WCOA DevConでのプレゼンテーションThe Industry Council / Open Amiga イニシアティブこのプレゼンテーションは1997年5月17日に QMW Amiga Society'のデベロッパ・コンファレンスで行われたものです。 1. ICOA, Jay Minorソサエティ, ARiseメーリングリスト、Second Wind メーリングリスト についての歴史的背景 1996の中頃、Amigaの暗黒時代とも呼ばれる時期、ジョージオ・ゴメルスキー、スティーブ ボウイ、エリック・キーザとスカル・ロレット らが集まって、Amigaユーザが心配事や関心、悩み、そして希望や夢をお互い真剣に話し合う事のできるフォーラムを作りました。そのフォーラム,`Second Wind'設立の背景には、Amigaコミュニティ全体を見渡して、 Amigaというプラットフォームを消滅の危機から救うようなアイディアや計画、そして戦略をたてられるかどうかを検討しようという考えがあったのです。 そのフォーラムの最初のステップは、業界の有名人や Amigaのベテランだけをメンバーとする、ARiseと呼ばれるプライベートなメーリングリストを新たに始めることでした。ユーザーたちがSecond-Wind上で雑多な話し合いや熱いモメ事を繰り広げるなか、ARiseリストはより真剣に取り組まれ、より深いレベルでの分析や討論を可能にしました。
Second Wind の経験を基にできたのが Jay Minor Society for the Advancement of Personal Computing ( 進んだパーソナルコンピューティングのためのJay Minorソサエティ ), 略してJMS。近日中に合法的な団体として正式に発足します。 JMSはユーザーグループのひとつにすぎません。しかし、既存のユーザーグループがミクロなレベルで運営され、ある一つの地域のAmigaしかサポートしていなかったのとは異なり、JMSはマクロなレベルで運営します。世界中のユーザーグループの結合体、ミーティングポイントとなって、コミュニティの力や情熱、才能、そして知識を集め、応用できるような活動を目指すのです。願わくば、JMSは既存のすばらしいユーザーグループたちにとって有益な存在となり、また、特定の分野で力を持っているグループたちに、その力を生かして活動をアシストしてくれるよう頼めるような存在になりたいと考えています。また、JMSは特に能動的な存在であろうとしています。つまり、ただじっとしていて、出来事に対して反応するだけのような存在ではなく、外にでて、自らイベントを作り出すような活動を行うのです。 こうした活動は、インターネット上にAmigaのバーチャル都市を作る事によって行います。オンラインでのディスカッションやディベート、ミーティングを可能とするのです。これらは製品開発への弾みとなるでしょう。論文作成の準備といった特定の問題に取り組むチームと一緒に、有望なテクノロジーを研究し、そしてデベロッパーが誰も活動していない分野ならソフトウェア自体を開発する事も考えています−もっとも、これは最後の手段ではありますが...。むしろ、我々は自分たちのバーチャルコミュニティを現実化するために、要望を述べたり、我々がほしい製品やアプリケーションを机上でデザインしたいと考えています。
私たちもユーザーとして、かつてはデベロッパーたちにもあった、サポートや同情、尊敬の念を、ユーザーコミュニティが失ってしまったことは承知しています。これはユーザーが必要以上に大騒ぎしたのも原因の一つではありますが、多くは私たちのコントロールできる範疇を超えた災いや人物によって、Amigaプラットホームが苦しめられてきた事に、ユーザー、デベロッパー双方が挫折感、背信感を持ってしまったことからきています。 JMSがスポンサードした初めてのプロジェクトが、インダストリーカウンシル/オープンAmigaワーキンググループ(ICOA)です。これはARiseメーリングリストでの9ヶ月にわたるディベートやディスカッションの結果生まれたもので、メーリングリストで最も期待された2つのアイディアを基にしています。このプロジェクトは1ヶ月以上の長い期間に及ぶもので、IRC上で指示された、複数の会議で構成されています。各々の会議は、前回の会議で出た意見を洗練していき、ワーキンググループが目標に達する−つまり、Amigaを再生させるに足る確実な戦略を編み出す−までその内容を積み上げていくというものでした。 2. Amigaプラットホームの現状分析 Amigaに対して不利な点
Amigaの利点
最悪の場合、この先Amigaコミュニティは前述の3派に分裂し、それぞれの間の互換性もとれず、それぞれのために別個のアプリケーションを用意しなければいけなくなります。Amigaコミュニティは井の中の蛙のホビーマシンとなり、地球上最もすばらしいコンピュータになりうる機械は、悲しい最期を迎えることになります。そんな最期は、誰も望んではいないでしょう。 私たちは現在と将来のコンピュータ業界を検討し、次のようなトレンドにに気づきました。
こうした判断を基に、私たちはICOAの案の作成に取り掛かりました。焦ってAmigaを数ヶ月後、数年後に崩壊するような 計画は立てたくありませんでした。Amigaの開発をダイナミックに、安全に、継続的に行えるような仕組みを作る戦略を立てたかったのです。そして今、 私たちはその目標を達成したと確信しています。 3. インダストリ・カウンシル(業界評議会、略称IC) インダストリ・カウンシルはAmigaの標準機構となります。活動の一部として開発者が議論や企画をするためのフォーラムがありますが、最も重要な役割は、積極的なリサーチと、インタフェースやプロトコル、アーキテクチャの設定にあります。 ICはAmigaデベロッパーのコミュニティに、様々な活動やミーティングの場を提供します。例えば、ウェブブラウザの開発者達はICに集まり、プラグインの公開規格を決めるためのワーキンググループをつくります。あるいは、ゲーム会社なら各社が協力してクローズド、あるいはパブリックなネットワークを利用する通信ゲームのプロトコルを協議することが可能になります。また、ある開発者が持つ既存の規格を、IC標準とするよう提案する事もできます。 その結果、オブジェクト指向のモデルのように、企業がそれぞれの企業秘密や権利を維持しつつ、インタフェースを公表すれば、他の人がそれを使用して開発は一層速いペースで進みます。この方法がいかに効果的で効率的かは、ARexxの採用がどれだけ開発や機能面に恩恵をもたらしたかを見れば一目瞭然です。
この場合ICはインターネット・エンジニア・タスクフォース(IETF)と同等の役割を果たします。提案された規格はワーキンググループで検討され、採否を決定、あるいは要再検討として差し戻されるのです。規格として決定した段階で、IETFが RFCを発行すると同じように、それはインターネット上に公開されます。 ICそれ自体は、自分の仕事がAmigaプラットフォームにとって役立てるデベロッパーであれば、誰でも参加できる開かれたものになります。これにより、企業だけでなくシェアウェア・フリーウェアデベロッパーでも発言力をもつことが可能になるのです。当然ながら、ゲートウェイはAmigaプラットホームのオーナーとしてICに参加できます。しかし、実際どの程度まで取り組むかは彼ら自身に任せられてます。 私たちが成功するためには、独立した中立の団体として見れらなければならず、最初は発言やアイディアが活発に、そして平等に出されるよう努力します。ICは企業、団体あるいはその他の組織からそれぞれひとりずつ参加する、デベロッパーのグループと見なされるのです。この中から様々な問題に取り組むワーキンググループを形成します。 また、全体の進行と発展を管理する、少人数の運営委員会をつくります。メンバーは評議会全員の投票により選ばれるので、会員はすべて委員会のメンバーになるチャンスがあります。委員会のメンバーは持続性を維持するために、少ずつ交代していきます。 Amigaのユーザーたちは、技術的に先進的なものを持っていますが、中には役に立たないものもたくさんあることはわかっています。ですから、私たちはユーザーの良いアイディアや情報、コンセプトを受け入れ、ヤジやウソ、もめ事を排除するような機構を設けたいと考えています。この役割は、Jay Minor Society(JMS)が果たします。JMSはユーザーグループをメンバーとするネットワークを設け、意見を技術レベルの高いJMS連絡委員会に吸い上げ、内容を検討して採否を決めた上でICへ発表するための手続きを行います。 こうした運営費は会費、ライセンス契約料、そしてできればユーザーの皆さんからの寄付によってまかなわれる予定です。 デベロッパーのコミュニティは各地に分散しているので、ICはバーチャルな存在となり、主にインターネット上で活動することになるでしょう。JMSは、そのバーチャル都市の後を追うわけですが、Amigaをバーチャルなものを具現化するようなアプリケーションを通じて前進させたいと考えています。ICのメンバーはそうそう顔を会わせられるわけでもなさそうですので、これに代わるものが現れるまで、コミュニケーションやディベートの主な手段は、E-MAILやメーリングリスト、ニュースグループ、そしてIRCとなるでしょう。 これまでの説明から、ICとはアプリケーションの開発者に向けた標準のフォーラムであることがおわかりいただけたと思います。OSのインターフェイスに関する論議も、ICの知識と才能からして検討してもいい分野だと思っておりますが、この件に関してはゲートウェイ社の意向次第であり、今のところ私たちには閉ざされた分野になっています。 4. オープン・アミーガ Amigaの現状を見てみますと、以下のようなことが言えます。
オープンAmigaとは、Amigaの親会社以外の会社へ、AmigaOSを様々な面で公開することに他なりません。これは(ハードウェアメーカーがROMやディスクの完全パッケージを購入する場合などのように)バイナリーライセンスによるものかもしれませんし、(UNIXがもともとソースライセンスに基づいていたように)ソースライセンス、あるいは他の方法も考えられます。 Amigaの親会社はライセンス料金から直接利益を得られるでしょう。AmigaOSを配布する者は、それがROMやCDなどの形であれ、ネット上での配布であれ、その使用料を支払わなければなりません。分かり易い例で言えば、ユーザーはお店の棚からOSのパッケージを購入することができますし、一方OEMベンダーは、ライセンスを購入して各基本システムにOSをバンドルして販売することができます。ベンダーは、AmigaOSの市場強化、ハードウェアの市場競争などにより、間接的に利益を得ます。つまり、よりよいソフトウェアがプラットフォームを支えていくのです。 さてそれでは既存のAmigaはどこが悪いのでしょうか。ええ、もちろん現状のAmigaに満足しているのならばそれはそれで結構でしょう。しかし、今のAmigaはもう時代遅れのマシンなのです。Amigaのハイエンドシステムアーキテクチャは、1989年から90年にかけてのAmiga3000プロジェクト以来、アップデートされていません。AAチップセットがA4000やA1200をを登場させましたが、それは結局のところ、オリジナルのチップセットの技術に依存したものにすぎませんでした。最新のコンピューターは、Real Blitterなどの機能を含め、Amigaの25〜100倍のパフォーマンスを実現しています。時代は、刻々と進んでいるのです。 これは680x0ファミリにもいえる事です。68ファミリーはメインストリームをはずれてしまいました。では、80x86ファミリに劣っているのでしょうか?いえ、そんなことはありません。68ファミリーは、Amigaを設計した段階では良いの選択でした。そしてそれは、AppleがPowerPC陣営をサポートすると決定するまで間違ってはいませんでした。しかし、Appleのこの決断によって、モトローラは68ファミリーを組み込み制御システムなどに向けたプロセッサに格下げせざるを得ませんでした。そして、PowerPCをデスクトップ向けプロセッサに据えたのです。 AmigaOSがデスクトップシステムに使用される限り、Amigaの親会社はOSのライセンス使用料でうるおいます。AmigaOSをインストールしたシステムが増え、独自のハードウェアに依存したベンダーが減るに従い、OSはますます魅力的になっていくのです。AmigaOSをこのように提供するのには悪い印象を持つかもしれませんが、これでよいのです。1990年代におけるパーソナルコンピュータ界の教訓は、ある技術を成功させるには、それを公開しなければならないということだったのですから。 5. 利益 ICOAを成功させるには、サポートが必要です。つまり、親会社からのサポート、デベロッパーからのサポート、そしてユーザーからのサポートです。三者がそれぞれに自分たちが主体性を持って実現させることに意味がある、と思ったとき、初めてサポートというものが成り立つのです。 オーナーにとっての利益とは、次のようなものと考えています。
開発者は以下のような利点があるでしょう。
ユーザには次のような利益があると考えています。
6. 現状と今後の展望 今日の正式発表によって、ICOAのフェイズ1、第一段階は完了しました。
フェイズ1では、ICOAの孵化と育成、そして告知を行いました。フェイズ2(第2段階)はICOAを正式に発足させる段階です。設立メンバーの登録と、議事録の準備、そしてICOAメーリングリストをスタートさせます。これは、ICの発足会合で実現されることになります。運営委員会(校正者註:他の原稿で「方針決定委員会」と訳したもの)が選出され、これまで提案され、実施が決まった事柄を具体化し、命を吹き込む予定です。また、もちろんこの会議にはゲートウェイ社の方を招いて参加していただきますが、願わくば実際の活動を見ていただいた上で、全面的な支持をいただければと思っております。もちろん、それが得られるかどうかは、全く私たち次第なわけですが。 まとめますと、ICOAがフェイズ1でもたらした成果は、提案の作成と一般的な枠組みの定義でした。私たちが今夜お話ししたことは、1週間前にゲートウェイ社にもお話ししました。フェイズ1は、提案の作成と、そのコミュニティへの発表だったわけですが、それは今ここに完了しました。フェイズ2の課題はICそれ自体の組織化であり、定義、そして実際に運営していくことです。これは、来週頃からスタートさせる予定です。 参加するには
このことは、みなさんもここ数週間ほど、裏のルートで噂としてお聞き及びだったことと思います。と言いますのも、私たちはE-MAILのアドレスがわかる大勢のデベロッパーの方々に、過去2回にわたって、支持をお願いする旨のメールをお送りしておりました。今、3度目の−そして、これが最後になりますが−お願いとして、ここにいらっしゃる皆さんに、私たちの活動を支持してくださいますよう、お願い申しあげます。ICOAは、あくまでイニシアチブ、手始めにすぎないのです。ワーキンググループは出来る限りのところまでやってみるつもりです。
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