【8】

 例えば、中公文庫・堀尾青史『年譜 宮澤賢治伝』(平成三年二月 中央公論社)の大正十年二月の項には次のようにある。

 高知尾智耀から、文芸によって大乗の教えをひろめるようにいわれ、猛然と創作に熱中した。一種昂揚した異常なほどの創作力とスピードであった。一カ月に三千枚書いたという。書いた原稿はふろしきに包んで、はかまのひもに結んでいたが、やがて大トランク一ぱいにふえていく。