【ニューヨーク発】それでも住んでるニューヨーク

 [ Last Updated : 9/18/01 ]


9月17日付けメール

日本から、「何もできない」とか「こちらではやはり他人事」といったメールを多く頂きますが、それはしょうがない事だと思います。
NY では、今でもほとんどの地上波のTV局は24 時間ぶっ続けで現場事情や、最新情報の報道をしています。 もちろんCM などは一切はいりません。 そんな所からも、常に緊迫感が漂っているわけです。

とはいっても街では、現場からアップタウンに離れれば離れるほど、人々の緊張が無くなっていくのを感じます。 高層アパートに住んでいる人は別かもしれませんが、やはり現場が見えるのと、見えないのでも、大きな違いがあります。 実際、僕のいるローワー・イーストサイド/ビレッジから現場は見えません。
でも、今まで南の空の一角を占めていた、威圧感さえしたあの巨大なビルがあった位置に、ぽっかりと空間が広がっているのは、この辺りの住民にとっては異様な光景のなにものでもありません。
実際、ミッドタウンから様子を見にきた友人も、漂う煙やその臭い、交通が遮断された風景を目の当たりにして「うわ、やっぱり緊張感が全く違う・・」と驚いていました。

そんな中でも、アホはやはりいるもので、ボランティアを装って現場に近付き、瓦礫を持ち帰ろうとする者。 同じくヘルメットなどをかぶり、あたかも現場で作業をしてきた格好をしながら、バーへ行き、ヒーローぶって、タダ酒をねだる者。 現場から生存者が携帯で電話してきた、との話をでっちあげて通報する者などなど。 もちろんそのうちのほとんどは逮捕されていますし、バーにきたど阿呆も、僕の友人のバーテンダーがカウンターで一喝して、すごすごと去っていきました。

しかし、とにかく今回の事件でもよく取り上げられる、ニューヨーカーの「団結力」は素晴らしいものがあります。 また、日頃から嫌われていたニューヨーカーの敵、ジュリアーニ市町の仕事振りも素晴らしく、彼に 関しては皆が口を揃えて「今まで、彼の事は嫌っていたけど、今度ばかりは彼に脱帽するよ・・」と言っています。 反対にブッシュ大統領に関しての意見は様々です。

現在、ニューヨークはその団結力のおかげで、ボランティア活動、献血、寄付される物資など、すべて有り余るほどで、余計に動くだけ迷惑な状態となっています。 ですから健康な身体を維持し、必要とされた時に協力出来るように準備しておく事が、一番の貢献になると思っています。
というわけで、皆さんもけっして無力なわけではないのです。


9月14日付けメール

昨日は少し気分が良くなったと書きましたが、あの後より風向きが変わり、うちの近所が煙に包まれ、例の焼けた燃料の臭いが部屋の中にもたちこめました。 また、TVを消してしまうと、聞こえるのはサイレン音と、戦闘機の爆音だけになり、かえって気分を不安にさせます。

今日は朝から仕事に行きましたが、同僚のタレントさんのアメリカンの旦那が行方不明という情報や、もうひとりのタレントさんの場合は友達が5人も行方不明になったままという話を聞いて、スタジオの雰囲気は暗く、重いものでした。 その中で、元気よく、明るく振る舞って原稿を読むのは、非常に疲れる作業でした。
その上、嘘の脅迫により、ミッドタウン各所にて避難命令が出て、スタジオのビルとは別の、1ブロック先のオフィスで働いているウチのプロデューサーもいなくなり、スタジオで働く人にも色々な電話がひっきりなくかかってくるわで、今日のプログラムは終わらせたものの、はっきりいってまともな仕事になりませんでした。

その後は、別の友人宅を訪れて、一緒にディナーを食べてとにかくリラックス。 街のビジネスは復帰しても、人が精神的にまいっていて、使いものにならないね、という話をしました。 今日も相変わらず 各レストランは混雑していました。 皆、できるだけ集まっていたいのです。

それと、きのう気になっていた親友の彼女の事ですが、やっと連絡がとれて、彼女のほうは南ビルディングの30階で働いていて、なんとか逃げて無事でした。 友達はボブというのですが、あの朝、彼はいつもどおり彼女のベスと一緒に出勤し、WTCで彼女と別れました。
そしてボブ自身が、いつも持ち歩いているスケボーで自分の仕事場に向かう途中、「あの "son of a bitch" が低空で飛んできて、北ビルディングにぶつかりやがった」そうです。 「とりあえずベスが働いているのは 南ビルだ・・」と胸をなでおろしながら、現場に向かった所「次の"shit" が南ビルにヒットして、OH, FUCK! って思った」と言っていました。

そして、現場の混乱に着いた時に、見知らぬ男から「キミの彼女は大丈夫だよ、一緒に無事に逃げたよ・・」と話しかけられ、「アンタ一体誰なんだい???」と言った所、彼はなんと地下鉄でボブとベスと 同じ車両に乗り合わせていて、彼らの事を見て覚えていたそうです。
そこで "thank you, thank you, thank you......" と別れた後、今度は南ビルが崩れはじめ、あとはもうメチャクチャな状況だったそうです。

お互い、電話で無事は確認したものの、ベスはフェリーでニュージャージーに避難させられていたそうで、彼らが再会したのは、夜遅くなってからだったそうです。 ベスの話では、ビルの外に逃げる途中は空から 飛行機の座席や、身体の一部などが周囲に降ってきたそうです。

とりあえず、こんな話はいくつも聞いたと思いますが、ストーリーの一つとして書きました。

僕は明日の仕事はキャンセル。 先程から雷が鳴り出して、ちょっとひやっとしましたが、今日はよく寝れそうです。


9月13日付けメール

ワールド・トレード・センターが攻撃(と表現するのが適切と思われます)されて1日経ちました。 昨晩は、ほとんどのニューヨーカーがそうであったように、まともに寝れませんでした。 それは今後の心配とかそういう事ではなく、惨事を目の当たりにした衝撃といったほうが良いと思います。 また、遠くから常時聞こえてくるサイレン音と、飛行機の音も(戦闘機しか飛んでないのですが・・)さらに気分を重くさせます。

昨日の朝、事件の内容を知り、外の煙を確認した時点では、まだビルに当たったのが旅客機であるのもはっきりせず、ニュースのヘッドラインは "America Under Attack"、他にもまだハイジャックされた飛行機が出てくる可能性もあり、まさに攻撃されている最中という緊迫感がありました。 マンハッタンの外からアクセスも封鎖され、「こりゃ、数日間孤立するかも・・」と考えました。 同時に、このまま戦争に突入して、ついに最悪の時がきちゃったのかな、とも思いました。

今日は仕事の都合で外出しましたが、ほとんどの会社が休みのため、街は散歩をする人であふれていました。 しかも天気も素晴らしく、今まで見た事のないほどの少ない交通のせいで、道路は自転車やローラーブレードで走る人達でごったがえし、皮肉にも最高のピクニック日和となりました。 特にビレッジはカフェやレストランも通常通りに営業していて、公園も休日以上に多くの人が出ていました。 僕も仕事の用事が済んだあと、友人と外にいたのですが、やはりみんな家にとじこもっているのがつらいらしく、せめて友人達と共に太陽の中にいるほうが精神的にも落ち着くようです。(と、ちょうど今、ニュースでも街の人達に同様のインタビューをしていました)

でも、たまにフルスピードで通り過ぎる FBI らしき政府の車や、救急車、風向きが変われば現場の煙りが漂う地域もあり、異様な光景ではありました。 僕達がいた所にも、何度か煙が来たのですが、F1 レースなどに行った方なら御存じだと思いますが、あの焼けた燃料の臭いそのものです。 でもそれと違うのはこの臭いと灰は犠牲者の方々の一部でもあるという事です。 現場から約700m ほど離れたブルックリン・ブリッジ上で犠牲者の指が発見されたと聞きました。 ウチは約2キロ離れていますが、どちらの飛行機もツインタワーを外れたら、近所に落ちた可能性も十分あります。

とりあえず、自分も含め、親戚や友人も無事であった事に感謝し(友達の彼女がまだ心配なのですが・・)これからの復旧のために自分に出来る限りの協力をしたいと思っています。 あ、今日は気分はずっと楽でした。


9月11日付けメール

今朝は、寝ていたのですが、バン!といった破裂音がして、交通事故にしては変な音だなぁ、と思いつつ、半分夢の中でああ、このままじゃ、ここも爆破される・・といやな光景を思い浮かべていたのですが、起きてニュースを見たら、まさしくそのとおりなので、鳥肌がたちました。

僕の部屋からは、ワールド・トレード・センターのてっぺんが見えるのですが、今は一面煙です。

とりあえず、今のうちに買い出しにでも行っておこうと思ってます。

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とりあえず、買い出しに行ってきました。
ほとんどのストアは混雑してますが、日本食マーケットに行ったら、まだ空いてました。 道は、ダウンタウン方面行きは通行止めの所が多く、空いているのですが、アップタウン方面は詰まってます。 それと、地下鉄も止まってしまったので、降りた人が大勢歩いてます。 ほとんどの仕事はもちろんキャンセルなので、皆、昼食をとっていて、レストランは混雑しています。

写真ですが、空いているアベニューA と、混雑している1St. Ave です。
それとウチのアパートの屋上から。 いつも見えていたビルがすっかり無くなってしまいました。 空には、F15 とかが爆音を立てて飛んでいます。

とりあえず、ウチの近所はニュースで報道されるより、ずっとリラックスしています。



(今後もNAOから便りがあり次第アップします)



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