2018年4月

三十路女はロマンチックな夢を見るか?4/5シネ・リーブル池袋シアター1監督/山岸謙太郎脚本/上原三由樹、山岸謙太郎
映画.comのあらすじは「30歳が目前に迫り、彼氏もなく単調な仕事をこなすだけの日々を送る那奈は、親友だと思っていた相手が寿退社することを知り、ショックを受ける。その日の夜、一人暮らしの部屋に帰宅した那奈は、突然押し入ってきた銀行強盗の逃走犯に拘束されてしまう。逃亡犯は、犯行を自らビデオカメラで撮影する拓人という男と、拓人の恋人だという麗良、そして拓人の元彼女という葵の3人組だったが、まったく銀行強盗っぽくもなければ、元カノと今カノという2人の女の雰囲気も気まずく、全体的にどこか様子がおかしく…」
Twitterへは「なんとか見られるのは最後の10分で、それまでの80分が死ぬほど退屈。くどくどだらだら煮え切らない。この映画の中のセリフの「アイディアはいいけど才能はなし」そのままな感じ。ミスリードしつつ面白くしてくれないとなあ。」
連想したのは『運命じゃない人』で、この映画のような一発どんでん返しではないけれど、なんのこっちゃ? と思わせておいて、それまで張り巡らせておいた伏線がカチャカチャと急速につながり、「おお!」となったときの感動なんだけど。この映画には伏線のようなものはあるけどあくまでそれは証拠みたいなもので、ここでヒントはだしてますよ的なものでしかない。しかも、そのほとんどが、見ている途中のもやもやにつながっている。とても嫌らしいのである。どんでん返しまでの話をいかに自然に、そして面白く、さらに見事に裏切ってくれないと困るのだ。この映画では、なーんだやっぱり、ふーん、そういえばね、的なため息だけで、爽快感はさっぱりない。むりやりこじつけというか、ヒントのようなモノにはなっていたけど、スッキリしないものばかりなんだものな。
・強盗一味はなぜひと晩を那奈の部屋で過ごそうと思ったのか? これが最大の「?」で、合理性・必然性がないから、そっから先の話がすべてアホくさく感じられる。
・部屋に隣室のオバサンと同僚がやってきて、那奈ひとりで追い返す。これも、変。いくらでも外に逃げられるだろ。なぜしない? たとえ那奈が警察官でも、これは変。
・今カノと元カノが買い物に行っている間に、拓人は那奈を浴室に入れシャワーを浴びるんだが。監視のつもりだとしても変すぎ。しばっておけばいいだろ。というか、なんでシャワーなんて浴びるんだよ。女性2人がいるときでもいいだろうに。
・拓人の今カノと元カノは、なぜ銀行強盗に参加したのか? これまた意味不明・・・。
・翌朝、周囲にパトカーを見て(後から考えると警察女子寮だから?)、拓人は「すぐ逃げよう」といいだす。これもアホ。わざわざパトカーのいる街中にでるより、部屋にいた方がましだろ。※まあ、ラストの展開から考えると、部屋にいてもいずれ逮捕される運命だけど。
・なぜ那奈は一味と行動をともにしようとするのか? これ、結末が分かってればなるほど、かも知れないけど。そうでないと、ムリくりすぎてアホにしか見えない。連れていく一味もアホ。
・那奈は、警察に会わない道を知っている。山道も知っている・・・。でも山の上に実家があったのか、なんだけど、彼女の両親はどうしてるんだったけ?
・信号でパトカーと並ぶんだけど、相手は那奈のことを知ってるだろうに、なぜ何も言わない? 知ってて様子伺い? だとしたら、図太すぎるだろ。変。
・山の蕎麦屋で昼食はいいけど、郵便受けに金を突っ込むか? 足がつくだろうに。アホか。
・車中、那奈が気持ち悪くなって、クルマを止めて吐くんだけど。あれはどういう意味だ? 車酔い? 追跡する仲間の警官へのマーキング? でも、演技でそう簡単に吐けないだろ。
・よく登場する過去。でも考えて見るとたった12年前なんだよな。の割りに郷愁を誘うほどのセピア色。変だろ。
・拓人は、なぜさっさとヤクザに金を渡さず、那奈の家や那奈の実家でうろうろしているのか? さっさと返せよ、と突っ込みたくなった。
・で、那奈は同僚たちに、携帯で連絡とっていたのか?
・拓人は、今カノがいなくなっても気にしない質なのか? 変なの。
・拓人は、元カノがいなくてもたいして気にしない質なのか? 変なの。
とか、もやもやつづきで、後半の展開はもう飽き飽きしていた。のだけれど、拓人がやっと元カノがいなくなったことに気づいて、でもその直後、那奈に手錠をかけられるところから、のどんでん返し。ああ、なるほど。そういうことか。これを隠すためにあれこれ思わせぶりなヒントを小出しにしつつミスリードしてきたのか。というわけで、その後のネタばらしは、ふーん、な感じで見ていた。とはいえ、ドンデンまでの80分が長すぎて飽きちゃったよ。
そもそも始めに異常を感じたのは同僚の寿退社のシーンで。ここになぜか警官の制服の男が混じっていたのだ。なんで? もしかして警備員? でも外注業者がこんな場にいるのは変だよな、だった。その後も、妙に道を知っていたり、自ら強盗団と行動を共にしたり、拓人に突然キスしたりと、よく分からない行動ばかり。それを不自然に見せないためになのか、結婚に憧れ、仕事に興味のもてない三十路女をむりくり設定している感じで、とてもぎくしゃく。こんなんじゃ話としても面白くならんよなあ。もっと本を練って欲しいもんである。
・ところで『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』みたいなタイトルだが。関係あるのかないのか知らん。
トゥームレイダー ファースト・ミッション4/6109シネマズ木場シアター6監督/ローアル・ユートハウグ脚本/ジェニーヴァ・ロバートソン=ドウォレット、アラスター・シドンズ
原題は“Tomb Raider”。allcinemaのあらすじは「ロンドンでごく普通の女子大生として暮らしていたララ・クロフトだったが、謎の死を遂げた資産家で冒険家の父が遺したビデオメッセージを発見し、その遺志を継いでトレジャー・ハンターとなり最初のミッションに挑むことを決意する。それは、日本のどこかにあるという神話上の絶海の孤島に隠された幻の秘宝を封印するというもの。その秘宝には世界を滅ぼす邪悪な力が秘められていて、危険な秘密組織トリニティがその悪用を企んでいるというのだった。こうして一人旅立ったララは、香港でルー・レンという男を見つけ出すと、彼を相棒に幻の秘宝を求めて過酷な大冒険へと繰り出すのだったが…」
Twitterへは「何と邪馬台国と卑弥呼の謎が解かれてた! というか日本領土に異人が不法入国して宝探しをしとる。副題になぜ卑弥呼を入れなかったのか謎。話は新鮮味なくアリシア・ヴィカンダーも主役の顔と胸をしてなくて、うーむ。」「クリスティン・スコット・トーマスが上品に老けてる、と思ったら、実年齢まだ58歳。まあ、昔から老け顔だったけど。」
なんと冒頭から卑弥呼伝説が登場し、日本南部の絶海の孤島で死んだとか、その謎を追い求めているとか、何じゃらほい。で、ララは、バイク便で働いてるけど金欠で・・・。でも実はクロフト財閥の娘。行方不明になった父親の死を認めたくなくて、遺産相続(?)にサインしていない。そのララにサインを奨めるのがアナという女性なんだけど、その位置づけがよく分からないまま。なんでも、サインしないと財産や家が売り払われてしまう? とかなんとかで、クロフト社にやってくるララ。アナと、弁護士(?)を相手にサインしようとしたら、弁護士(?)が、「もし生きて帰らなかったらこれを娘に、といわれていた」という日本のからくり細工(には見えん)を渡され、いじっていると簡単に開いて中から鍵とメモ。で、サインしないままクロフト家の墓に行って見つけたのが、父親の隠し部屋! でも、なかにコンピュータやソニーの8mmビデオがあるんだが、ララが父親と最後に別れたのはほんの少女の頃らしいから20年ぐらい前なのか? と「?」をいだきつつ見ておった。まあ、あとから、父親が行方不明になったのは7年前と分かるんだけど、そういう、時間の流れとか年齢とか、ちゃんと見せないから、すっ、と頭に入らない。
てな訳で、ララが隠し部屋で見つけたのは、卑弥呼と邪馬台国に関する史料の山。でも、父のメモには、卑弥呼の亡骸が悪人の手に渡ったらこの世は破滅、と、史料を焼却するよう命じていた。もちろん無視し、単独で日本へ、かと思ったら香港なんだよな。変なの。せめて沖縄とか奄美大島じゃダメなのか?
香港で、父親の残した写真に写っていた船を見つけるが船長は亡くなっていて、息子と称するレン(中国人)と知り合い、2人で邪馬台島をめざすという、なんと密入国。しかも、たどり着いてみれば白人がうじゃうじゃいて、何やら発掘作業をしている。働かされているのは中国や東南アジアの漂流民とかいってたけど・・・。
ララも何とか生きながらえて捕まって、レンも働かされている状態。ボスはマサイアスという白人で、どこかの会社から派遣されていて、7年帰ってないとか愚痴をいいつつ、弱った労働者は無慈悲に射殺する。とはいえ親分的な雰囲気はなくてチンピラ風なのは会社員だから? まあ、その会社が後々、クロフト社と関係しているらしい、ということで映画は終わるんだが、それはそれとして。
しかし、日本領土に不法侵入して大々的に盗掘していて、居住者も数10人はいる様子。船の接岸も容易でないのに食糧とかどうするんだ、なんだが、後半でヘリが登場して、それで運ぶのか。はいいけど、一企業がヘリを飛ばしてやって来られる絶海の孤島を日本政府は知らんのか? Googleアースに映ってるだろ! というのは言ってはいけないのかもね。
で、あとはお定まりの展開で。スキを見てララが逃亡。川に落ちて、滝に落ちる寸前にボロボロの飛行機に捕まって、のくだりは面白かったけど、あの飛行機、日本語で「パラシュート」と書いてあるところを見ると、日本のものなのか? 戦時中の輸送機? それとも最近のやつ? でも追っ手に捕まりそうになって、なんとか相手の首を絞めて殺してからは、ララのパワーもアップしたみたい。その前だったかその後だったか、腹に金属棒が刺さって、これは・・・と思っていたら、その夜、周囲を徘徊する謎の男と遭遇するんだが、当然のことながらこれは父親で。翌日、ララはマサイアスが卑弥呼の墓を暴くのを阻止するために戻るんだが。もう傷は治ったらしくて全速力で走っておった。うそー。
父親に銃を突きつけられて、ララはマサイアスの言いなりになって、からくり仕掛けみたいな扉を開けるんだが。卑弥呼の時代にあんなものがあるはずもなく。と思っていると、墓につづく洞窟は『レイダース』同様にいろんな仕掛けが次々に襲ってくる仕様で、もう勝手にやってくれ、な感じ。で、一行は卑弥呼の墓に到着し、マサイアスの部下が棺を開けると、片割れが何かに感染。これを見てクロフト父親は「卑弥呼はここに監禁されたのではない。病原菌に感染したので、自らここに来たのだ」的なことを言う。ふーん。それで? な感じ。
しかし、卑弥呼のミイラに触れて数分で発病して死ぬか? だいたい卑弥呼は発病後、他人に伝染してはならじと自らこの島までやってきたんだろ? 卑弥呼は感染に時間がかかった、ということか?
まあいい。あとはお決まりのすったもんだの格闘劇で。これまた感染した父親は卑弥呼のミイラを地下に閉じ込めるために爆薬で自爆。なんだけど、そんなことして菌が拡散しないか? と少し心配。で、ララが何とか生き残り、レンたちに助けられて一件落着。
ララは帰国して遺産相続にサイン。業務はアナに任せることにして、クロフト社の資料を見ていたら子会社の中に、あの島に運ばれてきた物資の箱に書かれていた企業名をみつけ、ざわざわ・・・。で、次回につづく的な終わり方をしているんだけど、次がチャンとあるのかな?
・アナはどういう存在なのだ? ただの社員? それ以外に、ララの父親と関係があるのかないのか? よく分からない。こりアナを演じているのがクリスティン・スコット・トーマスで。なかなかいい老け具合と思ったらまだ58歳、というのも驚き。
レッド・スパロー4/8109シネマズ木場シアター8監督/フランシス・ローレンス脚本/ジャスティン・ヘイス
原題は“Red Sparrow”。allcinemaのあらすじは「ケガのためにバレリーナの道を絶たれたロシアの少女ドミニカ・エゴロワ。病気の母の治療と引き換えに、叔父の仲介でロシア政府の極秘施設に送られる。そこは、ハニートラップでミッションを遂行するスパイ“スパロー”の養成所だった。厳しい監督官の下での過酷な訓練に耐え、優秀な成績を収めるドミニカ。その才能を買われ、ロシア情報庁の内部に潜むアメリカの二重スパイ(モグラ)をあぶり出すという重要な任務を与えられる。こうしてブダペストへと飛び、モグラと通じているCIA工作員ネイト・ナッシュへの接近を図るドミニカだったが…」
Twitterへは「途中からよく分からなくなっちゃったんだけど。要するに私怨を晴らすでよいのかな。女スパイはパワハラセクハラをこえて強くなるのね。」
内容は知らずに見始めた。ボリショイに所属するバレリーナが、ステージで相手の男性に足を踏まれてケガ。男性踊り子はドミニカのライバルの踊り子と恋仲で、彼女に頼まれて意図的にやった、ということがバレるんだが、その情報をくれたのが叔父のマティアスで、彼はロシア情報部の幹部。で、ドミニクはジャワールームでまぐわっている男女のバレエダンサーを滅多打ちに・・・。凄い展開で、これは期待大かな、と。ドミニクの強さをマティアスに見込まれ&バレエ団を辞めたらいまのアパートに住めなくなるぞ、と脅され、病弱な母親のために彼女はスパイ養成学校に行くことになる・・・というどうにもならない感がいかにもロシアっぽい。いまでもそうなのか? とはいえ、それまでバレエやってた娘が突然凶暴になったり、母親のためにスパイになることを決意したり、まあ、フツーだったらしないだろ、な話の展開ではあるんだけどね。
で、最初で分からんのが、マティアスが最初に課したテストで。バーに行ったらなんとかいう、バレエの時に会ったオッサンがいて。その男を誘え、と言われてホテルで誘って部屋に行って、犯されつつあるところに突然男が侵入してきてオッサンが殺されちゃうんだが、あのオッサンは誰だったんだ? 殺す必要はあったのか? 殺すところをドミニクに見せつけるため? よく分からない。
興味深かったのは、スパイ学校のあれやこれやで。羞恥心をなくすため教室でみんなの前で裸になることや、変態男にフェラすることを求められるのだ。変なスパイ。と思って見ていたけど、↑のあらすじ見たらハニートラップ専門のスパイなのか。ひどいのはシャワーしてるところに男がやってきて犯そうとしたり(ドミニカは撃退したけど、いつの間にケンカの仕方を覚えたんだ?)、その撃退した相手を教室で誘ってセックスするようなことまで要求されること。そんなことまでするんかいな。
ところで、教室には男子生徒も多くいたけど、彼らもハニートラップ要因なのか?
でまあ試練の後、なぜか抜擢されてハンガリーだかウィーンだかへ赴くんだが。そんなに簡単にスパイになれるんかよ。はいいとして。その任務が、ロシア情報部内にいる密告者の調査に関するミッションで。冒頭にちょっとでてくるんだけど、米国CIAに通じているところを偶然発見され、CIAのナッシュはすたころ国外逃亡。だったんだけど、ナッシュはCIA内部で「もう国外にはださない」という決定に反論。「モグラに信頼されているのは自分しかいない」と強弁して再度東欧へ行くんだけど、そんなことはロシアは察知してて、つまりドミニカの任務はナッシュに接触してモグラが誰なのかを聞き出すこと、なんだけど、ここらあたりから訳が分かんなくなってくる。
たとえばドミニカは、大胆な水着でナッシュの気を惹く。アホか。さらに、大使館関連のパーティに乗り込んでナッシュと接触する。んだけど、スパイがそう簡単にそんなパーティに出られるの? とか疑問がふつふつ。その後の、どっかのバーで、ある男と接触し、でもその男は屈強な男2人にバーから連れ出されてしまう場面は、あれはなんだ? 男はドミニカの上司に似てたけど、誰だったんだ? そして、ドミニカのルームメイトで同じ女スパイの、入っちゃダメよ、といわれていた部屋に入り込み、彼女の得た情報らしいのを盗み見するんだけど、あの情報はなんなんだ? 後に登場する米国のアル中女のことだと思うんだけど。そのネタを横取りしちまう大胆さはなんなの? でさらに、ルームメイト女スパイは「しゃべりすぎる」とロシアの殺し屋に拷問され浴室で殺されちゃうんだけど、つながりの部分をざっくり端折って場面場面が連続する感じで、よくついていけない。ビデオで何度も見返さないと納得できないかもな。
なことしつつ、ドミニカはナッシュと懇ろになって、なんと米国に情報を流すことを確約してしまう。って、なんだよこの女。しかし、これも戦略なのか、思って見てても、ドミニカは一向にネズミの正体を知ろうとしない。なんで? これ、スパイ同士のロマンスか?
このあたり、あまり話に進展がなくて、あれこれ脇道に逸れすぎてて。ドミニカが何を求めているのか忘れそうになってしまう。
で、えーと。ナッシュの作戦に参加するんだっけか。アル中女が何かの情報を持ってきて、代わりに2万5千ドルを支払う、というときの受け取り役になって。受け取ったフロッピーをテーブルの下に隠し、別のフロッピーを上司に渡す、だったかな。アル中女が往来に出ると男たちが近づいてきて、逃げるアル中女はトラックにはねられてしまうんだが、近づいてきた男たちは米国の関係者だとたしか言っていた。ではなぜ、近づいたの? よく分からない。
その後、どうしてなのか覚えてないけど、フロッピーが違うと言うことでドミニカはロシア情報部に捕まって拷問される。そこには叔父のマティアスもいて、このオッサンは姪をスパイに仕立て、今度は拷問して、何が目的なんだか? しかし、一切口を割らずに、なぜかドミニカは解放されていったん実家に戻るんだったか。
で、そこにロシア情報部の幹部が接触してきて「自分がネズミ」と明かすんだけど、なんで? でもそれをロシアに告げるわけでもなく、ドミニカはナッシュといちやいちゃしてて。夜中に物音がするので隣室へ行くとナッシュがしばられていて、暗殺者がいる。淡々と暗殺者の手助けをして、ナッシュの皮を剥いだりする場面はなかなか。なんだけど、突然ドミニクは暗殺者に殴りつけ、格闘の末に暗殺者をやっつける。なーんだ。やっぱりドミニカの裏切りとナッシュとのラブラブが本物なのか。
でその後、ドミニクが電話で、だったか、ネズミが誰なのか、ロシアにつたえ、人質交換になるんだけど。交換されるのが、ロシアにいるネズミと、ドミニクなんだよね。なんでこの2人が交換されるのか、よく分からない。
もちろん、予測できたように、ロシア側からやってきたネズミは叔父のマティアスで。このあたりは全然、意外性がない。
ドミニクはロシア情報部内で出世して。ひとり部屋で横たわっていると、どこからか電話。それにでる、というところで映画は終わっている。なんかよく分からないエンディング。
でまあ、分かるのは、これはドミニカの個人的な叔父への復讐だったのか、ということなんだけど、それで解釈は合ってるのかな。終わってみれば、話は個人的なもので、なんだかな、な感じ。はたしてドミニカとナッシュはこれからどういう関係をつづけていくのか? ドミニカは以後もアメリカのスパイをしつづけるのか? そして、モグラも? なんかアメリカに都合のいいストーリーだな。
・携帯はあるけどスマホではなく、フロッピーが使われていた時代の話、なのか。
・終わってみれば、慌てて銀行口座つくったり。2万5千ドル、という額にこだわっていたり。拷問の末にマティアスから開放されたとき、マティアスの口にキスしてたり(お別れの意味か?)。伏線はあったんだけど、いまいちピンとこず。そもそも、どの時点で叔父への復讐を決意したのか? 着々と復讐のための布石をあちこちに打ちながら、突然発生する出来事や事態の変更に適宜対応し、最後まで信念を曲げず、復讐というミッションをしとげた、ということでいいのかね。よく分からん。すっきりせんね。
・叔父マティアス役の俳優が現ロシア大統領プーチンにそっくりなのは、意図的なんだろうな。
ラッキー4/12ヒューマントラストシネマ有楽町監督/ジョン・キャロル・リンチ脚本/ローガン・スパークス、ドラゴ・スモンジャ
原題は“Lucky”。allcinemaのあらすじは「神など信じない現実主義者のラッキー。90歳の彼はアパートにひとり暮らし。目覚めるとまずタバコを吸い、身なりを整えたら行きつけのダイナーに寄って、店主と無駄話をしながらクロスワード・パズルを解く。そんな一つひとつの日課を律儀に守り通して日々を過ごしてきたラッキー。しかしある朝、突然倒れたことをきっかけに、自らの人生の終わりを意識し始めるのだったが…」
Twitterへの感想は「Nothing!」のみ。“Nothing”だけで、いろんな意味に訳されてて、ふーん。他に“Something”や“Everything”も登場してたし、他のスラングっぽいのもたくさん。言葉が分からないと、十分に理解できないところはあるかも。
本日は5月1日。な割りに、まだ話をよく覚えてる。まあ、ドラマらしいドラマがなかったからだけど。でもエピソードは印象的。もっともセリフについては、そんなでもないけど。
90歳でひとり暮らしをしているじいさんの話。起きるとヨガストレッチをしてる。ミルクたっぷりのコーヒーを飲む。それからテクテクあるいて街場に行き、なじみのレストランへ。ここでクロスワードパズル。ウェイトレスと話をして。帰路、横丁のなにかに悪態をついて。家に戻ってもクロスワードパズル。ときに知り合いに(あいてはオバサンらしいけど、でてこなかったよな)電話して答を聞いたり。あと、テレビショーを見たり。夜はなじみのスナックへ。結構なバアサンが経営していて、友だちのハワードもいる。ハワードはペットの亀がいなくなったことを心に病んでいる。経営者のバアサンのボーイフレンド(もちろんジイさん)もいつもいて、ワイワイと自慢話やなにやら。そういえば、「表へ出ろこのやろう」的な喧嘩もあったかな。まあ、周囲は「歳なんだから」と止めてたけど。というような日々が数日繰り返されるというだけの話。もしかしたらラストで死んじゃうのかなと思ったら、サボテンの林立しているところで煙草を吸って、ゆうゆうと歩いて行くところで終わったんだったかな。だからどうしたな話だけど、ラッキーのキャラが渋くて、でも全然超越していなくて、下世話なところもたっぷりあって、フツーすぎるところがなかなかよろしい。
ラッキーを演じているのは『パリ、テキサス』のハリー・ディーン・スタントン(1926-2017)で、撮影時にはホントに90歳だったみたい。2017年9月に亡くなったというから、これが遺作だけど、本人そのままな気がしないでもない。ラストも「これが最後だかんな」といってるみたいで、示唆的。エンディングテーマにはハリー・ディーン・スタントンの名前も歌い込まれていたり、そうか、追悼の意味もあったのね。
・クロスワードパズルは新聞なのか雑誌なのか。よく分からんけど、毎日やってるんだろうな。パズルのせいなのか、性格なのか、言葉の定義にうるさくて、スナックなんかで言葉の使い方にツッコミを入れたりしていた。「現実主義は物だ」が口癖で、では唯物論者なのか。もちろん辞書が友だちで、理屈っぽい。かといって、パズルは自力で解く、というタイプではなく、誰彼となくヒントをもらう。というあたりは、自分の能力を試したいというより、知識を得たいという思いなのか。
・たばこが好き。医者には止められるけど、もちろん「いまさら」と譲らない。このあたりは、近ごろの煙草害悪説なにするものな感じで清々しい。スナックでも、何度も吸おうとしてオーナーのバアサンに止められている。権威に楯突くところもカッコイイ。
・もちろん死を意識しているわけで、見舞に来た(自宅で倒れて病院に行った後かな)レストランの黒人ウェイトレスと一緒にハッパやってるとき「怖い」と告白する。そりゃそうだろうけど。でも、怯えているわけでもなく、毎日、淡々としている。
・倒れたのは自宅で、コーヒーメーカー(?)についてるデジタルタイマー(?)なのか時計なのか、が12:00で点滅してるのを見ながら。原因はなにか分からないけど、すぐに意識が戻ったのかな。その後、すぐに医者に行っている。まあ、「歳だから」といわれれば、そうだよなあ、な感じたけど。でも、健康には敏感なのがよく分かる。
・スナックの連中がいろいろで面白い。親友のハワードは、亀にルーズベルトという名前をつけている。最初は意気消沈してるんだけど、最後には「ちょっと外を見に出かけただけだ」という考えで納得させようとしている。で、この映画、オープニングは、亀が右から左手に歩くシーンで、ラストは、その亀が左から右に歩いてくる場面で挟まれていて、ああ、ルーズベルトはもどったんだ、と思わせてくれて、ひと安心。このハワードに保険を勧める弁護士が登場するんだけど、まあ、人から金を巻き上げる世の保険屋の代表みたいな感じで扱われている。で、このハワード、リンチに似てるな、と思ったら、ほんとうにデヴィッド・リンチだった。演技も大したもんだ。
・いつものレストランで、元海兵隊のジジイと遭遇して昔話に・・・。という場面は、ああ、反権力のツッパリじじいも、戦争体験だけは共有したいのね、という感想。これは、軍隊のある国ならではのことなのかも知れない。で、ここでラッキーの素性が少し分かって。ラッキーは海軍の弾薬輸送船でコックをしていた。だから愛称がラッキー。でも一度だけ・・・と危機があった話をすると、元海兵隊のジジイは沖縄戦で、戦場で死体ばかりの中で見かけた少女の笑みが忘れられない、と語る。この話はラッキーの心にも響いたようだ。
とはいえ、“Nothing”としょっちゅう口にするわりに、無の境地に達しているわけじゃない感じ。
・いつものスーパーのオバサンに息子の誕生パーティ(だったかな?)に誘われ、場違いなきもしつつ訪れるとラテン系の人たちばかりで。でもラッキーはスペイン語で日常会話ぐらいはできる様子。オバサンはメキシコ人だったのか。しかも、宴もたけなわな最中に立ち上がり、ラッキーが突然歌い出す。それはみんな知ってるような有名な恋の歌らしい。ってことは、かつてメキシコで暮らし、メキシコ人の彼女がいたのか・・・。でも結婚はしていないと言ってたけど。な、ラッキーの過去がここでも垣間見える。
・あとは、毎度悪態をついていた場所が、あとから分かるんだけど「イブの楽園」という場所なんだけど、あの噴水のある熱帯風の場所はなんなんだ? 温泉ランド? 売春宿?
・あとは。レストランに、ゲイが数人来ているのに出くわしたときは、しかめっ面をしておったが、まあ、昔からの人にはそういう具合に映るんだろう。映画の作り手の本音が見えて興味深い。ハリウッドのゲイ礼賛に、ちょっぴり皮肉かね。
ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル4/16109シネマズ木場シアター4監督/ジェイク・カスダン脚本/クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ、スコット・ローゼンバーグ、ジェフ・ピンクナー
原題は“Jumanji: Welcome to the Jungle”。allcinemaのあらすじは「学校で居残りをさせられていた4人の高校生スペンサー、フリッジ、ベサニー、マーサは、地下の倉庫で“ジュマンジ”という古いテレビゲームを発見する。ためしにそれぞれキャラを選んでプレイしようとしたところ、いきなりゲームの中に吸い込まれてしまう。気がつくとそこは鬱蒼としたジャングルで、4人は性格も性別も真逆のゲームキャラの姿になってしまっていた。現実世界に戻るためには、敵キャラ、ヴァン・ペルト一味の追撃をかわしながら、難攻不落のステージをクリアしていかなければならなかった。しかも与えられたライフは3回で、使い切ったらゲームオーバー。あまりにも理不尽な状況に放り込まれた4人は、それでも生きて現実世界に戻るべく、それぞれのスキルを駆使して目の前の難関に立ち向かっていくのだったが…」
Twitterには「ゲームキャラになって男女性別が変わる人物があるのに、黒人は黒人のままなのはどうなんだとか。3つのライフを使い切るのに20年もかかるのかとか。ツッコミどころはあるけど面白かったから許す。」
前作は見ていない。浜辺でゲームを見つけてきたのは誰なんだ? で、ゲームを始めたのは、あれは途中から参加するシーブレーン、でいいのかな。まあいい。
生身の人間がコンピュータゲームのキャラに同一化し、ゲームの中でミッションを果たす。それができなければ、ゲームから出てこれない、という設定。子供だましかと思ったら、そうでもなくて、下品さもなく結構おもしろかった。まあ、役者的にはドウェイン・ジョンソンとジャック・ブラックぐらいしか(日本での)有名どころはいないけど、そういうのはたいして気にならなかったね。もちろん細かいところでは「?」やツッコミどころも多いけど、まあ、ゲームだし、と思えばスルーできるしね。
・現実マーサはしゃくれ顔でもうちょい色っぽさが欲しいかな、でも、引っ込み思案という性格は表れてるかね。そのキャラ・マーサはタフな女性だけど、いまいちフツー顔で。もうちょいエロさが欲しいかも。おっぱい大きいけど、やっぱここはタンクトップで谷間も見たいところである。ふふふ。
・自己チューバカ娘のベサニーがチビデブのジャック・ブラックになるのは面白い。チンコやオシッコに感動してSNSにアップしたいとか、おまえ何も変わってねえ。でも、ライフを使い果たしたシーブレーンにマウス・トゥ・マウスでライフを吹き込むとか、なかなかカッコよかったりする。
アメフトバカの黒人フリッジが、ゲームでも黒人で、力の無い小男になるというのは、どうなんだ。黒人が白人娘になるのは、いろいろ問題がありそうだから回避、なのかね。つまらん。
・主人公のスペンサーがゲームではタフガイのドウェイン・ジョンソンになるのは、マーサと同じパターンかね。設定としてはフツーすぎる気もしないでもない。でもま、安心して見てられるけどね。
・ジャングルにいる悪役キャラとかは、これはもうゲームだから背景なんて考えてもムダだから、そんなもんでしょう、と。
で、ゲームの進行も、考えて導き出すと言うより、終わってみればほとんどテキトーだった感じで。最後の塔に登るというのも、スペンサーのバイクによる決行は囮だったのか? だって宝石は持っていなくて、宝石を持っていたのは黒人のムースだったか、動物に好かれる特技を生かしてゾウに乗ってやってくるんだから。なんか成り行きでやってるよな。まあいいけど。
で、無事にゲームをクリアして戻るんだけど、その世界では、街で陰気な屋敷として知られていたシーブレーンの家は平穏無事で、彼自身も家族と子供たちと一緒に現れる。ここは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の、運命によって未来が変わるパラレルワールドみたいな感じ。既視感はあるけど、清々しくてよろしい。
とはいえシーブレーンについては疑問がいくつもあって。そもそも彼は20年前に1人でゲームを始めたのか? ゲーム中もひとりで戦ってたの? で、残っているのはライフ1つ。よく生きながらえておったな、と。まあ、ゲームの中では数ヵ月しか経っていない、と言っていたような気はするけど。で、ゲームをクリアして彼は20年前の1996年に戻ったんだよな。でもって4人がもどった2017年までずっと待っていた? ということは、20年のブランクがあるわけだけど、4人を見てゲームキャラを言い当てられるとは・・・。
ところで、あのゲームは、なぜシーブレーンの家になくて、高校の倉庫にしまわれているのだ?
はたまた、あのゲームでライフを使い果たし、帰れなくなった人もいるのではないかと思うんだが、そういう人はゲームの中で生き霊としてうろうろしとるのかな。
婚約者の友人4/19ギンレイホール監督/フランソワ・オゾン脚本/フランソワ・オゾン
フランス/ドイツ映画。原題は“Frantz”。allcinemaのあらすじは「戦後間もない1919年のドイツ。戦争で婚約者のフランツを亡くし、悲しみから立ち直れずにいるアンナはある日、フランツの墓の前で泣いている見知らぬ男性と出会う。アドリアンと名乗るその青年は、フランツと戦前のパリで知り合ったと明かす。フランツとの思い出話を聞き、2人の友情に心癒されていくアンナ。最初は敵国の人間と抵抗感を抱いていたフランツの両親も、アドリアンの人柄に触れるうち、いつしかこの息子の友人を温かく受け入れていくのだったが…」
Twitterへは「古典的展開の前半からオゾンらしい謎めく後半へ。戦勝国と敗戦国、憎しみ、赦し、再生。なかなか面白かった。若尾文子と沢口靖子の清楚で気の強そうなところを集めたようなパウラ・ベーアがいい感じ。」

タイトルの深読みで、最初の頃は、フランツがパリで知り合った恋人の話かと思っていた。もちろんその恋人はアドリアンで、ゲイカップルかな、と。始めはアドリアンの態度に「読みはアタリ」と思っていたんだけど、次第にひねりのない話になっていく。allcinemaによると「エルンスト・ルビッチ監督による1932年の反戦ドラマをミステリー色を強めてリメイク」だそうで、ほんとに前半は昔の名作を見てる感じ。なんのひねりもなく淡々と。さてどうなるのかな、と思っていたんだけど後半アンナがアドリアンを捜しにパリに行くあたりから緊張感が増してきた。このあたりはオゾンが膨らましているのかな。
わざわざフランスから墓参り、というのが当時としては、というか、敗戦国ドイツの人々には違和感だったんだろう。そういう描写がいくつもある。国は負けても、心は負けて居ない感じ。興味深い。
てなわけで前半は、敗戦国にやってくる戦勝国フランスの青年の話で、ドイツの男たちに妙な目で見られ、脅されたりもする。まあ、当然だろうけど。婚約者を亡くしたアンナは失意の中にいるんだけど、しだいにアドリアンに好意を抱くようになっていくのも、むむむ。アドリアンがフランスの有名な楽団に属するバイオリニストで、フランツもまたバイオリンを弾いていたなどの共通点で、最初は会うことを拒否していたフランツの父も打ち解けてきて、アンナの嫁に、と思うようになっていく感じ。
ところで、この映画の一番の不思議は、息子フランツの婚約者が、息子が亡くなって後もずっとフランツの両親と暮らしている、ということなんだけど、これは当時のドイツでは当たり前だったのか? それとも足入れ婚のようなかたちで、すでに一緒に暮らしていたのかね。街の人たちはアンナを見ると、「先生のところの」とすぐ分かるし。さらに、アンナの実家や彼女の家族は一切登場しないのも不思議なところ。だいたい、息子が戦死したんだから、フツーなら婚約者であるアンナは実家に返す、というのがフツーではないかと思うんだが。これがずっと気になっておった。
さて、前半では、フランツがフランス留学中に友人だった、とアドリアンは話していたんだけど。帰国直前、アンナに「実は塹壕でフランツと出くわし、撃った」と告白。アンナは衝撃を受けるんだけど、このことをフランツの両親には伝えない。アドリアンは最後の挨拶もせずに帰国してしまう。帰国後にとどいた手紙(アンナ宛に出すように言っておいた)には事実が書かれていたけど、アンナは勧進帳のように白紙の手紙を両親の前で読んで、誤魔化す。まあ、このあたりは、アドリアンに好意を抱いたままにしておいたほうがよかんべえな感じなんだろうけど。
で、アンナが返事を出すと、宛先人不明。なので、両親に促されてフランスを訊ねるのだが・・・。それにしても、フランツが亡くなってからいつまでアンナはフランツの両親と暮らしてるんだよ。な感じ。
ここからアンナの女性像がどんどん開放されていくんたけど、まずは敗戦国の女性が戦勝国に行く描写がリアル。戦勝国だからにぎわっていると思ったら、爆撃の跡(?)も多く、人々も疲弊している。これにはアンナも驚いている様子で、これでフランスやアドリアンに対する意識も変わったような気がしないでもない。
フランスでの、アンナのアドリアン捜しが、ミステリー風で、これが面白い。まずアパートへ行くと「転居した」と言われ、アドリアンが好きだという絵を見にルーブルへ。それは若者の自殺を描いた絵に驚き。つぎに楽団に行くけど登録されていない。次の戦傷者病院みたいなところは、どういうつながりなのかよく分からないけど、死亡者リストを見たら名前が載っているので墓地へ行き、その当人の家を訪ねたら「あなたの探しているのは甥」とかいわれるんだっけか。で、郊外にある大豪邸に行くと、アドリアンは優雅に乗馬から帰ってくるんだけど、その家には母親と幼なじみの婚約者・・・。いまいちつながりが「?」のもあるんだけど、面白い。
この後、アンナは心を打ち明けるんだけど、間近に迫っている幼なじみとの結婚に招待すると言われ、でも、それはお断り。でも、パリに戻るアンナとの別れのキスは、アンナに惹かれていることを示すものなのかな。幼なじみとは、たぶん家同士の結婚というのもあるのかもね。
で、ふたたびルーブルへ行って「自殺」と対峙して。フランツの両親には、うまくいってるとか、嘘の手紙を書くんだったかな。これからパリで暮らすとかいってたような。まあ、婚約者という立場から、そして、アドリアンからも解き放たれて、自立しようとしている、のかもね。
・しかし、婚約者を撃った、と告白されて、自殺までしようとするアンナの心境は・・・。愛していた人を殺したのは、いま、好きになりかけていた相手だから、なんだろうかね。とはいえ、後にルーブルで、アドリアンも自殺を考えた時期があったことを知って、その心の内を推察したというわけか。いったん死を覚悟し、もどってきた人は強い。きっとアンナは、これから男に頼る人生をせずに、自分で切り開いていくのかね。
・アンナに「結婚しよう」とアプローチしてくるオッサンがいるんだけど、もうちょっと若いのがもっといるだろうに。戦争直後だから、若いのはなかなかいないのかな?
・アドリアンは正直すぎたのかもしれないなと、思ったりもしたけど。
エタニティ 永遠の花たちへ4/19ギンレイホール監督/トラン・アン・ユン脚本/トラン・アン・ユン
フランス/ベルギー映画。原題は“?ternit?”。allcinemaのあらすじは「19世紀末のフランス。美しい花と緑に囲まれた大きな邸宅に生まれ育った17歳のヴァランティーヌは、親が決めたジュールとの婚約を自分の意志で解消してしまう。ところが、それでも諦めないジュールに心動かされ、改めて結婚を決意する。6人の子どもたちにも恵まれ、幸せな人生を送っていくが、生まれて間もない赤ん坊が亡くなったのをきっかけに、立て続けに不幸に見舞われていく。悲しみに暮れるヴァランティーヌだったが、息子のアンリが幼なじみのマチルドとの結婚を決め、やがて初めての孫が生まれると元気を取り戻していく。一方、マチルドと姉妹同然に育った従姉妹のガブリエルも夫のシャルルとともに同じ建物に住み、互いに交流を深めていく中で、再び戻ってきた大家族のような賑やかさがヴァランティーヌに喜びを与えていくのだったが…」
Twitterへは「ブルジョワ一族の結婚出産死結婚出産死・・・のクロニクルだけどドラマがなくて淡々とつなげてるだけだからつまらないことこの上なし。途中で、こいつは誰だっけ? な感じになるし。なんとか寝なかったけど。」
これ書いてるのは4/29、見終えて10日か。もうほとんど記憶にないというか、どーでもいいな、な感じ。だってストーリーらしいものはなく、ドラマもなく、人物もスケッチ程度で、感情移入もできない。生まれて、成長して、戦死したり病死したり、どんどん死んでいく。流れるように淡々と描かれるから、誰がどれでどうなっているのか、よく分からないままに過ぎ去っていく。ベン・ケーシーの男・女・誕生・死亡・無限そのまま。まあ、冒頭で出てくるオドレイ・トトゥはかなり長生きして、ひ孫とかにはたくさん恵まれたらしいけど。だからなに、な感じ。
ずっと直系かと思うとそうでもなくて、途中で嫁の話になったり、嫁の女友だちの系譜になったり、なんかスッキリしない感じでだらだらと生んだり死んだりしつつ、いまはこんなに多くの末裔が、で終わるんだけど、とても退屈。こんな映画なのに、珍しく寝なかった。この方が不思議でドラマだよ。
ニワトリ★スター4/23ヒューマントラストシネマ渋谷シアター3監督/かなた狼(田中雄一郎)脚本/いながききよたか、かなた狼
allcinemaのあらすじは「2008年、東京新宿区の片隅。“ギザギザアパート”と呼ばれる奇妙なアパートに暮らす30代半ばのくたびれた草太と20代半ばの天真爛漫な楽人。2人は草太が密売する大麻の稼ぎで生活していた。好きなだけ大麻を吸い、個性豊かなアパートの住民たちと珍騒動を繰り広げながら、自堕落でもそれなりに楽しい日々を送っていた。しかし楽人は覚せい剤中毒のシングマザーに恋してしまう。そんな中、本物のヤクザに目を付けられてしまい、運命が大きく狂い始める草太と楽人だったが…」
Twitterへは「ムダに長い。いろいろ気分悪くなる前半を中心にバッサリ切って70分ぐらいにし、脈絡なく展開する部分をなくせば、フツーに見られる映画になるんじゃなかろうか。」
大阪のお好み焼き屋の息子(草太)が何の目的もなく上京し、ぷらぷら。沖縄の、家族運に恵まれず、あんまり頭も良くなさそうな青年(楽人)が上京してパンクな恰好。の2人がなぜかアパートで同居して、階下の店でバイトしたり、楽人は大家のオバサン(LiLiCo)とバックでヤリまくり、部屋代をチャラにしてもらったり。で、あるチンピラからマリファナを流してもらって売ったりしていたんだけど、あるときそのチンピラに、ヤクザを紹介されて、そっからあれこれ狂い始める感じ。ヤクザは子分が2人で、そのチンピラにマリファナを流してたのかな。で、チンピラがなにかしでかして殺され、つぎに目をつけられたのが草太と楽人で。でも草太はヤバそうと分かって大阪にトンズラ。楽人は危険ドラッグの売人をやらされ、金も入ってニコニコ顔だったんだけど、ヤクザの子分に別の仕事をするようにいわれ、それが見つかったか何かで、ヤクザが楽人を殺そうとするんだが・・・な話で、大した内容はない。前半の、しっちゃかめっちゃかグロい映像満載なところは気持ち悪くなるほどで、なんてせそこまで描くのか意味分からず。なので、このあたりはざっくり要らない感じ。まあ、つくってる側は、あそこが大事、といいそうだけど。だって、本筋は大したことないし。
殺人狂的なヤクザなんていまどきいるのか? な話で。チンピラを殺して、どっかの警備員に死体の処理をまかせるなんて、そんな危険で金のかかることをするバカはいくらヤクザでもおらんだろ、という時点でつまらない。
しかも、こっから先が、まったく脈絡なく話が飛んでいく。 金のために楽人が夜の仕事(ヤクの売人?)を始めて、それを知ったヤクザが楽人を殺しに来る・・・というところで、突然、楽人の隣家の吉害が登場し、ヤクザ3人を斬り殺してしまい、楽人と彼女とその息子は無事、という流れはなんなんだよ。アホか。
あれほど帰るのは嫌だといっていた沖縄に戻った楽人と彼女とその息子。さて、と思ったら、突然、楽人はベッドの人で。呆気なく死んで、灰を海に撒かれていた。おい。何があったんだよ。いつ病気になったんだ。どういう病気なんだ! テキトー過ぎるだろ。
で、彼女がわざわざ大阪まで、楽人が草太に「送る」といっていたという、安物のプラネタリウムをもってくるんだけど。そんなもん送ったらいいだろ。いくら旅費を使ってるんだ! アホか。
なんだよこの展開。まあ、こういうのがやりたかったのかも知れないけど、真面目に見ているのがアホらしくなってくる。
・LiLiCoが大家の女になって、楽人とバックでやりまくる場面はオッパイ丸見えなんだけど。そんなことまでして撮る必要のある映像かね。ないと思う。
・お好み焼き屋の客の片方は田山涼成かと思ったら、海原はるかという漫才師らしい。へー。
・隣の部屋の吉害は、鳥肌実だったのか。ふっくらごつくなったな。
・エンドクレジットに高良健吾があって。あれ、出てたっけ? と首をひねっていたら、その後にも映像があって。成長した楽人の彼女の息子がサッカーの有名選手になって、草太に宇宙飛行のチケットをくれて、それで旅だったというオチがついていた。けど、これまた脈絡のない展開で、なんだかな。くだらない。
ワンダーストラック4/23ヒューマントラストシネマ渋谷シアター3監督/トッド・ヘインズ脚本/ブライアン・セルズニック
原題は“Wonderstruck”。allcinemaのあらすじは「1977年、ミネソタ州ガンフリント。母を突然の事故で亡くし、伯母の家に身を寄せる12歳の少年ベン。ある夜、母の遺品の中から名前すら知らない父の手がかりを見つける。その後、落雷に撃たれ耳が聞こえなくなったベンだったが、父を探し出すべくニューヨークへと旅立つ。1927年、ニュージャージー州ホーボーケン。生まれつき耳の聞こえない孤独な少女ローズ。支配的な父に対して心を閉ざす一方、人気女優のリリアン・メイヒューに特別な思いを抱いていた。ある日リリアンが舞台に立つと知り、彼女に会うべくニューヨークへ向かうローズだったが…」
Twitterへは「お子様向けでもあるらしい。だからというわけではないだろうけど、前半の展開がのんびりしすぎてイロイロじれったい。先も見えちゃうしなあ。30分ぐらい削るとちょうどいいかも。」
惹句に「1977年のミネソタに住む、母親を亡くした少年ベンと、1927年のニュージャージーに住む、聴覚障害の少女ローズとの、時代を越えた交流」とあるのでタイムトラベル的な何かがあるのかと思ってみていたんだが、いつまでたっても話が交わらない。やっと交差するのは自然史博物館のオオカミのコーナー、かな。その博物館の古い資料に自分の家のスケッチ画あるのをベンが見つけたところでほぼ謎は解決な感じで。あとは細かな点を整合させていく感じ。1977年の話は、ここまで来るのが長いし、ほとんどドラマがない。とくに、ベンが突発性難聴になってしまったという設定なので、音も少なく、話も単調。ちょっと飽きる。一方のローズの方は、わりと波瀾万丈で。ところどころにドラマもあって引っぱってくれる。たとえば、憧れの女優の正体、兄からのハガキ・・・。それが明らかになる過程で、彼女の神秘性も開明してくる。
ま、終わってみれば話は単純で。ローズは家出して兄と暮らし、自然史博物館に勤めていた兄の影響で同博物館へ。万博のとき、NYのジオラマをつくるので別の博物館に移り、万博終了後もその博物館へ。そして、いまも勤めている。結婚し、息子ができて、彼は自然史博物館に勤務。自然のジオラマをつくるためガンフリントに行き、そこでベンの母親と出会い、一夜か二夜かもっとか知らんがイチャイチャし、戻ってジオラマ完成。でも突然の病死で若死に。の葬儀に幼い赤ん坊(ベン)をつれた女性が・・・。というわけで、もしかしたら学芸員の息子は子供ができたことも知らずに逝ってしまった、のかもね。
はいいんだけど、以後、ローズはベンと会っていなかった、のかね。ベンの母親は、3歳ぐらいのベンを連れて自然史博物館に来たことがあって、そのときのオオカミがベンのトラウマになり、よく夢でうなされた、という設定だけど、見にきたことぐらい覚えていても不思議ではないけどな。はたまた、祖母であるローズと交流があってもいいと思うけど、そうしなかったのはなんでなの? という疑問。
まあそれよりも、ローズもベンも勝手気ままに動きまわって、父親や伯母のいうことは聞かず勝手に家出してうろつき回り、人に迷惑をかけっぱなし。ベンなんか自然史博物館の館員の息子と部外者立入禁止のエリアに入り込んで毛皮だのなんだの踏みつけたりなんだり、果ては博物館の資料を無断で持ち出してくる。ローズも、憧れの女優の広告が載ってる雑誌のページを無断で切り取ったり、憧れの女優(あとで母親と分かるけど)の出演する劇場に潜り込み、図々しくもリハーサルの現場にまぎれ込んだりしてしまうしまう。まあ、見つかって、女優=母親に控室に連れていかれ、閉じ込められるんだけど。で、自然史博物館ではローズもベンも、隕石だのの展示物の台に上ったりさわったり、し放題なのが見ていてイラっとしまくりなんだよな。子供だからとか、やんちゃだし、で済ませる人はいいけど、こちとらそうじゃないので。ああいう性格の子供は嫌い。
ローズは生まれつきの聾らしい。でも10歳ぐらいなのに手話も覚えていないなんて、それ、困るだろ。ローズの両親は離婚して、それでローズは父親と住んでいたわけだけど。だからって家出することはないだろ。だって、その後の展開を見ても、ローズは憧れの女優と会って・・・と思ったら、母親の方はすぐにローズと気づくし、ローズも母親と分かっていた様子。では、その後も女優=母親を慕って追いつづけるかというと、そんなことはなくて、博物館勤めの兄のところを頼るのだよね。もう母親は要らない、とばかりに。この流れが、納得しにくい。
気の毒なのはベンで。未婚の母の息子で、実は父親はすでに死んでいて。なのに、母親まで事故死させて孤児にして、伯母と住んでいるというようなひどい設定はなんなんだ。祖母としてのローズは、孫のベンをもっと以前から気にかけてあげるべきだったろ、と強く思う。
いい人だな、と思ったのはローズの兄かな。まだ若いのに妹を引き取ったのかな。学校にもやったのか。このあたりは父親の了承も得てのことかも知れないけど。だとしたら、父親はなかなか物分かりがいい、ということになる。映画では、厳しい父親的な描かれ方だけど。気になるのは兄とローズの年齢差かね。ローズが10歳としても、10年以上開いてるわけだよな。でも、そんな兄貴は、なんで博物館を辞めて古本屋なんてやってるんだ?
あと、疑問は。ベンが家で見つけた博物館の本に挟んであった栞。そこに、待ってるとかなんとか、書いてあったんだよな。あれ、どういう意味なのだ? ベンの父親は、ガンフリントでだけでなく、NYでも逢い引きをつづけていたのか? で、その逢い引きの場所は、博物館を辞めた伯父が経営していた古書店? そんなところで待ちあわせ? よく分からん。
・ベンの母親は、ベンが小さいころに、いまは死んだ父親が関わったジオラマを見せに博物館に行っている。だったら、ベンが父親のことを知りたがったとき、はっきり事実を伝えればいいではないか。亡くなっている、とか隠す必要なんてないと思うぞ。
・1977年のローズに、勤めている博物館に招かれ、中のジオラマの中に招き入れられるんだが。おい。そんなことしたら模型を踏み潰して・・・と気が気ではなかった。だって、NY大停電まで起きるんだぜ、ジオラマの中にいるときに。
・ところで、ベンの突発性難聴は治ったのか? そういう場面がなかったんだけど。まさか、あのまま、ということはないよなあ。
レディ・プレイヤー14/24109シネマズ木場シアター1監督/スティーヴン・スピルバーグ脚本/ザック・ペン、アーネスト・クライン
原題は“Ready Player One”。「プレイヤー1の方準備してください」という意味らしい。allcinemaのあらすじは「2045年の地球。街が荒廃する一方で、若者たちはVRワールド“オアシス”に夢中になっていた。そこでは誰もが好きなアバターに姿を変え、自分の思い描く通りの人生を生きることができた。そんなある日、オアシスの創設者ハリデーが亡くなり、彼の遺言が発表される。それは“アノラック・ゲーム”と呼ばれ、彼が仕掛けた3つの謎を解き、オアシスに隠されたイースターエッグを最初に見つけた者には莫大な遺産に加え、オアシスの後継者としてその全権を与えるというものだった。この驚くべきニュースに世界中の人々が色めき立つ。現実世界に居場所がなくオアシスだけが心の拠り所の17歳の青年ウェイドもこの争奪ゲームに参加し、オアシスで出会った謎めいた美少女サマンサら大切な仲間たちと力を合わせて3つの謎に挑んでいく。そんな彼らの前に、恐るべき野望を秘め、邪悪な陰謀を張り巡らせる巨大企業IOIが立ちはだかるのだったが…」
Twitterへは「設定は2045年だけど、中味は現在でもほぼ通用する話。なので意外性や驚きに欠ける。映画、ゲーム、アニメ・・・の系譜を知らないと存分には楽しめないかも。攻略本が必要かな。少しついていけなくなったところもあるけど、まあなんとか。」
冒頭で住環境やオアシス漬けの様子がささっと描かれるんだけど、住んでるのは高層バラックで、ドローンの宅配、ゴーグルつけてVRのオアシス・・・と、現在と変わらんだろ的な描写にちょっと萎えた。その後、オアシス世界でのアバターも、現実は貧相だったり性が違うかも、なんて会話があったり。オアシスでは課金してアイテムを買う人が増え、破産してるとか、そんなの現実じゃん。ぜんぜん2045年感がない。いまから27年後の話だろ。もっと激変してるんじゃないか。というわけで、まったく驚きのない展開で、少し退屈。
とはいえ、オアシス世界に登場するもろもろが、え、こんなのまで? という有り様で。「AKIRA」の金田仕様バイク、薔薇の蕾は「市民ケーン」、「メリーに首ったけ」の髪形、キングコングにゴジラ、メカゴジラvsガンダム、チラリとバットマン、アイアン・ジャイアント、ダイトウの顔は三船敏郎?、波動拳もあったな。そして場面までリメイクされてたのが「シャイニング」で、あの場面はなかなか怖かった。他にも、争奪ゲームのハリデー爺さんは「ロード・オブ・ザ・リングシリーズ」だろうし、対する5人は日本のゴレンジャーっぽい。IOIの、腹に穴の開いてる的は大魔神に似てるしIOIの社長ソレントはアイアンマン風でもある。で、アバターのヒロインはディズニーアニメ風。こういうのを発見して喜んでるだけでも大満足な客はいそうだな。Wikipediaを見たら、引用元がたくさん載ってて。ひぇー、なんだが。おっさんには分からんよ。しかし権利関係をどう処理したのか興味あるところ。あ、そうそう。クレジットにマシ・オカがコンサルタントとして載っていたけど、なんしたのかね。
そういう引用ネタだけではなくて、ムダにバトルシーンが多くなく、展開が早いので、この手のCG満載映画では、珍しく寝なかった。『トランスフォーマー』とか『パシフィック・リム』では、だらだらつづくバトルシーンに飽き飽きして寝ちまったんだが・・・。
で、話はというと、どちらかというとありきたりかも。ところでオアシスの創業者の2人、ハリデーとモローはAppleの創業者であるウォズニアックととジョブズに似てる。実際のマシンを造ったのはウォズニアックで、販売方がジョブズだから、ハリデーはウォズニアックかな。ハリデーは亡くなったという設定だけど、ウォズニアックはさっさとAppleを引退して好き勝手なことをしてる。あの奔放さは描かれてないけど、少年の夢を持ちつづけている感じは、ウォズニアックかもな。
で、オアシスの権利を譲るゲームでの鍵の争奪戦が描かれていき、個人の中にIOIという企業も参加。まあ、ビジネス権を得ようということなんだろうけど、IOIは課金が払えない人たちから金を徴収し、金がない連中は強制労働させているんだけど、そんなのが許されるのかね。そもそもIOIはどういう企業なんだ? ちゃんと描かれてなかったような気もするんだけど、ウェブで調べたら「インターネットプロバイダ関連」とあった。ううむ、な感じだな。社長のソレントはかつてオアシスで働いていたようなので、ベンチャーから大きくなったのかしら。
まあ、その悪徳企業とウェイドたちがオアシスの権限を争って、オアシス内でゲームを繰り広げるというお話で、物語自体はとくに新鮮味はない。まあ、アバター仲間がウェイドを含めて5人で、ゴレンジャーっぽいとか、パーシヴァル/ウェイドが白人男性、アルテミス/サマンサが顔に痣のある白人、ごつい肉体派のエイチ/ヘレンが実は黒人女性、武者姿のダイトウは日本人、それと中国人の少年ショウ、なんだけど。相変わらず中心男女は白人でそこに癖のある黒人を絡めるというのは定番。日本人が参加してるのは、ゴジラとかAKIRAとか豊富なキャラを提供しているからだろう。中国人は分からんのだよな。中東やアフリカから参加してもいいと思うけど、黒人がアフリカを兼ねてるのか。あとは、中国資本が入っているからか。なんだろね。
で、アルテミス/サマンサは、何かに反抗している団体の一員なんだけど。何に対して反乱してるんだ? これがよく分からない。途中でIOIに、支払いしてないからと強制的に連行され、労働させられてたけど。ああいうことを私企業がしていい世界なのかね。というのも、ずうっと警察は登場していなくて、ラストにソレントを逮捕しにパトカーがやってくるのを見て、え? 警官っていたんだ、と驚いたのだよ。IOIが傍若無人する前に、警察が動けよ、と思ったのは俺ひとりか?
で、あれこれあってパーシヴァル/ウェイドがむゲームに勝って。でも権利は仲間5人で共同経営すると宣言したところで映画は終わる。のだけれど、課金支払いできない貧乏人で世の中困るのは変わらないだろうなあ、と。オアシスを週休2日にして、人々にリア充を求める程度では、世の中変わらんと思うぞ。
・パーシヴァル/ウェイドの伯母さん一家はほんとに爆死してしまったのか? 警察はどうした!
・なんでパーシヴァル/ウェイドが勝利するのか? その説得力のある答がないのも、うーむ、な感じ。
ゲット・アウト4/26ギンレイホール監督/ジョーダン・ピール脚本/ジョーダン・ピール
原題は“Get Out”。allcinemaのあらすじは「ニューヨークに暮らす黒人青年のカメラマン、クリス・ワシントン。白人の恋人ローズ・アーミテージから実家に招待されるが、彼女の両親は娘の恋人が黒人であることをまだ知らず不安を隠せない。しかし、いざアーミテージ家に着いてみると、まったく心配ないというローズの言葉通り、家族みんなクリスを温かく歓迎してくれた。それでも、使用人として働いている黒人の姿に妙な胸騒ぎを覚えてしまうクリス。翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティが開かれ、多くの招待客が集まる中、白人ばかりに囲まれ居心地の悪さを感じるクリスだったが…」
Twitterへは「前半のときどきゾクゾク・・・がなかなかエスカレーションせず、中だるみな感じ。最後も、なーんだ、な拍子抜けかも。というか、これ、話自体が黒人蔑視の上に成立してると思うんだが。いいのかな、こういうのは。」
大ヒットしたサスペンスらしいけど、黒人蔑視が根底ににじみ出てて、でもそれを問題視しているようにも見えないので、いまいちピンとこず。
白人女性が黒人のボーイフレンドを自宅に連れていく。「うちの両親はリベラルだから大丈夫」「そうかあ」なんてやりとりから、『招かれざる客』現代版みたいになるのかと思ったらそうでもなく、クリスは大歓迎される。けれど、人々の態度が異常。とくに、アーミテージ家の使用人である黒人男性と黒人女性が、まるで感情がないかのようにブキミ。ローズの両親ディーンとミッシーはフツーそうに見えるけど、ローズの兄のジェレミーが、ちょっと暴力的? な感じ。
最初のドキ、は深夜。クリスが眠れず起き出すと、廊下の向こうを背の低い女性(? 子供のように見えたけど、これは女中だったのか?)がふっと横切るんだけど、おお、これはジャパニーズホラーの影響か? で、クリスが庭に出ると、遠くから召使いが猛ダッシュして近づいてくる。これも怖かった。でも、以後はそんな怖いところはなくて、なんか中だるみというか、いまいち退屈になってしまうのだよな。ジワジワ、ゾクゾク、とは行かないのが物足りない。
なわけで、怪しいままだらだらと話はつづいていくんだけど、このあたりで既に伏線らしきものは埋め込まれていたのだよね。父親は医者、母親は精神科医でクリスはあっという間に催眠術にかけられている。で、兄のジェレミーも医師。召使い2人の生気のなさも、よく考えれば・・・な感じだ。
翌日だったか、地元の白人たちが集まってパーティ。「あなたの気に入らないような人たちよ」とローズがいうから、彼女は味方かと思っていたんだけど・・・。で、パーティにやってきた中に1人若い黒人がいて、彼のパートナーはお婆ちゃん。気が合いそうだと近づいていってグーをだしても無視されるし、クリスは当惑気味・・・。まあ、これも後から考えると、見ているときは謎のようだったけれど、伏線だ。なかなか上手い感じ。で、みんなから離れて空いていると、盲目の画廊オーナーに出会い、ちょっとお話し。ののち、みなとはしっくりこない感じで別室に行っている間に、招待客がビンゴを始めてるんだけど、これまた淡々と陰気にやっていて、なんなんだ?
というところで、空港警察職員の友人に、今日会った変な黒人の写真をメールすると、「そいつはダチだ」なんて返事が返ってきて。でも、いつもと様子が違うともいっている。さらに、いろんな黒人と写したローズの写真がドサッとでてきて、予定を切り上げて帰ろうとするんだったかな。で、どうやって引き留められたのかよく覚えてないけど、催眠術掛けられたんだったかな。いまは使っていないといわれた地下室に拘束されていて。目の前の古いテレビに、ローズの祖父が写るのだ。どーも何かの結社みたいな感じで・・・。さらに映るのは昼に話した画廊主で、彼がいうには「目が欲しかった」と。なんのこっちゃ? と思っていたんだけど、その後の展開で、おお、なるほど。
なーんと、画廊主は地下の手術室で開頭されている・・・。クリスも手術室に送られる・・・というところにジェレミーがやってくるんだけど、どうやって外したのか椅子の取っ手にくくりつけられていた両手首。ジェレミーを返り討ちにして・・・。その後の展開はよく覚えてないな。3日前に見たばかりなのに。なんか、火事になって家は燃えるんだよな。車で逃げようとしたらローズが追ってくるんだっけか。そのローズの腹に一発お見舞いしたんだったか、よく覚えてない。というところにパトカーがやってきて。あ、地元のパトカーだったら最悪だな、と思っていたら、これが空港警察の友だちのパトカーで、うまく助けられてめでたしめでたしなエンディング、だったかな。
パトカーの使い方も結構上手くて。最初の方でローズが運転し、実家に帰る途中に鹿をはね、警察を呼んだか何かしたとき、警察官がクリスの身分証明書をしつこく要求し、ローズがつっぱねた、という一幕があって、それが効いているのだ。なかなか上手い。
のだけれど、アーミテージ一家の企みが分かって見るといわゆるB級な感じで、いまいち、おお! という驚きもなく、えー、そんななの・・・というがっかり感が優ってしまった。最初の方の、得体の知れない不気味さは、そんなことだったのかよ、な拍子抜けというのかな。
いや、うまくつくられてるとは思うよ。でもね・・・な感じかな。
・盲目の画廊オーナーが「私の目を欲しい」といいつつ、始まったのはそのオーナーの開頭手術で。目なのに頭? と思ったんだけど、しばらくして分かった。黒人の肉体に脳を移植して、黒人の優れた能力を手に入れる、という話だったのね。
・というわけで、ブキミな召使い2人は、祖父と祖母(だったかな)らしく、なるほどな感じではあるけれど、素晴らしい肉体を手に入れたんだから召使いごっこなんてしないで、もっとポジティブなことをすればいいのにね。
・招待客に混じっていた若い黒人は、あのオバチャンの亭主で、過去にビンゴで当たり、アーミテージ家以外では最初の手術の体験者、ということになるのかね。
・しかし、すぐれた肉体の ・でも、黒人の肉体は優れている、という話自体が、もう差別的ではないのかなあ。監督は黒人らしいけど、であっても、なんかスッキリしない。
・すでにある黒人の肉体より、これからはIPS細胞とかで肉体改造じゃないのかな。でも、そうなると、この手のB級臭い話はできにくくなるのかも知れないけど。
・しかし、いくら黒人の肉体集めのためといっても、結婚前の娘=ローズが手当たり次第に黒人と恋人関係になって、実家に連れてきては手術というのも、両親としてはどうなんだ。まあ、結社として信念をもってやってるから、そんなことは気にならないのかも知れないけど。
・ところで、ビンゴで当たった人からは、いくらもらってるんだろうね。気になるところ。
・もうちょいスケールの大きな話にしようとすると、急成長した大企業の裏のビジネスは黒人の肉体の提供、とかいう話になるのかね。まあいいけど。
女は二度決断する4/27新宿武蔵野館3監督/ファティ・アキン脚本/ファティ・アキン
原題は“Aus dem Nichts”。「何もないところから」のような意味らしいが、よく分からない。英文タイトルは“In the Fade”。allcinemaのあらすじは「ドイツ、ハンブルク。生粋のドイツ人のカティヤは学生時代に出会ったトルコ系移民のヌーリと結婚し、かわいい息子にも恵まれ幸せな日々を送っていた。そんなある日、ヌーリの事務所前で爆発事件が起こり、最愛の夫と息子を一瞬にして失う。警察はヌーリが移民だったことから外国人同士の抗争を疑うが、カティヤは移民を狙ったネオナチによるテロに違いないと訴える。やがてカティヤの主張通り、ネオナチの若いドイツ人夫婦が逮捕され、裁判にかけられるのだったが…」
Twitterには「過激に走る人の話だけど、真実は藪の中。ラストは、いいのか、それで? な感じ。疑わしきは罰せずを信念とする人はどう反応するのか知りたいところ。ところで、ドイツではトルコ人男性とドイツ女性のカップルはもうフツーのことなのかね。」
基本は法廷劇なのね。でも、後半、被告が無罪になってから、妻の個人的な反逆が始まって、ギリシアの宿屋に行って調べ始めるあたりは結構ヒリヒリ。特に、事件当日、被告夫婦が自分の宿に泊まっていた、と証言した男を車で追っていくあたりに緊張感。のだけれど、以降は個人的な怨恨復讐劇になってしまって、事件を解明する展開にならない。なんだこれ。で、最後は、(★以下ネタバレ)なんと爆弾を抱いて被告夫婦のキャンピングカーに突入して自爆テロ。テロにはテロで返すという話しで、うわー、なんだよこれ。復讐の連鎖はこうやって始まるんだぜ、という典型的な見本になっちゃってて、ちょっと首をひねってしまった。
話のつくりとして亭主と息子をテロで失ったカティヤに共感、肩入れするようにできている。のであるが、よく見ていれば、目撃者は被害者の妻カティアひとりで、夫婦のガレージに爆弾の材料があったこと、そして、被告夫婦がネオナチに共感していた、ということぐらいしか根拠がない。被告夫婦が割り出されたのも、父親が息子の行動に不審感を抱いていて、爆破事件の後にガレージを見たら爆弾の材料が・・・。なので警察につたえて、それで、のようだ。判決で判事は「被告が無罪と断定するものではなく、疑わしきは罰せずの精神に基づいて、無罪」といっている。なので、論理としては正論だ。
しかもカティヤには上告の道はあって、弁護士も奨めていた。けれどカティヤはその進言を無視し、単独行動し、ギリシアで偶然にも宿屋の亭主とともにいる夫婦を見つけ、いったんはキャンピングカーに爆弾を仕掛けるけれどそれは中止し、すぐに爆弾を抱え、夫婦が戻ったところでクルマの中に突入している。これはもう暴挙という他はない。裁判制度を無視したテロだ。テロ犠牲者の多くはこういうことはしないだろう。もしかしたら、したいけれどできない、のかも知れない。でも、たとえできたとしても、しない人の方が多いように思う。
もちろん映画はカティヤの行動を賞賛も否定もしていない。ただ、そういう行動にでたドイツ女性がいた、ということだけを描いている。のだけれど、もやもや感は拭いきれない。それじゃダメだろ、と。
興味深いのは、ヒロインは純粋のドイツ人で、夫がトルコ人(クルド人)だってことかな。『おじいちゃんの里帰り』で、すっかりドイツ人になっているトルコ二世が登場していて、確かドイツ人と付き合ってるか結婚しているのも登場していたと思うけれど、この映画の夫婦と同じだ。しかも、夫の両親はムスリムで、夫がそうかどうかは描かれていなかっと思うけど、妻は宗教には無関心? 生まれてきた息子がどの宗教を選ぶのか知らんけど、ドイツはそんな具合になっているのね。日本がああなるのも時間の問題かしら。
それと、カティヤの夫がなんの問題もないトルコ人、と描いていないところ。もともと裏組織とつながりがあり、麻薬密売をしていたらしい。映画の冒頭は、その夫が刑期を終えて釈放(?)されなのか服役中なのか知らないけど、全身タトゥーのカティヤと結婚式を挙げるところで。それから5〜6年後の、息子が生まれたという状況からの爆発。狙いが夫なのは明確で、犠牲になったのは夫と息子、その他・・・。亡くなったのが夫と息子、という設定。いま現在も、夫が裏組織と関係している可能性については、否定も肯定もされていない。というか、警察は調べたのか? むしろ、カティヤの大麻所持が問題になる。大麻は弁護士が「気が楽になるなら」と、得意からもらったもので、それを回してくれたもの。って、おい、じゃこの弁護士は、薬物関係とかヤクザ周辺専門にやってるのか。で、麻薬をやっていたならカティヤの証言(被告夫婦の妻の方を見たというもの)は信頼性に乏しい、と相手弁護士が反論するんだけど、それは合理性がある。しかも、相手弁護士の「カティヤの薬物検査を」という要求を、カティヤ側は弁護士共々断る。これが疑問で、問題がなければ検査すればいい。たんにメンツの問題ではなく、薬物反応が出る可能性が高かった、ということかも知れない。それと、一番気になったのは、大麻の入手経路で、カティヤは判事から問われていなかったけれど、聞かれたら「弁護士から」と証言したんだろうか? でも、そんなことをしたらカティヤの弁護士の信用は失墜だよな。とにかく、カティヤと夫、弁護士共々、探られては都合がわるいことがあった、と感じさせる。
ところで店の爆発直前、カティヤは店の前に自転車を停めた女性に声をかけている。それが爆発物だったらしい。一瞬で、自分だったら顔も覚えていないだろう的な感じだったけれど、事件後すぐ、その女性の顔写真は明らかになっている。これは、カティヤの目撃譚から見つかった者なのか、被告夫婦の父親からの情報なのかは分からないけど、おそらく後者だろう。警察能力はあまり発揮されていない感じ。
それと。警察関係者が事故当時の証言をするんだけど、息子の被害状態を細かに説明するのに耐えられず、カティヤは退出する、その途中で被告に走り寄って罵声を浴びせるんだけど取り押さえられる。という精神的な揺れが激しい女性として描かれている反面、被告夫婦は被告席でずっとじっとしている。まるで感情がないかのように。まあ、ネオナチで信念に基づいているから心に揺れがない、と見ることもできなくはないけれど、カティヤの描き方とは対照的だ。
でまあ、無罪判決が出て。
カティヤは単身でギリシアに行き、「事件当日は自分の宿に宿泊していた。宿帳にもある」と証言した宿屋に行って、その主人の妻らしき女性に被告夫婦の写真を見せるが「ドイツ人なんて見ていない」という。これで、宿屋の主人の証言に信憑性がなくなるのだけれど、こんな簡単なことを、警察や検事、カティヤの弁護士は裏取りしなかったのかとあんぐり。まあ、映画だからしょうがないけど。
で、カティヤがうろついていることを主人が知り、追われるところをかろうじて逃げるんだけど、その後、主人の車を目撃し、追うんだが、ここがヒリヒリするところね。見つかっちゃうんじゃないか、と。で水辺のキャンピングカーに被告夫婦がいて、宿屋主人はカティヤのことを告げるのだけれど、それで夫婦が場所を移動することはない。これは、カティヤに恐れを抱いていないということか。その後、カティヤは宿で、薬剤と灯油と釘、無線オモチャのコントローラーで爆弾を簡単につくってしまう、というのがひとつのミソか。こんなに簡単につくれてしまうなら、被告夫婦も、爆弾のために材料を集めていたわけではない、かも、と思わせてくれる。
で、いったんは離れてリモコンで、て思ったけどそれはやめて自爆テロを決行、となるエンディング。これはやはり冷めてしまう。感情的なのはどっちだ、というように見えてしまう。まあ、映画のつくりはカティヤに感情移入できるようにつくられているけど、もし、冤罪かも知れないという設定で被告夫婦を主人公にしてつくれば、見え方はまるで違ってくるように思うし。
・そもそも、ネオナチは何を目的にテロを行ったのか? それがまったく見えない。たんにトルコ移民をターゲットにしたなら、ほかにいくらでもいるだろうに、カティヤの夫を狙った意味は? と考えると、うーむ、な感じになってしまう。
・判決に、人種差別的なところはないのか?
・二度の決断、とはいつか。最初は手首を切って自殺しようとしたときで、2度目は自爆しようと決めたとき? でも、自爆までにも考えを変えているから、あれは入れるのかどうか?
・真実は藪の中、なのに過激に走る母親の話だった。疑わしきは罰せず の考えに賛成の人たちは、この映画にどういう反応なのか知りたいところ。
・冒頭のカメラブレブレの画面は酔いそう。

 
 

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