エイプマン・テリーの「人間になりたい」Vol.5
皆さん、こんにちは。エイプマンです。

今回のPop iT!はマンチェ特集ということで、皆さんに愛の夏を満喫していただければ、とてもうれしいです。ところで、80年代末 〜90年代初頭にかけての英国のアシッドチェスター・ムーヴメントといえばエクスタシーとアシッド・ハウスに彩られた「セカンド・サマー・オヴ・ラヴ」の時代と言われています。そしてそれよりも遡ること20年以上、1967年の夏にLSDとロックと花に彩られた「1番目の愛の夏」=「サマー・オヴ・ラヴ」の時代がありました。今回はその話です。

その発芽は60年代半ばのサンフランシスコは、ヘイト=アシュベリー地区から始まりました。反体制派の若者であり、個人的な内なる探求の旅を追求していた人たち「ビートニク」から、その個人新しい価値観のもとにつながり、新しい世界を作っていくことを目指す新しい世代、すなわち「ヒッピー」へとバトンが渡された頃です。世俗のつまらない経済理論、それをもとにした既成の価値基準に縛られない「何か新しい価値」がヒッピーによって探求されていきました。そして、そんな価値観を体現する重要な要素であったのは、LSDとサイケデリックでトリップ感覚にあふれた「新しいロック」でした。ドアーズ、ジェファーソン・エアプレイン、グレイトフル・デッド、ニール・ヤングとスティーブン・スティルスのいた、バッファロー・スプリングフィールド、ラヴ等々、魅力的なバンドが67年の夏を彩りました。そして、その年の6月に「モンタレー・インターナショナル・ポップ・フェスティヴァル」が開かれました。「音楽と愛と花」をテーマにしたこのフェスはアメリカにおける「サマー・オブ・ラブ」のピークと言われています。ジャニス・ジョプリンとジミ・ヘンドリックスはこのフェスに登場したことにより、この時代を象徴するスターに祭り上げられました。まるで、ローゼスとハピマンがそうであったように。この時点では音楽の力が愛と平和を、形はどうあれそこに作り出していたのです。しかしながら、一つの季節の終わりは必ずくるものです。
ヒッピーがいくらピースを唱えても、ベトナム戦争は終わることはなかったし、そこへ行けば誰もが幸福になり、夢が叶うと信じられていたサンフランシスコはドラッグで荒廃していきました。その年の10月には、彼らの精神を支えていたであろう、LSDもカリフォルニア州で違法になりました。既成の価値基準にしばらない愛と平和の王国の建設はかないませんでした。夏は終わったのです。

しかしながら、この時期に、ロックという一芸術形態が様々な人間の考えや活動と結びついて、有機的に進化し、キャパシティーを広げていったのは言うまでもありません。アメリカと、イギリスの音楽シーンが有機的に結びついていたというのも大きな理由だと思います。「サマー・オブ・ラブ」はイギリスのサイケデリック・ムーヴメントにも大きな、影響を与えました。アメリカに比べると、社会的な思想が深く関わっていたわけではありませんが、LSDが開く心の扉には多くのアーティストが興味をそそられたようです。アメリカ人であるジミヘンを先に評価したのはイギリスだったし、ビーチボーイズの「ペット・サウンズ」もアメリカより、イギリスで受け入れられました。

ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」も「サマー・オブ・ラブ」との相互の影響なしには語れないと思います(もちろんビートルズのそれ以前の活動がアメリカのバンドに影響を与えていたことも事実ですが...)「サージェント〜」以前にもロンドンのアンダーグラウンドのシーンには初期のピンク・フロイド、ソフト・マシーン、ティラノザウルス・レックス等もいました。そして、「サージェント〜」以降には「サージェント・ペパーズ症候群」と言われたほど、様々なバンドがサイケデリック名盤を生み出していきます。ストーンズしかり、ホリーズしかり、スモール・フェイセズしかりです。

とにかく、信じられないほどの名盤がこの時代には生み出され、今も聞くことができるわけです。当時の名盤がLSDやら時代の雰囲気やら、様々な要素からできあがっているのかもしれませんが、別にLSDをやらなくたって、その音楽に感動している人たちがたくさんいるわけで、「サマー・オブ・ラブ」が残してくれた、大いなる遺産に感謝したいと思います。

ビートルズは世界に向けて「All You Need Is Love」と歌いました。今の世の中で、そのメッセージはどこまで有効なのかはわかりませんが、それは聴いた人個人、個人には確実に響いていると思います。別に当時のヒッピーのように大勢集まって薬をやりながら、確認するまでもなく、ひとりでいても、個人が各々その意味を確認していくことはできると思うし、それができたら、結果としていろんなつながりができてくると思います。それはとてもすばらしいことだと思います。

というわけで、サマー・オブ・ラブに関して書きました。当然実際に経験したわけでもないし、レコードや本からしか知ることができないので、稚拙な表現しかできずに失礼しました。とはいいつつ、マンチェの頃と共通する空気感というのは確実に存在すると思います。うまくいえないですが。今回ディスク・ガイドを載せられなかったので、次回これをふまえて、レコードを紹介していきたいと思います。

というわけで、また来月まで、お元気で!!

〜Pop iT! Freezine Vol.31"Acidchester Rave On! 2"より〜

エイプマン・テリーの「人間になりたい」Vol.4


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