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1999年 2月 23日 火曜日 :ヨーグルトファシズム

 野球がない日にはついつい「若者向けのみのもんた」こと「あるある大辞典」を見てしまう人は手を挙げてー、と言われたら手を挙げざるを得ない私です。なぜ見ちゃいますかな。ああいう番組。相も変わらず健康第一。健康のためなら命も要らぬ、と、そんな感じで、馬鹿馬鹿しいことこの上ないのに、つい見ちゃう。

 で、もちろんこないだも見たわけで、お題はヨーグルトで、ヨーグルトを食べると腸の働きが良くなって、肌がきれいになったり便秘が治ったり寿命が延びたり前世の悪縁が切れたり長年仲が悪かった親戚が向こうから和解を申し出てきたりする、という話だった。まあ、話自体は健康系の番組にはありがちな内容だし、健康信仰も一つの宗教であるからにはその教義を信奉すれば悪縁が切れたり家内が安定したりするのも、まあ頷ける話ではあるわけで。

 ただ、そんなありがちな健康番組のなかで、ちょっと面白かったのは、とにかくヨーグルトを食べることで全ての栄養分をまかなってしまおう、という姿勢のあり方だった。ヨーグルトには食物繊維が含まれないと言われれば、食物繊維を含んだ白ゴマ(だったかな?)を混入し、ビタミンCが足りないと分かれば抹茶を混ぜる。とにかくヨーグルトなのである。全てをヨーグルトベースに。

 別々に食べればいいだけの話じゃないの?とか、ヨーグルトだけしか食わない奴に健康を語る資格はねえ、という冷静な判断は、そこにはないのだ。なぜならば、あるある大辞典は宗教番組だから。信者にとってもっとも良くないのは、その宗教の教義に疑いを差し挟むこと。だから、健康教の信者は、ヨーグルト様の万能に疑問を呈してはならないのである。ヨーグルトで健康。ヨーグルトで万全。ヨーグルトだけで十分。下賤な白ゴマも、卑しい抹茶も、ヨーグルト様と一体化することで高貴な存在に昇華される。尊いヨーグルト様に日々の感謝を。身を挺して我々信者に健康を下さるヨーグルト様。アナタがなければ健康は無く、アナタがなければ我々も無く。

 面白いと思うのである。ゴマとヨーグルトを混ぜれば美味しいから、ではなくて、ヨーグルトにない栄養がゴマには含まれているからという理由で、ゴマ入りヨーグルトを作る考え方は、美味か否かなどという主観でしか食品の価値を判断できない我々の貧弱な価値観と比較しても、実に冷静かつ客観的で、しかもたまらなくラディカルだ。主観に偏りがちな従来の価値観を打破し、栄養分という、厳然たるデータで全てを図ろうとする彼ら。原理主義的だとも言えるが、しかし、彼らの食に対する価値観が私のそれよりも冷静であることは間違いないだろう。

 面白いと思うのだ。健康教の教義を全面的に支持するわけではないけれど、それでも、健康教の信者たちのラディカルで理性的な生き方にはあこがれる。彼らはきっと、健康のためには朝食でみそ汁を摂るのがよいとなれば、ご飯も焼き魚も漬け物も生卵も、全てをみそ汁様に混入するのだろう。

 彼らのように生きたい。ヨーグルトがいいと思えばヨーグルト一筋に生きる彼らの純粋でまっすぐな生き方は美しい。今はおいしさなどに気を取られて三十種類の食品を別々に食う汚れまった悲しみにいろんなものが降り積もってる私にも、彼らのように、全てをヨーグルトという一義に統一できる日は来るのだろうか。



順位予想制作中だがしかし俺には阿波野しか見えな(以下略)→虚偽スポーツへGo!


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