| 修羅 | 6/3 | シネマ ブルースタジオ | 監督/松本俊夫 | 脚本/松本俊夫 |
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| 劇場案内板のあらすじは「赤穂浪人・源五兵衛は、仇討に加わろうと、敵の目を欺くため酒と女にうつつを抜かす。だが、美しい芸者・小万への執心にはそれ以上のものがあり、小万も源五兵衛を慕い腕に愛の誓いの彫りものが。気が気ではない源五兵衛の忠僕・八右衛門は、なけなしの仇討闘争資金百両を主人の前に差し出すも、小万の使い三五郎が現れ、愛しい小万が他人に百両で身請けされるという。仇討のため一度は小万との縁を切ろうとした源五兵衛だが、愛を選ぶか、武士の道を選ぶか、心は千々に乱れる。結局百両を投げ出して小万を選んだが……。さあ、ここからが地獄絵図。凄絶な復讐劇が幕を開ける。」 Twitterへは「1971年監督松本俊夫、原作鶴屋南北。因果は巡る、クズ男の奈落の底。最後のオチは落語を知っていればすぐ分かる。しかし、あの実験映画の松本俊夫がこんなケレン味を抑えた様式的かつ、どストレートな劇を撮っていたとは。ツッコミどころもあるけどね。」 実験映画しか見ていなかったので、先だっては『薔薇の葬列』をがわりとフツーの映画に見えたんだけど。この『修羅』は、実験的な手法は『薔薇の葬列』よりも抑えられていて、日本の他の監督が撮影した、といわれても気付きもしないだろう。せいぜい、見せ場を細かく何度もリフレインするとか、対話がドンデン切り返しでなく、横に並んでいる相手がスライドして登場するとか、天井のない室内を俯瞰でセットのように見せるとか、そのぐらい。こんなことは並の監督でもするレベルだ。鶴屋南北の狂言「盟三五大切」と、その改作である石沢秀二の台本をもとにしたらしいが、気を衒わず真っ正面から時代劇に対している。怪談ではないけれど、『東海道四谷怪談』(これねも鶴屋南北の作だ)とか、圓朝作の人情話的な雰囲気が充満している。 あとは、映画づくりに慣れていない監督がおずおずと、という感じがまったくないこと。セリフ廻し、カメラアングル、ライティングなど、すべてに完成度が高い。なかでも役者の演技力が素晴らしい。源五兵衛の中村賀津雄、小万の三条泰子、なかでも三五郎の唐十郎は天才的な演技を見せていて大注目だ。 話の背景には、赤穂浪士の討ち入りがある。源五兵衛も賛同組だけど、御用金をなくしたとかとかで、その穴埋めをしないと決起組に再加入できない、らしい。どういう御用金なのか、使い込んだのか、なんてことは説明がない。それはともかく、穴埋めの百両が調達できないのに芸者小万に入れ上げて、まいにちのらりくらり。そこに、赤穂の支援者から資金調達してきた下僕の八右衛門が戻ってくる。ちょうど百両ある。これで義士仲間に戻れる! と思った直後、小万の使いの若衆三五郎がやってきて、小万が身請けされてしまうがどうする、と言ってくる。こころ揺れる源五右衛門。女よりも忠義、と思ったけれど、やっぱり小万が…。で深川の茶屋に行くと、小万と身請けしようという武家、取り巻きの町人が5人ばかり。源五兵衛は百両を投げ出し「身請けする」という。…が、場面は茶屋に来たところにもどる。つまりまあ、そうしたいけどやっぱり、という心の迷いをうまく表現している。でも、やっぱり部屋に入って、結局は百両出して身請けする、と大見得を切るのだが…。 なんと、ここで三五郎。「身請けは成立したが、小万には亭主がいる。そっちを片づけてもらわないと…」という。驚愕の源五兵衛。しかも、その亭主が三五郎だというのだから、またまたビックリ。まあ、要するに、三五郎が女房の小万をつかって源五兵衛をめろめろにした。身請けというのもでまかせで、百両は三五郎のもとに。用済みの源五兵衛はお払い箱、という筋立てだ。取り巻きの町人や武家も芝居をしていた、ということだね。 よく分からないのは、身請けした小万に亭主がいたら、どう困るのか、が分からないことかな。当時のしきたりに不案内なので、そこがはっきりしない。 してやったりの三五郎と小万。取り巻き連中。深夜、怒り心頭の源五兵衛が深川の茶屋(を模した宿か何かか?)に潜入し、三五郎と小万を刺し殺し、取り巻き連中も殺害してしまう(この場面は、映画の冒頭で源五兵衛が小万の膝枕で耳かきしてもらってる間のうたた寝で夢に出てきた、という設定。正夢が現実に、だな)。がしかし、三五郎と小万、と思ったのは取り巻き仲間で、2人は別室にいて難を逃れる。まあ、常套だな。 人相書きが出まわり、殺人の罪で追われる身になった源五兵衛。いっぽう三五郎と小万は、いずこかに預けておいた幼い息子も引き取って、家に隠れている。源五兵衛は父親に勘当されていて、それを解くために百両必要だった、と吐露する。しかし、勘当を解くのに百両もいるのか? という疑問はあるけどね。 源五兵衛は、隠れて逃げ回っているというより堂々と市中を徘徊。酒屋で角樽を買い、毒を仕込む。八右衛門が百両調達してくるとは分からない段階で、借金苦の源五兵衛を罠にかけよう、というのは無理筋だな。追われている源五右衛門が三五郎と小万の家に角樽をもってやってきた場面は、緊張感がいまいちかな。もっとおどおどしてもいいのかなと。三五郎の唐十郎の名演技コケにされて鬼気迫る無惨恨みこつづいその後の、夫婦訪問の静けさ打って変わって落ち着いてる不思議な感じ唐十郎の三五郎が見得を切る場面があったり小万の兄は深川で死んでないのか? 別の兄貴?誰から勘当されたんだ? 勘当を許されるのに百両も要るのか?オチは落語の「持参金」か。客は私一人で、スクリーン独占。 | ||||
| KEEPER/キーパー | 6/4 | ヒューマントラストシネマ有楽町シアター2 | 監督/オズグッド・パーキンス | 脚本/ニック・レパード |
| 原題は“Keeper”。公式HPのあらすじは「とある週末、都会暮らしのアーティスト、リズが、恋人の医師・マルコムから交際1周年の記念旅行に誘われる。ところが鬱蒼とした森に囲まれた山荘に到着後まもなく、リズは奇妙な幻覚に苛まれることに。翌日、マルコムが病院に呼び出され、ひとり取り残されたリズは、現実と悪夢の境目を見失い、山荘内にうごめく何かの気配に脅かされていく。果たして、この山荘に隠された秘密とは……。」 Twitterへは「いちおうホラー分類のようだけど、霊魂やオカルト、宗教、ゾンビでもなさそうで。コレクターなサイコ? でも、いろいろもやもや。なんじゃこれ? な展開とラストで、得体が知れず。もちろんつまらなかった。」 思わせぶりばっかりで全然怖くないし、サスペンスもない。山荘にはなんかいそうで、とくに悪さもしない。あの従兄弟はなんなんだ? なんじゃこれ、と思っていたら最後はヴァンパイアか? でも違うな。女の精気を吸い続けて行きながらえてきた悪霊? が、最後は逆襲されて一般人の女性にいたぶられる話なのか? それにしても退屈だった。 どうやらマルコムは、200年前から女性たちをターゲットに捕獲し、その精気を吸って自分の命を長らえてきた、らしい。で、リズはそんなターゲットのひとり、のようだ。にして40凸凹のオバさんでとくに美人でもない。そんな女性の精気でもマルコムにとってはパワーになるのかね。 マルコムの山荘のとなりには、従兄弟の山荘がある。リズとマルコムが山荘に着くと、さっそく従兄弟が彼女を連れてやってくるんだけど、この図々しさはうっとうしい。彼女は東欧の美形で、英語は話せない、と従兄弟はいっていたけど、リズには英語で答えていた。なんだよ。で、重要な役割を果たすのかと思ったらそんなこともなくて。中盤で、森の中で何かに吊り下げられていたから、後から思うに従兄弟に精気を吸われてしまったのかな。 マルコムは医者らしく、人工蘇生する予定の婆さんが蘇生しないから、と、とつぜん病院に行ってしまう。その間に従兄弟がウィスキーを持って訪ねてくるんだけど、何かあるのかと思ったらなにもなくて。ディスポーザーに時計を放り込んだまま、消えていた。帰ったのか? 以後、画面には登場しなくなっちゃったけど。なんだこのテキトーさは。 不思議現象は、いろいろと画面に登場する。窓にハートのいたずら書き。見知らぬ東洋人が風呂に入っていたり。ろくろ首的亡霊?が中空にいたり。けど、リズはそれらを目撃してはいない。イメージとして登場したり、背景に見えたりする程度。リズを脅す、ことはない。 そうそう。管理人のケーキの件があった。管理はテキトーだけどもってくるケーキは旨いとかで。リズは「チョコレートは苦手」といいつつ一切れ食べて。で、夜中、なぜか起き上がってケーキにむしゃぶりついてホールひとつ食べ尽くしてしまう。この時点では、大麻ケーキか? と思ったんだけど、結局、意味不明。 リズが川でひろった懐中時計もあったけど、あれも意味不明だ。最後の方で、例の川で拾った懐中時計を開くと写真があったけど、あれは過去の犠牲者のもの? では、最初の方では写真は見せず。しかも、なぜ川に沈んでいたのか意味不明。 リズには同年配の友人がいて、電話で話している。友人は心配して「迎えに行こうか」なーんて言ってくれているんだけど、無視。まあ、マルコムを信頼していたんだろうけど。ところがマルコムが突然豹変して、って、そのあたりよく覚えてないんだけど、リズが地下だか別室に行ったら女性の干からびたのがいくつもあって。ガラス瓶にはどろどろの首が浸かってたんだっけかな。それを見られてマルコムが、自分たちは200年前から…。って吐露したんだっけ。なんか曖昧。 だけど、どうやったのか記憶にないんだけど、逆にリズはマルコムを捕獲して逆さ吊りにし、管理人のケーキをむりやり食べさせる。いやだと言いつつ食べたマルコムに「やはりウエストブリッジの子ね」とリズは言うんだけど、どういう意味? それにしても管理人のケーキはどっからもってきたんだ? もともと管理人がつくったんだなくてマルコムがつくったのか? しらんけど。で、マルコムの身体はしだいに下がっていって、ガラス瓶の中に浸ける…。だったかな。このときリズの目は白内障みたいに白かったように思うけど、どういう状況なんだ? まだ人間なのか? マルコムに少し吸われたのか? とまあ、なんだかよくわからんヘンな話。200年前から女性の精気を吸って生き存えてきた、はヴァンパイヤ的だけど、そうではない感じだし。そうやって生け贄にさせられた女性たちの怨念が不思議現象として山荘に現れるのか? なんかいろいろ中途半端にとっ散らかって、切れ味は悪いのだった。 | ||||
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