エイプマン・テリーの「人間になりたい」Vol.4
皆さん、こんにちは。エイプマンです。
Q'sさんがPop iT!でもヘヴィー・プレイして、大人気Milesの「Perfect World」ディスコ全盛期を思わせる、ストリングス・アレンジと現代的なダンスミュージックを消化したハイハットの刻み、イントロの鍵盤の入り方、たまりません(個人的にはペット・ショップ・ボーイズをたまに思い起こしちゃったりもしますが・・・)素晴らしい曲だと思います。初めて聴いたとき、70年代のレア・ディスコか?!なんて思ったりもしました。で、そのマイルスですが、先頃アルバムがリリースされました。近頃60年代や70年代の素晴らしい楽曲を現代的な感覚で蘇らせてくれるバンドが多くて、うれしい限りですが、5月のフリージンで振れたタヒチ80のバーズのカヴァーに続いて、このマイルスもやってくれました。ニック・ドレイクのカヴァーを。日本盤のボーナストラックに収録された「Mayfair」という曲です。というわけで、先月のフリージンでベル&セバスチャンに絡んでチラッと取り上げたニック・ドレイクの作品についてもう少し触れてみたいと思います。ネオアコ、ギターポップが好きな人にはそのルーツとして聴いてもらいたいアーティストです。

ニック・ドレイクという26歳という若さでこの世を去ったニック・ドレイク。ポール・ウエラーやエルビス・コステロといったそうそうたる面々がリスペクトを表明し、ベル&セバスチャンの様にあからさまな影響が感じ取れるアーティストがブレイクする現代においては素晴らしい評価を獲得しており、最近も輸入盤のみながら、リマスターCDでオリジナル・アルバム3タイトルが再発され、入手しやすい状況になっている。しかしながら、彼が活動して、レコードをリリースしていた'69〜'72当時、レコードはほとんど売れなかった様である。生前は広く評価されず、死後その評価がどんどん大きくなるというのはよくあるパターンであるが、このアーティストもその典型。とはいいつつ、彼の場合は若くしての死という、ある意味アーティストを美化してしまう要素を差し引いても、あまりある程の素晴らしい作品をリリースしている。オリジナル・アルバムが3枚、未発表作品集が1枚リリースされている。全ての作品を通じて思い起こされるのは曇り空の、寂しげな風景。名作ばかりだ。 (全然夏っぽくないけどね)

まずファースト「Five Leaves Left」。ドレイクの爪弾くメランコリックなアコースティック・ギターの響きと、それに絡む、優雅なストリングス、フルート。コンガとピアノ。音数は少なく、シンプルな作りながら、淡々と歌い込まれる、その歌声は、例えば、初期のエブリシング・バットザ・ガールなんかが好きな人にはおすすめです。レコード・コレクター誌に書いたあったのだが、このアルバム・タイトルは直訳すると「残り五枚」で、これが死ぬ5年前のリリースだったということの関連性は、あくまでも偶然だろうが、確かに因縁めいた神話を生みそうである。

セカンド・アルバム「Bryter Layter」。この作品が一番聴きやすくおすすめかもしれません。前作にあった、シンプルな音づくりに比べると、かなり明快なアレンジが施されている。元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルのヴィオラ、ジャズ系のホーン・セクションも加えられた、この作品は時として、陰鬱なところが強調されがちな彼の歌声に、華やかな彩りを添えている。ベルセバ好きはもちろん、ジャズや、ボサノヴァを取り入れた意欲的なサウンドは、フリーソウルのコンピなんかが好きな人にも聴いてもらいたいです。(コアなファンにとって良いか悪いかは別にして)一番ポップで取っつきやすく、様々な魅力に溢れた作品であると思う。何故これが、当時売れなかったのか不思議でならない。

サード・アルバム「Pink Moon」。純粋な自己表現をポップに作り上げた、前作が世の中に受け入れられず、容赦なく叩きのめされてしまったドレイクは抗鬱剤を常用するようになったという。そんな中、72年に2晩で録音された、この作品は、ドレイク自身のギターとピアノだけで構成されており、全作品中一番悲しげだ(彼に関するいろいろな知識をもって聴いてしまったからそう思うのかもしれないが・・・)普通に聴くと、一番地味であることは間違いないので、一番に聴いてとは言えないが、地味ながらも迫り来る迫力は表現しがたいものがあると思うし、聴く人によって、様々な魅力を纏う可能性があると 思う。

この作品リリース後、精神状態がますます悪化した彼は、2年後の1974年、抗鬱剤の摂取過多でこの世を去る。この後、87年に未発表トラックを集めた「Time Of No Reply」がリリースされる。マイルスがカバーした、「Mayfair」はこれに収録されている。

以上またまた、駆け足だったので表面的ですがニック・ドレイクを取り上げました。マイルスやベルセバを入り口に彼の音楽に触れてみるのは、とても面白い広がりのあることだと思うし、ジェフ・バックリィやヴェルヴェット・アンダーグラウンド好きにもおすすめなので機会があれば聴いてみてくれるとうれしいです。

〜今月のテープ〜
先月ニック・ドレイク入れたので、今月はマイルスやフェニックスに感じ取れる70年代ポップのテイストを取り上げました。今回の5曲はどれも70年代ポップの名作ばかりです。ニック・ドレイクはテープには入れないけど今日のDJでプレイしますので、お楽しみに。

というわけで、また来月まで、お元気で!!

〜Pop iT! Freezine Vol.30より〜

エイプマン・テリーの「人間になりたい」Vol.3


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