| ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 | 11/4 | 新宿武蔵野館3 | 監督/ウェス・アンダーソン | 脚本/ウェス・アンダーソン |
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| 原題は“The Phoenician Scheme”。公式HPのあらすじは「舞台は1950年代、“現代の大独立国フェニキア”。6度の暗殺未遂から生き延びた大富豪ザ・ザ・コルダは、フェニキア全域に及ぶ陸海三つのインフラを整備する大規模プロジェクト「フェニキア計画」の実現を目指していた。そんな中、とある妨害によって赤字が拡大、財政難に陥り、計画が脅かされることに。ザ・ザは離れて暮らす修道女見習いの一人娘リーズルを後継者に指名し、彼女を連れて旅に出る。目的は資金調達と計画推進、そしてリーズルの母の死の真相を追うこと。果たして、プロジェクトは成功するのか? リーズルの母を殺したのは誰か? そして、父と娘は「本当の家族」になれるのか」 Twitterへは「ウェス・アンダーソンなのでしっかり予習…じゃなくて昼寝してからいったんだけど、あやうく寝落ちしそうだった。役者は超豪華だけど、話は超ちんぷんかんぷん。あとからHPのあらすじ見て、へー、そういう話だったのか、と。」 毎度、紙芝居みたいなウェス・アンダーソンなので、寝ちゃうかもしれないなと思ったんだが。昼寝してから見に行ったので、なんとか寝ないで見終わった。あくびはずっとつづいていたけど。冒頭の旅客機の場面。爆発して1人吹っ飛ばされていく場面と、続いて、ザ・ザ・コルダが操縦席に移動して、でも、機長があれこれいうので「首だ!」といったら宙に飛んで行ってしまい。でも、トウモロコシ畑に不時着といっても結構、機体はバラバラで。でもなんとかザ・ザ・コルダが生きている、ところまでは笑えたし面白かった。でも、以降が、ちっとも面白くないのだった。 あとは、理解した範囲でいうと…。コルダは実業家らしくて、いくつかの開発プランを抱えている。でも、なぜか命を狙われている。息子が9人だか10人いて、娘も1人いる。コルダはその21歳だったか、の娘を後継者にすると決めて、修道院から連れ戻す。開発プランの内容は、なぜか靴下とか帽子とかシャツ? だとかの箱に入っていて、そのプランのためにあちこち飛び回る。そのプランがどういうものか、よく分からんけどね。最初は、トム・ハンクスが登場した。なにかの交渉で、バスケットボールをするけど、負けてしまう。次は、スカーレット・ヨハンセンがオバチャン風に登場したけど、ほとんど内容は分からなかった。それから、マチュー・アマルリックがトルコ帽みたいのをかぶってでてきた。このくだりも、よく分からなかった。何ヵ所か、そうやって娘と回っていく。で、そのたびに、収支決算みたいなの(RPGのパワーみたいな感じで)がでてくるんだけど、これまたよく分からない。あと、ヌバルおじさんというのが言葉ででてくる。どうやらコルダの兄弟らしいけど、よく分からん。ほかに、コルダの秘書みたいな男。かれは昆虫好き? で、どーも、いろいろ開発プランは進まず、なのか? で、最後にヌバルおじさんが現れて。どたばたした揚げ句にみんなの前で爆死してしまう、だっけか。最後は、娘の場面で終わるんだっけか。記憶が朦。っていうか、見てるときもおぼろだったけど。 てな感じで、なんだか良く分からないままに始まって、分からないままに過ぎていき、分からないままに終わった。ただ、へー、役者は豪華だなあ。こんなわけの分からん映画に、なんで出演したんだろう? と思って見てただけ。もうちょい物語として分かりやすさがあると話に入り込めたと思うんだけど、ダメだったね。 公式HPをみると、開発プランの内容とか、登場人物の背景とか、あらすじらしきモノも載ってるんだけど、映画だけでは分かりにくいからなのかね。へー、そういうことだったのね、とか思うけど、ぜんぜん見てるだけじゃ分からなかったよ、と。 | ||||
| ソーゾク | 11/7 | ヒューマントラストシネマ有楽町シアター2 | 監督/藤村磨実也 | 脚本/藤村磨実也 |
| 公式HPのあらすじは「高齢の母親が亡くなって鈴木家の子供たちは悲しみに暮れています。本当に仲の良い家族だったのです。 ところが、母親の遺産分割を巡って雲行きが怪しくなります。 長女と次女は実家を処分して売却したお金を分けるつもりなのに、弟夫婦が「跡継ぎ」だからと土地家屋は自分たちのものだと主張したのです。これに、亡き長男の未亡人も加わって、親族関係はギクシャク。話はこじれにこじれて相続トラブル勃発! 後から見つかった母親の遺言書にまで文句を言いはじめれば、ついには裁判沙汰に!? それぞれに言い分はありますが、家族の絆って何なのでしょう? 数百万円のお金でこじれてしまう人間関係って……」 Twitterへは「親が死んで実家を売る? 娘2人と次男、長男(早逝)の嫁が相続で揉めだして…。面白く見たし、教養としてなるほど感も多い。でも女たちが強欲(一部違うけど)で、男たちは戸惑う、は古くさい定石か。役者陣も、あの人は今、的な感じで演出も地味すぎ。」 亡くなった長男の嫁と2人暮らしだった母親が亡くなった。長女、次女、次男とその連れ合い、孫達が集まって葬儀。長女と次女は、母親の指輪を勝手に2人でじゃんけんしてもらっていく。長女が母親の預金を解約しようとしたら、相続後でないといわれ、49日に話し合いを始めると…。 長女は、家を売ってそのお金を長男寡婦もふくめて分けよう、という。長男寡婦には相続権がないけど、母親の世話をしてもらっていたのだから、それなりのお金を渡し、出ていってもらおう、と。次女も、概ねそれに従う。でも、子だくさんでアパート住まいの次男と嫁は、実家に住みたい。長女は、それなりのお金を出せば住んでもいい、というが、次男には金がない。次男嫁は、鈴木家を継ぐのはうちで、仏壇も預かることになるのだから、家は自分たちがもらうのが流れ、と主張。収まらない長女と次女。長女と次女は相続相談士に相談することに。 なことしてるうち、次男は母の生前に200万円融資してもらったことが発覚。次男は弱い立場に。ない、と思っていた母親の遺言書を介護センターの老人仲間がもっていることが発覚し、それをみると、遺産の半分は世話してもらった長男寡婦に。残りを子ども3人で分けるように、と書かれていた。収まらないのが長女と次女。遺言書はデイケアで書いたものだから、とか、母親に認知症が入っていたのではないか、などと疑い、長男寡婦に、遠慮するよう説得するが…。長男寡婦は、遺言書は尊重すべき、と主張。主張はするが、自分は一切要らない。家もでる、と去って行く。 ほっとする長女。しかし、家を売る売らないは決まらず一周忌に…。 っていうのが流れ。映画としては誇張が少なく淡々としていて、設定通りに進む感じで意外性とか面白さは少ない。相続のPR映像をドラマ化したような感じ。しかもキャスティングが、過去の売れてない役者を配した感じ。『老後の資金がありません!』みたいな派手さもなくて、そういう安上がりなところは物足りないところはある。とはいえ、事実ベースで、相続や遺言の知識を教えられるところは興味深く、ついつい見てしまう。それぞれのキャラに応じて、自分だったらどういう判断をするか、と考えながら見られるから、それも面白かった。 でね。母親には骨董や流動資産はとくになくて、住居が、売れば25〜2600万円ぐらいになる、というだけなんだよね。で、長男寡婦をふくめて4分割したとしても、600万円余ではないか。まあ、長男寡婦に200万ぐらい与え、残りを3分割しても800万程度。この程度の額で長女がムキになってまで、実家を売ってまで手に入れたいか? と思っちゃうんだよね。 長女の嫁ぎ先は自転車屋。亭主はのんびりしてて、とくに遺産目当てな感じではない。生活に困窮してる風もない。次女は、亭主がしっかり働いてる感じで、自分もパートに出ている様子。住まいはマンションか一戸建てか。ローンがあるのかな。次男が、なぜかアパート暮らしで子どもが多い。この次男は運輸関係の会社らしいけど、共働きすれば、横浜あたりなら家を買えるんじゃないのか? と思っちゃう。べつにギャンブル狂いでもなさそうだし。で、押しの強い長女に何も言えず、嫁が代わりに主張する。なんだかな。長女、次女、次男嫁と、女が強欲みたいな図式で、男たちはそんなでもない。という図式は、古い価値観が反映しすぎてないかね。女は強欲、っていう。 それはさておき。解決策としては そもそも次男が家をでている理由がよく分からない。4年前に長男が亡くなったとき、次男が実家に戻って家を継ぐでよかったんじゃないのかな。長男寡婦はそのまま同居もできたろうし。ということを考えると、次男が家をもらい、長女と次女に数100万渡す、てなところが穏当なところのような気がするね。まあ、こんなことをいうと、いまどき男子が家を継ぐは古い、といわれそうだけど。 話としては、ゲスな長女、次女に比べ、長男寡婦がいいところを持って行ってる感じかな。旦那が早く亡くなって子どももおらず、義母の世話もした。義母が亡くなって、でも、相続権はなく、いつかは家をでなくてはならない、という気の毒さを背負いつつ、最後は義母の遺書にある「半分あげる」も、要らないと断り、家をでていく。カッコイイし、潔い。わずかな金にこだわって諍い合い、調停から、裁判も? という流れから逸脱し、潔い。この対比、物語の定石すぎて古くさくてつまらない、とも思えるけど。まあ、観客となる高齢者には分かりやすいかも。とはいえ、長女は「長男寡婦は貯め込んでる」だの「つきあってる人がいるらしい」とか否定的に見ている。ちょっと長女が悪者に仕立てられすぎてる感じはあるけどね。それと、次女の旦那はなんとなく長男寡婦に気があるような描き方をしているのが気になる。街で、長男寡婦が着飾って男と一緒のところを目撃したりもしている。まあ、これが事実かどうかは分からんけどね。他人のそら似かもしれないし。このあたりは、含みを持たせるつくりになってる。 とはいえ、もっと設定は面白くできたんじゃないのかな。長女旦那がギャンブルで借金で息子の結婚資金も欲しいとか、次女はブランド好きで旦那がクルマに目がないとかにすると、家を売って分けるということの根拠にもなるんじゃなかろうか。次男嫁も、子どもの学習塾の資金が欲しいとか、お金が必要な理由があるとよかったような気がする。 で、一周忌。なんだけど、斎場で1周期をするか? というのが疑問。お寺が一般的じゃないのかな。しかも、ロビーで待っていて、これから火葬する人たちとすれ違うとか、異様な感じ。 で、同じ時間に、長男寡婦は家族の一周忌には出席せず、白い服に赤いパラソルで墓参している。これまた長男寡婦の清々しさを見せたいんだけど、ちょいやりすぎ? にしても、家族と出くわしたりしないかね。 | ||||
| アカルイミライ | 11/9 | シネマ ブルースタジオ | 監督/黒沢清 | 脚本/黒沢清 |
| Wikipediaのあらすじは「仁村雄二は、漠然とした苛立ちを抱えながら、東京のおしぼり工場で働いている。雄二が心を許せる存在は、同僚の有田守だけである。守は雄二に「待て」と「行け」の合図を指の動きで伝えるようにした。ある日、社長の藤原耕太が守のアパートを訪ねてくる。雄二は、アカクラゲの水槽に手を入れようとした藤原を制止しようとするが、守の「待て」の合図によって思いとどまる。その一件が原因で、後日、藤原は守を解雇する。怒りに駆られた雄二が鉄パイプを持って藤原の自宅へ向かうと、藤原夫妻はすでに殺されていた。やがて、しばらく姿を消していた守が殺人容疑で逮捕され、刑務所に収監される。雄二が面会に訪れて守を励まそうとしても、守は淡々とクラゲの飼育方法を雄二に教えるばかりである。守の言動が理解できない雄二は、水槽を倒し、守から託されていたクラゲを床下に放つ。その後、守が刑務所内で自殺する。その指先は、「行け」の合図を伝えるかたちに針金で固定されていた。守の葬式で呆然としている雄二の前に、有田真一郎が現れる。守の父親である彼は、離婚して以降、刑務所の面会室で再会するまでは守と疎遠だったという。雄二は、家電リサイクル業を営む真一郎と共同生活を始める。雄二がようやく新しい仕事に慣れてきた頃、二人はクラゲの飼育をめぐって対立する。街を徘徊するようになった雄二は、ゲーム・センターで知り合った男子高校生たちに慕われ、一緒に深夜の会社へ不法侵入する。警察に補導される高校生たちを尻目に、雄二だけは警察に捕まることなく逃げる術をいつのまにか体得していた。そんな折、床下に放たれたクラゲは成長し、河川で増殖を続けていた。その姿を見て興奮した真一郎は、彼を追いかける雄二の制止も聞かず、水中のクラゲに触れて昏倒する。真一郎を岸辺に引き上げた雄二は、彼を胸に抱いた姿勢のまま、その場に座り込み、海を目指して泳ぐクラゲの大群を無言で見守る。学生服の下にチェ・ゲバラのTシャツを着た男子高校生たちが、雄二の存在を懐かしく思い出しながら、大通りを歩いてゆく。」 Twitterへは「監督 黒沢清。主人公を取り巻く人間は次々に入れ替わり、クラゲを含むもろもろも、重要度が変化していく。話はどんどん変容し、一貫していない。ヘンな映画。オダギリジョーは、ほぼ別人の面持ち。海外用の92分版。」 2003年公開。なんでもカンヌ映画祭用の国際版91分と、ディレクターズカット国内版115分の2種類があって、これは91分の方らしい。国際版も監督が編集したらしいけど。で、画質がとても悪かった。フィルム上映といっているけど、ビデオで撮影編集したのを35mmにしてる感じのところもある。なので、役者の区別もつきにくい。音声も悪いけど、笹野高史なんかは滑舌いいし声も明瞭。ぼそぼそ聞こえにくいのは浅野忠信だ。 で、オダギリジョーが主演なのは分かっていたけど、しばらくどれが彼か分からなかった。顔が全然違うんだよ。調べたら出演作は古くから見てるようだけど、存在を認識し始めたのはテレビの時効警察ぐらいか。なんか脱力系でヌーボーとした感じ。でも、この映画は全然違って頬は痩けて存在が鋭角的なのだ。もう別人な感じ。当時は26、7歳か。変わるもんだな。笹野高史は同じ。浅野忠信も分かる。りょう、もすぐ分かった。でも、加瀬亮、はなわ、松山ケンイチなんて、どこにいた? な感じ。松山ケンイチは、ラスト近くにでてきたチンピラの1人かな。ほとんどヒキだったし、これはしょうがないか。加瀬亮は、浅野忠信の兄弟役と、あとから分かった。見ていて全然分からなかった。 ストーリーは↑のあらすじにある通り。ただし、背景がよく分からない。おしぼり会社での淡々とした仕事。仁村は24、5で、有田は27ぐらいの設定だったかな。あらすじには「漠然とした苛立ち」とあるけど、具体的にはまったく分からない。2人はバイトだけど、社長にはよくされていて、特別ボーナスを支給するといわれたり、社員にしてやるといわれている。社長の娘の机の搬入を手伝わされて仁村はイライラしてる、でも、作業の後は食事を御馳走になったりして、社長からは目をかけられてる感じ。あるときは社長が蟻田の部屋に鮨を持って訪れたりする。なんだ、いい感じじゃないか、としか思えない。仁村の趣味が音楽、というので社長が「貸してくれ」というので、でも仁村はあんまり貸したくない感じ。ちったあ我慢しろや、と思ってしまう。社長は学生運動世代らしく昔話をするけど、2人はうざいな、な反応。社員にしてもらえて給料が上がって、我慢して話につき合ってやれよ、と思ってしまう。でも有田は「社員になると何が変わるんだ? 変わらんだろ」なことをいっている。変わるだろ、と思うけれど、そういうことには関心がおよばないのか。2000頃はゆとり世代なはずで。プレッシャーは少ないように思うんだが。 同世代のリッチな連中とか、鼻持ちならない層は登場しない。だからコンプレックスがあるようにも描かれない。もちろん上昇志向もない。将来の夢もとくに感じられない。ところで仁村は、寝ていると未来の夢を見ることができるらしく、その未来では幸せになれるらしい。でも、最近は見られなくなった? と、冒頭にでてくる。では、この未来の夢が一貫してテーマになっているかというと、まるっきりなっていない。未来の夢については、具体的には1mmも語られない。なんなんだよ、な感じだ。 仁村の趣味は音楽とゲーセン。でも、妹の彼氏と食事の後、自ら誘ってゲーセン行って。彼氏とゲームしたら負けてしまって鼻をくじかれた感じ。なんか、世間が狭いやつだな。ところで、妹はその後1度登場するけど、彼氏はでてこない。 有田の趣味は、クラゲを飼っていること。猛毒を持つアカクラゲで、触れようとした仁村に注意する。社長が鮨を持ってやってきたとき、社長が触れようとして、仁村が注意しようとしたらされを制止し、社長は刺される。ちょっとした痛みだけだったらしいけど、あとから社長に猛毒のことをいわれ、有田はさっさとバイトをやめてしまう。いっぽうの仁村は社長に呼ばれ、臨時ボーナスをもらう。このとき、仁村はCDを渡すんだっけか。でも、雑な扱いをされて、ちょっとムッとしてる感じ。 この頃だったか、有田から仁村に電話があって。クラゲを飼うのはもういい。お前が引きついでくれ、なことを言われ、仁村は自宅でクラゲを飼うことになる。有田は、クラゲが真水でも生きられるよう訓練中で、水槽に真水を少しずつ足していたんだけど、それも指示する。 クラゲの猛毒のことを社長にいわなかったことで有田はバイトをやめるのだけれど、それだけでは収まらず、社長宅を訪れ、たぶん夫妻を謀殺する。あとから娘が1人歩いている場面があるから、多分そうだろう。殺害直後に、仁村も社長宅を訪れる。途中で鉄パイプを拾って、殺る気まんまんで。理由は、CDを取り返すため。でも、部屋を覗いたら死骸が転がっている…。 この世代って、こんなささいなことでリミッターが吹っ切れてしまい、人を殺そうと思うのか? そういう世代だ、と描いている気がするんだけど、でも、2025年現在の若者に比べたら経済的にも労働環境的にも、そんな悪くないだろ、と思っちゃうんだよな。なにが不満でプッツンしちゃうのか。理解できないし、ひとつも共感するところはない。まあ、監督が考える、2000年前後の若者像ということなんだろう。何を考えているか分からない、とかいう感じかね。 次の場面で有田は呆気なく逮捕されている。なぜ逮捕されたかとか、有田の行為とかはまるでない。面会に来た仁村と淡々と話していて。5年か10年我慢すればでられる。とか言ってる。2人殺してそれはない。けど、社会常識も認識もないアホだ、ということが分かる。それに対して仁村は、10年でも20年でも待つ。と有田に哀願する感じ。 と思っていたら、突然、弁護士事務所。女弁護士が、有田の父親に話している。5年や10年ではない。無期か、ひょっとすると死刑もありうる、と。そりゃそうだろう。父親は興奮を抑えきれない様子で珈琲をこぼしてしまうんだけど、この父親の反応は何なんだ。5年ぐらい会ってない、と言っていたけど。父親はこのあと(有田が自死したあとだったかな? あやふや)、どっかの喫茶店で青年と話をしている。青年は、関係ない、な感じ。どうも有田の兄だか弟らしい。父親がなにを求めて話しているのかは分からない。青年も、なにがいいたいの? な感じで対応している。父親が「なんでも言ってくれ。できることはする」といったら、1000万円貸してくれ。マンションの頭金にする、という。「そ、それは…」「なんでも話せって言ったじゃないか」なやりとりが、不毛。別れるときも、青年は「俺はもう有田じゃないんだから」と、意味不明なことをいう。婿入りして姓が変わったのか? 説明はなし。というか、青年の登場場面はここだけ。とくに話の中で機能していない。 てな感じで。仁村と有田の話に、おしぼり会社の社長がからむ話は終わってしまい、有田の父親が変わって話の中心になってくる。女弁護士も、先の場面だけで、その後はとくに機能していない。もともとの話がズレ始める。 それだけではない。このあたりまでは若者の不満vs大人や社会、という図式のある、古典的な流れの話だったんだけど、いろいろオカルト的になってくるのだ。だから、フツーの見方では映画が読めなくなってくる。なので、実は退屈が始まった。寝落ちはしなかったけど、かなり、ぼうっ、としつつ見ていた。 その後、突然、有田は房内で首をつって死んでしまう。あっけなさすぎ。ここで有田は左手に針金を巻いて、死んでも指差ししてるようにして縊死するんだけど、これまた意味不明。この指差しは、社長が有田の家に来たとき、有田が仁村に「指を指したら行け」「手のひらを胸に当てたら引け」とかいうサインのことなんだろうけど、この話自体がなんだかよく分からない。なぜ仁村は有田の指示に従う必要があるのか? また、自死のときの指の恰好は、仁村に「行け」といってるということなんだろうけど、何に対して「行け」なのか。わけわからん。それにしても、刑務所の中でどうやって針金を入手したんだよ。そっちの方が気になっちまう。 仁村がクラゲの水槽をひっくり返したのは、有田の自死の後だったかな。クラゲは床の下にするりと消えていくんだけど…。 でまあ、なぜか知らんが仁村は有田の父親のリサイクル屋の手伝いを始め、なかよく嬉々として仕事をするようになる。どういうつながりだっけ? なんか、よく覚えてないんだよな。で、あととき床下を開けてみたら、そこは井戸みたいになっていて、例のクラゲがふわふわ浮かんでる。なのでエサをやるんだといって、エサをつくるようになる。クラゲは、なんだかよく分からんが床下の井戸からどういう経路をたどったのか、屋外の水路にも登場する。しかも、複数匹になっている。なので、仁村はどっかの水路にもエサを投入したりする。けど、あんなの意味ないだろ。この映画の場所設定は横浜あたりのようだけど、海に近い水路なのかね。知らんけど。 このあたりだっけ。有田の父親が役所に養子縁組の書類を取りに行くのは。でも、藤竜也がボソボソっといったので、養子でではないかも知れない。でも、有田の父親は仁村を養子にしようと考えたのか? よく分からん。 このあたりの音楽がほのぼの陽気なのが、妙に違和感なんだよな。 そういえば、有田の亡霊がでてきたのは、このあたりだっけか。ただ事務所にいるだけ、だけどね。ストーリーには何の影響も及ぼさない。意味不明。 と思ったら、有田の父親が蘊蓄を語るようなばめんがあったりして。2人の関係がなぜか悪化して。仁村は、だらだらと生きるようになる、のはなぜなんだろう。妹の彼氏の会社でコピー取りのバイトみたいのを始めるけど、なにそれ。妹の彼氏は、仁村を雇えるほど会社で力があるのか? 他の社員もうさんくさそうに仁村を見てるんだけど…。不自然すぎて、うんざり。話の芯がズレ始めると、いまいち面白くなくなってくるのだよな。 どんどん堕落していく仁村。たまたま知り合いになったインカムしてるチンピラ連中と、妹の会社に夜中潜入し、泥棒しようとして。チンピラ連中は逮捕されるけど、仁村はどうにか逃げたんだっけ? 部屋でだらけてるところに妹がやってくるのは、このあたり? ほんと。後半は話がぐだぐだすぎて、よく覚えてないんだよ。 海に向かう水路に、オレンジ色のクラゲがたくさん。しかし、1匹のアカクラゲが、どうやって増えるのだ? 生殖はどうしてるのだ? 猛毒持ってるんだから、警察とか保健所が駆除するだろ。でも、そうはならない。海に近い河口で、有田の父親と仁村。父親が川に入って刺されるんだっけ? それを仁村が助けるんだっけ? その逆だっけ。記憶があやふや。このあたりは、映画に集中できてなかった。つまんないし。 で、インカムのチンピラ連中がどっかで「あの時は大変だった」とか言ってるけど、強盗に入って事務所を荒らして、すぐ釈放されるわけないだろ。執行猶予? のあと、連中は路上の段ボール箱を蹴りながら、だらだら歩いていく。そこに、アカルイミライの題字。で、映画は終わる。 有田の父親と仁村はどうなったんだよ。仁村の妹と、その彼氏はどうなったんだよ。クラゲはどうなったんだよ。なにがアカルイミライなんだよ。次々に話が変容していき、一貫性がない。あれこれ思わせぶりだけど、何科のメタファーになってるとか、そんなたいそうなことでもなさそう。中味がない感じ。おそらく、確たるメッセージはなくて、すべて思いつきだろう。115分版を見たからって、分かるようになるとも思えんぞ。 ・観客13人。 | ||||
| ファイナル・デッドブラッド | 11/10 | シネ・リーブル池袋シアター1 | 監督/アダム・スタイン、ザック・リポフスキー | 脚本/ガイ・ビューシック、ロリ・エヴァンズ・テイラー |
| 原題は“Final Destination Bloodlines”。公式HPのあらすじは「大学生ステファニーは、自分と家族が悲惨な死を遂げるという悪夢に苛まれていた。“ただの夢”ではないと感じた彼女はある手がかりにたどり着く。それは50年以上語られなかった“死の連鎖”のはじまりだった…。過去と現在が交錯する中、次々と迫りくる死亡フラグの数々。死の運命から脱出し、生き残ることが出来るのか!?」 Twitterへは「どんどん死んでくシリーズの最新作。ツッコミどころはあるけど冒頭からノンストップでピタゴラスイッチみたいに、来るぞ来るぞ! 思わず笑っちゃう場面もたくさんあって楽しい。刺青屋の兄ちゃんが、いいとこ?を持ってった感じ。」 冒頭の、スカイビュー倒壊の経緯は面白い。祖母アイリスが登場し、アイリスと婚約者も死んでしまう。あれはステファニーの悪夢だった。はいいんだけど、なぜ彼女はあの夢を見たのか? については説得力がない。 不思議なのは、祖母アイリスが存命であること。アイリスは、なぜか倒壊することを察知し、スカイビューの観客の命を救った、らしい。では、アイリスは、いつそれを察知したのか? Wikipediaには「大事故の予知夢を見た若きアイリスは、会場の来客に避難を呼びかけて事故死を回避させ、死神の計画を狂わせた。」とある。アイリスはいつ予知夢を見たの? 事前に予知夢を見て、恋人(将来の夫)とスカイビューに登り、観客を助けた、のか? のあたりの経過がよく分からん。それに、アイリスと同じ予知夢をステファニーが見ることになった経緯も、分からない。これが大きなツッコミどころだな。 アイリスは、予知夢によって死神の計画を狂わせた。それで死神は、本来死ぬはずだった客を時間差で殺していった。その、次々に死んでいくニュースを耳にし、では自分もいつかは死神に殺される、と山の中の要塞に引きこもった、んだよな。でも、死に神の計画を狂わせた張本人なのだから、本来なら最初に死神の逆襲に遭ってもいいはずなのに、そうなってはいない。これも、ヘンだよな。 で、その要塞ハウスだけど、柵やトゲがうじゃうじゃの家は、スカイビューの歌手の子どもで、アイリスが助けた元黒人少年がつくるのをてつだった、と話していた。死神に狙われていても、一度死んで蘇生した場合は死神の手から逃れられる、という話だったけど、あの黒人がその実例なのか? よく覚えていないのだが。 ステファニーが悪夢=予知夢を見るのは、祖母アイリスの身に、そして、自分たちの家系に死が迫っていることを知らせるため? であれば、夢を見るのは弟でもいいはずだし、伯父の家族でもいいはず。あるいは、出奔したままの母親でもいい。なぜステファニーなのか、という合理性がないんだよな。 アイリスは夫を早くなくしてしまった。それもあって、子供たちにも死神のことをしつこく話して、うっとしー存在と思われていたらしい。とくに娘=ステファニーの母親は、アイリスに影響されたらしく、家族を棄てて突然出奔してしまった。なこともあってか、ステファニーの父親や伯父(母の兄?)夫婦はアイリスのことになると口を噤みがち。でも伯母がヒントをくれて、ステファニーはアイリスに会いに行く。そこでステファニーは、アイリスが死に神の計画を狂わせたせいで、本来、一度に死ぬはずだった人々、つまりスカイビューにいた人々が、徐々に死んで行っていることに気づいた、と知らされる。しかも、長年かけて殺していく過程で、人々は結婚し、子どもや孫も誕生していっている。死に神の魔の手は、そうした子孫にもおよぶらしいことをアイリスは感づいた。というようなことをメモったノートがあり、アイリスはそのノートをステファニーに渡そうと、家から一歩出た。その直後、屋根に金具が落下して、その後はピタゴラ的にあれこれなって、アイリスの後頭部から鉄骨が突き刺さる! アイリスの葬儀には、なぜか出奔していた母親がやってきた。これがあっけらかんとしてるのがヘンなんだけどね。で、死神のことをアイリスからひたすら聞かされたステファニーの母親は、ステファニーが10歳の時突然家族をすて、出奔したままだったらしい。でも、アイリスが死なない限り、系図で下にぶら下がる息子や娘は死なない。ので、アイリスは山にこもって家から出ない生活をすることになった、ようだ。とはいえ、アイリスの家の中がなぜ結界になっているのかは分からんけど。 で、母親も交えてのホームパーティ。伯父はホームパーティでトランポリンで、ネットが剥がれそう、でも下にトゲのついた熊手が…。でもその熊手は母親が気づいて回収。ののち、ピタゴラ的になにかがホースに。あれは水か? の果てに伯父が倒れ、顔面を芝刈り機が砕く! ところで、このとき割れたガラスがドリンクの氷にまじって、さてどうなるかとハラハラさせたけど、あれは結局、事故にはつながらなかったんだったよな。 ここまで、家族はステファニーの話に聞く耳持たずだったけれど、伯父の死をきっかけに、どうしよう、と動揺が始まる。 まずは伯父の長男の刺青屋が、鼻ピアスを天井ファンに引っかけてしまい、痛たたたたた(大笑い)、からの火傷で死んだかと思ったら生きていて。その代わりに、今度は伯父の長女がゴミ回収者に偶然投げ込まれ、圧死。 なぜ長男ではなく長女なのか? 家族の前で疑問を投げると、伯母が「あの子の父親は別人なの」と、不倫の結果生まれたから一族ではないと告白する。大笑いだな。 では、次は伯父の次男という順番。アイリスのノートにあったJBとは何か? JBが病院にいる、と気づいたのは伯母だっけ? で、一同(伯父の長男次男と、ステファニーと弟)は病院に向かうと、JBは、スカイビューでアイリスが助けた、歌手の息子だと言うことが分かる。一度死んで再生した場合は死神に襲われない、とかいう話はJBから聞いたんだっけ? で、長男は次男がピーナツアレルギーなので、これを利用していったん死んでもらい、蘇生したら死神に襲われないだろう、との浅知恵で病院へいき、でも、MRI室に閉じ込められてしまう。そこでまたまた、ピタゴラ的にスイッチが入り、磁場が強くなってしまい、長男のピアスがすっ飛んでく。鼻から口から乳首からチンボコから、ピアスがぴゅんぴゅん! 大笑い。はては車椅子もろともMRIのガントリに引っぱられ、海老反りスタイルで死亡。それでも、長男が手に握りしめていたアレルギー時に打つ薬をもとめ、次男がずりずり。なんとか手にして打つが…。あまりの磁力のつよさに部屋の外の金属まで吹っ飛んでる始末。これに気づいた看護婦がMRI室のドアを開けると、身につけていた金属類がビュンビュン! のなかの何かが、次男の頭に刺さったんだっけか? で、兄弟ともに死亡。一族でない長男が死んだのは、次男を死から蘇生させようと、死に神をジャマしたせいで、恨みを買ったから、だろうとステファニーが説明してた。 にしても、一瞬で夫と娘、息子2人を失った伯母さんは…。その嘆きの様子は描かれず。 これはたまらん。次はステファニー? いや、順番からいったら母親。さてどうする。そうだ。アイリスの家なら死神が入れないはず。(とはいっても、なぜアイリスの家は大丈夫なのか理由は分からんが)自分(母親)が家の中にいれば死なないし、ステファニーも弟も大丈夫なはず。というわけで、母親、ステファニー、弟は一路、母親のワゴンでアイリスの家へ。なれど、家の前の水溜まりにクルマがぼっちゃんと落ちて。母親は車外で壮絶死。ステファニーは車内に閉じ込められ、溺れ死に!? でも、弟が救いだして蘇生させる。家は炎上し、安全な場所はなくなってしまう。でも2人は、ステファニーは死んで蘇生したからもう死神に狙われない、と安心している。 場面は変わって、弟のプロム。正装して彼女のところに向かおうとしていると、列車が脱線してどどどどど…と向かってくる。この脱線をさせたのが、冒頭でいたずら小僧が池から拾って、タワーの上から放り投げようとして注意して、でも、タワー倒壊に一役買った1セント銅貨なんだよね。たしか、どっかのオバサンが病院で拾ったんだっけか(どっから出現したんだっけかな)、を駅(?)の近くで落として、それが線路のポイント変更に挟まって、列車が脱線。ステファニーと弟の背後に迫り、2人は必死に逃げるけど、列車から落ちてきた鉄骨みたいのに2人ともつぶされて死亡。で、映画は終わる。気持ちいいほどみんな情け容赦なく死んでいく。 いや。きもちいい感じでみんな死んでいくね。スプラッター要素は控え目で、でも、死に方はMRIもふくめていろいろ考えられている。 しかし、のこされたのはステファニーの父親(なぜか東洋風な顔立ちなんだけど、実父ではないという設定なのかな? ステファニー自身もヒスパニック風な感じなんだけど)と、伯父の妻だけ。死神はやり遂げました、ということか。 ・ところで、あの、最初にコインを投げた悪ガキは、死んだんだっけ? どうなったんだっけ? | ||||
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