ザ・ウォッチャー | 2/8 | 上野東急2 | 監督/ジョー・シャルバニック | 脚本/● |
---|---|---|---|---|
テーマも素材もいいんだけど、傑作になりそこねてフツーの映画になっちゃってる。異常心理をあつかうならそれなりに描き込みが要求されるはずだし、サスペンスを盛り上げるための工夫だって必要だ。けど、まあ、早い話が底が浅い。大した秘密も暴露されないし、たとえ秘密(犯人と捜査官とのねじれ愛情のようなもの)があったとしても、それは十分につたわってくるほど上手に表現されていない。なぜ、かの捜査官はLAから(つまり、連続殺人犯から)逃れてシカゴにやってきたのか。また、犯人は、逃げた捜査官を追ってまで殺人をしつつげるのか。そういうところが、明瞭にとまで行かなくても、なにかを暗示させるように表現されていなくては、このテーマは面白くなくなってしまう。単純に、予告殺人と、それに振り回される捜査官(不倫相手の女性を犯人に殺されているというトラウマがあるらしいが、よくわからない)、というだけでもそこそこ面白いんだから、もったいない話だ。まあね、そもそもの話、サスペンスを盛り上げる才覚に欠けているとしか思えない演出だしな。デジタル処理されたコマ撮りと、反転画像、そして、ジュワンというSE。これしかないんだもん、テクニックとして。不気味さ、異常さを積み重ねていくことをせず、だらだら淡々とつなげただけでは、テレビドラマレベルだよね。脇役の使い方にも、不満がある。面白そうなキャラクターはいるのに、生かし切れていない。まあ、なんとか1本まとめあげるだけで精一杯だったのかも知れないが。そうそう。予告通りどんどん事件が起きて死体が転がっていく様子は、金田一耕助と似ているなあ、なんて思いながら見ていたのでした。ラストも、意外性ないしね。なあんだ、こんな終わりかたかよ、とちょっと不満です。 | ||||
アンブレイカブル | 2/15 | 上野東急 | 監督/M・ナイト・シャマラン | 脚本/● |
「解読マニュアル」なんていう封印されたチラシが映画館に置いてあって。見終わった後に読んでみたけど、なんだい。大したことじゃないじゃないか。なにが「すべてのシーンに意味がある」だよ。ここで言っている“意味”は、演出上で採用した暗示であって、“意味”そのものじゃないよ。後から言われて「ふーん、そういう意図があって逆さまのシーンや鏡のシーンが多かったんだ」って思うぐらい。見てわかる“意味”があるわけじゃない。「シックス・センス」のときみたいに、「おお! そうだったのか。じゃああのときは・・・」って、もう一度見返したくなるようなそれじゃない。とはいうものの、この映画のラストのどんでん返しには、まんまと引っかかってしまった。でも、別に「してやられた」とは思ってない。なるほどね、そういう感情もあるだろうよ。でも、日本でこんな映画をつくったら、弱者に対する偏見に満ちた映画だ、って抗議がきそうだな。さて、問題はドラマがラストにしかないことだろうな。ラストまでたどり着くまでのお話が大して面白くないん。主人公の「不死身」で引っ張っていくものの、いまひとつ、だからどうしたという内容。うまくいっていない夫婦間、子供に添い寝する父親(どうも少年は父親と友達になりたがっている様子)といった人間関係も用意されているものの、いまひとつつっこみ不足。だから何が言いたいんだ? てなもん。で、不死身男は、コミックヒーローよろしく悪に立ち向かっていくわけだけど、いきなりプールで溺れかけたのには笑った。どうもね。映画の仕掛け(ラストのどんでんのことね)とストーリーがしっくりなじんでなくて、ばらばらの印象は免れない。それになにより、予告編でお話の半分ぐらいがインプットされてしまっているので、列車事故が衝撃となってつたわってこなかったのが残念。あらかじめ情報がない状態で見たら、話に吸い込まれてしまったかも知れないなあ、とも思ったりする。そうそう。何カ所か、心のぶれがバックグラウンドにある場面では手持ちカメラを意識して使っていたが、効果のほどはどうなんだろう。 | ||||
レジェンド・オブ・ヒーロー/中華英雄 | 2/23 | シネマミラノ | 監督/アンドリュウ・ラウ | 脚本/マンフレッド・ウォン |
なかなか無茶苦茶なストーリーで、その破天荒さというかいい加減さがまた楽しいというか、ここまでやるならつきあってやろうじゃないか、という気分にさせられる映画。冒頭には池上遼一もどきのマンガがでてくるけれど、たぶんつまりはコミックが原作なんだろう。なーる。話がどんどん大きくなっていく様子は、あとさき考えずに描き始め、どんどん風呂敷を広げていって収拾がつかずにつじつま合わせに四苦八苦という様子がそのまま映し出されている。だいたい、主人公にしても何にしても、すべて「なぜ?」という動機があまりにも希薄。しかも、どんどん人物が現れて、何だかわからないままストーリーに絡んでいく。中国人がアメリカに移民に行って辛苦を舐めるという大河ドラマでもあるんだけど、NHK大河ドラマを2時間にダイジェストしたって感じにもなる。一方でCG合成しまくりのアクションでもある。もう、この映画はほんと無茶苦茶。香港カンフーアクションみたいな超アナログ映像がつづいたと思ったらCG映像が来たり、日本の忍者が現れたり、日本のシーンがもろ中国で、両親を殺したのは西洋人だったはずが実は中国人だったり、仮面男の両腕が突然なくなっていたり、ラストの決闘シーンでは自由の女神をめった切りにして壊してしまうし・・・ああ、もうハチャメチャだあ。もう、理屈はいい。それにしても、双子の片割れの娘はどうなっちゃったんだ? | ||||
● | ● | ● | 監督/● | 脚本/● |
●●● |