さよなら歌舞伎町 | 2/3 | シネリーブル池袋2 | 監督/廣木隆一 | 脚本/荒井晴彦、中野太 |
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allcinemaのあらすじは「歌舞伎町のラブホテルで店長として働く徹は、自分の現実を受け入れられず周囲には一流ホテルマンと嘘をついている。ミュージシャンを目指す沙耶と同棲しているが、今はちょっぴり倦怠期。彼氏に内緒でデリヘル嬢をしている韓国人のイ・ヘナ。ブティックの開店資金を貯めるため、今日も客の待つラブホへと向かう。時効を目前にした中年カップルの康夫と里美。人の目を忍ぶ里美が清掃員として働くラブホに、不倫の刑事カップルがやって来るが…」 設定がそもそも面白い。あとは、どこまで見る方を納得させるかだ。その意味で、成功してると思う。ラブホのバックヤードは結構リアルで、それが実際とは違うとしても、現実らしく見える。なにより、そのラブホが実際に存在し、その建物を舞台にしているというところにリアルを感じる。かといって、ピンク映画みたいな、カップルとセックスを中心に描くわけではなく、主人公は心が折れたままの青年店長・高橋で、24時間が淡々と描かれる。そう。過剰に誇張することなく、すべてが地味に描かれているのが、よい。 一部、ホテルの外も描かれるけれど、基本的にはグランドホテル形式で。ホテル「アトラス」に訪れる客たちと、従業員たちの物語。24時間のうちに、高橋の妹や、同棲中の彼女がやってくる、というのはフツーに考えてあり得ないけど、映画的なウソだからそれは構わない。要は、話を凝縮させているわけで、これは成功している。 あと、ギリギリな感じなのは、韓国から出稼ぎに来ているカップルの話で、女はデリヘルでホテルをよく利用する。彼は新大久保あたりの店で働いていて、でも時々、日本人の熟女を相手にして稼いでいるという設定。韓国からすると、こういう描かれ方は失礼と思うかも知れないけど、実体なんだろうな、と。デリヘルのことはよく分からないけど、本番はせずにボディマッサージしている感じ。ああ、こういう世界もあるのか、と。 女は、金が貯まったので帰国してブティックを開くつもり。男は、そんな稼ぐなんて、いったい何を…と疑る関係。最後、男が客を装って女をホテルに呼び寄せ、目隠しさせて一緒に風呂に入る。でも、気づく女。互いに涙の懺悔は長回しで、なかなかの名シーン。 風俗スカウトマンと家出少女の話は、できすぎかも。少女の話に頃を動かされ、彼女を売り飛ばすという業務を忘れてしまう。そんな心やさしい男がスカウトなんて…。でも、そういう話があってもいいじゃないか、という気がしてくる。なにせ、純真すぎる(でも下半身は大人)少女役の我妻三輪子が可愛かったし。ははは。スカウトマンがゴルフ練習場でしばられ、上司(?)たちのボールの的になっているのは、『アウトレイジ』でピッチングマシンの的にされているシーンにインスパイアされたのか、パクったのか。 面白かったのは、逃亡中の中年カップルの話で。フライパンで殴って相手を下半身不随にしたんだっけか。その事件の詳細がささっとセリフで言われただけなのでもったいないんだけど、当時からできていた2人が15年だかの逃亡生活で、時効寸前、という設定。2人のもともとの関係がよく分からないのと、15年も別れなかった理由もいまいち分からない。女の顔も割れているのに、歌舞伎町のラブホで掃除係かよ。男は15年も息を潜めて生きていた? 病気のも家にいたのか? とかツッコミどころ満載だけれど、でも結構、感情移入できて。最後は、逃げろ逃げろ、と応援してしまった。 その逃亡2人の片割れの女に気づくのが、成り立てで燃えている奥様刑事というのも面白い。先輩のキャリアとできているのは、亭主に不満があるから? それとも昇進とかで関係するから? とか。女を拘束して署に連行すれば、2人の関係もバレてしまう…というアンビバレントな状況も面白い。仕事優先で、思わず逮捕しちゃうんだけど、礼状もなく逮捕はできないだろ。というツッコミはおいといて。この映画でいちばんドラマチックだったかも。 主人公高橋は、なんとか大学は出たけど、一流ホテルには勤められず。のラブホの店長。しかし、23、4でラブホの店長を任されるのか? それはさておき。実家にも同棲相手にも、お台場のホテルで働いている、と嘘をついている。で「俺は本当は、こんなにところで働いているような男じゃないんだ」が口癖なんだが、この屈折した感じがいい。中途半端に美化したり、ラブホのいい面を見せてささやかな生き甲斐を描いたりするんだけど、「ラブホなんて」という侮蔑感と嫌々感があふれているのがいい。しかも、舞台となっているラブホが実在しているのだから、なおさらだ。 そんな高橋が、AVの撮影スタッフに妹の姿を見つける。フツーなら逆上して他のスタッフに暴力を振るったりわめいたりするような演出をしそうだけど、淡々とし過ぎているような描き方をしているのが、リアル。自分も実家に嘘をついているので強く責めもせず、「最初のセックスは、好きな相手とだったのか」ときくやさしさがよい。ただし、妹のいう、地震で(実家は塩釜だから)両親にたいして仕事もなく、専門学校なんていけるはずないじゃん。いまは、高い洋服もどんどん買えるし、楽しい」というセリフは、いまいち引いてしまう。まあ、「本心でやってるわけじゃない」という設定がありきたりであるのは分かるけど、AVにでて金が入って幸せ、といわれるのも、ううむ、な感じ。 同棲中の彼女はバンドをやっていて。彼女だけレコード会社にスカウトされて、デビュー…という状況で。「他の仲間を裏切るみたいで…」といっていながら、さっさとレコード会社の男とラブホへ直行、で、高橋に見つかってしまう、ということなんだが。いまどき枕営業というのもあるのかね。 レコード会社の男は「女に不自由してるわけじゃないから、いいんだよ」という。これで彼女も決意して、デビューより高橋を選ぶのかと思ったら、あっさりとやっちゃう、という展開で。このあたりも、昨今のドライな女性の感覚を表しているのかも知れない。 彼女は、デビューのためじゃん、と割り切っている。花園神社で、明け方、2人が出会う。愚痴る高橋。一緒に帰ろという彼女。高橋はそれを張り切る。彼女は「待ってるからね、ずっと」と泣きながらいうけど、まあ、すぐに忘れちゃうだろ。そんな関係。 塩釜の実家へ向かうバスのなかに、高橋がいる。同じバスに、妹も乗っている。という終わり方も、なかなか清々しくて、未来が見える。 韓国人デリヘルの彼女の何人かの客とかも含めて、いろいろあるけど、みんな、それぞれに未来へ向かっている感じがいい。 ・同じラブホで働いている、韓国語を話す店員。ありゃどういう設定なんだろ。 ・最初の方で、新大久保のちょっと手前から、線路沿いに染谷将太と前田敦子が二人乗りした自転車が走る。新宿ミラノに行くとき、よく通った道なので、感慨深い。歌舞伎町も、バッティングセンターが写ったり、結構、知ってるところが登場する。 ・韓国人デリヘルのイ・ウンウとか女刑事の河井青葉とか、結構なエロシーンを見せてくれる。高橋の妹役の樋井明日香もちゃんとおっぱいをだす。ひとり前田敦子は、そんなことはしない。ははは。 ・新大久保の、韓国人に対するヘイトスピーチをさりげなくみせたり。東関東大震災を臭わせたり。ほどほどの感じが、説教臭くなくてちょうどいい、かな。 | ||||
超能力研究部の3人 | 2/3 | 超能力研究部の3人 | 監督/山下敦弘 | 脚本/いまおかしんじ、向井康介 |
allcinemaの解説およびあらすじは「乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未を主演に迎え、大橋裕之の連作短編漫画『シティライツ』を映画化した青春コメディ。乃木坂46の『君の名は希望』のMVを手がけた山下監督が、その企画を発展させる形で製作した作品。超能力を持たない北石器山高校“超能力研究部”の冴えない女子高生3人の友情と恋を、本編ドラマ・パートに、その撮影舞台裏をメイキング風に記録したフェイク・ドキュメンタリー・パートを織り交ぜるメタ的構成で描き出す。 北石器山高校の“超能力研究部”に所属する育子、良子、あずみの3人は、真剣に超能力を研究しているクラスのはみ出し者。日々の努力の甲斐もなく、一向に超能力が身につく気配はなかった。そんなある日、同級生の森が易々とスプーンを曲げているのを目撃し、強引に入部させる3人だったが…」 乃木坂のことはまったく知らない。フツーにドラマなのかと思っていたら。冒頭で、オーディションに合格した乃木坂の3人が映画に挑んで成長していく物語…とかなんとかいう字幕が出て、なんと、メイキング画像になって行く。で、そのメイキングだけど、どうみてもセットが小さく狭い。カメラの引きはないし、スタッフもうじゃうじゃ見切ったりしてる。メイキングを写すための本番らしい風景、なんだよな。で、間にときどき挟まる完成映像は、まるで『ドッグヴィル』みたいな感じで、板張りの壁だけだったり、背景もないスタジオ内だったりする。もちろんメイキングと完成映像はリンクしているようなんだけど、完成映像をつないでも、どうやったって映画にはならないだろ。…というような感じで延々進んでいく。ときどき、メイキング監督(?)が秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未にインタビューして、本音らしきことを引き出すんだけど、途中から、これだって本物かどうか分からんよな、という気分になってくる。メイキングに登場するスタッフも、監督は山下敦弘本人だけど、スタッフはどうなんだろう。大げさな演技もしてないし、実際のスタッフなのか? 本職はスタッフだけど、本編スタッフではなく人たちか。もしかして、これも役者? かどうか、混乱してきてしまう。 こいつらは本物か? と最初に思ったのは、乃木坂の女性マネージャー。「そんなセリフは話させられない」とか「実際のキスはダメ」とかいったりする。本物なら、映画で顔出ししてそんなことしゃべらないだろう。さらに、キスの件で、乃木坂のプロデューサーらしき男を呼ぶんだけど、どうみても浮いている。やってるのは山本剛史だったらしいけど、分からなかった。登場映画は何本も見てるけど、顔を覚えてなかった。という体たらくだよ。ははは。でも、いかにも、らしい口調でのらくらやる感じは、芸能界にはこんなのがいそうだよな、と思える感じ。まあ、女性マネージャー役の佐藤みゆきと山本剛史が見分けられてれば、こんな戸惑いはさっさと消え去っていただろうけどね。 でも、メイキングシーンの感じは、演技演技してなくて、みんなとっても自然。どうやってあんな感じに仕立てられたのか、不思議でしょうがない。とくに、3人のインタビューなんて、本物、といわれても信じてしまうレベル。まあ、はっきりしたシナリオではなく、骨子だけつたえられて、あとはアドリブでやったりしているのかも知れないけど、すっかり騙された感じ。いや、いまも、どこまでがホントで、どれとどれがフェイクなのか、はっきりとは分からない。まあ、そういう分からなさが面白いんだろうけど。でも、「監督が、生田は演技は達者だけど、面白くない、っていってた」なんていわれて傷ついて、メイキングの現場で泣き出してしまったりする生田絵梨花とか、リアルすぎ。 あと、休日にメイキング監督と3人が有名ラーメン屋(?)に行ったら閉まってて、テキトーにバスに乗ったら海について、みんなではしゃいでストレス発散、の件は面白かった。まあ、あれもちゃんと仕掛けがされているはずだけどね。 そんな調子で進んでいって、しだいに本編の方はセットもちゃんとしてきたり、屋外撮影だったりして違和感なく見えてくるようになる。といういっぽうで、ストーリーは間欠的に進むから、どういう話になっているのかがよく分からないのが、いまいちイラつく。 たとえば、キスシーンは実際に唇を合わせなければ意味がないと主張する監督と、それはダメというプロデューサーの対立で、最終的にはプロデューサーがOKを出す。にもかかわらず、そのキスシーンは、あったことにされていて、でも話は次に進んでいるというのは、それはないだろう、という気になる。やっぱり乃木坂のキスシーンはダメなのか。ふーん。な感じ。 ドラマの人物では、部員の3人以外に超能力があるという碓井将大が認識できるぐらいで、あと何人かいたと思うけど、ほとんど記憶に残っていない。妙なオッサンの佐藤宏は、どういう役回りなんだっけ? 存在感はあっても、役割が良く分からない。てな感じで、なんとなく納得してはいるけど、人物の掘り下げに関しては、テキトーな感じが残ってしまう。 他の、接吻祭りとか、ラストのUFOを呼ぶ話とか、まあ、もう、どうでもいいよね。いろいろみんな中途半端なまま放り出された感じで、だからどうしたな内容だけど、その不思議感に身を委ねていればいいかな、という感じになってくる。そんな、ちょっと変わった映画。計算ずくでは、きっとできなかっただろう。 公式HPに企画段階からの経緯が書かれていたので、後からざっと読んだ。やっぱなんか、成り行きだったみたいね。 | ||||
愛犬とごちそう | 2/4 | 109シネマズ木場シアター1 | 監督/パトリック・オズボーン | 脚本/パトリック・オズボーン |
『ベイマックス』併映の5分ぐらいの短編。青年に拾われた犬。ドックフード以外にお菓子とかジャンクフードとか、いろんな餌を与えられ、人間扱いもされてきた。が、青年がレストランで働く女性と知り合って様相が変わる。彼女は高級料理が趣味で、ベジタリアンっぽい。犬の餌も野菜中心になって、落ち込んでいく。さらに、2人が別れ、青年は落ち込む。その青年を救うため、犬がレストランに行くんだが、その犬を追ってきた青年が彼女と再会し、よりを戻す、というもの。しかも、人間の御馳走も復活。…なんだけど、ちっとも問題解決にはなっていない。なぜ2人が別れ、でも復縁したのか分からない。彼女は、お菓子やジャンクフードも認めるようになったのか? とか、いい加減すぎて、ううむ、な感じ。ベジタリアンの飼い主は、犬も彼氏も不幸にする? な印象。絵は3Dっぽくない感じのタッチ。CG全盛に対する反抗なのかな。 | ||||
ベイマックス | 2/4 | 109シネマズ木場シアター1 | 監督/ドン・ホール、 クリス・ウィリアムズ | 脚本/ロバート・L・ベアード、ダン・ガーソン |
原題は"Big Hero 6"。allcinemaのあらすじは「美しい最先端都市サンフランソウキョウ。天才少年ヒロは、幼くして両親を亡くし、以来、兄のタダシとともに母親代わりの叔母キャスのもとで育った。14歳になったヒロは、最愛のタダシが謎の爆発事故で命を落としてしまい、すっかり心を閉ざしてしまう。そこに現われたのは、タダシがヒロのために残した形見の優しいケア・ロボット“ベイマックス”。彼の使命は傷ついた人々の心と身体を癒すこと。ベイマックスの献身的な支えで少しずつ元気を取り戻していったヒロは、やがて兄の不審な死の真相を突き止めるべく立ち上がる。そんなヒロを助けるため、タダシの大学の研究仲間たちも駆けつけるが…」 ゴレンジャーに鉄人28号が加わったような話だった。日本風味は、街中の看板と、建物の屋根瓦ぐらい。主人公の兄弟タダシとヒロは日系人だろうけど、顔立ちはべつに東洋人ではない。むしろ、タダシの同級生のゴー・ゴーの方が東洋人っぽい。兄弟の叔母の名はキャスなので、アメリカ人? 日系でもヒスパニックでもそういう名はあるだろうけどね。 なんでも、原作は日本が舞台で、人物もすべて日本人らしいんだが。変えてあるようだ。まあ、アメリカの観客を意識したんだろうが。 イントロは、ヒロが熱中しているロボットバトル。自作のロボットでショバ荒らし。警察に捕まって…。それでも懲りないヒロを、兄のタダシが大学に連れていき、そこで出会うのが白人フレッド(金持ちのぼんぼん)、白人ハニー・レモン(やせっぽち)、東洋人っぽいゴー・ゴー(太腿が太い)、黒人のワサビ。それぞれ得意分野を生かしてスーパーヒーローにな。ここにタダシが創った治療ロボット・ベイマックスも加わり、仮面の男と戦う…いう話。 最初のロボットバトルに、この映画のすべてが集約されてる。独鈷杵が2つ組み合わさったようなロボットには2面性があって、ニコニコ顔だと弱い。でも、スイッチによって強面顔になり、相手のロボットを粉々にしてしまう。それで荒稼ぎしていたわけなんだが、二面性というのは、その後、カードを差し替えるだけで性格が変わってしまうベイマックスにも引き継がれていく。また、マイクロボットも、鉢巻きみたいな神経トランスミッターによって結合して操れる。トランスミッターがなければ、バラバラになってしまう。こういうところは、鉄人28号とまったく同じ。つまり、映画に登場するロボットには、意志がないのだ。そして、仮面の男が実は味方だと思っていたキャラハン教授だった…という善と悪の二面性。あと、いつも留守がちだったフレッドの父親も、実はスーパーヒーローだった、というエンドクレジットのあとのオチにも通底している。善悪2原論が根底にあるということだ。 では面白かったかというと、前半の流れは興味深いんだけど、仮面の男の正体が分かってからは、一気に興味が失せた。とくにバトルとかアクションは、たいして面白くない。やっぱ、話が深くないと、ついていけなくなる。でも、やっぱりディズニー。善悪をはっきりさせ、キャラハン教授も娘の恨みで悪になるという、古典的なオチ。分かりやすさを遊優先してしまっている。これじゃ退屈だ。 ところで、14歳にしてバトル用ロボットを造りあげ、さらに、大学入試のためにマイクロボットを造ってしまうヒロって、何もの、だよな。だって、そのマイクロボットが敵である仮面の男の強力な武器となり、ヒロたちを苦しめるのだ。しかもその仮面の男は世界的に有名なロボット研究者キャラハンで、タダシの指導教官…って。話の底が浅すぎ。だいたい、ロボット制作に夢中になってるヒロが、兄がキャラハン教授の指導を受けてる、ってことを知らないことがおかしい。 で。大学主催のロボットコンテストで、特別に(?)ヒロも自作のマイクロボットを紹介し、それが認められて大学に入学を認められる。のだけれど、突然の家事でキャラハンと、助けに行ったタダシが死んでしまう。落ち込むヒロ。兄の忘れ形見のベイマックスが部屋にあったので、立ち上げてみた。そのベイマックスが、たった1つ残ったマイクロボットが何かに引き寄せられていることに感づき、でかけていくと廃工場でマイクロボットが量産されていた! これは、大学のロボコンで、その技術を売ってくれ、と迫ってきたクレイの仕業か? とミスリードさせ、仮面の男の登場なんだが。海からざわざわと登場するマイクロボットの結合は、ゴジラを思わせる。のだが、操る仮面の男の思惑が分からない。そんな敵と戦うために、ヒロは大学の研究室の4人に声をかけ、コスチュームのヒーローに仕立て上げるんだが、いくらロボット研究の達人たちでも、そう簡単にヒーローになれてしまっては味気ない。困難を乗り越えて成長する、という話になってないのだよね。 でまあ、あれこれあって仮面が外れたらキャラハン教授であるというのが分かって。なんでも火事のときにマイクロボットを操ってバリアをつくり、難を逃れたんだと。火事の原因は、クレイが技術を盗むため、とかいってたけど、じゃあキャラハンの仕業なのか? ヒロの技術を盗むために、そんなことを思いついたってわけか? チンケ。 で、なんでもクレイの会社が物質転送技術を開発していて、キャラハンもそれに参加していた。人体転送の実験にキャラハンの娘が挑んだが、クレイは装置の異変をおして実行。装置が破壊されて、娘は…を恨んだらしいが。恨んで、何をしようとしたんだ? マイクロボット技術を得ても、娘は戻らないだろうに。 ここらへんでこちらの興味も薄れてきたので、経緯もアバウトだ。キャラハンはビルの上に巨大な物質転送装置の入口をつくって、いろいろそこに投げ込む? 引き込ませようとするんだが、ベイマックスはその装置の向こうに生体反応をキャッチする。もしかして娘は生きている? と、ヒロとベイマックスが飛び込んでいって救出。いっぽうで、キャラハンの操るマイクロボットも、少しずつバラバラにされていって、転送装置のなかに飲み込まれていってしまう…。てなわけで、最後の力を振り絞ってヒロと娘を実世界に送り出したベイマックスは、異次元世界に残ることに。娘は無事救出されるが、キャラハンは警察に捕まってしまう。 ベイマックスは、自分の手首をエンジンとしてヒロと娘を送り出すんだけど、ヒロは後に、手首にICカードがあることに気づく。これがあれば、躯体だけ造ればもとのベイマックスが再現できる。というわけで、ベイマックスは復活。兄タダシの思いも再現できた、というエンディング。あと、おまけとして、フレッドの父親がスーパーヒーローだったというエピソードがついてくるんだけど、父親が不在がちだったという伏線ぐらいしかないので、突然すぎる。イミフだな。 結局のところ、キャラハンの私怨だったというストーリーのお粗末さ。もしかして、兄が生きていたとかいうオチになるのかと思ったら、教授とはね。意外性を超えた古典的なオチで一気に萎えた。前半のロボット話はかなり高度で、子供にはわからんだろうなと思っていたけど、後半はホント、子供だまし。 ・物質転送の、その通過する異次元世界の描写は、ありゃなんなんだ。あんな世界がありつづけるのか?他の物質転送装置をつくっても、あの世界に結ばれるのか? であれば、あの世界を研究して、あの世界からモノをとりだすのも不可能じゃないよな。 ・仮面男がマイクロボットに付けていたあのツバメマークは、なんなんだ? 説明はあったっけ? ・CGアニメというより、実写みたいに見えるところもあった。仮面の男のバトルシーンなんて、実写との合成といわれても分からない。いっぽうで、キャスのTシャツの、胸の隆起でできる胸元のかすかなシワというか歪み感なんかがリアルで驚いた。といういっぽうで、エンディングロールの絵は、まるっきり手描きタッチ。こっちの方が温かみがあってよいよな。 | ||||
グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子- | 2/5 | ギンレイホール | 監督/ニルス・タヴェルニエ | 脚本/ニルス・タヴェルニエ、ピエール・レシュー、ロラン・ベルトーニ |
フランス映画。原題は"De toutes nos forces"。allcinemaのあらすじは「幼い頃より車いす生活の17歳の青年ジュリアン。目下反抗期真っ只中の彼だったが、失業して久しぶりに帰ってくる父ポールとの再会を楽しみしていた。ところが不器用なポールは、ジュリアンとまともに向き合ってくれなかった。そこでジュリアンが思いついたのは、トライアスロンの中でも最難関で、一流のアスリートでも完走さえ難しいという“アイアンマンレース”に親子で挑戦するというもの。若い頃にトライアスロン出場の経験を持つポールは“ムリだ”と一蹴するが、ジュリアンの熱意に押し切られ、ついに参加を決意する。こうしてジュリアンと一緒にハードな特訓を開始するポールだったが…」 障がい者の青年が、父親とトライアスロン完走! という美談らしいが、かなりバカらしくて退屈だった。まあ、いろいろツメが甘すぎて、大雑把すぎるんだよな。良心的な映画だから、それでもいいだろう、は通用しない。 そもそもジュリアはどういう障害で、そのことによって家族はどう支え合い、まとまってきたのか、というようなことが曖昧。冒頭、ロープウェイの補修作業からヘリで父親が戻ってくるんだけど、待ち受けているのはジュリア。その横に娘。で、この娘は誰なのか? 中盤まで姉とは分からない。 ポールと妻は上手くいってるかと思ったら、妻は「ジュリアのことはみんな私が…。あんたは何もしてこなかった」と罵倒したり。ほとんどテキトーなんだよな。 同じ障害を持つ青年の友だちがいるんだけど、その父親らしいヒゲ男も含めて、どういう存在なのかほとんど描かれない。友だちに、母親はいないのか? 障がい者学級? みたいなところに通っているのか? そこですれ違った美少女とロマンス? と思ったら、ほとんどエピソードもなし。最後に路傍での応援に参加していて、ちょっと笑顔を見せるだけ。あ、ところで、何人かの生徒たちがジュリアのトライアスロン参加を、父ポールに要求するシーンがあるんだけど、彼らは健常者なのか? 応援にも来ていて、とくに障がい者に見えなかったんだが…。とすると、ジュリアはどういう学校に通っているのだ? 前出の友だちと父ポールの作業場にいたとき、友だちが壁に貼ってある父・ポールの記事(トライアスロン関連)を見て、ジュリアは父の過去を知ったみたい。って、あり得ないよな、そんなこと。そもそも過去なんて忘れたはずのポールが、そんな記事を壁に貼っているか? その記事を、18歳まで気がつかない息子がいるか? あほか。 さて。ジュリアがトライアスロンに参加したくなった理由がさっぱり分からない。どうも、同様に障害をもった青年が、父親と参加して完走したというニュースを見てのことらしいけど、なぜ自分も参加したかったのか? 父親が失業して母親とケンカしてばかり。だから、父親を応援するため、であるならば、ちゃんとそう描かないといかんだろ。母親は、ポールはジュリアとの触れあいが少なすぎる、とか罵倒するけど、では、ジュリアは父親との触れあいを求めたのか? なんか説得力が足りないな。だいたい、そんなにすさんでないし、ジュリアは。 で、障がい者のためのトライアスロン大会なのかと思ったら、そうじゃないのか。一般人に混じって、ということなのか、というのも後半でやっと分かった。で、父親がしぶしぶ折れて申し込みをするんだけど、参加は拒否される。なのでジュリアは大会事務所に押しかけて直訴するんだけど、なんとそれで参加できるようになる…って、おいおい。そもそもなぜ最初は参加が拒否されたのか。それがなぜ一転して認められたのか。ちゃんと描けよ。ほんと、ドラマ作りが下手くそな脚本だな。 で、練習のときから、なんだこりゃ、と思ったのは、トライアスロンにおけるジュリアの位置づけで。結局のところジュリアは何もしないのだ。水泳ではゴムボートに乗り、父親が紐で引っぱる。自転車は、前部のシートに乗っているだけ。最後は、父親が車椅子を押して走る。げ。父ポールへの罰ゲームでしかないじゃん。こういう状態なのに、ジュリアは父親に申し訳ない、負担になっている、という表情など浮かべず、へらへら笑って「とーちゃんがんばれ」というのみ。バカか、と思ってしまった。こんな状態で一般の選手と同し制限時間を要求されるなんて、そりゃひどすぎるだろ。何が夢だ。どこに、障がい者の挑戦がある? ない。 せいぜい、ジュリアが自分で参加しようとしたのは、ワンシーンのみ。最後の走りで疲れ果て、「もうムリ」とへたり込んでしまったとき、ジュリアは自力で車椅子の車輪を回そうとする。ん? そんな当たり前のことに、どうやって感動すればいいんだ? というわけで、たんに足を引っぱるだけ、ポールに大変な思いをさせるだけなのに、そんなトライアスロンに参加したいといい、最初、父親に拒否されると怒り出して家出したりするという、ワガママなやつでしかないジュリア。こんな映画で感動できる筈がない。映画としても出来が悪すぎるし。 ・家族3人と、友人父息子の5人で会食。その後に花火、というシーンがあるけれど、まったく意味がない。 ・失業したまま数ヵ月も、トレーニングしてたようだけど、資金はどうしたんだ? 母親に頼り切り? 完走して再就職はかなったのかね。 | ||||
ジョーカー・ゲーム | 2/10 | 109シネマズ木場シアター6 | 監督/入江悠 | 脚本/渡辺雄介 |
allcinemaのあらすじは「上官の命令に背き、軍法会議で死刑を宣告されたその青年は、命を落とす直前に結城と名乗る謎の男に助けられる。結城の目的は、彼が設立したスパイ養成学校“D機関”に青年をスカウトすることだった。青年は過酷な訓練を経て、やがて“嘉藤”という名を与えられると、ついに初めてのミッションを命じられる。それは、国際都市“魔の都”に駐在する米国大使グラハムが隠し持つ、世界を揺るがす機密文書“ブラックノート”を奪い取れというものだったが…」 テンポが早いので飽きないけど、面白いかというとそうでもない。ご都合主義的で、ツッコミどころが満載。嘉藤次郎と名乗って暗躍する青年スパイ(亀梨和也)も、おまえアホか、というようなことばかりする。リンなる女スパイ(深田恭子)の色仕掛けに騙されるとか、あり得ないだろ。 ・時代は、日米開戦前の設定か。 ・結城中佐(だっけ?)は、青年のスパイの才能をどうやって見抜いたんだよ。 ・場所は、中国の広州の南にあるような島? 海南島とは違うんだよな。では、中国かというと、違うみたい。架空の国? ・嘉藤は彼の地で写真館を開くんだけど、あんなやっつけで開店したら、スパイとバレるだろうに。で、街中で都合よくリンと出会って彼女の写真を撮るんだが、それがカラー写真というのはあり得ないだろ。 ・最初に忍び込んだとき、インド人みたいな番兵にみつかるんだが。床近くに設置してあるのは、センサー? どういう仕組みで点滅するんだ? ・で、最初の潜入では見つからず、再度米国大使のお別れ会で、嘉藤は原爆の設計図を探す。チェス台になく、駒からフィルムを見つけるんだが。そこに英国スパイがやってきてもみ合いになり、駒が床を行行ったりきたり、は『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』だな。 ・英国スパイに追われ、街を逃走。そこにリンが絡んできて、キスされて我を失い、駒を奪われる…って、アホか。 ・この後、リンを追ってあれこれあったんだっけか? ・で、嘉藤は他のスパイ2人と合流するんだっけか。フィルムは取り戻していたんだよな。嘉藤はちゃんとすり替えていた。…しかし、すりかえの顛末がいい加減というかご都合主義。説得力なし。2人に促されてクルマに乗ろうとしたけどリンに気付き(だっけ?)、近寄っていったらクルマが爆発…。 ・あれ? 参謀本部の命を受けた日本軍が米国大使館に乱入し、設計図を強奪しようとしたのをスパイ2人が止めるのはこの前だっけ? ・で、リンと嘉藤が英国機関につかまって、建物に幽閉されて…に続くんだっけかな。あやふや。リンが拷問を受けているのは、彼女がフィルムをもっていると思われたからか。で、嘉藤は飲み込んで隠していたフィルムを提供して、英国側の二重スパイになる、と提案して生き延び、でも牢の中へ…という間際に英国兵を簡単にやっつけて、フィルムを上映確認していたボスから簡単に奪い取り、でも、さっさと逃げないでリンを救い出したんだけど衛兵に見つかって、リンはさっさと逃げていく。ひとり館内地図(そんなものを壁に貼っておく地下組織があるかよ)を頼りに逃げようとしたらどんづまりで。見つかる、と思ったら、英国側にも日本のスパイがいて見逃してくれて…って、おいおい。と思っていたら、逃げたと思ったリンが助けにやってくる、んだっけ? ・火薬庫から塔の上まで火薬をまいて。でも英国の連中に追われて塔の上。いつの間にか奪っていた英国ボスのライターを放り投げると、それが何度かあちこちにぶつかり、タイミング良く火薬に火がつく・・・って、おいおい。途中で火が途切れかけるんだけど、リンが塔から落ちた(と見せかけて時計台の針にぶら下がってるって、お前はキートンか)ときにポケットから落ちたリンの写真に都合よく火が移ってつながって、火薬庫が爆発。英国機関の連中は火焔に包まれるんだけど、フィルムはあっちのボスとともに焼けた? と思ったら、床に転がっているとは…。おいおい。で、真っ黒になった男が這い出てきたけど、あれはボス? それとも髪の長いスパイの方? どっちでもいいけどね。でも、マンガみたいだな。 ・三好(小出恵介)が、最後に救出に来るが。彼はD機関を追われ、参謀本部の連中の犬になったはず…。だけど、最初から参謀本部に潜り込め、という密命を受けていたということなのかね。 ・なんとかフィルムを確保し、結城が参謀本部のお偉方に見せるが、原爆製作に金がかかりすぎるから却下。という決断を下され、それで日本は原爆を開発しませんでした、ということなのかね。 ・で、南の島で、嘉藤とリンと、あれ? クルマが爆発したのに2人の仲間のスパイは生きている! おいおい。三好もいるけど、復帰ということか。で、それぞれ次の任地へ。フリーのスパイらしいリンは、いつのまにかクルマから消え去っている…という、おいおい、な話。 ・各国スパイが暗躍というから複雑な話かと思ったけど、英国としか争わないのか。ドイツとかロシアは、登場しないのね。 ・原爆の設計図がパンチカードみたいに丸しか写ってないのはなんで? でも、英国のボスが投影してたのには文字もあったよな。いやそのまえに。ドイツの研究者が書いたというその設計図は、もとは紙だったんだろ? 米国大使は紙で入手してマイクロ化し、原本は捨てたのか? ・伊勢谷友介とか小澤征悦、小出恵介あたりは分かるんだけど、亀梨和也とか山本浩司、渋川清彦あたりになると、顔がよく分からん。亀梨は成宮からへらへらを取った感じなんだけど、まだ覚えられない。そういう顔をしている。ははは。 ・深田恭子は、『超高速!参勤交代』でもはじめ分からなかったぐらいで。近ごろ顔が、メイクが、かな、変わってて。目のくりっとした、ぽわんとしたお嬢様キャラはやめたのね。意識的になのんね。フツーのキレイな女性になっちゃったけど、特徴というか、とらえどころがない感じで、いまいち魅力が乏しい。まだ改良の余地あり、かな。 ・事前にお茶の飲み過ぎか。1時間目ぐらいからトイレに行きたくなって、その後はもだえ苦しむ…なんとかもったけど。それに、始まる頃から下肢が重く、だるく、眠くなるという…。体調は良くない状態であった。今日見るのやめた方がよかったな、寝ちゃうかな、とか思いつつ、それでもなんとかクリア。ははは。 | ||||
REC/レック4 ワールドエンド | 2/16 | 新宿武蔵野館2 | 監督/ジャウマ・バラゲロ | 脚本/ジャウマ・バラゲロ、マヌ・ディエス |
スペイン映画。原題は"[REC] 4: Apocalipsis"。allcinemaのあらすじは「バルセロナのアパートメントで起きた戦慄の感染パニック事件の唯一の生存者、アンヘラ・ヴィダル。辛くも救出された彼女が意識を取り戻したのは、医療機器を備えたとある一室。そこは、洋上に浮かぶ大型貨物船を改造した検疫兼隔離施設だった。惨劇の原因となった謎のウイルスを研究する医師のリカルテは、アンヘラを保菌者と疑っていた。やがて身の危険を感じて逃走するアンヘラ。そんな中、逃げ場のない船内で、またしてもウイルスの感染被害が起こってしまい…」 完結編と謳っているが、はてさて。1、2、3ともに見てる。2は1のつづきで、でも3は結婚パーティ会場の惨劇で、1、2とはまったく関係なかったような…。なので、4もこれまでと関係ない話かと思いきや、なんと1、2、3をすべて継承する話になっていた。しかも、むりやりでっち上げた感じではなく、辻褄はとりあえず合ってる。1は2を予定していたつくりだったけど、2ではあえて完結させず、いっかい呼吸を整えて、頭の片隅にあったオチへともってきた? な感じかな。 話は、SWAT(医療チーム?)がアパートに潜入し、爆発物をセットしているところから始まる。数人が犠牲になり、脱出しようとすると女性の声が…。「レポーター?」「もう時間がない」とかいってたけど、助け出した、というオープニング。その彼らがいるのは船内で、はっきり明かされてはいないけど壁の様子や、カメラの揺れで一目瞭然。アンヘラは拘束された状態で目を覚ますが、どれぐらい時間が経過していたのかは分からない。救出したグスマンと、もう1人の見捨てて出ようとした奴はすでに乗り込んでいる。あと、頭がおかしくなった婆さんがいて、彼女こそシリーズ3作目の結婚式の生き残り、という設定。なるほど。 で、最初にアンヘラがベッドから逃げ出して捕まる件は、ほとんど意味がない。せいぜい、彼女が感染者? あるいは、後に起こる、モルモットにされていた猿を逃がしたのは誰だ? の犯人へとミスリードさせる程度かね。アンヘラとグスマン+1人は、船に乗っている医師・リカルテに従うことになってしまうのは、なんか拍子抜け。 次の関心は、リカルテが何をやっているのか? で、何ものかがベッドから逃亡したことが分かる。それは人間かと思っていたら猿で、フィリピン人のコックが襲われるのだけれど、なんとコックはその猿を調理して昼飯に出した…せいで、船員の多くが感染してしまうという展開。 てなわけで、船内という限定された場所で感染が発生し、どう逃げるか、だけがとりあえずの興味の的なので、だいたい展開が予想できてしまうので、退屈。しかし、誰が猿を逃がしたか、という「?」と、アンヘラの奇行(腹がうねるように動く、と放浪癖)が「?」で残ったまま。さらに、船長と、その部下のちりちり頭が、彼も猿肉を食べていて、いっとき目が赤くなっていたのになかなか発病せず、いつ発病するのか? にも関心が残る。というところで、ちりちり頭が、アンヘラが持っていたビデオカメラを直して。アンヘラの身体にナマコみたいのが入る映像が…。で、思い出した。これ、1作にあったかも、と。でも、後から調べたら2作目だった。 ということは、シリーズをちゃんと覚えてる人は、アンヘラの身体にナマコ風の虫が入っていることは知っていたということだ。あの腹の動きにも、あれだ! とピンときてたんだろう。アンヘラの血液が陰性で、感染していないというのも、虫のせい、と分かっていたのかもね。まあいい。 てなわけで、アンヘラ、グスマン+1、船長、ちりちり頭たちの、リカルテたちへの追求なんかもあって。リカルテらが解毒剤をつくっていたことが分かる。のであるが、それが国の政策、でもないらしい。どうもリカルテたちが船をチャーターし、無寄港でいるよう指示しているらしい。あと、背後に教会があるらしいことも・・・。 で、すっかり忘れていたんだけど、シリーズの過去には↓のようなことも描かれていたようだ。 公式ホームページにあるシリーズのダイジェスト画像を見ると、1ですでに「ワクチン」とかいう言葉が登場している。そして、自分で書いたシリーズの感想文を読み返しても、1では「最上階に行くと、そういう状態になった少女がいたという新聞記事や、ワクチンができたという声が録音されたテープも」2では「神父は悪魔に取り憑かれた少女の血液を欲しがり」「ラストで種明かしされるのだけど、彼女は食われるのではなく、悪魔の魂というか本体(ナメクジみたいなの)を、悪魔つきの少女から口移しでもらっていた」と書いている。それらしい思わせぶりな素材は散りばめられている。ってことは、1では感染症と思わせて、2ではその本体を見せていたんだから、この4で言われるような寄生虫を想定していたのかも…。 というわけで、話は一気に"寄生虫"のせい、という方向に収束させられようとしていて、おいおい、な感じ。そもそも悪魔に憑かれた、な感じで描かれていた最初の少女は、何だったんだ? その時から神父が血液を欲しがっていた、ということは、ワクチンのため。じゃ、宗教じゃなくて、オカルトっぽい描写はハッタリだったのか…。ではなぜ医療機関ではなく教会が? そもそも、あの寄生虫はどこから? 寄生虫はどうやって宿主を決定する? とかいった疑問を置き去りにしてる。 で、リカルテらはアンヘラの体内に寄生虫がいるのを知るや、速攻で手術してとりだそうとする。寄生虫には、オリジナルな血液があるから、というよく分からない理屈。最初反対していたグスマンも、それじゃ仕方ないか、な感じで抵抗を止めて。さてメスで切り裂かれるか…にアンヘラが必死の抵抗をするんだけど、まあそうだろう。で、なんと、いつの間にか寄生虫はアンヘラからグスマンの身体に移動してしまっていて、アンヘラの身体にはいないことが分かるんだけど、「最後の仕事だ」とかいってグスマンは、寄生虫をアンヘラにもどそうとするんだよ。あれ、どういう意味があるのかよく分からなかった。戻そうとしてるところで邪魔が入り(ちりちり頭だったかな? 忘れた)。船長は船の爆破スイッチを入れて、残り20分。ちりちり頭とアンヘラは船尾からゴムボートとエンジンをもって海に飛び込み、脱出。 しかし、感染してゾンビ化すると、泳げなくなるのか? 爆破の結果、たぶん感染者および宿主のグスマンは死んだのだろう。あと、仲間の+1も、どっかで死んだようだ。船長はどうしたんだっけかな。忘れた。 海に落ちた寄生虫を、大型の魚がパクリ。で、終映。 おいおい。ラストは、ちりちり頭がやっと発症して、何かするんじゃないのか? と思っていたんだけど、と思ったら、エンドクレジットの途中に、タクシーに乗ってるちりちり頭とアンヘラ。運転手が「大変でしたね」だったかなんだか、ひとこと声をかけるだけ、で終わってしまった。なんだよ。なんで、ちりちり頭は発症しないんだよ。おかしいだろ。 ・REC4といいながら、誰かが手持ちカメラで撮影したビデオ、という設定はなくなってる。 ・アンヘラ役のマニュエラ・ヴェラスコは、1975年生まれ。製作時には39歳か。第1作の2007年のときは32歳で可愛かったけど、7年たってしまったわけで、かなりなオバサン。船で拘束されているときの手の甲のシワがすごかった。それでも、第1作から数日後の設定だから、タンクトップで胸の谷間をみせてがんばってた。けど、やっぱすでにかなり乳は垂れとるよ…。 | ||||
リスボンに誘われて | 2/20 | ギンレイホール | 監督/ビレ・アウグスト | 脚本/グレッグ・ラター、ウルリヒ・ヘルマン |
原題は"Night Train to Lisbon"。allcinemaのあらすじは「スイスの高校で古典文献学を教える教師ライムント・グレゴリウス。5年前に離婚して以来、孤独で単調な毎日を送っていた。ある日彼は、橋から飛び降りようとする女性を助ける。しかし彼女はすぐに行方をくらまし、ライムントは彼女が残した本に挟まれていたリスボン行きの切符を届けようと駅へ向かう。しかし女性の姿はなく、ライムントは衝動的に夜行列車に飛び乗ってしまう。そして車中でその本を読み心奪われたライムントは、リスボンに到着するや作者アマデウを訪ねる。しかし、アマデウは若くして亡くなっていた。やがて彼を知る人々を訪ね歩くライムントは、独裁政権下のポルトガルで反体制運動と情熱的な恋に揺れたアマデウの濃密な人生を明らかにしていくのだったが…」 孤独でやるせない教師が、ある日、自殺しようとしていた娘を危機一髪で救うのだけれど、彼女は消えてしまう。残されたのは一冊の本と、リスボン行きの切符。それに引きずられるように、教師はリスボン行きの列車に飛び乗ってしまう…という冒頭からの勢いが素晴らしすぎる。以降、物語の構造がしっかりしているので、ピースがすべてピタリピタリとはまっていく快感はある…のだけれど、自殺しようとしていた娘はどうなった? という疑問がずっとつきまとう。それと、教師グレゴリウスをそうさせた「なぜ?」の部分にいろいろキレというか説得力がないのが、中盤で気になっていく。 ポルトガルでも、70年代まで圧政のようなことがあったのか。と、いまさらながらに知る。スペインはなんとなく知っていたけど、ポルトガルも秘密警察が暗躍するような国だったのか…。そうしたなかで、本の作者であるアマデウは反体制運動に関わっていて、でも、すでに亡くなっていたことが分かる。で、グレゴリウスは、アマデウの妹のアドリアーナや、アマデウの学友ジョルジェ、活動家のジョアンなど、本に登場する人物を訪ね歩き、真実に迫っていく…のだけれど、話が反体制運動から次第に色恋の話になっていくので、いささか失望。なんだよ。結局は男と女の話で、そこには嫉妬がうずまいているってわけか、と。 なので、実をいうと、後半はすこし退屈し始めていた。それが、おおっ、となったのは、冒頭の自殺志願娘が再登場して、自分の身の上を語ったときのこと。なんと彼女は、極悪非道でジョアンの指を潰し、はたまたアマデウスがその命を救ったため反体制派の仲間たちから縁を絶たれる原因となった、秘密警察のメンデスの孫だった。おー、そうきたか。彼女が自殺を思い立ち、さらにはリスボン行きの切符をもっていたのも、そういう理由からだったのか、とオチが付いた。なるほど。 もちろん、いかにも、な偶然に支えられてはいる。たまたまメガネをこわし、新しいメガネを買うために入った店の検眼師マリアナの叔父がジョアンで、話が広がっていったというご都合主義。でもいいんだよ、フィクションなんだから。そもそも、それがフィクションというものだろう。 このまま政治ドラマで突っ走るのかと思いきや、途中から腰砕け。反体制運動に参加してきた美女、エステファニアをめぐる色事の話になってくる。端的にいうと、記憶力の優れたエステファニアが運動に参加してきて、反体制運動のメンバーを記憶させられる。ついでに(?)ジョルジュと関係する→ある日、運動仲間のところにアマデウがやってきて、エステファニアはひと目惚れ→仲間の会合の場に秘密警察がやってきて一同は逃げる→アマデウとエステファニアが一緒に逃げて、路地でキス。それをジョルジュが目撃→ジョルジュは、ジョアンの拳銃を借りてエステファニアを殺そうとする。万一エステファニアが捕まったら仲間の存在がバレる、という名目→エステファニアはアマデウの家を訪れ、一緒に逃げる計画を→そこにジョルジュが訪れるが、やりすごす→アマデウとエステファニアがクルマでスペインに逃げようとするところにジョルジュがやってきて銃を向けるが、2人はスペインに逃亡→ジョアンは秘密警察に捕まり、指をつぶされる…という過去が、次第に分かってくる。 すべては、グレゴリウスが現在のジョルジュ、ジョアン、学校の神父なんかに会って聞き出し、はっきりしてくるんだが、同じシーンを別の視点からくり返し見せるのは、『運命じゃない人』『バンテージ・ポイント』なんかを思い出して興味深かった。 とはいえ、前半の、アマデウの著書からの引用で、哲学的なというか、思わせぶりなあれやこれやが字幕で出るのは、ついていけなかった。分かりにくいし、どうでもいいよ、な感じ。 で、分かってくるのは、アマデウがすでに死んでいることで、でも、いつ頃どこで亡くなったのかが、よく分からないまま。たたし、死因は脳動脈瘤の破裂らしいんだけど、エステファニアとスペインに逃げたしばらく後なのかね。で、そういえば、スペインに入って、アマデウが「一緒にどっかへ行って暮らそう」とかいうのを、さっさと拒否して別れてしまうのがよく分からなかった。おい。おまえが惚れて一緒に逃げたんだろ? なのに、いっしょに暮らしたくはないのか? ううむ。なんなんだ。 アマデウの妹の存在が重要のような感じなんだけど、でも、いまいちよく分からない。グレゴリウスが訪ねたときも、死んでいることを話さなかったり、いまでも生きているかのような扱いをしている。もしかして、妹は、兄に恋していたのか? でも、そういう示唆は、ないんだよなあ。 そういえば、学校を装った基地に秘密警察が襲撃してきて、逃げる時、アマデウはどこにいたんだ? 教室にきてたんだっけ? なんか、よく覚えていない。 眼鏡屋の女がグレゴリウスを検眼するときのエロっぽさといったら、異常すぎる。なんだ、あの艶めかしさは。彼女の叔父が、アマデウと関係があるというご都合主義的な話はいいとして、その関わりを強調するためなのかな。で、以後も彼女がグレゴリウスとの関わりをつづけていくんだけど、とてもじれったい。早く彼女にキスしろ! と何度思ったことか。面白かったのは、グレゴリウスが彼女を食事に誘ったとき、ホテルの前にいつもいるオヤジが「やっと誘ったか」っとボソッと言う場面。笑ってしまう。 アマデウの葬儀にエステファニアがやってきて、ジョルジュと遭遇、というシーンが重要なシーンのようになっているんだけど、別にどうってことないじゃん、な感じなんだが。 アマデウが、反体制活動家に襲われて瀕死の状態の秘密警察メンデスの命を救って、村八分状態になるのは、まあ、そういう時代だからしょうがないんだろうけど。医者としては、助けるしかないよな。 | ||||
ラジオの恋 | 2/27 | 新宿武蔵野館3 | 監督/時川英之 | 脚本/時川英之 |
オフィシャルページのストーリーは「ラジオをめぐる広島の物語。「もうラジオなんて誰も期待してないんじゃないか・・・?」そんな思いに駆られたラジオパーソナリティー、横山雄二。しかし、ある日、「ミミ」と名乗る少女が彼の前に現れる。そして、ラジオの世界に不可思議なことが起こり始める…」 良心的なファンタジーとかいって評価する人もいるんだろうな。でも、たいしてドラマもないし、人間も薄っぺらでつまらない。救いは尺が68分と短いことで、それでも途中で寝そうになった。いや。始まってすぐ、前の方からイビキが聞こえたよ。 話の骨格は↑の通りで、でも横山雄二がなぜ「ラジオなんて誰も期待してないんじゃないか」と思うに至ったか、はまったく描かれない。それで悩んでいる風にも見えない。まったく関係なくフツーにラジオでしゃべってる。だから、彼に感情移入することができない。 そもそも街頭に「天才横山雄二」などとポスターがたくさん貼られ、街中で聞かれていて、そこそこメールやファクスもきてるのに、なぜ悩む? 意味が分からない。むしろたとえば個人的な問題で、たとえば不治の病に冒されて仕事に身が入らなくなった…とかいう“困難”を設定し、いやいや、おまえより苦しんでいる人はたくさんいるんだよ、てな話にするとか(単純な例だけど)が必要なんじゃないのかね。困難→挫折→挑戦→克服…という成長ドラマでもないと、話は面白くならんだろ。 それにしても、どこが天才なんだ? いっちゃわるいが、横山雄二の語りは、とくに魅力的でもない。番組内容も、大したことはない。で、思うに。語るところを見せないつくりにすればよかったのに。横山がスタジオに入る。しゃべっている映像はあっても、声は聞こえない。という設定にするとかすりゃあいいのに、と思ったりした。 でまあ、悩める横山のところに天使がやってきて、町のだれそれを見せていく。彼女たちからのメールがラジオで紹介されて、仲間が増え、有名になっていく。あれが、逆上がりができないからとファクスしてきた少年だ。アコーディオンの彼女を好きだ、という青年からメールが来る…などなど。未来を予言するようなことをいって、ラジオは聴かれている、求められている、と説得していくんだけど。なんかな。天使とかって安易だよな。『ベルリン・天使の詩』ってのがあったけど、その簡易版かよ。しかも天使がたどたどしい言葉遣いの少女っていうのもありきたりすぎる。猫とか人形とかにできなかったのかね。なに。予算がない? うーむ。 で、数日後かなんか分からんけど、少女が言った通りになって、横山は戸惑うんだけど。戸惑う前に「ぜんぶ、あの娘からのファクスじゃないか?」と疑うのが筋じゃないのかね。まあいいけど。 自分の投書が読まれない、と襲ってくるアンガールズ田中は、なんなんだ? お好み焼き屋で働いていて、武器オタク? それが横山を襲う話に何の意味がある? 田中は、客(山根)がヘラで食べないとかマヨネーズを掛けるとかいうのに怒ったりしているけど、そのストレスを投書したんではなく、武器に関することを投書していたらしい。でも、その内容はわからない。そうそう。横山が話しているスタジオ横の窓にやってきて、「俺の話を聞け」とかなんとか紙を掲げるんだけど。そもそも、人から見えるところにスタジオをつくるかね。コミュニティラジオならともかく、大手じゃそんなことしないだろ。 アコーディオンの彼女が好きだけど、どうしたら? に、「当たってくだけろ、告白だ」と勝手なことをいい、でも、彼女が演奏する場所に行くと、告白するのは西洋白人青年。花束をもって近づこうとすると「ちょっと待った」コールがかかり、おっさんが青年に花束を渡す。他にも何人か花束を手渡し、青年は彼女の前に近づく…という場面は、ちょっとよかった。仕掛けがあったからね。でも、はたして彼女はOKするのか? 白人青年だから、いい方に想像できるけど。あれが日本人だったら。オタクっぽい青年だったら? 外国人でも、黒人とかアジア人だったら、観客はどう想像するだろうか? 白人にしたのは、ずるいような気がする。 あと、アナウンサー学校の生徒=娘か。横山が田中に襲われてるときたまたまスタジオ近くにやってきて、ディレクターに「とりあえずでて」とピンチヒッターをやらせられて。…天使は「将来は人気パーソナリティになる」とかいってたけど。でもじゃあ、他の、アナウンサー学校に通ってる連中は、どうなるんだい? と思ってしまうと、それがどうした、なレベルになってしまう。 てなわけで、人物も話も薄っぺらな映画だった。かかる曲が矢沢永吉って…。いくら広島出身だからって。おい。 ・早朝ラジオっていってたけど、何時から始まって何時に終わるせっていなんだ? ラーメン屋でオヤジが麺を茹でてたけど、10時じゃまだ店は開いてないだろ。 ・ピンが合ってないシーンが多々あるのは感心しない。 ・74分というのは本編が68分で、本編上映終了後の矢沢永吉 The Live film「トラべリン・バス」(6分)を合わせてのことなのか。矢沢の歌なんか聞きたくもないんだが。ところで、これでも1800円なのかよ。 |