2001年8月

恋戦。OKINAWA Rendez-vous8/1シネマ・カリテ3監督/ゴードン・チャン脚本/ゴードン・チャン
映画サービスデーである。フェイ・ウォンだけを目当てに行ったのだが、すべてにがっかりで途中から眠くなった。フェイ・ウォンに関していえば、彼女の得体の知れなさ、つかみどころのなさを上手く表現できていない。生っぽく撮れてしまっているので、魅力は半減。しかも、ファッションセンスがサイテー。もうちーと考えてくれよ、といいたい。さらに、出番が少ない。というわけで、フェイ・ウォンに関しては最悪だ。しかも、共演がレスリー(太川陽介)チャンに、レオン(下条アトム)カーファイ。香港にはいい男はおらんのか。どーも、香港や韓国の男優というのは、きりっとしたのがいないのかね。さて。映画の方だが、すべてに中途半端で、出来はよくない。描くべきところがちゃんと描かれず、要らない部分がだらだらつづいたりする。たとえば、レオン(下条アトム)カーファイの彼女とその友達なんて、ちょいとした端役で十分なのにしつこいほど写る。あんな田舎の姉ちゃんみたいな顔はあまり見たくないのだ。それに、レスリー(太川陽介)チャンがナンパした日本の女もしつこく出てくる。あんなの、最初のベッドシーンだけで済むはずだ。そんなの撮っている暇があったら、フェイ・ウォンを出さんかい、といいたい。それと、レスリー(太川陽介)チャンとフェイ・ウォンのロマンスを描いているらしいのだが、いっちゃなんだがそれらしいものは、ほとんどなかったぜ。喫茶店でチラと会うのが最初で、それだけで、惚れたとか何だとかいえないだろ。ちゃんと気持ちの動きを撮れよ、といいたい。加藤雅也がよかったね。英語もかっこよかったけど、三枚目のヤクザがなんとなくハマってる。それと、レスリー(太川陽介)チャンのデブな相棒も印象的。とはいうものの、ストーリーの要素はなかなか面白い流れと展開なんだよ。要するに、それを映画にすることができなかった、ということだ。ただ、シナリオ通りにベタで撮っているだけなんだもん。(だから、笑えるコメディにもなりきっていない)・・・ま、こういういい加減さって香港映画の特長のひとつといってもいいのかも知れないけどね。あ、それから、字幕の文字が細くて非常に読みづらかった。シネマ・カリテは武蔵野館の下のミニシアター群。100人ちょいというキャパかな。
PLANET OF THE APES/猿の惑星8/1新宿武蔵野館監督/ティム・バートン脚本/William Broyles,Jr. and Lawrence Konner & Mark D. Rosenthal
2時からの回のために、1時40分ぐらいに劇場に行って10分ほど並んで入り、さらに休憩10分、予告15分。やれやれ。猿メイクは、雄はなかなかだけど、雌は不気味だった。色気もなにもありゃしない。映画のテンポはいい。ほとんど説明なくがんがん突っ走る。だから、猿の国の政治体制や軍部との対立などの部分はなし。だから、論理的には分かりにくい。けど、そういうのだらだらやるより、疾走感を選んだんだろう。人物の掘り下げ方もいまいち。ラスト近くでそれまで目立っていなかった少年に突然スポットライトを当てて活躍されてみたりするのは、なんか中途半端。それに、人間と猿の逆転現象に対して、昔は支配>被支配という関係性を考えさせるという部分があったような気がするが、今度のにはあんまりないね。それは、私が変わったからかしら。社会の変化によるものなのかしら。そういうことより、「ああ、やっぱり猿(ゴリラ)は、バカだね」という印象を受けることが多かったね。ほとんど棍棒しか武器がない。つまり、力ずく。知恵がないってことじゃん。それに、聖地である禁断の地へ足を踏み入れないというタブーも、考えてみりゃ変。極めて狭い地域に、少人数で暮らしているってことになるわけで、リアリティないよな。でさ。先に消えたチンパン君がいずれでてくるのは誰だってわかる布石。わしゃ、宇宙船の残骸でなく、チンパン君が先に訪れていて最初の一匹になっていたのかと思っていたのだけど、あらー。そうだったの。ふむふむ。で、再び電磁波の波に飛び込んで見た先が・・・っていう段階で、近代化された現代のアメリカで支配していたのは猿、というオチもアバウト読めるしわけで、おおーっ、ってなオチではなかったね。というわけで、見るべき価値のある美女のでない映画は、つまらないねえ。ついでに。なんとなく、日本・中国の伝統文化を衣装などに見てしまう。また、火焔太鼓みたいな、周りから金色の炎を出している赤い桃型みたいなのも、おかしいね。
千と千尋の神隠し8/3上野東宝劇場監督/宮崎駿脚本/●
見終わって思ったのは、メッセージがない、ということ。おい。これで終わりかよ、てな思いがけなさ。胸にじんとくる感動も、染み渡るような共有感のようなものも、なかった。だからどうした、という感じかなあ。社会的メッセージとしては、テーマパークのなれの果てと、オクサレは人が汚した川の神だったという部分と、ハクという少年が実は水神で、彼もマンション建設で埋められたという部分。これくらいかな。2つが水神に関係するというのも、不思議なこと。まあね。社会的メッセージが強くないと言うことは、いいことだと思うんだけどね。うっとーしくなくて。で、ストーリーに関しては、読もうにも読めない。「なぜ?」という問を頭に描いても、その答になりそうなものが思いつかない。一本貫かれている芯のようなものもないし。・・・千尋とハクの因果関係? それはささいなエピソードのひとつじゃないかね。全体に脈絡もないし。感じられるのは、既存の童話、のようなもの。話の全体構造は「不思議の国のアリス」で、外には「ネバーエンディングストーリー」とか「桃太郎」「ピーターパン」「ヘンゼルとグレーテル」「銀河鉄道の夜」だとか、あと私が知らないお話だとかが詰め込まれている感じ。そういうののゴッタ煮みたい。そりゃあさ。10歳の少女がねっていうところから、あれは生理が関係していて少女から女になる物語があって・・・なんて理屈づけしてもいいけど、説得力ないよな。そういうのよか、ふくれ上がったイメージの豊饒さをひととき感じればいいのではないだろうか。ほんとうに、メッセージの希薄さはうっとうしくなくていい。湯婆婆と銭婆の双子の対立というのも面白い構造だけど、だからどうしたねって感じ。式神をあつかう銭婆は妙に優しくて、とても陰陽師には見えんぞ。などといいつつ、まあ、見ている間はとても楽しめたのは事実。脇役のキャラクターもいいしね。とくに、でかい子供が魔術でムーミンみたいにされてしまった姿が、愛らしくてよろしい。さて。少女と異界。そこで自律を覚える。やっぱ、可愛い子には旅をさせろではないが、恵まれすぎたいまの子供たちはたるんでしまうってことかな。昔みたいに10歳になったら丁稚奉公にでもだして、藪入りにしか帰ってこられないようにした方がいいってことかねえ。そうそう。あの神隠しが事実であることのように、最後にクルマに戻ると車内が埃っぽくなっている。道の草も伸びていた。ってことは、引っ越し先に行ってみたら、10日ぐらい遅れていた・・・ってなことになるのかな。
ジュラシック・パークIII8/10日本劇場監督/ジョー・ジョンストン脚本/ピーター・バックマン
普通ならスリルとサスペンスでドキッ! とかギョッ! とかするところで、思わず笑っちゃうんだよね。なんていうか、予測可能というか、先が読めるというか、そういうハラハラドキドキの積み重ねだから、意外性がまったくない。意図しているのかどうか分からないけれど、ずいぶん腹を抱えて笑った。これは、コメディだ。ひとつ思ったのは、怪獣同士の対決シーン。あ、これって「キングコング」じゃん。もちろん旧い白黒映画の。これはオマージュかなんかなのかな。さて、この映画にはドラマがなくて、のっけからクライマックスで、ずっとクライマックスなのだけど。そういうつくりの映画が必ずしも面白くないという見本のような映画だ。昔、怪獣映画なんかで、延々とつまらない人間関係ドラマを見せつけられて「早く怪獣でてこい!」なんて思っていたもんだ。じらされて、そして怪獣がのっしのっしと現れるころ、その時間には本音をいえば映画に飽きてしまって、「おおっ、怪獣でてきたのかよ」なんて、いささかのろい反応を示していたものだが。いまとなってみれば、あのじらされ加減がほどよく身体になじんだ頃に怪獣が登場することで、クライマックスは快感となって視聴覚をいじめたものだ。ところが、最近の映画はハナっからクライマックスで、そのまま突っ走る。理屈でいえば、過激さは次第に増していかなくてはならないのだけど、必ずしもそうはならない。感覚がマヒして、ダレてくるんだよ。笑っちゃうのも、そのせいなのかな。もっとも、インディジョーンズ・シリーズみたいな連続活劇で、うまくいっているときは、こんな風に思わないんだけど。やっぱ、怪獣だけが敵、というシチュエーションがよくないのかも。で、人間ドラマが希薄という割には、登場人物のキャラクターは個々にうまく描き分けられていて、なかなか人間くさい。ところが、人間同士の対立関係がドラマに発展していかないという恨みがある。あと30分ぐらい長くしてね人間を描いてもよかったんじゃないのかな。字幕が読みにくかった。なんか、すっと読めない。きっと、短時間で読める翻訳になっていなかったからではないかと思うる
日劇の2時20分の回に行った。なんと、入れ替えだと。げ。訊いたら座れるって。夏休みっていったって平日なんだから、入れ替えなんてやめてほしいよな。もう1回のんびり見られないじゃないか。だから銀座で映画を見るのは嫌なんだ。しかも、後の席にはバカップルが座っていて、ぶつぶつ上映中にしゃべりやがる。しかもしかも、野郎の組んだ足がときどき俺の席の背もたれに当たってゴツゴツと音を立てて響く。この野郎。何度か振り向いて見たけど、感じるようなたまではなかったな。といって、言葉で「おいおい君君・・・」なんていってらんないし。だから、空いていない映画館で映画を見るのは嫌なんだ。
パール・ハーバー8/14新宿東急監督/マイケル・ベイ脚本/ランダル・ウォレス
エンドロールを見ていて、おお、ジョン・ポイトがでていたのか。するってーと、ルーズベルト以外には考えられないな。帰ってからホームページを見たら、ダン・エイクロイドなんて名前もあった・・・。どの役だったんだ? まったく、しょーもない観客だよ、私は。それはいいとして。評判がかなりよろしくないので、見るのよそうかなあ、と思ったのだが。それに、3時間の小水我慢もしんぱいだったけど。なーんだ、いわれるほど変な映画じゃないじゅないか。そりゃあ、戦死した友達の彼女と懇ろになったが、戦死は誤報で生きて戻り、さらに、その片方が結局死ぬというお話は手垢のついたもので、全然目新しさはない。ラストも予定調和的な収束だ。愛の姿を華麗に美しくも描けていない。けど、いいじゃん、あの程度でも。私はとくに不満はないよ。もちっと、周囲の人物たちの描き込みをやってくれると、ドラマに厚みが出るんだがねえ。と、思った程度。で、戦闘シーンは、なかなかの迫力でこれは見もの。「スター・ウォーズ」ばりに隘路を飛行するわ撃墜した飛行機の破片は吹っ飛んでくるわ。リアルを超えたリアル。このシーンはゼロ戦が恰好いいけど、やっぱこの攻撃は受けた側からすると汚い不意打ちでしかないと再認識した。無防備に昼寝しているやつをいきなりハンマーで殴りつけて喧嘩に勝ったとはいえないよな。あの攻撃をアメリカは知っていた、ルーズベルトはあえて黙っていたとかいう説もあるけれど、どういいわけしようとあれは奇襲じゃなくて不意打ち。そのことを日本人が知っておくためにも、この映画の価値はあるだろう。でね。おらあ、真珠湾攻撃だけで終わるのかと思ってたら、最後の1時間はアメリカの逆襲になるんだね。これが、興味深かったんだけど、たるくて少し眠かった。興味深いというのは、B29の日本本土空爆の前に、空母からのB25による決死的な空爆があったとは。しかも、燃料切れでやっと中国に不時着だなんて。日本のお株を奪う決死隊じゃないか。ふ〜ん。日本がやられるのはいい気持ちがしないけれけど、軍事工場の空爆だけだからまだ救われる。これで東京大空襲や原爆まで見せられたら、いたたまれない。全体には戦意昂揚映画のようであり、現地の日本人が反対運動までしたらしい。でも、素直に見ればそう時代錯誤でもないような気もする。まあ、日本軍が作戦を立てたりするのはいつも屋外で幟をたてて野点風、っていうのはやめて欲しいけど。けど、ああいう風変わりな東洋猿にしないと一般の観客は納得しないんだろうなあ、きっと。
DENGEKI 電撃8/14シネマミラノ監督/アンジェイ・バートコウィアク脚本/エド・ホロウィッツ
原題は"EXIT WOUNDS"で、負傷退場? わかんねえ。スティーブン・セガールってそんなにハンサムじゃないし、声だってよくない。アクションも、カット割りのおかげでなんとか見られるけど、なんか身体が重そうでいまいち切れ味もよくない。なんで主役が張れるのか不思議でしょうがない。・・・の、アクション刑事物。けど、敵は汚職警官でそのボスは最も身近なところにいる、という構図は手垢がつきすぎて面白みがなーい。ただし、この映画ではひとつ仕掛けがあって、犯人だと目される連中が実は正義を主張するグループ・・・となる。それが分かった瞬間に、ずっこけ的な悪人どもに親しみが湧いてきてしまった。それはそうと、セガールのクルマに同乗していて追突した15分署の美人署長は、どうなったの? 最後に元気な姿が見られるかと思ったら、出てこないじゃない。あれ、死んじゃった、っていうことかい? この映画、セガールじゃなくて別の、こう、エンドタイトルでのTVタレントとでぶっちょのやりとりがおかしい。全体にカットつなぎが雑なのかな。見ていて目がちかちかした。
ドリヴン8/30上野東急2監督/レニー・ハーリン脚本/シルベスター・スタローン
クルマに興味のない私は、あまり期待していなかった。臑に傷もつ引退したベテランドライバー、いまがピークのトップレーサー、挫折を味わっている若手レーサー。そこにフェロモン女がからむ。プラス、お調子者のレーサーとその妻。元レーサーで老年の監督、野望を抱くマネージャー。女のとりあい、ライバル心、命を懸ける友情、かけひき・・・。あー、なんて手垢のついた設定だ。ありきたりなストーリーが、予定調和的に進む。クラッシュシーンでは車体がこっちに向けて飛んでくる。吹っ飛んだ破片や車体が超高速度撮影されたみたいに滞空時間が長い。まるで劇画そのもの。しかも、時間の経過や世界各地でのレースの模様が短いカットで畳みかけられるのだけど、はじめは目がチカチカしてしまう。字幕読んでると、映像がどんどん変わっていって追いつかない。うーむ。吹き替えの方が画面に集中できるんじゃないか? ってね。しかし、ま、大したセリフもいってないから、流し読みに変えて、テキトーに見ることにしたんだけど、このリズムとノリだけの映画に後半からハマってくるのが分かった。救助シーンでハラハラして、吹っ飛んでくる破片に思わず身体をよけて・・・って、ゲームの世界にいるみたい。そして、ありきたりのストーリーであること、さらに全編がドキュメンタリータッチであることが、ムダな思考を停止させてくれて生理で味わうことができる。このシンプルさが、いいのかな。日本のシーンもあって、ツインリンクもてぎでは、焼きそば、焼き鳥、幟、法被なんてのがアップになる。はずかし。東京のシーンは銀座と渋谷のイルミネーションと、バーのシーン。原宿みたいなところで歩くところが、ちっょとドラマになってる。日の丸だらけのプールとスタジアムのシーンは、あれは日本ロケじゃないだろ。

 
 

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