注【4】
『校本宮澤賢治全集』第十四巻(昭和五十二年十月 筑摩書房)の「年譜」によれば、賢治が花巻に戻ったのは八月中旬となっている。これは恩田逸夫氏「宮沢賢治における大正十年の出郷と帰宅 イーハトヴ童話成立に関する通説への検討を中心に」(「明治薬科大学研究紀要」第六号 昭和五十一年九月)によったもので、それによると、賢治は八月二十日には花巻にいて『注文の多い料理店』初版本の作品に付された日付通り、帰郷後それらの童話を書いたと考えられるとしている。これが事実であるかどうかを実証するのはかなり困難であるが、真実性は十分にあるといってよい。本論ではこの説に従い、賢治の帰郷の時期を八月中旬とする。