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美都の起業経営奮闘記〜新米ビジネスウーマンの挑戦 Vol.30 2004/01/24
http://www2.gol.com/users/misana/mito.htm
by
佐成美都
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《今日の格言》
「実るほど 頭(こうべ)を垂れる 稲穂かな」
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いつまでも忘れずにいたい、美都の大切な座右の銘の一つです。
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今日のメニュー
(1)美都の独り言
(2)お客様は神様?
(3)机上の空論?
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《美都の独り言》
まずはお詫びから。
前回、「次回、緊急面接の結果をお届けします!」と予告しました。
ま、単に「結果」で良ければ、
面接をほんの数人して、
一人採用したけれど、
三日でやめてしまった、と報告できるんですが・・・
美都としては、そんな報告では納得できん・・・(涙)
ごめんなさい。
どうも採用活動が思ったようにいっておりません。
非常に内心、苦しい状況が続いていますが、
なんとか素晴らしい人材を採用すべく、
もう少し試行錯誤を続けるつもりです。
また改めて、美都の採用活動についてはご報告させていただきますので
今日のところはどうかご勘弁を!
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《お客様は神様?》
前回、「お客様は神様?」と問いを投げかけたところ、
けっこうな数のご意見メールをいただきました。
本当にありがとうございました。
やっぱり、現場ではいろいろと感じていることがあるみたいですねー
そういう読者の声はひとまず置いておいて、
現実に今、企業ではどんなことが行われているのか、
いくつか実例をあげてみたいと思います。
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一番わかりやすいのが、米国の銀行での電話サービス。
例えば、美都と美都の恋人が銀行に問い合わせをしようと電話をかけると、
応答してくれるのにかかる時間が全然違うんです。
美都がかけると、ほぼ必ず3分以内には誰かが応答してくれる。
でも、美都の恋人がかけると、10分以上待たされることがほとんど。
これって、なぜ?
あのねー
電話オペレータの前に3色のランプがあると想像してください。
赤、黄色、そして緑。
美都の恋人が電話をすると、電話オペレータの前では緑のランプが点灯。
ところが美都が電話をすると、赤のランプが点灯するんです。
その違いはどうやって?
最近の電話では、必ず口座番号などの個人情報を入力させられます。
オペレータにたどりつく前にね。
その番号によって、自動的に点灯するランプが決まります。
つまり、銀行にとってどの程度大切なお客様なのか。
お客様を、銀行はランク分けしているわけです。
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電話オペレータは、緑のランプしかついていない状況では
当然その電話を取るけれど、
もしも緑と黄色のランプが同時に点灯したら、
黄色を優先的に取るようにと教育されている。
さらにもし、赤のランプがついたときには、
緑よりも黄色よりも優先的に取らなくちゃいけない。
そう、銀行として絶対に失ってはいけない、
優良顧客を示すのがその赤いランプだからです。
じゃーもしもよ、
いくら待っても応えてくれない電話に怒って、
緑のランプのお客様が他の銀行に乗り換えてしまったら??
そんなこと全然かまわないのよ!
銀行は、「どうぞどうぞ、いくらでも他の銀行にいらしてください!」と
内心は思っているわけです。
なぜってそのお客様は、銀行にとってはたいした利益もない、
いてもいなくても変わらないお客様だからです。
いや、もしかしたら、
いなくなってほしいお客様なのかもしれません・・・(こわ)
だってね、緑のお客様の電話に答えているせいで
もしも赤いお客様をずーっと待たせてしまったら。
そしてその赤いお客様が怒って銀行を変えてしまったりしたら、
それこそ銀行にとっては一大事なんだもの!!
もしも赤いお客様からの利益が
一般の緑のお客様100人分だとしたら、
ひどいサービスのために緑のお客様を50人失ったって、
赤いお客様を一人守ることの方が、
はるかに会社にとっては大切なんだもの!
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たとえば別の言い方をすると、
緑のお客様からの利益は、
電話オペレータの人件費までを充分にまかなえるほどではない、ってことかも。
企業は、サービスをどこまで提供するか、で
常に頭を悩ませています。
たくさん提供すればするだけコストが高くなるけれど、
必ずしも全てのお客様がそのサービスの価値を認めて、
快く代価を支払ってくれるわけではないものね。
だから、取れる人からは取って、
より良いサービスを提供したいに決まってる。
でもいつも付加サービスに追加料金を設定するわけにもいかない。
最低限、必要なサービスもあるでしょ。
でも無料で全てのお客様に24時間の電話カスタマサービスを提供するほど、
企業に余裕がない場合がほとんど。
そうなると本当に大切なお客様にだけ、
そのサービスを利用してほしいよね、会社としては。
アナログの時代には不可能だったことも、
IT技術の発展によって様々なオプションが可能になってきました。
前述のように、
お客様にはあからさまにせずとも、
企業内部では優良顧客とそうでない顧客を差別化することができる。
企業が、客を選ぶ時代になりました。
お客様は、必ずしも全員が神様ではないのです。
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そうそう、一つもっと身近な例も。
もうずいぶんと前のことですが、
美都ママがシャネルにお買い物に行ったときのこと。
(ちなみに美都は全くブランド志向ではありません。はい。)
スーツを何着か試着してみたものの、
ちょっとサイズが小さすぎて・・・
美都ママは思わず聞いたそうです。
「もっと大きなサイズは作ってないんですか?」
お店の人は“冷たく”一言:「お体を合わせていただきませんと」
・・・キ、キ、キビシィー!
そう、シャネルと言えば高級ブランドの代名詞。
『イメージ』がとても大切なご商売をされています。
だから早い話、スタイルの悪い人には着てほしくないわけよね?
ブランドのイメージを維持、あるいは高めてくれるような、
ごくわずかな限られた人にのみ、着てもらえればいいわけ。
そうやって、サイズを限定することで客を選び、
そしてブランドイメージを保っている。
アナログの時代だって、
ビジネスは客を選んでます。
会社にとってプラスな客とそうでない客を、
きちんと選んでいかないと大きな成功はないんです。
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さて、そうは言っても現実的には、
そんな“大名商売”できる会社ばっかりじゃないのはよーくわかってる。
美都の会社だって弱小中小企業だしぃ〜(涙)
来てくれるお客様は、みぃーんな大切にしたいよ。もちろん。
例えば読者メールにもあったけれど、
飲食店に来てくれるお客様の場合。
そのお客様一人の売り上げそのものは小さくても、
その人がお店の中に存在したことで、
お店全体の雰囲気(繁盛しているって感じ)に貢献しているかもでしょ?
そういう意味で、お客様の貢献度ってのは必ずしも
数字だけではかれるものじゃない。
本人の売り上げは少なくても、
その人の口コミのおかげで、
めちゃくちゃ優良顧客を引き寄せてくれるかもしれない。
だから「お客様は神様」って古典的名句は、
なかなか色褪せることはないと思うのね。
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でも、会社が営利企業であって慈善事業ではない限り、
“あまりにも”会社にとって損が多い顧客には、
それなりの対応も必要だと思うわけ。
例えばあまりにもクレームばかりのお客のせいで、
身体をこわして社員がやめたケースもありました。
会社にとって、損失はあまりにも大きい。
じゃーそういう“悪い”顧客には、
正面切って「もうこないでください」って言うべき??
んなわけないでしょ。
あのね、新規顧客に新たにお買い物に来てもらうためにかかるコストと、
リピーターにお買い物に来てもらうためにかかるコストでは、
新規顧客に対してはリピーターに比べて
5倍のコストがかかるって言われてるのよ。
それだけ、一度お取引してくれたお客様って、
企業にとってはかけがえのない財産なのよ。
だからどんなに劣悪な?顧客でも、
まずは少しでも優良顧客に近づけられないものか、
最低でもロスが出ない程度の顧客に転換させられないものか、
商売人の知恵を絞ってみないと。
手っ取り早いのは、
その人にかかる分だけのコストをそのまま請求することなんだけど。
まぁ口で言うほどそれが簡単じゃないのは
美都も毎日現場を見てるからよくわかります。
でも何とかして、
今よりもサービスの料金を差別化してみたり、
サービスの質を下げてコストダウンしてみる、などなど、
企業努力してみないと。
さんざんやってみて、
それでもトータルで判断して「もう来るな!」と思うなら、
シャネルの店員じゃないけど、ちょっと強気で出てみる必要もあるかもね。
じゃないと、何度も言うように、
そういう儲からない客に労力を費やしてる間に、
もっと儲かる客に費やせたはずの労力まで消耗しちゃってるかもじゃん。
目に見えてこないところで、
めっちゃ優良顧客を逃してるかもしんないんだよ、
その目の前の口ばっかの顧客のせいで!
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というわけで美都の「お客様は神様?」論はこのへんにしておきたいと思います。
そうそう、最後にチラっと客の立場でこの話を考えてみても面白い。
例えばよく、どこかの会社のサービスに文句をつけたくなることってあるでしょ。
対応が遅かったり、いくら言っても改善されない、とか。
でもそういうとき、一瞬立ち止まって考えてみてほしいわけ。
自分は、それだけの要求に値するだけの代価を、
きちんとその会社に提供してるんだろうか?って。
思い出したイイ例があった。
かつて美都が新入社員の頃、
翌週からお客様まわりをするっていきなり決まって、
日曜日に慌てて某高級百貨店に名刺入れを買いに行ったのね。
家に戻って、明日の準備をしようって買ってきた箱を開けてみたら、
選んだはずの名刺入れではなく、全く別のパスケースがそこには入っていた。
美都は超困って百貨店に電話したんだけど、
結局、どうしてくれたと思う?
美都が明日から必要なんです、って訴えたら、
若いスーツ姿のお兄さんがわざわざ美都の家まで
その日のうちに美都が買った名刺入れを届けてくれたんだよ!
これにはまーじー美都も驚いた。
あぁ、これがサービスかぁーって思った。
でもようするに、
デパートってそれだけのマージン取ってるってことだよね。
ドンキホーテで買った名刺入れだったらそうはいかなかったかも。(笑)
でもそういう風に、世の中は成り立っているのだと思います。
ちょっとだけ、振り返ってみよう。
商売人としても。
一顧客としても。
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《机上の空論?》
美都が“MBA”っぽい理論なんかを紹介すると、
必ず「机上の空論だ」みたいに言われることがあるのよね。
現実に美都が今の会社でも年配の人とぶつかるときには、
たいてい相手が「現場も知らないくせに」とか
「実務経験はないくせに」とかって最初から取り合ってくれないわけよ。
これについてぜひ一言述べさせていただきたい。
もちろんこれは現実に、
美都が年配の人たちに訴えてきたことでもあるけれど。
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簡単な話。
世の中は役割分担で成り立っているじゃない。
人間は一人では生きていけない。
“アウトソーシング”が流行る現代はなおのこと、
私は私の得意なことを、
貴方は貴方の得意なことを。
貴方が知っていて私が知らないこともあれば、
私が知っていて貴方が知らないこともある。
だからお互いの知っていること、できることを上手に組み合わせて、
相乗効果を生んでいきましょう!
それが根底にある思想よ。
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例えば美都が両親と彼らの会社のことで議論するときもそう。
彼らがここまで独学でやってきたこと、心から尊敬している。
全てを0から築き上げてきた美都パパの勇気と努力と強運と才能に、
美都は心の底から敬意を払うし、憧れも抱く。
でも時代がどんどん流れて、
過去に成功したやり方がこれからも通用するって時代では必ずしもなくなった。
古い時代の人には、
なかなか対応できない新しい変化だって、世の中にはゴマンとある。
だから“一応”最先端と言われる商業大国の米国で、
最先端の商売哲学やノウハウを学んできた美都にこそ、
言える言葉、与えられる知恵ってのもあると思うのね。
お互いに協力すれば、
どちらか一方だけでは絶対に生めない価値を、
生み出すことができると美都は信じている。
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あるいは「現場」と「机上」を比べてみてもそう。
確かに現場で働く最前線の人たちが、
一番商売のイロハを知っているのかもしれない。
でも逆に、
毎日あまりにも目先の商売に追われているからこそ、
視野が狭くなって、見えない“big
picture”もあると思うわけ。
現場に携わらないからこそ、
掲げられる理想もあり、
描ける長期ビジョンだってあるかもしれない。
ほら、自転車に初めて乗るとき、
すぐ目の前ばかりを気にしているとなかなか真っ直ぐ走れないけど、
勇気を出して遠く先を見つめることで、上手に乗りこなせることもあるでしょ?
知らなかったからできる選択ってのもよくあることで、
知りすぎたことで恐怖や不安に支配されてしまう人間心理は誰でもわかるはず。
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だから!
みんなで手を取り合って頑張ろうよ!
協力して、知恵を出し合って、一緒により良いものを目指そうよ!
自分が知ってること、自分ができること、自分がしてきたこと、
そういうものに自信を持つのはかまわない。
むしろどんどん自信をつけて、もっともっと主張したらいい。
でも、それが全てだとは決して思っちゃいけないと思う。
どんな仕事にも、
どんな事実にも、
どんな真理にも、
新たな可能性、変化、異なる見解、などがあって当然だと思う。
そしてどれがより良い選択かどうかは、
一人で考えるより二人で考えた方が、
二人で考えるより三人で考えた方が、
より奥行きのある選択ができるかもしれない。
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これが、美都の素直な気持ちです。
ま、そういう初心みたいなものを忘れて
驕り高ぶったりする部分、誰にでも簡単に生まれてしまうと思うから、
それだけは気をつけたいと常に思っています。
今日の格言、イイでしょ?
覚えておきたいね。
平家物語にも良い言葉がありました。
驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し
蓄積した実績が、自信が、努力が、夢と消えてしまわないよう、
実るほどに頭を垂れて、一歩一歩進んでいきたいものです!
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発行者
: 佐成美都
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《編集後記》
♪面白い本を見つけた。その名も『MBA娘殺人事件』!
ミステリー調の小説で、しかもMBAをサラっと学習してしまおうという
めちゃくちゃ欲張りな一冊!
★
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569633412/mitosanari-22
♪「机上の空論」について話すとき、美都ママがいつも言うことがある。
“実務経験”って騒ぐ人は多いけど、
学生時代に起業して成功しちゃう人や、
二十代で一財産築いてしまう人がゴロゴロいるこの時代、
それを単に「運」だけで片付けるには無理があるよね。
時代は、変わりました。
チャンスの幅が、無限に広がっている。
♪チャンスを掴むには、まず何と言っても体が資本っ!
風にも負けず、寒さにも負けず、
元気一杯に頑張りましょう!