MBA候補生による墓石の営業戦略に関する提案

「どうしたら売れるのか」を考えるにあたっては、いくつかあらかじめよく理解しておかないといけないことがある。
「何を」「誰に」売るのか。こうした基本的なことを十分に分析しないうちに「売り方」を考えるのは無駄である。
よって、まずは基本事項を分析するための質問をいくつか並べるので関係者でよく答えを吟味してほしい。
その後で、いくつか具体的な方法について提案してみる。

分析すべきこと

1)業界での自社のポジション
  * 価格は業界の中で安い方か、高い方か、ほどほどか。
  * 品質は業界の標準からみてどんな水準か。
  * 価格と品質のバランスはとれているか。

2)商品の強み
  * 他社に比べてその商品は何が「売り」なのか?(例:安い/高品質/耐久性など)

3)ターゲットマーケット(顧客)
  * その商品を最も買ってくれそうな人はどんな人か。できるだけ具体的に。
    (例:何歳くらい、どんな仕事、どんな家族構成、収入、休日の過ごし方、など)
  * その人はいつどんなときにその商品を必要とするのか?買おうとするのか?
  * その人はその商品を買う気になったらどうやって探すのか。
    (例:新聞広告?雑誌?電話帳?ラジオ?友人?インターネット?)
  * その人は何を決め手にしてその商品を買うのか?
    (例:価格が重要?性能が重要?売り手との関係?キーパーソンの意見?)
  * もしも購入の決定に影響力のある人物がいるなら、それは誰?
    (例:子供のおもちゃにお金を払うのは母親でもどのおもちゃがほしいかは
       子供が訴える可能性がある。ということは子供に対して広告しなくては)

−ターゲットとなる顧客を分析したら、その次はその顧客に接する手段を考える。
 間違っても「数打ちゃ当たる」と思ってはダメである。資源の無駄遣いである。

−広告を打つにしても、商品の何を訴えたら顧客の目に留まるのか、どこに打てば一番効果的なのか、
 などを考えなくては何も始まらない。上記の分析をもとに、広告媒体は念入りに検討すべきである。

−最も効果的と思われる営業は、関係他社とのタイアップである。例えば葬儀屋や保険会社など。
 購入の決定に多大な影響力がある分野を攻めるのは営業の基本である。

我々にはこの商品や業界、顧客に関する詳細な知識がないので具体的かつ効果的な提案をするのは非常に難しいが、
常識的に考えて以下のようなアプローチが重要であると思われる。

売るための提案

1)セールスマンのトレーニング

セールスマンはよく教育されているか?「何を」「いつ」「誰に」「どこで」「どうやって」訴えたら良いのか知っているか?
保険のセールスマンに弟子入りして勉強するのは良い方法だと思われる。
マテリアル(商品の写真、パンフレット等)は十分に研究されているか?さらに営業マンはその効果的な使い方を
把握しているか?

2)インターネット + eメールによる「pull」戦略

古来、営業手法には大きくわけて「push」と「pull」の二つがある。前者は平たく言えば「押し売り」。後者は広告などで
顧客をこちらに「引き付ける」方法である。インターネットの最大の利点は、顧客が自らその商品やそれを売る会社を
探し出してアプローチしてくることである。つまりアプローチしてきた客は全員「買う気」がある客ということである。
しかもインターネットにホームページを作ったり広告を出したりするのは、社員を雇って営業させたり電話をかけさせたり
するよりはるかにコストが低く、なおかつ効率が断然良い。こんなオイシイ話を逃す手はない。
さらに、eメールアドレスのリストを業者から買い、(もちろん顧客の年齢層などを絞り込むこと)写真つきのeメールを
一斉に送る方法は、ただ電話をかけるよりもコストは非常に安いし視覚的に訴えられるしで断然オススメである。
ただし、インターネットは今時誰でもやっていることで、より人に見つけてもらうホームページの工夫などには
十分にお金をかけるべきである。(この方法については書籍等々たくさん勉強方法がある)

3)フェア等、人が集まるところ

各種自治体や企業がさまざまなフェアを開催している。こういうところに集まる人に営業する大きな利点は、
(1)リラックスしている(2)お金を使う用意がある、ということである。
ぜひとも近郊地域でターゲットの顧客層が集まりそうなフェアを探し、露店を並べるべきである。

4)プロモーション - pullとpushの合体戦略

具体的に例をあげる。新聞に次のような広告を出す:「抽選で5名様にハワイ旅行が当たる!−当社営業マンの
商品説明を聞いてくださったお客様にはもれなく、ハワイ旅行が当たる抽選クジを差し上げます。」もちろん、
買わなくてもクジはあげなくてはいけない。でも少なくとも、ただやみくもに電話をかけたり人を訪ねて歩くよりは、
確実に人目を引くし、電話をかけて営業マンを受け入れた人は話を必ず聞く準備ができている。
後は営業マンの交渉力次第で、買う気のなかった人にも買ってもらえる可能性がある。

5)一般企業とのタイアップ 

保険会社がよく使う手であるが、例えば企業の総務部などに出向き、自社商品を割引するかわりに社内で営業活動を
させてもらう。あるいは、交渉次第では社内報に広告をのせさせてもらったり、一定年齢以上の社員を対象にした
何らかの会合などに数分の時間をもらいチラシを配らせてもらう、などなど。この手法の利点は、(1)会社の許可を得た
時点で顧客の「信用」を買っている、(2)一度に大人数の人に接することができる、(3)お金を持っているターゲットに
素早く達することができる。

どの手段の成功のためにも、欠かせないのは他社よりも優れた価格、あるいは商品、あるいは付加価値であり
なおかつ交渉に当たる人物の人間性、話術、使うマテリアルが優れていること、などである。