
美都の希望額はほぼ出してくれることになりました。

でもね、実は最後にもう一悶着あったんだよ。

約束では、最終日の午前中に、月決めのお給料と共に
残りの退職金(ボーナス)も全額振り込んでくれる、という話だったの。

でも、お昼を過ぎて振込みを確認すると、
月決めのお給料しか振り込まれていなかった。

社内で最後の仕事の納品の準備をしていた美都は、
すぐに彼に電話。
すると、「ちょっと今日は払えないから月曜まで待って」と。
そんなの話が違う!!

お金がないわけじゃないのは、会社の預金状態から知っている美都。
ま、そんなことよりも何よりも、
またしても口に出したことを守らない彼に不信感は募る一方・・・

約束が違う。今すぐ振り込んで!と頼む美都に、
「俺が信用できないのかよ?」という彼。
あのねー!
私のあなたに対する信頼を裏切ったのはあなたでしょ!と怒り心頭の美都。

結局、口論の末にすぐに振り込むと約束をしてくれた彼。
しかし、その時間の振込みの確認はもう電話ではできなかったので、
振込みの控えをFAXしてくれと美都は頼んだのね。

それには今度は彼も怒って、「それくらい信用しろ!」と怒鳴る。

ま、もうこれでダメだったら仕方ないな、と
甘かった自分を責めることにして
美都は最後の仕事を納品し、彼に会うことなく家路につきました。

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お金は結局ちゃんと振り込まれていたんだけどさ。
とにかく後味が悪かったよねー
彼とは本当に良い友達だったのに。それまで。

こういう経験からも、先日書いたように、
美都は家族や身近な(大事な)人とのビジネスにはあんまり賛成じゃない。
お金が絡むと、人間関係は本当に難しいんだよ。

ほら、身近だと余計に口約束で済ませやすいって傾向もあるでしょ。
恋人と一緒にビジネス始めるときに「契約書作りましょう」なんて言ったら
「信用してないのかよ!」ってヘソ曲げられちゃいそうだしさ。
でも、後で「そんなこと言ってない」って言われる可能性がないわけじゃないし
(悪意なく純粋に忘れることだって当然ある)
そういう場合、こっちははっきりそれを覚えてたら、
やっぱり苦しいと思うよー

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そうは言いつつ、またしても友人とパートナーシップまで組んで
仕事をしようとしている懲りない美都でございますが(笑)
それ故に、今回はちゃんと契約書作るつもり。
美都のこの苦い経験の話もパートナーにはきちんとして、
後で問題が起きないように文書にしよう、と説得しなきゃね。

はぁ〜
気が重いなぁ・・・

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パートナーとの話し合いの結果については、
来週のマガジンでお届けしたいと思います。

美都の幸運を祈ってねっ!

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《読者メール》

今日のメールは、直接ビジネスの話ってわけじゃないんだけど、
美都としてはぜひ一言、ビジネスを志す立場の人間としてコメントしたい。

皆さんもぜひ、あなたならこの読者の方の疑問にどう答えるか、
考えながら読んでみてください!

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> アメリカの大学で心理学の勉強をしたい、知り合いの女の子がいるの。
> 彼女は高校時代に心理学に興味をもったみたい。
> でも当時、「心理学」を勉強したい思いを親に伝えたら・・・一蹴(>_<)/
>
> 彼女は短大の英語科に進み、系列の大学に編入し、就職にめでたく失敗(^-^ゞ
>
> 学生時代からのアルバイトを継続して2年。
> 彼女は自分の夢の実現をスタートすることを決意しました(^-^)/
>
> っと、ここまでは個人的に大好きな話なんですが・・・(笑)
>
> 彼女はこの決意を一部の人間にしか打ち明けていない。
> もちろん、夢のない身近な人間に話をすると途端に、
> ドリームスティラーになるから内緒は別によし。
>
> 今は英検2級に合格したばかりだから、語学のスキルアップを目指し♪
> 勉強に勤しむ。うむうむOK。
>
> 当然、アルバイトしかしていないので「お金がない」(>_<)/
> で、彼女は奨学金をGETすべくTOEFL等の検定に合格する為、勉強×2
> うんうんうん。
>
> でも・・・何か違和感があるの。
>
> 最近、就職を希望する親とのアツレキが出てきたみたい。
> でも、彼女は前に心理学の勉強をすることが無駄と言われた親に、
> 今の自分の思いを伝える気はない。
> もちろん、親と同居している。
>
> 彼女は今すぐにでも、アメリカで心理学の勉強をしたいらしい。
> 今でないとダメらしい・・・
> アメリカで心理学の勉強をしないと駄目らしい・・・
>
> ヒトに自分の「夢」語った時、理解されなかったら、
> そのヒトが理解できないコトにガッカリするらしい。
>
> 彼女の決意は堅いそうだ。
> 「明確な動機」があるらしい。
>
> 今は日本で、実家で暮らしながら、アルバイトをして、
> 奨学金をもらう為に英語の勉強をしている。
>
> なんだろう、彼女に対するこの違和感は?

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このマガジンの性質上、経営者の視点からこの彼女について考えてみます。
まず一つ言いたいのは、
そりゃ誰でもね、自分の熱い夢を語ってもそれを理解してもらえなかったら
ある程度ガッカリはするだろうなーと思うのね。
でもさ、人間は一生独りぼっちで生きていけるわけじゃないから、
やっぱり人を巻き込むことってすごく重要なのよ。

例えばこの彼女の場合、家庭の事情などがわからないから
あくまでも想像の話だけど、
本当に「今」米国に渡って勉強するのが一番の目的なら、
もしかしたら親をサポーターに巻き込むことで
その目的をより早く達成できるかもしれないよねぇ。

でも一度否定されてるから親を説得するなんて時間のムダ?
そうは言ってもさー
愛する我が子の夢の実現を応援しない親はあんまりいないよねー
問題は、どれくらい本人が本気でその夢を追ってるか、
って部分のような気がする。

商売してたら、
自分がやりたいことのために、銀行や支援者を説得して
お金を出してもらうことって誰しも経験すること。
でも今の時代、そう簡単にサポーターなんて見つかるもんじゃない。
じゃ、何が人を動かす?
もちろん運とか縁とかいろいろあるだろうけど、
やっぱり熱意や情熱は大きいと思うよ。
明確なゴール設定と、それを達成するための具体的なプラン、
そして何より、その困難に満ちたプロセスを乗り越えていくだけの
決意とバイタリティーと執念。

日本には「不言実行」という格言もありますが、
実行にサポーターが必要だったり、あるいはサポートがあった方が
より早く実現できる、という状況も多々あります。
それを考えると、どう「有言」するかは大きなポイントだよね。
どう、人に影響を与え、動かすか。

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さて、前述のメールを送ってくれた読者の方から
この彼女の後日談が送られてきました。

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> 先にメールをした「アメリカで心理学を学びたい」彼女ですが・・・
> 就職を希望している親への配慮もありますが、
> 英会話etcを営んでいる会社に就職したみたいです。
>
> もちろん、仕事内容的にも「英語を勉強する」機会だらけなわけで(^-^ゞ
> 彼女の自分の仕事へのニーズは
> 「心理学を学ぶコト」でもなく、「アメリカに留学するコト」でもなく、
> もちろん・・・経済的な自立や独立を目指すわけでもなく・・・
>
> 彼女は「英語の勉強をしている」が、心地いいんだと思います。
> そう解釈すると「違和感」は解消されました。
> もちろん、本人は「アメリカで心理学を学ぶ」が
> 自分の夢だと思っていると思います。
>
> 追伸、「思い」が弱いと自分を誤魔化してしまうんですね。誰でもね(^-^ゞ

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これを読んでの美都のコメントは・・・
「手段を目的と勘違いしてはいけない」

ゴールや目標が明確じゃないと、
手段を目的(ゴール)だと勘違いしてしまうことがよくあります。
例えば、身近な例を一つあげると、
彼氏に「毎日電話して!」と要求し続ける女の子がいます。
一日でも彼が電話をし忘れると「なんで電話くれなかったの!」と激怒する彼女。

でもちょっと待って。
彼女の目的って、彼から毎日電話をもらうことなの?
それとも、彼女がほしがる電話を毎日かけてくれるほど彼女を想ってくれる
彼の愛情を確かめたいのかな?

美都もよく恋人にムリな要求を押し付けてきましたが、
ふと立ち止まって考えるように努力している。
何で毎日電話がほしいのかな?
何で愛してるって言って欲しいのかな?

もしどう考えてもそれ自体が目的だったら、それはそれでよし。
でも、その先に真の目的があるんなら・・・
それを達成するための手段はそれ一つには限らないよね。
目的は一つでも、そこに到達するための手段は多い方が達成が早い。

ビジネスでも、長く続けている作業なんかは特に
その作業の先にある本来の目的の影がだんだん薄くなって
日々続ける作業そのものが
(目的達成の手段でなく)目的そのものになってしまいやすい。

でもそれじゃー、目的達成の速度や確率まで落ちてしまうことになるかも。
だって、他のより良い手段を考える創造性が全然なくなっちゃうもん。
手段が目的になっていたらね。

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結論としては、第一号で書いたように、
やっぱり明確なビジョン設定が大事だよねー
ビジネスはもちろん、前述のメールの彼女のように、
個人的に夢を追う人にとっても。

究極の目的、ゴールは何で、
それを達成するための手段にはどんなものがあるのか?
何が必要なのか?

それをクリアにして、一度その道を追い始めたら、
今度は手段が決して目的にならないよう、
いつでも手段のアップデート(更新・改善)をフレキシブルにできるように、
達成すべきゴールに対する情熱と集中を忘れてはいけない!

あなたの、本当の夢は何ですか?

最後に、第一号でお届けした吉田秀雄さんのこの言葉を改めてお送りします。

「計画を持て。長期の計画を持っておれば、忍耐と工夫と、
              そして正しい努力と希望が生まれる。」

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発行者       : 佐成美都 
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《編集後記》

♪いやー日本に帰ってきて何がスゴイって、
やっぱり日本のサービスはいいよねぇー
米国では態度のデカいスタッフの対応に腹を立ててばっかりだったけど、
日本は空港の従業員からタクシーの運転手まで
ほんとに低姿勢で気持ちの良い対応をしている。
もちろん、それは客側の日本人の価値観であって、
外国人はまた全然違った視点でサービスを見るから、
日本のサービスを必ずしも良いとは思わないのかもだけどさ・・・

♪それにしても日本は暑いね。ただ暑いだけじゃなく、湿度が高いのが難点。
活力も生産性も落ちやすいこれからの時期ですが、
天候に負けず気持ちはパリっとして頑張りたいですね!
また来週お会いしましょう!