【ニューヨーク発】なおちゃんのバンド日記
[ Last Updated : 8/17/99 ]
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- バンドの話 <その9:ヴィンス失踪?>
戻ってこないヴィンス
ついにマネージャーであるヴィンスが姿をくらましてしまって、彼に頼っていたバンド活動は座礁に乗り上げる形となってしまった。 前回も書いたが、姿をくらましたと言っても、ヒューストンにいる事は分かっているので、電子メールでやりとりはしていた。 だがいつ彼が NY に戻ってこれるのかは未定のままで、時たま週末のみに NY へ帰ってくるだけだった。
しょうがないのである日、僕とヴィンスは次回彼が帰ってくる時に、なんとかうまく時間を合わせてミーティングをする事にした。 が、彼は予定の時間に現われなかった。
コーリーのダダ
ヴィンスは後になって色々言い訳をしてきたが、こんな単純な約束でどうのこうのと振り回されるのでは話にならない。 もう彼を信用できないのは明白だった。 ただ、一つだけ問題があった。 それは「一文無しコーリー」の事だった。 コーリーはヴィンスのパートナーであるピエールの好意に甘えて、毎週おこづかいを貰っていたのだ。 ヴィンスと僕たちのバンドの関係が決裂すれば、彼はもうお金を受け取れなくなるのだ。
まったく「ならもっと仕事しろ!」と言うのだが、最近妙に自信をつけ口が上手くなってきたヤツは「ヴィンスは俺に才能があると思って金をくれてるから、ここで彼らを上手く使わない手はないぜ! なんとか関係をもたせて、ヤツらから金だけを引き出すんだ!」なんて言っている。 それでも数日間無視していると「頼むからヴィンスに連絡とってくれよぉ..」と泣き言を言い始める始末。
自主活動の再開
色々悩んだ末、ヴィンスとの関係はあいまいにしておく事にして、とにかく自分達で勝手に物事を進めることに決めた。 でないと、このままでは永遠に先に進まないままだ。 早速地元のクラブへ電話してブッキングを開始した。 ビラ作りやバンドのポートレートの用意も始めた。
やはり事が進むと自分の中に活気が出るのが分かる。 そうそう、この感触が無くてはいけないのだ。 当然、全部自分でやるのだから上手くいかない事も多いし、金銭的にも負担が多い。 だが、こうするしかないのだ。 人に頼っりっぱなしで、結局何も起きないよりかは数倍もマシだ。 ついでに自費で CD も作ることにしてしまった。
クラブのブッキング
ただ、こういったリズムに乗った時に限って障害も出てくる。 それは他のメンバーとのスケジュール合わせである。 特にクラブのブッキングとなると、名も知れていない僕達にはライヴの日付を選ぶ権利などないのだ。 クラブ側から「何月何日、何時からで、客は何人以上連れて来る事」と指定される。 こちらも、単にそれを鵜呑みにせず、出来るだけ良い日付(特に週末)をもらえるように交渉する。
もちろん客数なんて「ああ、〇〇人以上なんて簡単さ! 必ず連れてくるよ!」という大ボラを吹く。 そしてお互いが妥協した所で仮の日付が決まるのだ。 そして最終決定の前に、メンバー全員の合意を得てからクラブに連絡する事になっている。
せっかくの苦労も・・・
僕の一番キライな仕事はここから。 大抵の場合、メンバーの誰かの都合が悪いのだ。 せっかくクラブ側から自分達に一番良さそうな日付を貰っても、メンバーの「その日はどうしても困る・・・」の一言でオジャンになってしまう。 そしてまたクラブに電話して、交渉のし直し・・・。
これを2回ほど繰り返してしまうと、クラブ側からの最後の一言・・・「もうこの日以外はあげられないよ」が出てしまう。 そうなったら、仕方なくその日を取るか、いつか分からない「次回」にするかのどちらかだ。 で、結局いつも悪い時間帯にプレイする事になってしまう・・・。
クラブがくれたチャンス
そんな事を繰り返していたある日、クラブ側がチャンスをくれた。 バンドとしては理想的な土曜の夜の9時に演奏する事が決まったのである。 今度ばかりはメンバーの都合もなんとかなって、予定通りに・・・という時に、今度は当日の客の入りが悪い。 クラブ側は「オマエらの客が少ないから、このままだったらステージは30分で打ち切りだよ」と通告してきた。
そういった場面でゴネるのも、もう慣れてしまった。 僕は何とかマネージャーと交渉して他のバンドと順番を入れ違えてもらった。 これで、僕達の出番が遅くなった分、遅れて来た客をカウントに入れよう・・・という訳だ。 これが幸いして、結局、夜の11時という、クラブが一番混み始める時間帯に演奏する事が出来た。
ヴィンス登場・・・でも
・・・そして、ここでどこから話を聞きつけてきたのか、現われたのがヴィンスだ。
彼は僕達の演奏が終了すると、すぐさま僕の横に立って「あの曲のこの部分はこうした方がいいね・・・あと、ここは良かったよ..」と、まだまだマネージャー気分でいるらしい。 何もしないくせに、余計なお世話だ。
しかも、僕達が CD を作るという話も「仕上がる前に必ず聴かせてくれ」と言ってきた。 結局、最後のオイシイ所だけ取ろうったって、そうはするもんか・・・ったく。
・・・というわけで、なんとか活動を再開した。
***次回は不思議なオヤジ、ジェフリーの登場***
NAO
ミュージシャン
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