そばの諺(ことわざ)とたとえ言葉
勝手解釈そば講座


 協力浅間和夫
ホームページ【ジャガイモ博物館】】( http://www.geocities.jp/a5ama/)館主

愛称、「お芋ちゃん」の永年に亘るご研鑽の成果が、現在のご趣味の一つの写真付きで分かり易く拝見できます。

浅間さんは道立根釧農試馬齢しょ科長としてワセシロ、今道内では男爵薯より広く栽培されている
コナフブキなどの育成に従事されました。
その後道立中央農試畑作部やホクレンに勤務され、現在は日本いも類研究会顧問を務めておられます。

浅間さんからお聞きした「そばの諺とたとえ言葉」をここに掲載させていただきました。

                                                          
                                   そば75日
   そばの生育日数は短く、播いてから75日すれば、畑を見ないで鎌を手にでかけてよい。
  他の作物が晩霜に会って、急きょ何かを播く必要に迫られたり、早植えそばの収穫後に秋まき小麦を
  播くことができるなど、そばの一日当りの生産性はジャガイモには及ばないものの、土地を選ぶこと
  が少なく、土地の利用率の高い作物と言えましょう。
  

               作りもので早いは、そばと足半(あしなか)
    
前の諺同様、生育期間の短いことを言っています。
  「足半」とは草履(ぞうり)と似たもので、昔足先だけにはいて、ぬかるみや小川を渡りました。
  そのような簡単なもので一晩に10足もつくれたそうです。

                 三度そば
   
東北地方や奈良県、京都府などの近畿地方ではジャガイモを「二度いも」と言います。
  「三度いも」は鹿児島地方の呼び名で、この地方では夏秋兼用の丈の低いそばを一年に三度も播く
  ことができます。 


                うどんのそばより嬶(かかあ)のそば
  
 おっと、間違って書いてしまった。このそばは別な側とかけている。説明は不要でしょう。

                      
そばは、黒粒3粒下げたら刈ってよい
  そばは開花が揃わない。
  北海道では9月上旬に強風が来ることがり、手刈りでは畑で後熟もする。
  これらのため、早めの刈取りが無難ですべての子実の黒化を待っていても 駄目です。
  コンバインで収穫するときは3粒ではちょっと早過ぎます。

                  そばは刈られても3日気づかぬ
  そばは、刈った後にも茎などの体内から栄養が移行します。秋、刈られたのも知らないうちに
  後熟してくれます。

                  そばの花見て蜜を取れ
  そばの開花期間は長いので、反(1000u)あたり10kg近い蜂蜜が得られます。
  そばは他花受粉植物なので昆虫の助けが必要です。
  どうしても農薬を撒く必要があっても、蜂などの昆虫を殺さないように開花期を避けたいものです。

                    そばの赤すね
  肥料の効いているそばは茎の赤みが少なく、肥料不足で茎が鮮紅色になったものは、実入りが
  少ない。
  しかし、茎の着色は品種にもよりますので御注意を。

                  そば珠はへらでも刈れる
  そば刈りは作業としては楽と言えましょうか。
  そばは笑っている、というのも同様。

             一日中陽が当る所では、そばの石(こく)取りは少ない
   岩手県軽米に伝わる古い農書『軽邑耕作紗』の中にある文章より取りました。
  そばは昼と夜の温度格差が大きいほど開花が揃い、多収となりやすい。
  つまり夕日のかげりが早く、夜露が生ずる山畑でよいそばがとれます。
  生育がいいだけが多収ということではありません。べと病も心配です。

                           夏のそばは犬も食わぬ
  夏の暑い時期にとったそばは、気温格差の大きい秋のものよりまずい。
  このように、本州の夏にとれたものは北海道産にかないません。おまけに、気温が高いとそば粉
  そのものの品質まで低下させます。

              そばは、食べるまで食べたことにならない。
            そばはのどに入ってみねば知れぬ。

  そばは途中で倒伏したり、あと2,3日というところで台風にあって脱粒したり、また早霜にあう
  こともあるので、今年は豊作間違いなしと思っても、安心できない作物なのです。
  何ごとも油断が禁物と言う意味にも使われます。
  目の前でそばがきを作っていても、あなたの口に入るまでに何かが起こるかもね。

       我が子は豆の上に遊ばせろ、継子はそばの上に遊ばせろ
  継子いじめそのもの、または継子いじめをするなというもの。
  そばの花は紅花ほどではないが、少しとがっているためか。

               そばはつゆとわさびで食うもの
  そばは、つゆに薬味のわさびをよく混ぜて食べるといい。夏目漱石の『吾輩は猫である』にも
  でてきます。
  札幌駅ガードレース下西1条のパセオにある『そじ坊』では生わさびを一人に1本づつ付けていた。
 (今はなし)
   編集者注 高田屋チェーンでは小さいですが生わさびを1本付けています。

                  そば切りは中風の毒
  そばを食べ過ぎると、気をふさぎ、たんを生じ、中風になると、16世紀半ばの今小路道三の著書
 「道三翁養生物語」にありました。

                 そば切りと西瓜を食い合わせる
  そばと西瓜を一緒に食べたいときは、西瓜を先にすれば無害ですが、同時に食べ合わせて41の
  前厄に死んだ遊女がいたと1694年の『好色万金丹』という書物にでております。 
  どなたか勇気のある方はお試しを。

                 
そばと牛鍋に芸者は取り合わぬ
  芸者はそば(ここでは売春婦のこと)や牛太郎を思わせる散茶野郎?にかかわりあわない。
  そばや牛鍋を食べている書生を相手にしない(1922年饗庭篁村という人の『面目玉』という本に
  あります)。

                       蕎麦噺