雨あがる | 2/2 | 日比谷みゆき座 | 監督/小泉堯史 | 脚本/黒澤明 |
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最初はテンポののろさにいらいらしたのですが、いつの間にかそのリズムにはまっていってしまいました。このリズムが意図したものなのか、それとも、短い脚本を水増ししたらそうなったのか、よく分かりません。実をいうと、見終わって感じた印象のひとつに「あ、こりゃ1時間のテレビドラマ向きの話だな」っていうのがあったからです。テーマ、情報量、密度。どれも、軽い。で、それを伸ばして90分にしたような感じがしたのです。しかし、伸ばされたからといって、最終的に間延びした感じはないですね。そういうリズムだ、って思えばそれでいい。画面構成がちと単調で、準脇役やエキストラがいまひとつの感じはしますが、それなりにピシッと決まってると思います。どうみても大根の三船史郎の棒読みセリフも、それはそれで、いい味になってるじゃないか。素朴な佳品といってよいですね。そうそう。落語の影響がいくつかありました。「いま何時だ」(時そば)と怒鳴ったり、「毒味役がいて、冷えた、油の抜けた魚しかもってこん」(目黒のさんま)といったり。あまりに直接的な引用でしたけどね。 | ||||
ラブ・オブ・ザ・ゲーム | 2/3 | 上野東急2 | 監督/サム・ライミ | 脚本/アームヤン・バーンステイン |
非常に退屈な映画だった。おしまい。・・・じゃあ可哀想だなあ。唯一盛り上がったのが、完全試合を達成できるか・・・という8回、9回のピッチング。ここだけだな。ヒロインは美人だけと魅力のかけらもないタイプで、ちっともわくわくしない。むしろ、娘役の少女が怪しく輝いていた。でも、とにかく、ロマンスの方のお話は、退屈で退屈で。野球の方のお話には、面白そうなキャラがいっぱいいたのにね。もったいない。 | ||||
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ | 2/18 | シネマライズ | 監督/ヴィム・ヴェンダース | 脚本/--- |
期待値に対する到達度は、30%。なんだ、こんなか。けっ。ビデオだけあって画質はよくない。しかも、ハンディ・カムの画像もあるし。まあね、見方はいろいろあるでしょう。音楽を中心に見る人は、十分に満足できるかもね。しかし、ドキュメンタリーとして見ると、ただの人物紹介と舞台演奏でしかない。ドラマがないのだ。意外性があるわけでもない。事件もない。カーネギーホールまでの艱難辛苦も表現されていない。実際、ライ・クーダーが「そもそも・・・」と語り始めるのは終盤近く。ドキュメンタリーとしては、こういうのは前半の早い時期に観客にインプットすべきなんだよね。というわけで、泣ける映画と思って行ったので、がっくり。救いは、画面の面白さ、かな。対象を時計回りにとらえるショット。スタジオの録音風景と、ステージの音楽とのカッティング。色彩の豊富さ。躍動する画面は、興味深かった。 2階席に座ったんだけど、前の女がさわさわ動く。半身を前に乗り出して見ているから、女の背中が丸見え。白地に赤い花柄なので、目だって気になってしまう。そいつ、また、足元をまさぐったり、背もたれに体を預けたり、また前のめりになったりする。変なのは、ショルダーバッグを肩にかけたままで、ときおりずり下がった肩ひもを手繰りあげるのだ。そういうのまで見えてしまうぐらい、うっとうしい。で、30分を過ぎたあたりで、ごっそり荷物をもって出ていった。私はほっとした。ところが、5分ぐらいして、がががっと戻ってきたのだ。なんだ、小便か? こんどは、ずーっと背もたれに寄り掛かっていてくれたので気にならなくなりましたが・・・。おいおい。映画がはじまる前に小便ぐらいいっとけよな、あほ。 | ||||
ストーリー・オブ・ラブ | 2/18 | 渋谷東急2 | 監督/ロブ・ライナー | 脚本/アラン・ツウァイベル、ジェシー・ネルソン |
くっだらねー。アメリカでしかこんな映画は存在しないだろう。日本じゃ、あり得ない企画だ。くっだらねー。しかし、ブルース・ウィリスのカツラは笑えたね。もともと、結婚を儀式として日常生活の中に取り入れている米国とでは、話が合わないよ。愛しているを装うための夫婦間の儀式的キスや同伴行動、同一ベッドでの就寝なんて、日本にはない習慣だからね。そういう擬装にバインドされる夫婦という存在が、理解できない。あと、感じたのは男はだらしなく、女は几帳面というワンパターン。そうじゃないカップルだってたくさんいるはずだ。まあね。だいたい、女が権利を主張するようになっていいことはない。なんていうと、女の人から攻撃を受けそうだけれど、どうせ誰も読んでいないのだからがんがん書いてしまうが。権利を主張するなら、義務も果たさなくてはならないし、我慢もしなくてはならないのだよ。という視点から見ると、この夫婦はお互いに仕事をもって自立している様子だし、互いに知性は持ち合わせているカップルだし、ただの身勝手とトンマのカップルではないんだから。日常生活からの諍いで心が離れている、っていう設定に説得力がないよな。愛する夫婦、分かれる夫婦みたいな、バカバカしい部分がないってのがなあ、問題だ。 | ||||
ノイズ | 2/28 | 渋谷東急 | 監督/ランド・ラビッチ | 脚本/ランド・ラビッチ |
こんな映画を、よくも恥ずかしくなくもつくれたものだ。時間のムダであった。「ローズマリーの赤ちゃん」みたいな設定を、悪魔の子から宇宙人の子に移し変えただけで、それ以上の付加価値はまるでなし。予告編以上の内容は、ありません。見たら、損するぞ。 地球に直接やってこなかったのは、優秀な寄生体を選ぶため、だとさ。宇宙飛行士なら優秀だろうから、人工衛星にへばりついていたんだそうな。へんなリクツ。ジョニー・デップの宇宙飛行士も、空白の2分間について、明るく朗らかに喋らないから疑われるんであって、それも変。嘘や愛想笑いができない宇宙人なのかな? 人物造形が、まるでできていない。とくに、脇役の扱いが粗雑すぎる。あの、ラジオからのノイズは何だったんだ? いやいや、そもそも寄生して人間みたいな子供を生む必要性は、どこにあるのだ? などなど、ツメが甘すぎる。しかも、面白くないし怖くもなんともない。思わせぶりに、テレビの2時間ドラマみたいに時間だけ引っ張る(1時間50分もいらないよな。45分でいいよ。オムニバスの1本でちょうどいい)んだけど、途中で飽き飽きしてくるざます。宇宙人をやっつける手段も、見え見え。こんなつまんねー映画は、腹が立つ以前に、呆れけえってしまうです。原題は"The Astronaut's Wife"って、「宇宙飛行士の妻」ね。 |