ひなびた佇まいが、目黒



◆ここで三色蕎麦と出会った!

最初に変わり蕎麦と出会ったのは、いまは長野県に行ってしまったあの有名な“翁”でした。ざるよりも小ぶりてで深く編んだざるに、ゆずやしそを切り込んだ蕎麦を食べたときは「これがどうして蕎麦なのか」理解できなかった。でも、美味しかった。そうして、この変わり蕎麦が一茶庵系の蕎麦屋の技であることを知るようになったのですね。で、ここの三色蕎麦ですが、お気軽に変わり蕎麦を食べられるのは、この店しか昔はなかったように思います。本陣坊がなかった頃だから。というと、神田の一茶庵をしらねーな、とかいわれそうですが、知らなかった。撤退するかしないかの頃ではないだろうか。で、変わり蕎麦が食べたくなると、ここに行ってたなあ。ゆず、さらしな、田舎の三色。とっても贅沢している気分になったものだ。ここは、冬でなくても、柚子切りが食べられるから、だから行ったということもある。ボロ屋でね。小さくて壊れそうなテーブル。穴の空いた障子。すり切れた畳。みしみしいう廊下。でも、小汚くなくてさっぱりしている。なんか、好きな店です。でも、最近は恵比寿の写真美術館に行ったときとかしか寄らなくなってしまった。なぜって、変わり蕎麦がお気楽に食べられる店が増えたっていうことじゃないの?
そうそう。数年前の午後3時頃。客は僕の他に一組だけ。僕の前にいました。疲れた首をこきこきとほぐしていたら、なんだか聞き覚えのある声。「ん?」と前の客をみると、片方が赤瀬川源平さんでした。編集の人と一緒らしかった。編集の人が払ってましたけど。当たり前か。






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