nekopapa−kids 実践録
 ■■ 点字と数学 ■■ 
 数学科における「総合的な学習の時間」への提案 
 


■■ 川上公一先生からのメール ■■

 ここでは、点字への取り組みのきっかけとなった川上先生からの 
メールを中心に、メーリングリストで交わされた内容を紹介します。

1998.6.15 [NEKO:00069]より

岡山の川上です

ところで、今二進法をしているのですが、どうもコンピュータの
話をしても生徒は、あまり関心がわかないようです。
まあ、教える方もどういうしくみでコンピュータが二進法を
行っているのかよく分かっていないですから。

そこで、なにかいい素材はないかということで、点字にたどり着きました。
二進法の数理が実際の生活の中で、どのように役立っているかと
いうことを示すにはいい教材かと思います。
授業案を練っているとだんだん数学から離れていってしまうようです。
だけど、本当に点字は数学的につくられていることが分かってきて
一人なるほどなと感心しています。

1998.6.17 [NEKO:00080]Re: 二進数&点字 より

岡山の川上です。

点字のワークシートです。
よかったら使ってください。
現物が必要でしたら、例によって 〒 で送ります。連絡ください。

点字については、福島県立盲学校の小野祥一郎先生
(ちょっとした知り合いです。視覚障害者のインターネット活用に
先進的に取り組まれています。全盲の方です。)の
「点字と私」のwww
http://www.fukumo-sfb.fukushima.fukushima.jp/ono.html

が感動的です。私は読みながら涙が出そうになりました。
もちろん生徒にも紹介しました。

1998.6.17 [NEKO:00086]Re: 二進数&点字 より

こんにちは!群馬の上原です。

点字を発明した人はすごいですね。

やはり、6個の点なのですね。
2^6=64だからこれでほぼ間に合うとは思いましたが・・・
英数だけでも2^5だけでは間に合わないでしょうが、日本語
は英数処理はどうしているのだろう。
手話が日本語?と国際語?とかは異なるといいますが、点字は
どうなっているのだろう。

これもWEB上で調べれば、わかるのかな?
不勉強と認識不足で失礼しました。

1998.6.18 [NEKO:00087]Re: 二進数&点字 より

岡山の川上です。

点字の50音図等は
http://www.asahi-net.or.jp/~JX1T-UED/ten_menu.html
にあります。
ただし、ここに出ているのは凸点字のみで
実際に打つときには、凹点字が必要です。
これは、裏返しで右から左へと言うことです。
点字器は、日本点字図書館で購入できます。
6行打つことができる簡便なもので1350円でした。

昨日授業をした学級の生徒が次のようなレポートを
提出してくれました。とても数学が苦手な生徒です。

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点字の学習をして

---- 辞書 点字 ------------------
紙面に突起した点を一定の方式に組み合わせた盲人用文字。
現在世界各国で使用される3点2行の字は、1829年
フランスの盲人ルイ=ブライユの考案指先で触れて読みとる。
我が国では1890年石川倉次が翻案したもの。
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普段何気なく見ている点字には、こんなにたくさん秘密が隠されている事を
知って、面白いなあと思った。
しかし、少しでも穴が削れていたり、へこんでいたら読めないので今後私が、
そういう場面に出くわしたときの対応をきちんと考えておくべきだと思った。

---- 点字が使われている場所 ------
1 エレベーターのボタン
2 缶ビールの栓
3 駅などの階段、道路

などさまざまな場所に利用されている。
------------------------------------

エレベーターの中の点字を調べてみた。
1○ 2× 3× 4○ 5× 6○ 7○ 8○ 9× 10× 11○

これらは、実際に私のマンションのエレベーター内の点字である。
そして、私のマンションには実際に盲人の方が2人すんでおられる。
その人たちは7階にすんでおり関係はないが、2.3.5.9.10
階の点字がなければ大変困る。これは、自然にその部分がはがれたのではない。
誰かの手によってはがされたものだ。
私はこれを見て、みんなは、何とも思っていないのか。直そうという気はない
のか。と思い、家のテープに一生懸命穴をあけて、分かるようにして
番号をはっておいた。
点字と言うことさえ分かっていなかったが、この勉強をして点字の大切さがよく
分かった。
今回のように、いたずら等があったら、なるべく自分のできる範囲で協力して
いきたいと考えている。

 ・  ・   ・   ・   ・ ・
     ・ ・ ・   ・     
 ・・ ・・  ・    ・ ・   ・
 は  ま  だ    さ  や  か

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ひょっとして、私たちは、生徒に教えられているのではないかと思いました。
よろしければ、どなたか濱田さんにコメントをいただけませんか。

点字の学習は、選択数学の教材にもなるような気がします。

1998.6.18 [NEKO:00103]Re: 点字 より

みなさん、こんにちは! 藤井@愛知県です。

昨年の亜希子さんの「小町算」のレポートに続き、今年も心にしみるレポート
の紹介をしたいただきましてありがとうございます。

私の職場の先生で、奥さんが名古屋市で点字のボランティアをされている方が
みえますので、[NEKO:00087]のメールを印刷して、何かコメントをいただけま
せんかとお願いしたところ、次のようなメッセージをいただきました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
数学と点字がどのように結びつき、授業となるのかとても興味を持ちました。
この話を私のグループの方にも紹介したいので、よかったら簡単な資料でも
いただけますか?

さて、レポートの生徒さんですが、こうやって点字に関心をもってもらえて
とてもうれしいし、その実行力もすばらしいです。

点字について港区のライトハウスを訪れると、いろいろ勉強できるし、器具
も購入できます。

私はまだ駆け出しで未熟ですが、よかったらこれからも『共に頑張りましょう』
とお伝え下さい。

                     名古屋市北区社会福祉協議会
                     点訳ボランティアグループ
                     北コスモス会  井階 弥可
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

1998.6.19 Re: [NEKO:00103]Re: 点字 より (川上先生)

北コスモス会  井階 弥可 様

ごていねいなお言葉ありがとうございました。
早速濱田さんに伝えました。

点字の原理は、on off の2つの組み合わせからなっており
これは、二進法の原理そのものなのです。
ということで教科書にも登場しています。
数学の世界のものとしては、その数理的な処理の仕方に
大変興味を覚えました。しかし、授業を組み立てていく中で
それ以上に点字のすばらしさを私自身学ばせていただきました。

この授業のきっかけとなったのは福島県立盲学校の小野祥一郎先生との
出会いでした。彼とはコンピュータ・インターネットを通して知り合っ
たのですが全盲です。ただし、私が電子メールのやりとりをしていると
きは、全くそのことを意識していません。このように普段メールを打っ
ているのと同様に発信しています。
彼は、それを音声化ソフトを通して読んでいるのです。
コンピュータの発達によって、奴隷から解放されたようだという彼のメッ
セージには共感しています。そういったコンピュータの活用こそすばら
しいものだと思います。

彼が生徒向けに書いてくれたメールのなかに、

点字を打つために、今あなた方がすべきことは、正しい言葉、日本語を学び、
身につけることである。

というメッセージがございました。
心打たれるだけでなく、教師として襟を正させるおもいでありました。

授業関係の資料を郵便で送らせていただきます。
お気づきの点などございましたらお教えくださいませ。
今後ともよろしくお願いします。