寄生獣 完結編 | 5/6 | MOVIX亀有シアター3 | 監督/山崎貴 | 脚本/古沢良太、山崎貴 |
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allcinemaのあらすじは「右手に寄生生物の“ミギー”を宿す高校生・泉新一は、いまや人間からもパラサイトからもマークされる存在に。そんな中、新一の住む東福山市にパラサイトが結集、市庁舎をアジトに組織化を図り、更なる勢力拡大へ向けて水面下で周到な準備を進めていた。対する人間側も、徐々にパラサイトの正体と脅威を把握していき、対パラサイト特殊部隊を結成してその殲滅に乗り出す。一方、人間の子供を産んだことで意識に変化が生じたパラサイトの田宮良子は、新一とミギーの存在に人間との共存の可能性を見出し始めるが…」 敵キャラが大して活躍せず案外とショボイとか、敵キャラそれぞれが自己正当化のための理屈をこねまわすとか、いささか盛り上がりには欠けるところはあるけれど、前編のテンションを大きく損なうことなく時間内にムダなくおさめ、しかもロマンス=キス×セックスシーンまで入れ込んで、エンタテインメントとしてもよく仕上がってると思う。ラストの、変態男に襲われる場面は、ちょっと情に流れる嫌いはあるけれど、まあいいだろう。 後編のキモは… ・田宮良子の出産。 ・広川市長(北村一輝)、および、市庁舎のパラサイト化。 ・田宮良子の実験(?)による三木(ピエール瀧)、後藤(浅野忠信)の活躍。 ・田宮良子の実験に関連する、記者・倉森(大森南朋)の存在。 ・変態にして人間検知器の浦上(新井浩文)の存在。 …なとこかね。田宮良子の「実験」は、人間との共存をめざして行われていたようだ。人間を食べることをやめ、人間と同じ物を食べることで、人間社会に同化していこうというものだったようだ。けれど、広川市長と取り巻き、および、後藤たちの暴走で、田宮良子の思惑がムダになり、人間とパラサイトは対立=殺し合いをする、と。 パラサイト側の関係性が、よく分からない。田宮良子を頂点にして、後藤というのは何なんだ? パワーのあるパラサイト? の割りに、1人の人間に三木も含めて5人で寄生してみたり。あの辺りは、よく分からない。5人で寄生してるから強力かと思いきや、脳に寄生したのが三木で、両手両足のパラサイトをコントロール出来ずに自滅したり…。笑ってしまう。しかも、その手の部分には、後藤がいたんだからマヌケな話。ハナから後藤が脳にいりゃあよかったのに。 情け容赦なく登場人物を殺していく無慈悲さもいい。田宮良子から新一を追うよう依頼された倉森。新一から田宮良子がパラサイトだと知らされると、一転して広川市長を取材に行き、逆に狙われるハメに。しかも、本人ではなく、小学生の娘が惨殺されてしまうという…。このあたりの手加減のなさが、物語を豊かにしてる。まあ、原作にあるんだろうけど。 どんどん冷酷になる新一に対して、子どもを産んだ田宮良子が感情を得ていく過程もうまく練れてる。この対比があるから、七面倒な理屈も、まあ、そこそこ説得力を持っていくんだろうな。 で。警察はSWATを市庁舎に送り込み、庁舎内の人々をX線装置で検査。脳内に寄生を検知した場合は、即刻射殺、という対応をするのも冷酷無比で面白い。ひとりや二人、撃つのをためらう隊員を描きたくなるところだけど、そういう情には流されていない。そこがいい。 市庁舎はパラサイトでいっぱい、っていうからも、大半がそうかと思ったら、そうでもないのね。あ、ところで、市庁舎がパラサイトの巣、という情報を、警察はどっから得たんだっけ。覚えてない。もうちょいソースを明確にして、攻撃の正当性を描写してもよかったかもね。 で、取り巻きの後に広川市長が撃たれ、なんとパラサイトではなく人間であることが分かる、というのが、おお、な感じ。前編では、選挙カーの上に乗ってる男がパラサイト、といっていけど、取り巻きの方だったのか。得意な思想をもつ広川を、田宮良子が利用したらしい。広川市長は、共存を訴えてたんだっけかな。もうちょい広川という男についても掘り下げてもらいたかったところ。 で、そこに後藤が登場し…。 この市庁舎への突撃劇が行われているとき、動物園でもうひとつのドラマが。この、同時進行・交互に描くというのも、なかなか盛り上がっててよい感じ。 娘を殺された倉森が、田宮良子の子どもを誘拐。彼女を動物園に呼び出した。田宮良子は、逃亡中だった新一を呼び出し、彼も里美とともに動物園へ…。子どもを放り投げようとする倉森。接近する田宮良子。銃を向ける警官…。なかなか緊張感、盛り上がる。ここで田宮良子は子どもを助けるために顔を割って触手を繰り出し、倉森を殺す。新一は「するとは思わなかった」、田宮良子も、「私も思わなかった」という、子どもを助けるという行為。深津に、人間の心が宿ってきた、という描写だな。 さらに田宮良子は「我々をいじめないで。われわれは弱い存在。人間と私たちは、2つでひとつ。助け合って生きていくしかない。われわれは、人間を食べず、人間の食べ物に慣れようとして、成果をあげつつある…」とか言うんだけど、警官が銃撃を開始し、呆気なく倒れてしまう…というのが、いささか物足りない。もうちょい粘って欲しい感じだけど、どうなんだろかね。 というところに、SWATが全滅の報。一同、行ってみたら、後藤が羽ばたいていたという…。こっからは、新一と里美が逃亡し、後藤が追う展開になるんだが。後藤がそんなに強い理由がよく分からない。他のパラサイトとどこが違うんだ。そこは説明して欲しい気がしたよ。 新一とミギーはいろいろ考え、後藤と戦うんだけど、やはり力不足。最後はミギーを切り離し、ミギーは後藤の刃に倒れ、新一は里美と原発処理場? へ。ミギーを切り離したから、もう検知されない…。の安心感?で、ここで傷ついた2人が初めて結ばれるというサービスシーン。もうちょいキスはしっかりやって欲しいところだけど、まあしょうがないか。上半身の抱き合い場面や、おそらく処女膜破りの苦悶の声もあったりして、ムダにリアルなのは、うはははは…。いいんではんいでしょうか。 で、逃げおおせるのかと思ったら、切断した右手から目玉が。なんとミギーの細胞が残っていた! ということで、後藤に居場所が感知されているから逃げなくちゃ! でもすでに遅し。というわけで、焼却炉の中でのバトル。後藤は「人口が増えて困るのは人間。人間が我々を呼んだ」「地球に寄生してるのは人間の方。寄生獣だ」とか言うんだけど、それが真実かどうかは分からんよな。で、新一が鉄棒を後藤の腹部に刺すんだけど、傷は浅い。と思ったら突然ミギーが肥大化して…。あれは、なんて言ってたんだ? 切断されたミギーが、後藤に吸着してた? なんよく分からんが。鉄棒に放射能が付着していたとかで、急速に後藤が弱りだし、形勢逆転…なんだけど、パラサイトは放射能に弱いのか? しかも、あっという間だぞ。ううむ。 さて、一件落着して。ミギーは「しばらく休息する」と活動休止を宣言し、新一の手から姿を消すんだけど、存在はあるわけだな。で、デート中の2人を浦上が襲うんだが。浦上は元々女性暴行犯で、人間と異物との判別能力が高い、という設定。マジックミラー越しに新一を見てるんだけど、パラサイトと気づかなかった経緯がある。それで、ビルの屋上で里美を人質にして新一に「お前は誰だ。どっちだ?」とか質問し、「お前は寄生されているけど人間らしい。「俺はケダモノみたいなことをするけど、人間だよな」と、新一に認めさせようとする。…はたしてこの件は必要だったのだろうか? 広川市長や田宮良子、後藤との禅問答があって、さらにめんどくさい話しで、ちょっと迷惑な感じもあったな。 なことがあって、新一は突撃。浦上は里美を後方に突き落とす。新一は浦上を殴り、手を里美に伸ばすけれど、届かない・・・という時点で、眠っていたミギーが覚醒してつかんでる、というのは誰もが予想できることで、事実そうなって話しはオシマイ。なんだけど、里美を引っ張り上げて屋上で仰向けの二人が抱き合う横には、殴られた浦上がいるはずだし、浦上が屋上に上がってきたとき、そこにいたビルの関係者の首をナイフで切ってるんだけど、彼の手当てあるいは報告はしなくていいのか、については気になって仕方がなかった。そのあたりをちゃんとフォローしてくれるように願いたいものである。 ・まあ、SWATが登場してくるのは、変。市レベルの話じゃないだろ。ところで、市役所が寄生獣の巣というのを、警察はどうやって知ったんだっけ?新井が話したんだっけ?忘れた。 ・田宮良子は、パラサイトはまだたくさんいるけど、人を殺さなくなった。みんな、上手に人間と共存するようになったのよ。とかいってたけど、なら彼女自身もそうすりゃよかったじゃん。な話しなんだけどね。 ・エンドロールが、下から上に上がっていく。背景は、海中の生物。なかにときどきミギーが登場する。時代を遡って地球誕生まで? かと思ったら、そういうことでもないようで、よく分からない。 ・結局、あの寄生獣は、どっから来たんだ? 前編では海から上陸してたけど、地球生物? 宇宙からやって来た? どうやって生殖=繁殖するのだ? ミギーが新一と分離するとき、人間の肉体の一部として分離してたけど、もとの虫みたいな姿になって体外に出る、ということはできないのか? とか、いろいろ分からないことが多い。 | ||||
100歳の華麗なる冒険 | 5/7 | ギンレイホール | 監督/フェリックス・ハーングレン | 脚本/フェリックス・ハーングレン、ハンス・インゲマンソン |
スウェーデン映画。原題は“Hundra?ringen som klev ut genom f?nstret och f?rsvann”。allcinemaのあらすじは「老人ホームで100歳の誕生日を迎えたアランだったが、何を思ったか窓から脱出して当てのない旅に出る。その道中、ひょんなことからギャングの黒い金が詰まったスーツケースを持ち逃げして追われる身に。それでも、まるで動じる様子のないアランは、途中で知り合った70歳の老人ユーリウスと意気投合、飄々と酒を酌み交わす。そんな恐れ知らずの超マイペース老人アランだったが、それもそのはず、彼はその100年にわたる人生の中で幾多の歴史的節目に立ち会い、フランコ将軍やスターリンはじめ何人もの歴史上の要人と親交を持ってきた、知られざる20世紀の大人物だったのだ」 ホラ話のようなおとぎ話のような。ムチャクチャなバカ話である。別にホラを吹いているわけでなく、そういう(歴史的人物と関わりを持ち、歴史の転換点に必ずいた)という設定なのだから、話しの上では事実なんだろうけど。まあ、ご都合主義的な話ではある。けれど、あまりにバカすぎて、楽しすぎる、ということだ。 なぜアランがホームを抜けだしたのか、そのあたりはすっ飛ばしてる。本来なら、どうやって入所したか、何年いたのか、何が不満だったのか、描いて欲しいところではある。そういえば、アランに子どもはいたんだっけ? 忘れた。 基本的な構造としては、時制が2つ。現在進行形と、過去の記憶。それが交互に描かれるんだけど、現在のなにがしかの事象をきっかけに、過去のあのときは…だった、な感じで思い出される。まあ、アラン本人が思い出しているのかどうかは定かではないけど。 その過去をつないでいくと…。爆破好きな少年がいて、すでに人を爆死させてるんだよな。父親が変人で、クレムリン広場(?)で独立国を叫んで捕まって銃殺刑。その遺品が母親の所にとどくんだけど、中に入っていたなんとかの卵で目先の食料品を買ったら、その卵が凄い価値で、それで食料品店の主人は大金持ちに。でも、その主人がドライブ中に立ちションしてたのが、アランの仕掛けたダイナマイトの近くで。あえなく爆死して、その首が主人の彼女の前に落ちてくるという…。なんか、クストリッツァの映画みたいな豊穣さとアホらしさなんだよね。 爆破したくてスペイン戦争に参加。成果を挙げるけど、途中で飽きて、最後の橋を爆破するとき、そこにさしかかった連中を制止したら、それがフランコで。好かれてパーティに招待されるという…皮肉だけど、本人はなーんも感じてない。政治的な関心はない人なんだよ。アランは。 アメリカに渡ってビルの建設現場で鳶をしてたら原爆開発の仕事を耳にして。参加したらオッペンハイマーがいて。爆発させるヒントを囁いたらそれが大当たり。…ってことは、アランが広島・長崎を爆破させた張本人、ってことになるんだよな…。 その成功譚がソ連のスパイに知れ、ヘッドハンティング。スターリンに出会い、不敬なことも言ったりしたけど、「アメリカに行って知りたいことを聞き出してくるよ」てな軽はずみな調子で二重スパイになってソ連とアメリカを行ったり来たり。自分じゃなにをやってるか自覚のないままに周囲ではスパイ合戦で殺し合ってる…けど、本人はなんのこっちゃな感じ。 レーガン政権のときだっけ。フランスで出会った男がソ連時代の知人で、それをポロッと話したら大手柄になって…とかいう感じで、本人は何かしてる意識はまったくないのに、周囲は大変な状況…という人生を生きてきた、と。そういう人が100歳になって、突然ホームを抜けだした、と。 現在の時制も、基本は同じ。たまたま駅で男に「見てろ」と言われたカバンがあって。でも、パスの時間だからとカバンをもったままバスに乗ってしまい。たまたま降りた駅のオヤジと知り合いになる。カバンの中味は大金で、男は運び屋。男が探してやってくるけど、返り討ち。冷凍庫に入れておいたら凍死して。アランとオヤジは家を離れる…っても、根拠があるわけじゃない。途中でヒッチハイクしたクルマの主が、大学で単位ばっかり取りまくって、でも社会に出て仕事に就くことに不安なヤローで。3人で珍道中…というか、逃避行。でも、アランは何が起こってるのかまったく自覚なし。な感じで、象を飼っている女のところに転がり込んで。でも、その女の元彼が大金に関わりのあるヤクザの一員で、アランたちは狙われるんだけど、象がウンコしたり尻に敷いたりして元彼をやっつけてしまう…というご都合主義。ああ。なんてこと。 てなわけで、最後はアランとオヤジとヤローと女がクルマにのって逃避行…っても、みな何が起こっているのかはよく分かってないんだけど、大金のことはちゃんと知っていて、でも、アランから奪い取ろうとしないところが、律儀。 なわけで、4人はバリに向かうんだけど。なんでだっけ。まあいい。そのバリには大金の本来の持ち主である?大ボスがいて、彼はアランたちを特定して追跡するんだけど、カーチェイス以前に対向車と正面衝突してお陀仏。というわけで、あれこれ省略してるけど、件の大金を追う人間が、みんないなくなってしまう、という、なんと都合のいい話しだ! アランの立場からすると、巻き込まれ型のストーリーなんだけど。本人はまったく巻き込まれている自覚がなく、周囲が勝手に自滅していくというお話。だから痛快でもあるし、バカバカしくもある。まあ、ヤクザ側としたら、やることなすこと不運だらけ、ということで、気の毒でもあるんだが。 クロニクルというということでは『グランド・ブダペスト・ホテル』とか『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』なんかを連想するけど、様式的な表現の前者よりは圧倒的に面白いと思う。後者は仕掛けがキモだから、ちょっと違うかも知れないが。エキセントリックな感じは『アメリ』にも似てるかな。あと、↑でも触れたけど、クストリッツァの映画とか。でも、奔放さではクストリッツァに軍配かな。とか思いつつ見た。 ・ところで、あの、自爆したやつは誰だっけ? | ||||
イーダ | 5/7 | ギンレイホール | 監督/パヴェウ・パヴリコフスキ | 脚本/パヴェウ・パヴリコフスキ、レベッカ・レンキェヴィチ |
ポーランド映画。原題も“Ida”。allcinemaのあらすじは「1962年、ポーランド。戦争孤児として田舎の修道院で育てられた見習い尼僧アンナ。ある日、院長から唯一の肉親である叔母ヴァンダの存在を知らされ、修道女になる前に一度会うことを勧められる。さっそくヴァンダのもとを訪ねたアンナ。するとヴァンダから“あなたはユダヤ人で本当の名前はイーダよ”と思いも寄らぬ事実を告げられる。やがて彼女はヴァンダとともに、自らの過去と亡き両親の最期を探る旅へと出るのだったが…」 白黒スタンダードサイズであった。 サックス吹きのリスと出会い、でもアンナはそのプレイを聞きに行かず独り寝…の少し後ぐらいから寝てしまい、気づいたのはどこだっけ。アンナとヴァンダが墓に行き…何か埋めるところあたりからはちゃんと見たけど、この間に大切なことがあったのかも知れんな。 で、アンナは修道院にもどり、修道女の誓いをたてたのか? 仲間の女の子のシーンはあったけど、アンナのシーンはなかったんだよな。そういえば、そのちょっと前に入浴シーンがあって、タライに入ってお湯を浴びるんだけど、薄い衣装を着たままなのね。その仲間の女の子の艶めかしさをアンナが見るんだけど、あれは、アンナが清めをしなかった、ということなのか? よく分からず。 で、この辺りにヴァンダが投身自殺する場面があるんだが。あれはなんだ? 戦後、ソ連によって制圧され、反体制側の活動家を裁判で処分し続けたトラウマなのかな。過度の飲酒も現実逃避で、それが高じて自死ということなのかな。まあ、寝ていた間に両親の行く末が分かってて、それも影響があるのかも知れないけど。 アンナは、行く先々で「ユダヤ人か」と毛嫌い? 敬遠されるのは、ポーランド人がナチの手先となってユダヤ人狩りをした過去から目を背けたいからなのかな。たとえば2人が最初に訪れた家は、あれはアンナの両親が住んでいた家、なんだよな。で、いまの住人がいるわけだけど。彼らは、ユダヤ人であるアンナの両親を追い出して、あるいは、ユダヤ人狩りにあって空き家になっているところに入り込んだ、とかいうことなのかね。 でも、ヴァンダはアンナの叔母なわけだから、彼女もユダヤ人なんだろ? 彼女は、党や周囲の人々から、毛嫌いされてはいなかったようだけど・・・。 で、寝てしまって…。何か(両親の思い出?)を墓地に埋めて。いったん修道院に戻るんだけど、叔母の死を伝えられたのか、彼女の部屋に戻るんだよな。ところで、ずいぶん立派な部屋で、大きな絵画なんかも飾ってあったけど、あれは賃貸ではなく持ち家なのかな。で、叔母のドレスとハイヒールを身につけ、煙草と酒を試してみる。リスのステージを見に行き、ひと夜を過ごす…が、早朝、そっと部屋を抜けだし修道院に戻る、というラストなんだが。 あの部屋はどうするのか、が気になった。ヴァンダの持ち家ならアンナに所有権があるわけで…。リスに住まわせるわけでもあるまい。売って修道院に寄付でもしたのか? 下世話なことが気になってしまう。 あと、修道女の誓いを立てた後に↑のようなことをするわけにはいくまいから。やっぱり延ばしてたのかな。俗世の生活をしてみたかった? これで思い出すのが、アーミッシュが16歳で俗世で暮らしてみる「ラムスプリンガ」で。アーミッシュとして一生を送ると決断する前の猶予期間だ。その間は、なにしてもいい。これと同じようなことをして、俗世の未練を断ち切った、ということなのかな、と。 とはいっても、途中で寝ちゃってるからなあ。ははは…。 ・ポーランド映画? とか思いつつ、途中で確証は得たけど、説明はなかったよな。 ・で、戦後・ベルリンの壁崩壊前、は分かるけど、年代は曖昧。5〜60年代? ・アンナは何歳? ・ポスターには「1962年ポーランド」「少女は自分の出生の秘密を知るため旅に出た」とか書いてるけど、連れ回したのは叔母のヴァンダで、アンナは連れ回されただけだろ。だいたい、ポスターとか解説、予告編なんか見ないようにしてるからな、こっちは。それに、毎度いってるけど、映画は見て分からなくちゃ意味がない。説明書き読んだりしなくちゃ分からんような映画は、クソである。 ・叔母ヴァンダの家に行くと、男がいて。娼婦? と思った。「私があなたを引き取らなかった理由、分かるわよね」とか言っていたのは、それが理由か、と思ったんだけど。後で飲酒運転で事故したときも偉そうで。翌朝、担当の警察官がへいこらしていた。アンナにも「むかしは裁判官をしていて、死刑判決も出してた」とか、自慢気に言うのがまた、なんだかな、だけど。ではなぜあんな酒浸りなのだ? 自分が下した判決と関係があるのか? ・2人で踊るときにかかるのは、John Coltraneの“Naima”。コルトレーンの当時の愛妻だったNaimaに捧げた愛の歌らしい。 ・イヌイットがどうのというセリフ、なかったか? なんだあれ。勘違い? | ||||
イーダ | 5/7 | ギンレイホール | 監督/パヴェウ・パヴリコフスキ | 脚本/パヴェウ・パヴリコフスキ、レベッカ・レンキェヴィチ |
昨日は朦朧と見始め、寝てしまったのでリベンジ。 アンナが訪ねていったとき、ヴァンダの部屋にはひと夜を過ごしたらしいオッサンがいた。その上で「私の仕事について知ってる?」と話しているから、ヴァンダの仕事は娼婦、と思い込んでしまったのだった。 で、ヴァンダはクルマで自宅を出ていき、アンナはバス(電車?)に乗る。ここも最初は分からなかったところ。ヴァンダは裁判所に仕事にでかけていたのか。昨日は、裁判官がヴァンダとは気づかなかったのだった…。ところで、アンナはヴァンダの家に宿泊したのではなく、ホテルに泊まったのか? 飲酒運転の翌日、警官がへいこらしていた理由をヴァルだ話すんだけど。検事をしていて死刑判決をだしたこともある、と言っていたのは、ありゃ自慢だったなあ、いま考えると。別に、党の手先として判決を下していたことに呵責は感じてないぞ。で、その判決の例として「50年代初頭の紅いなんとか事件で」とか言っていて、時代が1950年中盤以降であることは分かるけど、この映画の設定が60年代初頭とは分からんよな。ましてアンナの年齢も定かではないよなあ。60年としたって戦時中なら15年+αで、20歳ぐらいかもしれない。アンナは、少女といえる年齢かどうか、怪しいと思う。※Webを見ると18歳とあるが、映画では特定されてないぞ。 最初に行ったのは、アンナの両親の家…はその通り。で、「匿われた」という言葉が使われていたけど、ここが分からない。自分の家に匿われた? 匿ったのはシモンという男で、いまはその息子フェリクス夫婦が住んでいる、と。では、その経緯は? というのがキモなんだけど、フェリクスは何か隠している。で、酒場に行って、店主にアンナの両親のことほ聞くと、町のことは何でも知ってるという人を紹介される。で、その人のことはざっくりカットで、シモンの住んでる部屋を訪問するシーンになってしまう。が、シモンは不在…どうも入院しているらしい。なんだけど、シモンはどうして息子と一緒に住んでないんだ? このバーの場面で、バーにいた男に、探している人物は「ユダヤ人か?」と問われ、ヴァンダが「イヌイットよ」と応えるんだけど。これは冗談なのか? それとも、ポーランドにおけるユダヤ人の特長が東洋人的であることを示しているのか? なぜかというと、ずっとあとで、フェリクスがアンナを助けた理由を話すんだが。そこで、ヴァンダの息子は「色黒だし、割礼していたから…」というのだ。割礼は分かる。けど、ユダヤ人=色黒という理屈が分からない。通説なのか? で、ヴァンダは来る途中で乗せてやったサックス吹きのリスのステージを見に行って。アンナは一人就寝…というところに酔ったヴァンダが男と帰ってくる…あたりで寝てしまったんだった。ははは。 この直後だっけ? アンナが一人でステージ終了後のジャムを聴きに行くシーンがあったな。ここでやってたのがコルトレーンの“Naima”だった。2人でダンスする前にいちど登場してたのか。この辺りの描写は、女としての燃えたぎる欲望なのか。そういえばクルマの中でヴァンダが「みだらなこと(だっけ?)を考えることある?」みたいな問いをアンナにしていたけど、伏線だったのか。伏線といえば、最初にヴァンダと会ったとき「私には兄弟がいたの?」な質問をするんだけど、あれも伏線だったんだな。そういう地味な伏線は、張ってあったりする。 狭い町だからか、シモンの入院している病院はすぐ分かって。ヴァンダが問い詰める。そこで分かったのは、シモンがアンナの両親と、ヴァンダの幼い息子を殺して埋めた、という事実なんだけど。それ以上に説明がないのだよな。ポーランドにおいてユダヤ人差別があり、大戦中に少なくないユダヤ人が虐殺された、ということは知っていたんだが、具体的にことはよく覚えていないしなあ。 Wikipediaの「ポーランドにおけるホロコースト」とかが下敷きにあるのかね。そして、それは、西欧の共通認識としてある、という前提なんだろうか。でも、俺たち日本人にゃ分からんぜよ。 ヴァンダは戦時中、息子を妹夫婦(アンナの両親だな)に預けて(かな?)出征していたらしい。なんで、アンナ夫婦は幼い2人の子どもを養っていた、と。そこに、ポーランド人によるユダヤ人迫害。シモンが、最初からアンナの両親を殺す目的で近づいたのか、匿おうと思いつつできずに殺すに至ったのか。それは分からない。あえて説明しないところは、別に奥ゆかしくも何ともない。分かりにくいだけだと思う。 しかし、ヴァンダはずっと息子の行方について調査したりはしなかったのかね。それが疑問。あるいはまた、ヴァンダもユダヤ人でありながら、検察→判事と党の幹部に出世できたのは、どういう理由なんだろう。そういう地位にありながら、なぜアンナを引き取らなかったんだろう。というのは、これまた大きな疑問。 というところに、シモンの息子のフェリクスがやってきて。「家はあきらめてくれ。殺したのは俺だ。オヤジじゃない。埋めた場所を教えるから、もう忘れてくれ」といいにくるのが、なんだこいつは、な感じ。シモンは匿おうとしたけど、息子が反対して殺した? 経緯は分からない。しかし、身勝手なことを面と向かって堂々と言うよなあ、という感想。 3人で森に行き、しゃれこうべがひとつ映るけど、あれはアンナの母親か。あと小さなのはヴァンダの息子? アンナが自分が助かった理由を問うとフェリクスは↑で書いたようにヴァンダの息子は「色黒だし、割礼していたから…」といい、アンナは「俺が助けて教会に連れていった」と恩着せがましく言うのだよ。ううむ。 遺骨を受け取って、先祖伝来の墓地に行き、ヴァンダとアンナが埋める…。で、アンナは修道院へ戻る。これで一件落着? なんかな。ヴァンダは当の相手を責めないのか? 裁判官として日々、厳罰を与えている身分なのに、個人的な恨みは果たさないの? ううむ。そういう時代ではないのか? で、この後、ヴァンダは昨日も書いたように自死する。昨日の判断では、党の手先として判決を下す毎日を悔いていて…とか書いたけど。どうも違うみたい。飲酒も12歳からといっていたから、ストレスとは関係ない。自分の息子を死に至らしめた自分の責任を感じて、なのかね。簡単に調べられるようなことをずっと放置しておき、いまさら事実を知ったから落ち込むというのも、なんか「?」であるよな。飲酒癖も関係ないようだし…。あ、それはそうと、ヴァンダの子どもの男親は、誰なのだ? で、アンナはヴァンダの家に戻ってくるんだけど。修道院では、主の前で修道誓願は「まだムリです」とか告白しておったし、当日も仲間と一緒ではなく、外れていたよ。でもよく先輩修道女は許したよな。あ、ところで、食事中に「くくっ」と笑うのは、ありゃなんなのだ。俗世の欲に惹かれていることを示唆したりしているってことか? で、あとは昨日の感想と同じ。俗世へ思いを思い切り体験し、それで未練を断ち切って修道院の生活に入った、ということなんだろうけど。なんか、それって個人的体験であって、自分の出生の秘密を知ったこととは関係ないよなあ。 ・ヴァンダの葬儀にリスがやって来て、それで再会するんだが。ヴァンダの死は新聞とかでも大きく取り上げられた? ・イーダはユダヤ女性に多い名前、とかも書かれているけど、そんなことは分からんぞ。日本人には。 ・ヴァンダが自分をマグダラのマリア(Wikiによると、罪の女?)になぞるところがあるけど、そんなの分かるわけがない。日本人には。 | ||||
ゴーン・ガール | 5/11 | ギンレイホール | 監督/デヴィッド・フィンチャー | 脚本/ギリアン・フリン |
原題も“Gone Girl”。allcinemaのあらすじは「ミズーリ州の田舎町。結婚して5年目になるニックとエイミーは、誰もが羨む理想のカップルだった。ところが結婚記念日に、エイミーは突然姿を消してしまう。部屋には争った形跡があり、大量の血液が拭き取られていることも判明する。警察は他殺と失踪の両面から捜査を開始する。美しい人妻の謎めいた失踪事件は茶の間の注目を集め、小さな町に全米中からマスコミが殺到する。すると、次第にニックの不可解な言動が明るみとなり、いつしか疑惑と批判の矢面に立たされていくニックだったが…」 去年の話題作。前知識はほとんどゼロで見た。ミステリアスで妖しい話かと思ったら、キチガイ女に振りまわされる浮気男の話で、恐ろしさもうっすらあるんだけど、基本コメディだったのには驚いた。インタビューの練習で不適切だと弁護士に豆を投げられるんだけど、妹が投げたときぱくっと口に入れたときは場内から笑い声が出るほど。他にもクスクス笑えるシーンが結構あった。 それと、ガールっていうから少女が消える話かと思ってたのに、30過ぎのオバチャンだったので拍子抜け。あとは、こないだ『その女アレックス』という話題のミステリーを読んだんだけど。キモとなる仕掛けがほとんど同じだったのに驚いた。どちらかが影響されているのか? で。最初の1時間ぐらいは、2人の出会い、そして失踪事件。マスコミはニックを犯人扱いして連日放送。でも、ニックが手を下したようには見えない演出で進んでいく。たとえば記者会見で意気消沈のはずなのに、カメラマンに「笑って」といわれると思わず笑っちゃったり。犯罪オタクなオバチャンと一緒に写メったりと、ボンクラというかマヌケぶりは、何もしてないという証左だろ。 途中、ニックが教え子と浮気進行中だったことがバレて。弁護士に「自ら告白して謝罪すれば好感度が増す」とかいわれるんだけど、なんと先に愛人の方が記者会見してしまう。でもニックも人気キャスターとの対談を成功させ、まずまずの感触…というあたりは、昨今のアメリカの犯罪報道を茶化してる感じだね。 で、あるところからエイミーの独白部分が入り、彼女がいかに工作(自分の血をぬいて床に撒き、拭き取るとか。偽日記を半焼きにするとか。ヒントの封筒をあちこちに置くとか…)して町を脱出したか、そして、その後は現在進行形で、ニックの状況と交互に映し出されていくんだが。自分が亭主に殺された、という工作をしたからカードは使えないし、クルマからも指紋を拭き取り、存在を消そうとする。ところが、住まったアパート(?)の隣人女と仲良くなったのが運の尽き。手持ちの現金を見られたことから、隣人女とその彼氏に奪われて一文無し。で、高校時代にストーカーされた相手デジーに連絡したら助けてくれて。でも、監視カメラ付きの別荘に軟禁状態にされて…さてどうしたものか…と思っていたら、なんと。エイミーからデジーをベッドに誘い、あっという間にイッちゃった直後にデジーののどをかっ切って逃走。自宅に戻り、デジーに誘拐されていたとか云々かんぬん。 妻が戻ってきたので犯罪者から美談に変わってしまい、ニックは英雄扱い。2人はよき夫婦を演ずるんだけど…。 人殺しまでして戻ってきたエイミーに、ニックはもうついていけない。そもそも2人の仲は最悪だった(ここがよく分からんのだが)し、そのうちエイミーが妊娠してることが分かると、恐ろしくなってきて「別れる」っていうんだけど、エイミーは「別れられないわよ、ふふふ」という反応。あな怖ろしや。という話。なんだけど。いろいろ疑問はある。 そもそも2人がなぜ惹かれ合い結婚したか。エイミーは有名な作家の娘で、理想的な少女として作品のなかで描かれ続けてきた過去がある。しかもハーバードを卒業したインテリ。それが、たとえ編集者とはいえ、ニックみたいな男となぜ? な感じが残る。 ニックの母親が病気になり、2人はニックの田舎に越すんだけど、そういう感覚というのはアメリカにもあるのか。病気になっても別々に住んで、たまに見舞う、ぐらいかなと思ってたんだけど。しかも、ニックは二卵性の双子で、妹のマーゴがいる。だったらなおさら、田舎に戻らなくても…。しかも、田舎に戻って仕事がなくなったニックは、マーゴとバーを開店する。その資金はエイミーが出していて、この時期、生活はエイミーにおんぶに抱っこだった。そのうち地元の大学に職を得るけど、そこで教え子に手を出して・・・。交際の現場を、エイミーに目撃されてたりもした。ニックは気づいてなかったけど…。 でね。エイミーが自宅から出奔するシーンで、彼女がニックに対する不満みたいなのを早口で連発するんだけど。字幕を追うのが大変で、あまり読み取れていない。いったい彼女はニックのどこに不満だったのか。さらに、なぜまたニックを自分殺した犯罪者として仕立て上げる、という凝り過ぎな設定をしなくちゃならなかったのか。というあたりが、いまいちストンと腑に落ちなかったりする。 だいたい、ハーバードを出てニューヨーク暮らしが長いエイミーが、田舎に3年(だったかな?)も暮らす、ということ自体が納得いかない。彼女はそんなにニックに頼り切っていたのか? 子どもをつくりたい、といったけどニックに反対されたようだけど。そんな家庭的な女性だったのか? ニックに愛想をつかしたなら、さっさと都会に戻り、別の男を捜すなり、どっかで働くなりすればいいじゃないか。…と思うと、なんかこの話も、むりくり創り上げてる感じがして、いまいち凄さを感じない。 あと。終盤で。いくら軟禁状態がいやだからって、まさかデジーがエイミーを殺そうとはしないだろうし。デジーが出勤中に逃げればいいじゃないか。監視カメラだけだろ、あるのは。なぜデジーを殺す必要があったの? いや、その前に。人を殺す狂気がどこにあったのだ? さらに、デジーの精子を仕込んで、それでニックを苦しめてやろう、という発想はどこからきてるんだ? そのために人殺しまでするか? というわけで、最後は、この女ってキチガイだな、としか思えない結末なのであった。あんな感じで夫を支配下に置いて、どこが楽しいんだ? そういう女だったのか? もともと。理想的な女として描かれてきた反動? にしても、キチガイだろ。 ・デジーとの生活がずっと監視カメラの映像で残ってるなら、エイミーの虐待されてた、という主張は通らないんじゃないのかな。 ・『その女アレックス』では、自分を“そういう”女にした張本人である相手を陥れる、というれっきとした根拠があったけど。この映画は、たんなる浮気夫への制裁だろ。にしては、事が大げさすぎて、なんかな、な感じ。 ・地元のボニー刑事は女性で。やり手っぽいけど、あんな刑事がずっと捜査の指揮を執りつづけるというのは、あり得るのか? ・インテリで美しいエイミー。という具合に見えていたけど、失踪後、髪を切ったり、あれこれし、金を奪われてデジーに助けてもらう頃にはボロボロになってた。まるで別人のような顔つき。というかメイク? 女優は凄いね。 ・あ、あと。よく分からなかったのは、物置に入ったままの贈り物の山。あれは何を意味してたんだ? 読み切れず、理解し切れてない字幕が結構あるのだよ。 | ||||
トラッシュ! -この街が輝く日まで- | 5/11 | ギンレイホール | 監督/スティーヴン・ダルドリー | 脚本/リチャード・カーティス |
原題は“Trash”だけ。イギリス/ブラジル映画。allcinemaのあらすじは「リオ郊外のゴミ山で暮らす3人の少年ラファエル、ガルド、ラット。ある日、彼らはゴミの中から1つのサイフを見つけ出す。ほどなく警察が現われ、そのサイフを血眼に探している様子に何か裏があると悟った3人は、警察には内緒にすることに。すると案の定、そのサイフには世の中を震撼させる大きな秘密が潜んでいることが明らかとなってくる。正義感に突き動かされた少年たちは、悪徳警官に命を狙われながらも、日頃から世話になっているアメリカ人神父ジュリアードと彼のボランティア・スタッフ、オリヴィアの助けを借りながら、ある驚くべき真相へと迫っていくのだったが…」 まず頭に浮かんだのが『忘れられた子供たち』『神の子たち』で、これはフィリピンのスモーキー・マウンテンに住み、ゴミ拾いで生計を立てている人々の話。フィリピンだけかと思ったら、同じことはブラジルでもあるのか…と。 で、↑のあらすじのような展開なんだけど、「正義感に突き動かされた」と「アメリカ人神父ジュリアードと彼のボランティア・スタッフ、オリヴィアの助けを借りながら」はウソ。たんに「警官が嫌い」というだけのことだ。それと、オリヴィアには刑務所に行くとき助けてもらったけど、彼女は事の背景をほとんど自覚していない。神父の方は、金を黙って拝借されたり、利用されているだけのこと。財布の暗号解読は、ほとんど3バカ少年がやっていた。 冒頭で、男が棺桶を立体型の墓におさめるシーンがあり、その後、彼はどこかの一団に襲われる。そのとき、財布を道路に放り投げ、ゴミ車の荷台へ…ぽとり。男は、結局、殺されてしまうんだが。中盤で、この男はある政治家の手先として働いていて、賄賂とか帳簿の存在も知っていたことが分かる。義侠心から政治家の下に潜入し、時を見計らって賄賂と帳簿を盗み出し、隠した、という次第。 財布には、鍵とか証明写真、ロトのカード? みたいなものが入っていて、まずは鍵を使ってコインロッカーから一通の手紙を発見する。宛先は、現在、刑務所にいる政治犯。その政治犯に会うために、オリヴィアが助け船を出す、ってわけだ。あとは聖書、財布に入っていたモロモロがヒントになって、冒頭の隠し場所までたどりつく、という話。 典型的な巻き込まれ型だけど、警官に追われながらも、命を賭けてなし遂げようとするのは、まあ、そういう脚本にしたからだろう。とても現実には起きそうもないような気がする。つくりごとだ、と分かってもテンションが維持できるのは、少年たちの魅力と、暗号の解読という作業が付随しているからだと思う。まあ、聖書の章とワードの順番とか、よくある暗号だけど、14歳だっけ、な、でも頭の程度は並な連中があーだこーだいいながら少しずつクリアしていく様子が微笑ましい。 3人とも、いいキャラしてて、すぐ横道にそれたり、言い争いになったり、肝心の聖書を無造作に扱ったりと、あまりにもズボラというか大雑把。「そんなことやってないで、ちゃんとやれ!」と声をかけたくなってしまうほどだけど、子どもだから仕方ないのか。 あれやこれやあって、最後は、隠された大金と帳簿を見つけ、悪徳警官に見つけられはするけどなんとか脱出して。金をゴミの山で撒くというのは『スラムドッグ$ミリオネア』みたい。墓場に隠れていた女の子は、冒頭の男の娘なんだろう。黙って借りた金に利息を付けて神父に返し、少年3人と女の子はヒッチハイクでどっかの海岸へ。そこで魚採りをしてたりするんだけど、そんなあなた、いまどきそんなパラダイスみたいなところはないですぜ。おとぎ話としても現実離れしすぎで、もうちょい地に足のついたラストにして欲しかった、というのは本心。 ジュリアード神父は、誰だっけかなあ、あの顔。と思っていたら、マーティン・シーンだった。そうだそうだ。オリヴィアは、生真面目で清純そうな面立ちが好ましいな。でも誰だっけ、と思っていたら『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラが。エライ変貌だ。主人公はポルトガル語(?)だから現地の少年を使ってるんだろうけど、よく見かけるハリウッド俳優を使い、ユニバーサル映画だから、告発色はあっても娯楽映画を意識してるんだろう。 ・あんな、政治家の賄賂、警察の腐敗ぐらいで、簡単に人(子ども含む)を殺す(あるいは銃を向ける、発砲する)かい? なところはあるんたけど。でも、昨今の海外では、テロなんかで子どもも女性も関係なく、簡単に殺してしまうようだから、ホントにあんなこともあるのかも。と思ってしまいそうだ。 ・金を撒くのはストレス解消になるだろうけど、本質的な改革にはならんよな。かえって、拾った金をめぐって諍いが起きそう…。それに、政治家と警官が捕まっても、それで健全になったともいえんだろ。同じようなことはまだいくらでもあるはず。まずは貧困の解消と、教育の徹底。あとは、個人の自立心、誇り…なんだろうけど、南米じゃムリだろ、な感じがしてしまうのは、偏見か? ・サブタイトルに「この街が輝く日まで」とありながら、町を抜け出てしまうのか? 神父とオリヴィアのもとで勉強しろよ。と思ったのは、俺だけかね。 ・女の子は、自分の父親が惨殺されたことを知らないまま、なんだよな。そんな状態で、浜辺でウキウキできるとは思えないんだが…。 ・内容、というより、雰囲気がなんとなく『シティ・オブ・ゴッド』に似てる気がした。 | ||||
フォーカス | 5/12 | シネリーブル池袋シアター2 | 監督/グレン・フィカーラ | 脚本/グレン・フィカーラ、ジョン・レクア |
原題も“Focus”。allcinemaのあらすじは「超一流の詐欺師ニッキーは、30人もの腕利き詐欺師を束ねる犯罪集団のリーダー。相手の視線“フォーカス”を巧みに操り、どんなに難しい詐欺でも華麗に成功させていく。ある日、そんなニッキーに近づいてきた新米女詐欺師のジェスは、ニッキーを騙すはずがあっさりと見破られ、反対に弟子入りを志願することに。グループに加わったジェスは、メキメキと頭角を現わし、ニッキーとも深い仲になっていくが…」 ジェスが最初にニッキーに接近してきた手口が美人局、ってのがショボイんだけど…。まあ、仲間になって、ニューオリンズでの手口の披露は面白い。けど、ちょいと露骨にミエミエではないのか。まあ、映画だからな。しかし、最初の方は詐欺ではなく、スリ。しかも、数10人のボスというのが凄い設定。フツー数人でも仲間割れする話が多いのに、なんだこのチームワークは。まあ、映画だからな…。 ところで、この間にニッキーとジェスはいい関係になって。なんとニッキーは父と祖父のこと、父が祖父を撃ったこと、殺さずに撃つ方法があること、とか自分のことをあれこれ話してしまう、というのはいかがな物か。伏線として大事だろうけど、そんな軽々しく事実をしゃべるというのは、どーもね。ジェスにその話を聞かせる必然性があるなら別だけど、最後の場面でも彼女はピンとこなかったわけで。ちょっと杜撰。 で、アメフトの場面ではまんまと引っかかってしまったよ。稼ぎ出した120万ドルをニッキーが預かって。その足で2人はアメフト会場へ。2人のささいな賭け事に興味をもった中国人が割り込んできて、掛け金はどんどんエスカレート。しかも、どんどん負けが込んで120万ドルもっていかれ、「2掛けで」とかいう賭けにでるんだけど、からっけつなのに勝負になるの? で、その勝負は、中国人が好きな選手を当てる、というもので。しかも、ジェスに「お前が当てろ」というのだから、そりゃないだろ。ニッキーって、そんなに賭け事が好きなのか? 緻密で冷静な詐欺師だと思ったのに…。こころがムカムカしてきてしまった。あまりにもバカすぎないか。…と思ったら、その賭け事も仕込みがされていた、という話。おいおい。59%の成功率だって? そんな賭けに、仲間全員が乗ってるわけか? いくら55という数字(選手の背番号)を刷り込んだからって…。しかも、ジェスが55番の選手を選ぶ保証もないのに…。というわけで、引っかかったとはいえ、話が都合よすぎ。 で、その帰り、ニッキーはジェスに8万ドル与えて「じゃあな」とそっけなく別れてしまう…って。あらら。 3年後、ニッキーはF1チームに接近していた…んだけど、なぜにF1? どうもあるチームから依頼を受けて、ニセモノのソフトをライバルチームに売りつける、というような仕事を受けたようだ。実は、打合せの場面で作戦を話していたんだけど、ちょっとぼーっとしててよく聞いてなかったんだよね。ははは。 で、そのライバルチームに接近するため、パーティで芝居を打つんだけど、この件がいまいちスッキリしない。依頼主ガリーガを殴って、それがどうなるのか? たかがそれだけで仕込みになるのかい? さらに。このパーティでジェスと再会するんだけど、彼女を見てニッキーが動揺し、最初、仕込みに失敗するんだけど、あれは本心なのか? で、ジェスはガリーガの恋人、というようなことを言い、ニッキーがいささか嫉妬したりするようなところがあるんだけど、まあ、ラストを考えると本心なのかもしれないんだが。よく分からない。ジェスに「一緒に逃げよう」とか言ったり、仲間のファーハドを呼んで工作したりするんだけど、ジェスは振り向かない…と思っていたら、ジェスが誰かに誘拐されるみたいなことになるんだっけかな。で、なんかよく分からんけど、疲れ果てたようなジェスがニッキーの部屋の前に座り込んでいて、こんどはやすやすとニッキーを受け入れるという、このあたり、ラストの展開から見てもよく分からない。 で、なんか知らんけど、ニッキーはライバルチームにソフト(ありゃ、何のソフト何だっけ。聞き逃してる…ははは)の売りつけに成功し、なんかよく分からないけど、他のチームにもUSBで渡し、それぞれから大金をせしめるのだよ。で、ジェスと逃げようと部屋に戻るんだが、そこに「バレたぞ」と電話があって。でも「7時に待ってる」と約束してるのにジェスは現れない…と思ったら、大幅に遅れてやってくるんだが、彼女は何で送れたんだ? ラストの展開を考えても、理由は分からない。まあいい。2人は大金をもって逃げようとするが…そこに、依頼主のチームの1人がクルマで体当たりして反撃する(そのためにマウスピースとかあれこれ買いそろえるシーンがあるんだけど、彼はニッキーのクルマに体当たりできる確信はあったのか? どういう確信だ? たんに話を面白くしてるだけだろ。 で、ガリーガが言うには、ニッキーは本物のソフトをライバルチーム以外の多くのチームに売りつけた。それで儲けるとは太い奴だ、と。ん? それがニッキーの企んでた大仕事? なんかしょぼくないか? ガリーガはジェスに拷問を加え、「どうやってソフトを盗んだ?」と問う。ニッキーは「ジェスのネックレスに盗聴マイクを仕込んで、キーの音からパスワードを割り出した。それでハッキングした」と応えるんだけど、ガリーガが大笑い。「そいつは恋人なんかじゃない。俺の追っかけみたいな女。部屋に誘うと生理だとかいって逃げ回ってた。だいたいPCのパスワードは数時間ごとに変わってる」と。ジェスは「ガリーガのしてる腕時計が20万ドル(だったっけ?)のピアジェで、それを狙ってた」とポロリ。ええっ!? それは意外と言えば意外だけど、そんな嘘にニッキーが引っかかってた、ってことだよな。ニッキー、アホだろ。 それでガリーガがしつこく、「どうやってパスワードを知った?」と追求したら、なんとガリーガの配下のオーウェンズがニッキーを撃ち、彼は大出血。でも、騙されないぞ。ニセモノの血ではないのか? と思っていたんだけど、ジェスは泣き叫ぶ、ガリーガは「なんてことをした。始末は勝手にしろよ」と逃げてしまう。そこでオーウェンズが「死なないところに撃った」と言ってニッキーを蘇生させる。つまり、最初の方でニッキーがジェスに話した父親と祖父の話が伏線になってる、ってことなんだが。まずジェスがすぐに分かっても不思議じゃないよな。こちらは騙されはしたけど、べつに悔しくないよ。だって、オーウェンズのことを知っても、なるほど、とは思えないんだもの。だいたいオーウェンズは3年前からこの日のためにガリーガのところで働いていた、らしい。けど、3年前に、ガリーガがライバルチームを蹴落とすために工作を依頼してくる、ってどうやって知るのだよ。それともあれか。オーウェンズがガリーガを焚きつけたってことか? そんなことができるのか? ガリーガはそれに乗るような男だったのか? それに、ガリーガのソフトをライバルに売りつけるだけなら、妙な工作なんかしなくてもできるだろ。オーウェンズが手引きしてパスワードを盗み、それをニッキーに伝えれば済むはず。さらに、オーウェンズがニッキーを撃った理由も分からない。ニッキーは、オーウェンズ=父親が潜入していた、ということをゲロるつもりだったのか? たとえそれが知れても、問題ないんじゃないのか? など、疑問がどんどん湧いてくる。そんな中、オーウェンズはニッキーには甘いところがあり、女に惚れた、とかなんとか言うんだけど。なんか、いまいちとってつけたような感じで、いまいちなるほど感がない。 てなわけで、オーウェンズは大金をもって逃げるんだけど、去り際に「クリスマスに会おう」とニッキーに言うって、どういう親子なんだ? どうやらニッキーは拾われた養子らしいけどね。 で、最後は、重傷のニッキーを病院に連れていくジェス…なんだけど。この2人の本心はよく分からないままだな。ジェスは身持ちが堅いようだけど、そんなにニッキーに惚れていた? なら、再会したときそういえばいいのに、なぜにガリーガの女のフリをしつづける必要があったんだ? それから。ニッキーとジェスがひと夜を過ごした部屋にオーウェンズがやってくる場面があり。ジェスが見つからないよう逃げまくる、というシーンがあるんだけど。ジェスが逃げ回るのは、まあ、立場上(ガリーガの女という設定を守るために?)必要かも知れないが、オーウェンズが部屋をうろついて、誰かいるのか、と探し回る必要はないだろ。 ・エンドクレジットの最後にシャレードのテーマが流れてきたのは、オマージュと言うことなのかね。 | ||||
ラン・オールナイト | 5/18 | ヒューマントラストシネマ渋谷シアター2 | 監督/ジャウマ・コレット=セラ | 脚本/ブラッド・イングルスビー |
原題も“Run All Night”。allcinemaのあらすじは「ニューヨークのブルックリン。親友でもあるマフィアのボス、ショーンに長年仕えてきた殺し屋ジミー。そんな父親を毛嫌いし、距離を置いて生きる一人息子のマイク。ある日、彼は運悪く殺人現場を目撃してしまい、犯人から命を狙われてしまう。そんな息子の窮地をジミーが救う。しかし彼が返り討ちにした相手はショーンの息子ダニーだった。それを知ったショーンは、ジミーに対し“お前もマイクも両方殺す”と宣言すると、配下のギャングばかりか、買収した警察官や凄腕の暗殺者までをも動員して、徹底したジミー親子狩りに乗り出す。街中が敵となる中、マイクを守りながら決死の逃亡を繰り広げるジミーだったが…」 『96時間』からこのかた、中高年アクションばっかだな、リーアム・ニーソン。しかも、だんだん劣化しているような気もする。今回のも、途中でなんだか眠くなって。これ書いてるの23日だから5日しかたってないんだけど、記憶もおぼろ。いまいちだったな、な記憶しかない。 ジミーは、ギャングのボス、ショーンの昔からの子分で、30人ぐらい殺してきた。でも、いまは飲んだくれで金もない。…という設定がよくわからない。腕のいい殺し屋がどうしてぐうたらになっちまったのだ? 昔と違って、簡単に人殺しができないから? 他に才覚がないからなのか。ショーンにはダニーというバカ息子がいて。麻薬には手を出すな、っていうのに反発して勝手な行動をとって、アルバニア人を殺してしまう。が、それを目撃したのがジミーの息子のマイク(リムジンの運転手をしている)で。ダニーはマイクを抹殺しようとするんだが…。そんなことする必要があるのかね。というか、マイクは父親の過去を恥じて別居してるんだけど、ダニーのことぐらい知ってるんじゃないのか? まったく知らない? よく分からん。 マイクの家をつきとめ、殺しにやってくるダニー。そのダニーを、ジミーが射殺。そのことをショーンに告げると、「お前も息子も殺してやる」と、冷静に逆上するんだけど、そもそもバカ息子がしでかしたヘマなんだし。信頼する部下の息子を殺そうとしたのはダニーなんだから、それを勘案すればジミーもマイクも殺せないと思うんだが。バカ息子にはバカ親ということか。なんか浅はかすぎてバカらしい。 マイクは警察に逮捕されるんだけど、連行するクルマに激突し、息子を救い出す。ついでに警官も射殺する…って、こっちもバカ親じゃん。自分が逮捕されて息子の潔白を証明すればいいわけで、警官を殺すこたあない。 それにしても、「ひと晩だけ逃げればいい」みたいなことをいう場面があったと思うんだが。どういうことだ? ショーンが放った殺し屋もやり過ごし…。ん? 殺し屋? じゃあジミーの活躍する場も、まだあるんじゃないのか? でまあ、あれやこれやでジミーは単独でショーンを撃ち殺すわけなんだけど。むなしい。…で、そういえば、あの殺し屋はまだ生きていたはずだよな…と思っていたら、最後に登場してきて、ジミーに一撃。はーはー言って横たわっている場面は、そういうばこの映画のオープニングだったな。力を振り絞ってなんとかライフルに弾を込め、その一発をムダにすることなく、マイクを殺そうとしていた殺し屋を射殺。ジミーも息絶える。 で、サブストーリーとして、ジミーが誰を殺して来たか、そのリストを知りたいという刑事が登場してくるんだけど。なんのためにそんなことを知りたいのか、よく分からない。しかも、その刑事はジミーの遺体をさぐると、ジミーが手にかけた相手のリストを発見するんだけど、なんでそんなことを教えてやる義理があるのか、がよく分からない。 というような案配で、いろいろと必然性に疑わしい行動がたくさんあって、無理矢理、窮地に追い込んでる感じが否めず、いまいち入り込めなかった。 | ||||
ゴーン・ガール | 5/20 | ギンレイホール | 監督/デヴィッド・フィンチャー | 脚本/ギリアン・フリン |
2度目だけど、「?」がすっきりしたかというと、そんなことはなくて。「?」が増えているという状態。やれやれである。 自分をないがしろにする男に復讐するサイコな女の話。“ガール”というタイトルは、エイミーが成熟していない女性で、子供っぽいままであることを意味しているのかも。 ・エイミーはハーバード出身で、性格診断占いの作者? ・婚前契約…って、どんな内容だったんだ? ・アダム・サンドラーの映画が好き? とか言ってたっけか。通俗的と言うことか? ・ダンもエイミーも、理想の男女を演じたと言うことか? ・でも、出会って数年、結婚して2年はニューヨークで暮らし、ダンの田舎に越して3年、だっけ。6〜7年はつづいてる、ってことだよな。少なくとも、田舎に来る前までは円満だった。ずいぶん持ってる方じゃん。エイミーの元彼なんか、短期間で嫌われ、DVだかレイプ犯として仕立てられたんだよな。彼をそんな目に遭わせたのは、自分に関心が向かなくなったから、なのかも。普通のセックスではなく、SMなんかやだったんだろう。ずっと自分は王女様で、男にかしずかれているのが当然、と思っていたのかも。理想の少女エイミーが母親によって絵本にされていたことで、自分もそこに同化したいという思いがあったのかも。それで、フツーの人間になりきれず、理想を追い求めることこそが自分に課せられた使命、と思ってしまったのかもね。 ・まあ、世間知らずのお姫様だったんだろう。自分は理想の少女であらねばならない。捨てられるなんて信じがたいこと。だったら、相手を血祭りに上げてやる、というような…。エイミーは。ちやほやされることに慣れきっていて、自分が中心にいないと我慢できない。かといって、パートナーを捨てて自立することもできない。まして、苦労を背負って働くのも性に合わない。金なら、両親がいくらでもくれるし…。 ・出奔するときエイミーが言ってたのは「夫に勝ち逃げさせない」だったな。好きなときだけ抱いて、あとは知らん顔? 揚げ句は若い教え子と仲良くなって…。でも、結婚5年目の記念日には、ダンも離婚を切り出そうとしていた。ダンの心も離れて行っていたわけで。では、エイミーのどこが悪かったのか。その点については、触れていなかったような…。亭主が逃げ出すほど、エイミーは変だった? どこが? あるいは、自分の負けを認めたくないから、の方が妥当かな。 ・出奔先のリゾートホテルで。ダンの告白を聞いているエイミーの目がらんらんと輝いてくる。あれはダンへの愛情の再燃だろうな。このあたり、エイミーって単純。ダンが言ってることはテレビ向けだ、演出されている、ということに気がつかない。それぐらい幼い。 ・エイミーは出奔後、計画を立てていたようだけど、よく分からん。トイレで紙を切ったりなんだりしてたのは、自分の存在を消すため、だろうけど。よく分からんこともやってたような。それから、入水して死ぬつもりだったのか? でも、なんで? 死んでまで夫に罪を着せたかったら、自宅で夫に殺されたように工作すりゃいいだろうに。で、リゾートホテルで、死ぬ予定の日付から付箋を剥がしていたけど。あれは、死ぬのはやめた、ってことか? あのあたり、よく分からず。 ・エイミーの工作も、穴が多い。出血多量で死んだ、と思われていたエイミー。助かったときは、そのエイミーの傷について誰も調べようとしていない。傷がないのに、どうして床が血の海に? と調べれば、エイミーのウソがすぐバレるだろうに。それと、デジーの家の監視カメラ画像をちゃんとチェックすれば、誘拐されたわけではないのは分かるはず。 ・凶器の棒も、エイミーがダンに贈った人形の棒かなんか? それがいつのまにか床に落ちていて、それをデジーが拾ってエイミーを殴った? 変だろ、それ。 ・クレジットカードの使いすぎ、という話もあったけど。じつはエイミーが使っていたわけで。エイミーが、おそらく通販で買ったブツが、妹のマーゴの倉庫にしまってあったんだっけ。それだって、ブツがそんなところにあったら、変だよな。警察は、なんで突っ込まないんだ? それに、エイミーは、大きな荷物までえっちらマーゴの家まで持っていったのか? その倉庫に、ダンへの贈り物を隠していたっていうのも、変。 ・エイミーの妊娠はデジーの精子、と思っていたけど。ダンの精子をどうたらという話もあったんだな。2人は不妊治療をしてたのか? ダンの精子を捨ててしまったとか、だっけ? その精子がまだあって、それで妊娠した? もういちど見ないと、その辺りは良く分からない。 ・ああ。あと、最後の方で。ダンとマーゴが、「18年も一緒に住んで親権を放棄」とかなんとか話していたような記憶があるんだけど、ありゃなんなんだ? 意味が分からない。 | ||||
リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン | 5/22 | 新宿武蔵野館2 | 監督/アンドリュー・ラウ | 脚本/アンドリュー・ロー、マイケル・ディ・ジャコモ |
アメリカ/香港。マーティン・スコセッシが製作総指揮。allcinemaのあらすじは「1983年、ニューヨークのクイーンズ。中国から密航船でやって来た不法移民の少年サニー。移民を仕切る組織の差配で、同い年の少年スティーブンとその母親のもとに身を置くことに。やがて成長したサニーとスティーブンは、地元の有力ギャング“グリーン・ドラゴン”に引き抜かれる。そしてボスのポールから、移民の彼らがアメリカで生き抜く術を学んでいく。そんなグリーン・ドラゴンが、他のギャング団と抗争を繰り広げる中で、決して犯してはならない1つのルールがあった。それは、“白人を巻き込まない”というもの。白人さえ絡まなければ、警察もFBIも動くことはないというのだった。やがて組織の幹部に昇格したサニーは、ポールの知人の娘ティナと恋に落ちるのだったが…」 こんなの見せられたら、中国人はバカ、野蛮、下品、を印象づけるだけだよな。と思っていたら、ラストで、この映画は現実の事件に基づいている、と分かる。へー。でも、ラストで本人写真がでてきたのはポール、幹部のチャン、移民を仕切るボス女だけ。大分脚色されていて、主人公の2人の青年や、その彼女の話は創作だろうな。…と思っていたら、公式HPに、似たような事件(中国人少年2人がレストランを襲い、店の主人と白人を殺した事件があった、という話がでていた。ううむ。 あと、驚いたのは、襲ったのが16歳の中国人少年2人と、兄気分のチャンは20歳とある。あらー。どっちもみな5、6歳上かと思ってたよ。 中国人だけの場面は、おおむねバイオレンスなんだけど、スピーディで迫力もあり、裏切りの裏切りとか、『仁義なき戦い』を彷彿とさせるところもあって、見せる。そこに中国人の刑事と、レイ・リオッタの白人刑事ブルームの動きが平行して登場すると、からきしつまらなくなる。いや、中国人の刑事はまだいい。ブルーム刑事は、完全にアメリカの観客向けのキャスティングだろ。ほとんど本筋とは関係ないところでしか動いてないし。 サニーは、ホントはいいやつ、な視点があるけど、そんなことはないはず。映画的美化だな。他の青龍メンバーと同様、些細なことで意地を張り、カッとなって人を殺すアホだったんじゃないのかね。 そもそも、意気地がないやつはギャングになれないだろうし。非情な素質を持っていたんだろうと思う。その彼が、ポールの知人の娘と恋に落ちる。まあ、よくあるパターンだな。この知人はテディといい、芸人らしいけど、ポールは彼にどんな恩があるんだっけ? 軽く説明してたけど、忘れた。 警察も、中国人同士の抗争には、及び腰。というか、面倒だからやらなかったのか。それが、スティーブンが店を襲撃したとき白人を撃ってしまい、警察も本腰に。で、そのとき店にいたテディの娘が裁判で青龍メンバーを証言し、これで青龍は一網打尽かと思ったら、なんと全員釈放。…という経過が、アバウトすぎていまいち納得できないまま、娘は青龍のチャンなんかに拉致され、殺される。それを見たサニーが恨みを晴らそうと、サニーは香港に移住した青龍のボス、ポールを追う。が、返り討ちにあって一巻の終わり。…なんだけど。最後に彼を撃ったのは誰? そのシーンの後「兄弟だっていったろ」とか。ポールが中国人刑事に「会ったことあるな」というと、中国人刑事が「毎日締められてた」という言う会話がリフレインされるんだけど、サニー撃ったのは中国人刑事? 違うよな。ちゃんと顔を写してくれれば分かるんだけど、なにせ一瞬で。ポールのただの単なる手下? 分からないので、後味が悪い。因果応報(ではないけど、似たような常套用語)というのも、サニーが撃たれて、通じる理でもない。むしろ、悪い奴ほど良く眠る、だろと思った。 スティーブンは、裁判の後、ポールの命令で抹殺される。のだけれど、ポールという存在がいまいち芒洋としたままで、自分では手を下さないけど、かなりの冷酷な男。いろいろ思い返すに非情すぎる話で、それじゃ誰も浮かばれないよな、な話である。 こういう話のなかで、白人刑事のレイ・リオッタはもう、浮きまくり。だって、本筋に絡まないんだもの。 ・移民の元締めの女は、青龍に近い存在なんだよな。しかも、食料品店を経営している。ならば、他のギャングからの威圧がなかったのだろうか? 他のいくつかのギャングはさらっと紹介されたけど、主な敵は白虎だけで。抗争の関係図がよく分からない。 ・移民の元締めの女とか青龍のチャンとかがいう。5人に3人しか密航は成功しないけど、香港にいたらつまらない人生。アメリカに来れば夢がある。「私はアメリカンドリーム」と移民の元締めの女はいうけど、いつ抗争に巻き込まれるか分からんような状態のどこがドリームなんだ? それに、戦っているのは他国の移民ではなく(韓国ギャングが混じってたけど)、ほとんど同国人。争うより強調した方が良かったんじゃないの? ・「アメリカンドリーム」を願ってまともに麻雀屋やってりゃ、甥(スティーブン)が「税金だ」といって仲間を連れて襲ってきて、その家族を暴行する。なんだかな。ギャングになって刹那的に生きれば満足? ここらへんも、かつての東映ヤクザ映画と通ずるような気がするが、そういうことに共感は得られるのだろうか? ・ポールが嵌めた、床屋で会った白虎のやつは、ボスじゃなかったのか? あとから撃たれたハゲ?がボス? ちゃんと白虎の親分子分関係を描かないから分からない。 ・ポールはテディを麻薬の運び屋に仕立てるんだけど、テディはそんなことはつゆ知らず。月餅を運んでるだけ、と思っている。で、麻薬を白虎に渡したところで警察に踏み込まれ、テディと白虎は一網打尽。ってことは、ポールは恩あるテディに危険な橋を渡らせた上、逮捕されるよう仕向けた、ととれるのではないのか? ・テディが運び屋になり、受け取った金を図書館の本に挟むんだけど。それは、本をメディアとして娘と会話あるいは金の受け渡しをすることになっていて。でも、それって、図書館の、絶対に誰も借りず、整理もされない本を選んでるということなんだろうけど。危ういよな。そんな上手くいくとも思えない。 ・テディの娘が承認するに当たって、「証人保護プログラムを使え」と言っていたのはサニーだったっけ。なのに、呆気なくチャンに拉致されて殺されてる。警察は、手続をしなかったのか? いまいち納得がいかない。 ・しかも彼女は、父テディからの手紙は受け取ったけど、金は受け取っていなかった。悪い金は受け取れない、という矜持? よく分からない。 ・サニーは、どうみてもオードリーの若林。その彼女は完成度の低い喜多嶋舞であった。 | ||||
ハイヒールの男 | 5/26 | キネカ大森1 | 監督/チャン・ジン | 脚本/チャン・ジン |
韓国映画。THE KLOCK WORXのあらすじは「犯罪組織からも恐れられる脅威の戦闘能力と暴力性、そして完璧な肉体と容姿を兼ね備えた刑事ユン・ジウク。しかしそんな彼にも人に言えない秘密が一つだけあった。それは<女性になりたい>という願望を持っていること。長年そのことで葛藤を続けてきたジウクだったが、ある出来事をきっかけにして遂に、自分の心の声に従う決意をする。だがその時、容赦無い暴力と悪意が、その運命をあざ笑うかのようにジウクの身に迫っていた」 マッチョな性同一性障害刑事の物語だった。意表をついた設定で、前半はなかなか面白かった。とくに、最初はタフガイぶりを発揮していたのに、しだいに過去や性癖が分かってきて。無骨で渋い顔立ちなのに女装し始めたりすると、コメディを超えた妖しさがかもし出されてくる。ところが、主軸となる事件が進むにつれて、なんか話が明後日の方へ。なんでそんなことが? な展開で、いまいち説得力を失ってしまい、ラストは尻すぼみ状態。なんだこれは。最後までマッチョなニューハーフ刑事で通してくれればよかったのに。残念。 冒頭は、ユン・ジウク刑事がひとり、赤いドレスの女に手引きされてクラブへ。その一室で開かれていた韓国ヤクザの会議に蹴り込み、あっという間に面々はずた袋状態。ホ兄弟(異母兄弟)の兄で、ヤクザのボスを病院送りにしてしまう。 ボスは、数々の罪業によって一生刑務所からでられなくなるはずだったんだが。ホ兄弟の弟で、ヤクザの会長のも一緒にひっくくりたい検事が兄に、いくつかの罪を弟のものにするなら、罪は軽くなるぞ、てなことを耳打ちする。これでホ兄弟は一網打尽…の予定らしい。 いっぽうユンは、いきつけのバーのバーテン兼歌手のチャンミに、囮捜査の囮になってくれないか、と頼む。変態男は捕まったけど、チャンミがケガ…。てなときユンは何していたかというと、オカマバーで教わったように、女装して街に出ようとして、自宅マンションのエレベーターで住人たちに怪訝な顔で見られていたという…。 その後、バーでチャンミとジヌ(ユンの後輩刑事)が話をしていて。ジヌが「ユンつき合ってるのか?」と聞くと、「名前も知らない」「病院でチャンミって呼んでたよ」にドキッとしたわけなんだけど。そのときは、直後にチャンミがバーの上司に「サニー、唄って」とか言われるから、名前を間違った? と思ったら、サニーは愛称で。やっぱりチャンミなのね。 なぜ自分の名前を知っているのか。思い当たる節があって、チャンミがユンの家を訪れる…。のだが、部屋のシーンになったら、いきなりチャンミがバスローブ姿には驚いた。シャワーを浴びさせたのか!? チャンミの「私のことを知ってたのね」に回想シーンがかぶる。ユンには中学時代に相思相愛の男友達がいて、彼には妹がいたのだった。それはさておき、ここでいきなり、ユンがチャンミにキスしてしまう。おお。なんだそりゃ。女性も相手にするのか? で、よく分からないのが、その夜、セックスしたのかどうか、なんだけど、よく分からない。したような描き方はしてないし…。 しかし、大切な友人の妹なのに、囮捜査に担ぎ出すというのはどうなんだ? しかも、「後ろで見てるから大丈夫」などと安心させ、肝心のときに女装して街をふらつこうとしてたって、そりゃないだろ。 という話とは別に、ヤクザの会長がユンに接近してくる。きっかけはボスが隠していたロシアの債券で、ガサ入れかなんかの時、それが警察の手に渡ってしまった。そのうち莫大な価値に化けるといい、なんとかならないか、と持ち掛けてくるのだ。けれど、2人はそんなに親密なわけでもないのに、どういうこっちゃ。 そろそろ刑事をやめ、海外で性転換手術を考えていたユンは、その報酬に心を動かされる…って、なんかな。正義のためには身体を張って事をなすユンが、金で動くのか。おい。 で、女装して空港から旅立とうとしているあいだに、会長が復讐の行動を開始。検事につづいてジヌも殺害する。でも、この復讐がずれてるような気がするんだよ。だいたい会長は、検事や刑事たちに復讐してなんの利益があるのだ? 兄貴のボスが検事と取り引きしたんだよな。すべての罪を自分でかぶらず、弟と振り分けることで減刑されるということで。だからって検事や刑事を殺しても、刑は覆らんだろ。とくにジヌを狙った意味が分からない。殺るなら、いつも声を荒げている上司が先だろ。 ところで例のロシアの債券はどうなったんだ? 会長に渡してなかったよな。なのに、海外へ脱出? あとで渡すとか言ってたけど、もう刑事やめてるのに、押収品が手に入れられるのか? なユンに電話があり、チャンミを預かっている。救いたかったら、どこそこへこい、と。タクシーの中で、ユンはハイヒール脱いでるんだけど、裸足で乗り込んだのか? 男物の靴は、途中で買った? さらに。チャンミを救い出しに行った先は、どこなんだ? 会長が待ち受けていた場所に乗り込むんだけど、会長が呆気なく死んだあと、幹部の男が「解放してやれ」といい、部下にクルマで行かせるってことは、離れた場所だよな。そもそも、「みんな焼いてしまえ」っていうぐらいだし。どういう場所なのか、いまいちイメージできんが、映画だといってもなあ…。 ばったばったと殺しまくるんだけど、ヤクザ側はいっこうにひるまない、のが不思議。まあ、マンガ的にカリカチュアライズされてるのかも知れないけど。やられる方も、襲い方を考えろよ。まるで『燃えよドラゴン』みたいなユンの殴り込みだ。 呆気なく会長がユンにやられた後、その幹部は病院のボスのところに電話するんだけど。ということは、ボスが幹部に指示していたということなのかな。自分の罪を軽くするために…? であるならなおさら、幹部としては部下をムダに失いたくないはず。会長だけを効率よく始末できたほうが、次代のボスとしては嬉しいだろうに。変なの。 幹部は、会長が始末できればそれでOKみたいで。チャンミは韓国ヤクザの部下に開放される。どっかの教会で結婚式の手配みたいのをしてるんだけど。横にいるのは、ヒゲがぼさぼさのユン。会長相手に暴れたとき、あれだれ包丁で切られ刺されしながらピンピンしている。マンガだ。しかも浮かない顔もしている。で、会話を聞いていたら、チャンミは誰かと結婚するようなことを言っていて、あれ? 相手はユンではないのか? と思いつつ、妙なことになっちゃったんだな。どうやって結婚相手を見つけたんだ? だれと結婚するんだ? とか思っていたんだけど、Webの感想文に「ユンと結婚」という文字があって、そうだったっけ…。なありさまで、もう一度確認しないと分からないけど、まあ、わざわざ見には行かない。どちらがラストでも構わない。 たしか、チャンミはユンに「オッパー」と呼びかけていた。彼氏にもいうのか? とにかく、ユンは性転換の夢を捨ててしまったのだから。そして、あんな腑抜けな表情になってしまった。なぜだ? まだ間に合うじゃないか。なぜやめるのだ? それはひょっとして、会長に渡すはずのロシアの債券が渡せなくなったからか? でも、前金はもらってるんだよな。スマホで写真を見せたら、会長は「お前の口座に振り込む」といっていたし。債券を渡した、渡してない、に関わらず、ユンの口座には幾ばくかの金が振り込まれていて、それで海外へ…という手筈だったんだろ。だから、金じゃない。 では、なんだ? チャンミへの思い? それはないと思うんだけど。友人の面影をチャンミに見て、彼女を兄貴として、あるいは夫として(?)見守ることに、これからの人生を捧げようということか? でも、それも突然すぎるよな。 ・冒頭のシーンでユンを手引きした赤いドレス女性もチャンミ? 違うよな。同じだっけ? ともやもやしてたけど、Webで見たら違うわ、やっぱり。なんだけど、あの赤いドレスの女性はどう調達したのだ? ・昔の友人が自殺したのは、ユンが「ソウルに越す」と言ったから? なんか、もうちょいマシな原因を考えて欲しいな。 ・ユン役のチャ・スンウォンは、なかなか渋い。クライヴ・オーウェンとか役所広司みたいな感じ。そのチャ・スンウォンが女装するのだから、それは見ものだったろう。韓国内では。 | ||||
ハン・ゴンジュ 17歳の涙 | 5/26 | キネカ大森1 | 監督/イ・スジン | 脚本/イ・スジン |
韓国映画。LOAD SHOWのあらすじは「17歳の少女ハン・ゴンジュは、中学生の時に起きた事件がきっかけで、家庭は崩壊し生まれ育った土地に住むこともできず、転校を余儀なくされた。知り合いの家に居候し、そこから新しい学校に通い始めたが、友達を作らず、笑うことも無く毎日を過ごしていた。寂しさに耐え切れず訪ねた母親には邪険に扱われ、父親は電話にも出ない。そんなある日の放課後、教室で歌っていたゴンジュの歌声を聴いた同級生と打ち解けるようになる。新しい友達と歌う楽しさを知ったゴンジュの生活は、光が差し込んだかに見えた。しかし、あの事件に纏わる悪意が、再び彼女に忍び寄っていた」 同サイトの解説は「2004年に韓国の密陽(ミリャン)で実際に起きた女子中学生集団性暴行事件を描いた」「初日の動員が1万人を超え独立系映画としての新記録を樹立。さらに第18回釜山国際映画祭他、各国の映画祭に出品され10冠に輝いた。 また、現在“韓国のアカデミー賞”と言われる大鐘賞で、主演女優賞を始め、脚本、新人監督賞の3部門でノミネート。第35回青龍映画賞では、主演女優賞(チョン・ウヒ)と新人監督賞を受賞とある。 悲惨な話なのに、始めのうちは、ちょっと変わり者の少女、という感じにしか見えない。次第に過去の事件が露わになってくるんだけど、それも後半の方で。心がわさわさしてはくるけれど、ゴンジュが痛みに沈んでいるというより、逃げている、印象の方が強い。加害者を断罪するようなところも、あまりなく。ちょっと離れたところから、加害者の家族を非難するような視点が感じられる程度で。じんわりと迫っては来るんだけど、全体に、はっきり描くのを避けて、感じてもらうようなつくりになっているのがいまひとつ、どうもな感じ。 というのも、ゴンジュの対応もいまいち納得できないところがあるからだ。ゴンジュの住んでいるアパートに、毎晩のようにチンピラたちがやってきて、だらだらと過ごしている。それを追い出すこともなく、なんとなく受け入れているようにも描かれている。というか、背景がよく分からないまま、なんだよな。 ↑のあらすじによると、事件がきっかけで家庭が崩壊、とあるんだけど。映画では、事件の前からゴンジュはアパートで一人暮らし、のように見える。両親がいない間にチンピラたちがやってきて、帰っていった? ようには見えない。両親とも家にいない生活、みたいに見える。 ゴンジュはコンビニでバイトしてて。そのバイト先の店長の息子が同級生で、チンピラたちの仲間。でも、いじめられて無理矢理仲間にさせられてる感じ。他に女友達がいて。最初のうちは、この3人で仲よくやっていたら、コンビニ息子が仲間を連れてきたのか。何人ものチンピラがゴンジュの部屋を根城に、煙草を吸ったり酒を飲んだり。すでにチンピラグループは、他で悪さをし放題だったみたいで。それが、ついにゴンジュの女友達を犯し、妊娠させた。でも、彼女が犯される場面はない…のかな。犯されてる場面は2ヵ所でてきたけど、よく分からなかった。で、ゴンジュも睡眠薬を飲まされて、というより、コンビニ息子に「これ、飲んだら、帰るよ」といわれて、自分から飲んでる。あれはビールなのか? なんか、嫌がってないところが、いまいち、その、このゴンジュって、アホなんじゃないのか? 現実の事件では、もしかして知恵遅れ? でも、だったらコンビニでバイトはできないよな、とか思った。 異様なのは、ゴンジュの両親で。もしかして、中学の時から一人暮らしさせていたのか? よく分からない。で、事件後は、一家離散なのか? 冒頭の、教師たちに質問を浴びているのは、あれは事件発覚後のこと、なのか? それとも、事件発覚後に高校進学し、そこでの出来事で、転校したのか? あたりも、よく分からない。 とにかく、母親はべつの男と住んでいるし、父親はたまにしか連絡がとれない。なんて両親だ。しかも、父親の方は、加害者の家族の1人と和解を約し、ゴンジュに和解書に署名させる。その和解書を売ったわけだ。それを知った他の加害者の家族が、いま現在、ゴンジュが通ってる高校(?)に押し入ってきて「うちにとも和解しろ」「ただで和解してくれ」と騒ぐんだけど、いったい加害者は何人なのかよく分からない。結構な数のようだ。 それで学校から追われ、教師の家にもいられなくなったゴンジュはひとり街へ。橋から入水して、でも、溺れることなく、泳いでいるシーンが映る。というのは、もともと金槌の彼女が、水泳教室で泳ぎを覚える場面が何度もインサートされて、入水しても溺れないようにしていた、という背景があるからだ。このあたりは創作なんだろうけど、一度入水自殺すれは、新たに生まれ変われる、と信じ込もうとしていたという設定のようだ。それはそれでいいんだけど…。 要は、事件の結果、一家離散だとしたら、その経緯をちゃんと描き、さらに、両親のいい加減さ、とくに父親のダメぶりをもう少し突っ込んで欲しかった。そして、被害者なのに逃げ回らなければならない不条理も、つよく描いて欲しかった。 日本映画で、題名は忘れたけど、加害者の家族が逃げ回る、というようなのが(『手紙』かな? 他にもあったように思うんだが)あって、それはそれではっきりと主張していた気がするんだよな。でも、この映画は、いろいろアバウトで、あれこれ情緒に流れてしまってる気がするんだよ。 ゴンジュを転校させたのは、前の学校の教師で、その教師は彼女を自分の実家に住まわせる。いい教師ではないか。でも、あんまりフィーチャーされない。むしろ描き込まれるのは教師の母親の方で。最初はゴンジュとの同居を嫌がってたけど(きっと彼女のいわれを知らなかったんだろう)、次第にゴンジュに親しみを抱いていく。ところが、なんとこの母親、妻ある男性と不倫中で、韓国では犯罪になるようなことなのかな。息子の教師も知っているんだけど、そのうち周囲の知るところとなって、相手の妻や、何人から店(小さいスーパーを営んでる)の前でボコボコにされるという、なんともな女だったりする。何でこんなエピソードを加えているのかよく分からない。彼女の不倫相手の男性が、加害者の家族と知り合いで、ゴンジュが出ていくとき、和解書にサインしてくれ、と言わせるためか? なんかな。 まあ、加害者たちは逮捕されているんだけど、どういう罪になったかは分からない。未成年だから、少年院みたいなところに行って、数年で出てきてしまうんだろう。そういうことも、描かれない。 ゴンジュの、逃げ回りながらも未来に対するかすかな期待を描いているのかも知れない。それはそれでいいとは思うんだけど、全体に芯がカチッとしていなくて、雰囲気で流れていくのは、はたしてどうなんだろう。 高校の同級生が、ゴンジュの歌唱力に惚れ込み、サークルに入れて、コンテストに応募して、Webにも載せて…。コンテストの応募は逡巡してたけどOKしたようで。でも、Webに載せるのはひどく抵抗した。このあたりも、顔出しするのが嫌なら、コンテストも拒否すればいいのに。とか思ってしまう。最後に、同級生たちがネットの画像を見ていたみたいなんだけど、声からすると、部屋での乱痴気悪行の映像がネット上に残ってるってことか? そういうの、あり得ないんじゃないのか? 同級生たちが「見ていられない」というまで、でも、見ていたのも事実で。あのあたりの演出も、ううむ、な感じ。 あと、自殺した女友達を引き上げようとしている場面が、いまいちよく分からない。橋の上から投げたのは、ありゃなんだ? ところでこの彼女が、現在の時制でトイレと、あともう一ヵ所でてくる。成仏できない亡霊ということか。想い出ということか。しかし、彼女が襲われる場面もないので、経緯も分からず、いまひとつ気の毒さが迫ってこない。 しかし、『ソウォン/願い』もそうだけど、こういう現実に範をとった映画が多い。ほとぼりも冷めてないのに、事実に基づく話をこうやって映画にしちゃっていいのかね。関係者も見るだろうし。とくに、被害者の目に入るのを考えると、はたしてどうなのか。ううむ。 | ||||
ゼロの未来 | 5/27 | 新宿武蔵野館3 | 監督/テリー・ギリアム | 脚本/パット・ラッシン |
原題は“The Zero Theorem”。イギリス/ルーマニア/フランス/アメリカ映画って…。ギリアムも資金集めに苦労してるのかね。allcinemaのあらすじは「人々の生活がコンピュータに過剰に依存した近未来。孤独な男コーエンは、巨大企業マンコム社で働く天才プログラマー。いつかかかってくるはずの大事な電話を待ち続ける彼は、会社のマネージメントに在宅勤務を直訴し認められる。以来、彼が住処にしている荒れ果てた教会に引きこもり、新たな任務である“ゼロの定理”の解明に勤しんでいた。そんなある日、パーティで出会った魅力的な女性ベインズリーの突然の訪問を受けるコーエン。強引な彼女に戸惑いつつも惹かれていく。同じ頃、マネジメントの息子ボブとも知り合い、図らずも親交が始まっていくが…」 マネジメントに会いに行った辺りまではなんとかぼんやり覚えている。気がついたら、ピンク色の髪をした娘が訪れている所だった。2〜30分寝たのかな。ギリアムの世界観は嫌いじゃない。この映画の、未来の街路はまるで秋葉原がPOPになった感じで、楽しい。デジタルサイネージの進化形? 電光掲示板に登場した女性が、歩行者を追跡しながらメッセージを送ってくる。その他その他、原色の、こぼれるような色彩が楽しい。 コーエンの住まいも、教会みたいな所で。そこにコンピュータを設置してなにやらやっている。あんな広いところに住めるなんて。それだけで楽しいではないか。と思ってしまう。 でも、極彩色の街頭は、CMで見るにはいいけど、映画だとつまりは話とは関係なくて、添えものになってしまう。要は、話がつまらないと、そういう部分に凝ってもあまり意味がない。けれど、この映画は哀しいことに、話が大して面白くない。寝ていて言うのもなんだけど、ね。 ↑のあらすじを見て、コーエンが天才プログラマーだったと、初めて知った。電話を待っているらしいことは、後半見てすこし感づいていたけど、はっきりとは分からなかった。そう。後半だけだと、どういう話なのか、さっぱり分からない。そういうつくりになっている。 ペインズリーがどういう女性かも、よく分からなかった。「穴には入れさせない」とかいっていたし、売春婦、ということばもどっかにでていたと思ったし。普段はテレビ画面でアクセスすると会えるみたいだけど、どういう仕組みになっているのかとか、それもよく分からなかった。ときどき画面に登場する中年女性は、医者か? 監視者? とかね。 いや実は、画面に医者みたいなのが映るのと、家でぶらぶらしたりゲーセン行ったりしてたのを見てて、コーエンは病気なのかな、とずっと思っていた。夢の中で溺れたのも、心臓が悪かったりするのかな、とかね。ま、勘違いだったみたいだけど。 ボブも、コンピュータの修理にやって来たのか? これもよく分からない。まあ、寝てしまったこちらも悪いけど、たいていの映画なら、途中からでも結構ストーリーは分かるもんだけど、この映画はそういうつくりになっていない。きっとセリフも、分かりやすくできてはいないんじゃないのかな。…想像。 あの、夢の中のイメージみたいのは、なんなんだ? なんとなく『トゥルーマン・ショー』を連想してしまった。あの世界へは、ボブがつくったウェアラブルなIFでネットにつながると、入れるのか? ううむ。分からんことだらけ。寝た自分が悪いんだが。寝てなくても、分からなかったかも知れんしな…。 だいたい、後半だけにしても、コーエンが「巨大企業マンコム社で働く天才プログラマー。いつかかかってくるはずの大事な電話を待ち続ける」という設定ぐらい分かってもよさそうなのに…。きっとギリアムは、そんなことはあまり興味がなくて。ケバケバしい街頭やキッチュな娘、長身と小人のペア、イメージの世界の恋…だのを描きたかったのかも。 いつもながらのその手の世界は「不思議の国のアリス」とか「マザー・グース」とかで。『Dr.パルナサスの鏡』でも使われていたもの。新鮮味はあまりない。電脳世界に入り込んで…は『マトリックス』を思わせるし、天才少年ハッカーも、ありきたり。…あ、そうだ。そのハッカーのボブがやって来ているのに、コーエンはIT系のことをほとんどしないんだもの。彼が天才プログラマーだとは分からんよな。 しかし、なんでコーエンは干されていて、でも天才プログラマーで、クビにならずにいるんだ? その他その他。わからんことだらけ。寝てたからなんだろうけど、寝てなくても分かんないかもね。ははは。 ・公園に行って話し合ってる背景に、禁止事項のサインの集合でつく見られたバッテンがあったんだけど、その数と種類が多くて面白かった。 ・ベインズリー役のメラニー・ティエリーは、ちょっと貧相かな。 | ||||
メイズ・ランナー | 109シネマズ木場シアター6 | 5/29 | 監督/ウェス・ボール | 脚本/ノア・オッペンハイム、グラント・ピアース・マイヤーズ、T.S.ノーリン |
原題は“The Maze Runner”。allcinemaのあらすじは「その青年が意識を取り戻したのは動く檻の中。そのまま送られた先は巨大な壁に囲まれた草原の広場。待っていたのは、彼と同世代の若者たち。一切の記憶を失った彼が、かろうじて思い出したのはトーマスという自分の名前だけ。そんなトーマスは、若者たちからこの世界の謎めいた仕組みを説明される。それは、壁が巨大な迷路になっていて、夜間になると閉じられ、翌朝には新たな道順が出現するというもの。彼らはこの広場(グレード)でコミュニティをつくって生活し、“ランナー”と呼ばれる精鋭たちが、出口を発見すべく危険な迷路探索に挑んでいた。しかし、未だ迷路の構造も謎も解明できずにいた。もはや脱出を諦め、現状を甘んじて受け入れようとする者が出てくる中、トーマスは先輩ランナーのミンホとともに、命がけの探索を続けていくが…」 ティーンエイジャー向けの小説3部作が原作らしい。期待したんだけど、軽く裏切られた。似たような話はいくつもある。『蠅の王』『CUBE』『バトル・ロワイヤル』『ハンガー・ゲーム』…『ランド・オブ・ザ・デッド』なんかも、一部似た感じがある。けど、終わってみれば設定にムリがありすぎて、いまいち腑に落ちない。腑に落ちないまま、終了後、第2部の予告を見せられてもなあ。なんと第3部まであるという。それほどの映画じゃないだろ。この第1部だって中盤はムリに引き伸ばしてて、かなりだれる。刈り込んで、せいぜい前後編がいいところではないのかな。それも、テレビで見るのがちょうどいい感じだと思う。 わけの分からんところに放り込まれた青年トーマス。そこは四方が壁に囲まれ、出られない。ひとつだけ出入り口があって、朝開き、夕方閉まる。が、そこに入れるのは、住人の中のランナーだけ。ランナーになりたい奴はいない。なぜなら、その出口の先は迷路になっていて、グリーバというサソリ型でロボットと肉体とを併せもったような怪物がいる。刺されると自我を失い、やがて…死ぬのか? 数人のランナーが毎日、迷路を探索に行っている。迷路の構造は、毎日変わる。後半で分かるが、ランナーたちは迷路の全体像を調査していて、出口はない、との結論をだしていた。 暮らしているのは3〜40人の青少年で、女性はいない。月に一度ボックスがとどき、そこに食糧や生活用品がはいっている。それと一緒に、新入りがやってくる。ってことは、つくられてから4年弱? かつて暗黒時代があって、何人か死んだらしいが、具体的な内容には最後まで触れられてかった? 最古参の黒人アルビーがボスで、幹部にニュート、ギャリー。ランナーのチーフは韓国人(?)のミンホ。あと、コメディリリーフとして、太っちょのチャックがいる。これ、定番。 で、いくつかルールがあって、ギャリーはそのルールを守り、この閉鎖社会で危機を避けて生き抜いていこう、という保守派。そこに放り込まれたトーマスは、好奇心の固まりで。みずからルールを破って迷路の中に入りたがる…というような案配で、最後はトーマス派とギャリー派に別れて対立するんだけど、それほどひどいことにはならない。 のだけれど、そのルールって、みんなが何気で合意しつつできてきたものだろ? そんなものを金科玉条のように「守るべきだ」って言い張るギャリーはアホかと思った。 メンバーは、自分の名前を思い出すのがせいぜいで、過去の記憶がほとんどない。いったい自分は誰で、どこからゃってきたのか。は、まったく分からない。 てな設定なんだけど、変なところがいろいろある。 まず、住人たちだけど。ルールはだれがつくったんだ? 自分たちだろ? ギャリーはルールを絶対視しているけど、そんなの 破ったって別に問題なんかなかろうに。 後半で分かるんだけど、彼らは実験のモルモットにされていた…って、別に衝撃的でもなんでもないだろうよ。月に一回物資がとどくなんて、誰かが監視しているから、に他ならない。そのぐらい気づけよ。 で、彼らが実験されていた背景はというと…。「地球は太陽フレアと脳を冒すウィルスの蔓延で危機的状況に陥った」なんだとさ。。人類は絶滅の危機にあった。そんななか、感染症にかからない個体が出現した。そこで彼らを調査するため、実験することになった…というのが大まかな背景なんだけど。なんためのどういう実験なんだ? 巨大に迷路はなぜ必要だったんだ? グリーバはなぜ必要だったんだ? 巨大迷路をだれがつくったんだ? 太陽フレアはどうなったんだ? 以上を考えただけで、話の不自然さがありあり。 それまで、グリーバを見た奴は死んでた、なかで。トーマスが初めてグリーバを倒す。このあたりからトーマス派とギャリー派が対立し出すんだけど。『蠅の王』みたいな覇権争いにはならない。ま、そこが弱いところなのかも知れないけど。 さらに、テレサという女性が送り込まれ、彼女が最後、というメッセージ付きなんだけど。そもそも女性がいなかったのはなぜなんだ? いや、そもそもトーマスとテレサは実験を行っていた側のメンバーで、それが送り込まれたというのは、どういうことなのだ? 2人も感染症にかからない体質をもった個体なのか? たんに実験に反対したから送り込まれたのか? 分からない。あと思ったのは、トーマスとテレサは他のメンバーに比べてかなり年上(20代半ばから30代?)ってこったよな、ってことで。なのに、同年代のように描かれていたのは、ミスリードするため? テレサはワクチンをもってやってくるんだけど。それはアルビーが怪物に噛まれた解毒剤、らしい。けど、実験の主体者が、怪物に噛まれたアルビーの命を救おうと思った、ということ自体、嘘くさい。いや、はっきりした理由があるなら、聞かせて欲しいぐらいだ。 トーマス、ミンホたちは、トーマスがやっつけたグリーバから電気部品を回収し、それをもって迷路に入り込む。と、その電気部品に反応して扉が開き、脱出できるかも知れない、な感触をつかむ。のだけれど、電気部品をそんな単純なモノとして信じ込んでよいのかね。それは実験する側の罠だったとかなんだとか、あって不思議ではなかろうに。なのに、次に迷路に潜入しても、監視者・実験者は関せず、なのかい? なんか、ご都合良すぎだよな。 でまあ、トーマス派とギャリー派の対立は、ギャリー派からの離脱が多すぎで呆気なく解決。あらま。迫力のないこと夥しい。で、パズルの中に入り込み、グリーバの巣みたいなところに入りこみ、あれよあれよで抜けだして実験者たちの中核のいる部屋にやってきたんだが。すでに主体者たちは殺害された後で。あの場で見たのは主体が直前に録画したビデオ? それとも、以前の録画? 実験スタッフを殺していた兵士(?)は、誰? されと、博士たちの遺体はまだ新しそうで、ってことは、直後に連中が迷路から抜け出してきた? なんか、都合よすぎないか? まあ、第2部があるからそこで解き明かされるのかも知れないけど、最後についていた予告編では、「実験は第2ステージに入った」とか言ってなかったっけ。なんか、いろいろフラストレーションがたまる終わり方だ。 |