2026年8月

プライベート・ケース8/3ヒューマントラストシネマ有楽町シアター2監督/レベッカ・ズロトヴスキ脚本/アンヌ・ベレスト、レベッカ・ズロトヴスキ
フランス映画。原題は“Vie privee”。公式HPのあらすじは「その死は、事故か。それとも…。事件の鍵は患者の“プライベート”にある。パリで活躍するアメリカ人精神分析医・リリアンは、長年診てきた患者ポーラの突然の死を知らされる。診察の中でその兆候は見られず、ポーラの死は殺人ではないかと疑い始める。一方、突然涙が溢れ出る異変に悩まされるようになったリリアンは、やむをえず眼科医の元夫ガブリエルを訪ねる。元夫を巻き込みながら探偵まがいの捜査に乗り出したリリアンは、やがて危うい真相へと踏み込んでいく」
Twitterへは「ロクに患者の話も聞かず録音してるだけで金には細かい精神科医がオカルトにかぶれ、ついでに殺人事件の妄想に取り憑かれ、元夫とよりを戻しつつ素人探偵。のらくら半分コメディぶりは典型的なフランス映画か。63歳のジョディ・フォスター…。」
全体に歯切れが悪い。ムダな小芝居とかエピソードも多い。本筋とは関係なくだらだら話が引っぱられるのは、フランス映画の伝統だよな、という気がする。さいきん、フランス映画もこの傾向が薄れ、テキパキと輪郭はっきりしつつ話が進む、と思ってたんだけど、この映画は違ったな。
主人公のリリアンについても、その医者ぶりが非難めいて描かれている。たとえば冒頭に出てくる男性患者だけど、予約なくて来院していた。ので、予約がないし、次の患者がすぐにくるから、と冷たく突き放そうとする。けれど、男性患者はわずかな時間だけど時間をとってもらい、話をする。曰く、禁煙したくて5年だかとにかく長期間ここに通っていたのに効果がまるでない。知人に紹介され、睡眠療法を受けたんだが、これが凄い。診療所をでたらタバコもライターも棄ててしまった。これまでの、ここの通院の費用はなんだったんだ! と。リリアンは、ああ、そうですか、でも今回の費用はいただきますよ、と聞いているのだけど、リリアンも近ごろ悩まされている症状があって、それが意味不明の涙。元夫のクリニックを受診したけど、分からない。というわけで、自分もおそるおそる睡眠療法を訪ねてみたら、その場で診てくれて、料金も不要。症状も改善してしまった。…というエピソードは、本筋とはほとんど関係がない。というより、リリアンの医療技術の拙劣さ、彼女の金に厳しい様子ばかりが強調されてしまう。それでいいんかいな。リリアンのダメ医者ぶりは、この映画のテーマのひとつになっているのか?
リリアンには元夫とのあいだに息子がいて、東洋人らしい妻がいる(けれど、まともに写らないのは差別的な感じ)。生まれたばかりの子供がいるのだが、ほとんど会いに行かないし、抱くことも拒否したりしている。まあ、涙が出るのを「風邪だ」といって赤ん坊に近寄りもしない。この異様さは何なんだ。で、息子や孫の話も、本筋には関係ない。なんなんだ。
元夫も、久しぶりに会ったのにもかかわらず仲好しな感じで話をしている。元夫も、後添いとは別れたとかなんとかで、リリアンに愛想がいい。これも、なんか取って付けたような感じなんだよな。
で、事件だけど。ずっと受診していたポーラという女性が突然亡くなった。ポーラの娘ヴァレリーが訪ねてきて話したんだっけかな。じつをいうと、このあたりから話がいろいろとアバウトすぎて集中できず、ちょい半睡のときもあったんだよね。
で、ついでに、伯母も亡くなったとか、伯母の遺産がどうの、てな話がでてきて。伯母の遺産はポーラとヴァレリーが受け取るから、リリアンはポーラを殺したのは娘のヴァレリー? と疑ったり。あるいは、ポーラの亭主のシモンを疑ったりする。でも、シモンは妻ポーラが死んだのはリリアンの診察のせいと頑なに思っている・・・。この経緯がいまいちはっきりしないまま、なんだよなあ。ちゃんとセリフを聞いていれば分かった、のか? 
で、伯母はずいぶん以前に亡くなってたのかと思ったら、ポーラが亡くなる直近だった、らしい。えええ?
てなとき、リリアンの診察室に泥棒が入り、MDが盗まれる。リリアンはカウンセリングの様子を、いまどきMDに録音していて、どーもロクに聞いてないような感じもあったりする。リリアンと患者との会話のはずだから知らないはずはないと思うんだけど…。でも、ポーラの最後の診察の音声は、まだ聞いていない、とかいう話がでてきて。そのときポーラは真実を話した、のかもしれなくて、だから盗まれた、と疑う。盗んだのはシモン? と疑って、リリアンは元亭主とシモンの家だか別荘に潜入したりする。コメディかよ。正直言って、このあたりは話についていけず。
でまあ、最後の方で、伯母を殺害したのはポーラだった、みたいな事実が出てくるんだったかな。もう、なんか話がぐちゃぐちゃ。話がぐちゃぐちゃなのか、半睡状態の私が悪いのか。集中させない映画が悪いのか。
そうそう。オーケストラの場面が何度か登場する。ポーラが楽器を弾き、シモンが指揮をしている。それをリリアンが近くで見ている、だったっけか。で、シモンがリリアンを銃で撃つとか言う悪夢みたいなやつ。ありゃなんだったんだ? 
てなわけで、どういう解決になったのか、よく分からないままなのだ。リリアンと元夫はよりが戻ったような、よく分からない。リリアンは孫をやさしく抱くような人間になったし。この事件で成長した、のか? 60歳過ぎてそれはないよなあ。
へんな映画だった。人を寝かせる、いろんな意味でよく分からん映画。
監督/●脚本/●
原題は“●”。公式HPのあらすじは「●」
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