【ニューヨーク発】なおちゃんのバンド日記

 [ Last Updated : 6/11/00 ]

バンドの話「スウィマーへの道」篇 <その15:スウィマー">


 1999年2月、ちょっと気になるバンドがデビューした。 バンド名は "Swimmer" といって、雑誌に付いてきたサンプルの CDに彼らの曲が1曲入っていた。 久しぶりの典型的「ハードロック」サウンドで、ヴォーカルもウラ声の使いなどが上手く、とてもユニークな歌い方をする。
 高音域はなんとなくガンズのアクセルの声を思わせたりもするが、「ライブで本当に歌えるのかなぁ・・・」という感じがした。 曲はキャッチーですぐ頭に残った。
 そんなある日、僕が COVER の編集部屋でいつも通り招待状の整理をしていた所、ジェフリーが「そうそう、こんな手紙も来てるけど、興味あるか?」と、一枚のカードを手渡された。 それはマーヴァリック・レコード(マドンナのレーベル、ワーナー系)の PR 部からのメモで、「今度うちからデビューした Swimmer のライブが以下の場所であります。 CDも同封したので是非チェックして!」と手書きで書いてあった。
 僕は早速ジェフリーに「あ、これ絶対にいく! CDはどこ? CD・・・」と言ったが、彼はいつもの調子で「ん〜、どこに置いたか覚えてない・・・誰かにあげちゃったかも・・・」なんて言っているので、とりあえずライブに行く事にした。

 ライブ当日、小さなクラブはもちろん満員。 僕は出来るだけ近くで見ようと、前の方に行った。 ステージでは前のバンドが終わって、Swimmer の準備が始まっている。 長髪の兄ちゃん達が器材を並べ始めたので、「まさか、あれがメンバーじゃ??」などと思ったが、僕の中での彼らのイメージは典型的ハードロック・ミュージシャンだったから、どんな奴らが出てくるのか楽しみだった。

 そんなうちに、いかにもカッコいい奴らがステージに出て来た・・・。
 
 「若い・・・!」(と思った)

 間違いなくアイツらがメンバーで、その中でも短めの髪の毛を真っ赤に染めている奴がヴォーカルだろう・・・。 なんとも美少年的な容姿だ。 一緒に見に行った女性達はさっそく「あの子がカワイイ・・・」なんて、ドラマーを指して言っている。
 完全に僕のイメージとは正反対のルックスだ・・・。 だが、それは良い意味での「裏切り」で、どんなサウンドを出すのか、ますます期待させられる。

 次の裏切りは(驚きと言ったほうがいいのかな?)一曲目の頭から襲ってきた。

 「うわ、これはいい音だ! ここのクラブの音じゃぁない!」

 専属のサウンドクルーが付いているのだろう。 これは大きな会場でも十分対処できるように作られいる音だ。 そしてスローで静かに始まるその曲は、いかにもコイツらに合っていた。 そして、リード・ギターは意外にもシンセ・ギターに近い音を出している。 確かに器材も凄いのを持っているが、なかなかそれが効果的にバンド全体の音に厚みを出している。

 ・・・で、まってました! 曲の中盤になってハードな音がガツンと来た! そしてヴォーカルがシャウトする! 

 「うわぁ、何なんだコイツは!」・・・声がどんどん伸びる! 

 ・・・すごい! こんなシンガーの登場は久し振りだ。 しかもイメージとのギャップがあるから驚きは倍増する。 このスリムな「美少年」のどこからこんな声が出るのだろう??? 凍りついたような無表情で歌いながらも、それに反するパワフルな声。 カリスマ性も大アリだ・・・。
 「ライブできちんと歌えるのかなぁ・・・」なんて思っていた僕は一曲目で完全にノックアウトされた。
 それも初めて聴く曲で・・・。
 そして曲の合間に彼がボソッとしゃべった・・・クセの強いイギリス系アクセントがある。 「えっ? アメリカ人じないぞ・・・!」 
 じゃぁ一体何人なんだ・・・? どこのバンドなんだ?? ますますミステリアスで面白い。 似た様な曲が多いのが少々難点だったが、サウンドは先に述べた通り、素晴しい。 こんな小さなクラブでこれだけのサウンドはまずだせまい。 次に演奏するローカル・バンドがかわいそうにさえ思えた。 そういう点では、プロダクションの違い・・・「メージャー・レーベルのプロダクション」の格を見せつけられた感じがした。

 帰りみち、一緒に行った女性達も年を忘れて(失礼)キャピキャピで、「よかったわぁ〜」「あの子何人? えっスコットランド人って言ってた?」などとワイワイやっていた。 そんな僕も完全にスウィマー・ファンになっていた。

つづく。





 NAO
 ミュージシャン

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