【ニューヨーク発】なおちゃんのバンド日記

 [ Last Updated : 5/15/00 ]

バンドの話 <その11:ジェフリー>


ジェフリー

 僕が彼と会ったのは、'98 年の夏だったかな。 emit でのドラマー、コーリーがあの頃手伝っていた別のバンドを、ウェブスター・ホールに見に行った時だった。 ウェブスター・ホールは、NYでも一番大きなダンス・クラブだ。
 メイン・フロアはイナカの兄ちゃんたちのたまり場で、とってもダサイのだが、その当時はまた別のフロアで、ロック・バンドが演奏するロック・ナイトもあった。 だから、僕の目的は当然そこで誰かと知り合いになる事で、いつかはウエブスター・ホールで演奏したいと考えていた。

 そのロック・ナイトの金曜日(Shake 'N' Bake Friday と呼ばれていた・・・.やっぱりダサイな・・・)には、一晩 3〜4 バンドが演奏していた。 そしてその晩、僕は各バンド・メンバー達がいる楽屋をウロついていた。 すると一人のオジさんから「ヘェェーイ、キミはどのバンドのメンバーなんだい?」と声をかけられた。
 ・・・それがジェフリーとの出会いだった。 彼は地元のアート/音楽を主に取り上げている雑誌、COVER の編集長だった。 しかも、どうやら金曜日のロック・ナイトは彼が仕切っているらしい・・・。

 だが、僕が彼と会った時の第一印象は「アブナイかも?」だった。 ジェフリーの話し方というのは、本当にヘロヘロに飛んでいるのだ。 ひどく酔っ払っている様子もなく、ドラッグで飛んでいる様子でもない。 昔からドラッグをいっぱいやって、本当に飛んでしまった人のような口調なのだ。(ここで彼の真似を出来ないのが実に残念!) 
 しかも、各バンドの演奏前には彼がステージに上がって、バンドの紹介をするのだが、そこでマイクに向かって「ウォォォ〜ン!」と吠えてる・・・。

 いっ、一体何なんだこのオヤジは・・・?!

 ちょっとヤバそうにも思えたが、ちゃんとした雑誌の編集長ではあるので、ある程度信用は出来そうだ。 そういうわけで、思いきって彼の名刺をもらう事にした。 彼は「いつでも連絡くれていいよ・・・」と言った・・・ まぁ本当にヤバそうなら引けばいい。
 ・・・しかしまさかその後、僕も COVER の一員として仕事を手伝う事になるとは夢にも思っていなかった。

 早速次の週、僕はジェフリーに電話してみた。 彼は「ヘェェーイ、キミか・・・」と相変わらずの口調で話し始めた。 「それでキミのバンドだけど・・・ とりあえず $200 出せるか? そうしたら、何から何まで全てセットアップしてあげるよ・・・」

 ハハーン、そういう事か。 ようするに、彼はウェブスター・ホールの企画プロモーター的な事をやっているわけだ。

 彼は続ける・・・「$200 あれば、キミのバンドを金曜日のメイン・バンドとして扱ってあげるよ。 もちろんそのギグの広告はウチの雑誌に出すし、その次の号では写真付きでライブのレビューも載せてあげるよ。 どうだい・・・?」

 とりあえず、いきなり$200 は出せないし、バンドの方もウェブスター・ホールでギグをするにはまだまだ練習が必要だった。 そういう事で僕はジェフリーに「ちょっと今は無理だよ・・・」と言った。 彼は「まぁ、考えてみてくれ・・・」と言ってから、「今週末も来ないか?」と、その週のロック・ナイトのゲスト・リストに僕を入れてくれた・・・。


 ここから僕のウェブスター・ホール通いが始まる事になる・・・。 僕は毎週何かと理由を見つけては彼に電話をし、彼はその度に僕をゲスト・リストに入れてくれた。

 そうやって通い詰めているうちに、知り合いも増えた。 毎週プレイする色々なバンドのメンバー達、ウェブスター・ホールのスタッフ、そしてもちろん COVER のスタッフ達。 当然ジェフリーともだんだんと仲良くなっていった。

つづく。




 NAO
 ミュージシャン

 インデックスへ戻る

 SPIN OUT Home へ戻る