DISC REVIEW SPECIAL!
【僕たちTeenage Fanclubのファンです】
from "Pop iT! Vol.34" Freezine 28/10/2000


 サマーソニックでのTeenage Fanclub最高だったね! 1曲目の"Everything Flows"なんて、いきなり退場ってぐらいの超反則。泣いちゃうよ、涙出ないけど。で、3年振りの来日というのは、あんまり関係なくて、見ている人誰もが自然に笑顔浮かべ幸せそうな気分を味わえる彼らが作り出すあのほのぼのした雰囲気がなんと言っても素晴らしいんだよね。そう考えると彼らは、ライブ・バンド。ライブ・バンドとは、演奏が上手くてレコード以上の技を繰り出すというのを普通は言うのかもしれないけど、レコード以上の感動や喜びをいつも与えてくれるというのも、紛れもなくライブ・バンド。毎回セットも異なるし、何度見ても何かしらの感動がある。
 もう彼らもデビューして10年も経つし、初期のDinosaur Jrへの英国からの回答なんて言われた頃と最新作『Howdy』のソフト・ロックのような今の彼らとでは、全然別物などと思う人も多いと思う。でも、根底にある歴代のポップ・ミュージックへのリスペクトやメロディの探求という姿勢は何一つ変わってない。どんなに音楽事情が変わっていこうが、最も重要という意味で変わらないのはメロディだと思う。そう、"Timeless Melody" (by The La's)。
 新しいことばかりをどんどん取り入れていくことだけが、ラジカルではない。ある物を極めることにチャレンジするのもまたラジカルであると思う。Pop iT!もそんな彼らのようなクラブになれるように、特別な思いを込めて(?)彼らの特集をすることにしました。なんか、取って付けたように大袈裟だな(笑)。 (Q's)


【独断ALBUMレビュー】
最新作"Howdy"を含む7枚のアルバムについて、Pop iT! DJ陣が思い入れたっぷり(?)にレビューします。

"A CATHOLIC EDUCATION" (Paperhouse) 1990
BMX Bandits、Pastelsなどに参加していたノーマンが、レイモンドと結成したThe Boy Hairdressers。その頃の英インディ・チャートは、Sonic Youth、DinosaurJR、PixiesなどUSアンダーグラウンドのバンドが上位に食い込み、米英入り乱れ影響しあうといった面白い状況になっていました。VelvetsやBeach Boysなどアメリカの60年代のバンドの影響を受けたThe Boy〜を解散した2人は、同じ様な60年代嗜好をルーツに持ったアメリカ勢が鳴らしていたアグレッシブで刺激的なノイジーなサウンドにも強く共感し結成したのが、Teenage Fanclubというわけです。このアルバムには、そんな60年代的メロディと90年的ノイズと轟音が同時に鳴らされているだけでなく、彼らの現在にもつながる要素が見え隠れしています。(Q's)
"THE KING" (Creation) 1991
USアンダーグラウンドで絶大な影響力を持っていたミュージシャンでありプロデューサーのドン・フレミングと出会ったことによって更に音楽性が広がることになる。「God Knows It's True」、そしてクリエイション移籍第一弾「Star Sign」とシングルを次々にリリースした後に突然アメリカでのみ発売されたアルバム。「Star Sign」にも収録されている一体何番まであるのか"Heavy Metal 6"とマドンナの"Like A Virgin"のカヴァーに、Pink Floydの "星空のドライブ"から"Mudhoney"なるまんまなノイジーなインスト曲までとその後すぐにリリースされた『BANDWAGONESQUE』に比べると、まさにドンとTFCのお遊び要素が詰まった『裏BANDWAGONESQUE』。しかも回収騒ぎにまでなったという、よくわからないアルバム(笑)。 (Q's)
"BANDWAGONESQUE" (Creation) 1991
彼らの出世作となったこのアルバム。1stアルバム以降のシングル群からコンビを組んできたドン・フレミングのプロデュース。当時の集大成とも言える、分厚くてノイジーなギターとメランコリックで美しいメロディが融合したサウンドは、多くの人を魅了し彼らの人気を決定づけていきました。それまでに比べてボーカルの安定感が格段に増したのも彼らの魅力を引き立たせたもう一つの要因と言えるでしょう。"Alcoholiday"や、サマーソニックで演奏された"The Concept"の、何ともやるせない切ないメロディに何度胸をいっぱいにしたことか。そして"Star Sign"や"Is This Music?"の前向きな音に、何となく充足感を感じていたあの頃。私にとっては一番思い出深い一枚なのです。(Ueda)
"THIRTEEN" (Creation) 1993
Kレーベルからのカバーシングルや、デ・ラ・ソウルとのサントラシングルのリリースを経て、皆が期待に胸を膨らませていた中リリースされたこのアルバム。アレックス・チルトンそしてビッグ・スターへの傾倒が注目されていましたが、この頃のシングルのB面では、60's後半から70's前半のUSバンドやアーティストのカバーを盛り込み、アルバムも前作の印象を残しながらもその影響を感じさせるものとなっています。本作を最後にブレンダンは脱退、Telstar Poniesや、Mogwaiへの参加とよりオルタナティブな方向に進んでいきます。そして英国は彼らとは相反するブリットポップ全盛の狂乱の時代へと向かって行くのです。ちなみにこの頃の販売Tシャツは、背番号13のTeenage FCユニフォーム。やっぱり英国人とサッカーは切っても切れない関係なのでした。(Ueda)
"GRAND PRIX" (Creation) 1995
ブリットポップ・ムーブメントのさなかにリリースされた4枚目は、ファンの間でも特に人気の高いアルバムなのではないでしょうか。"Sparky's Dream"、"Don't Look Back"、"Neil Jung"など名曲が揃い踏みで、いつまでもずっと愛され続ける、普遍的な魅力を持った名盤だと思います。 (hidekick)
"SONGS FROM NORTERN BRITAIN" (Creation) 1997
心温まるコーラスワークと、3人の素晴らしいソングライターが紡ぎ出す美しいメロディー。大胆な作りではないけれども一つ一つのサウンドがどれも邪魔にならずとても良い塩梅で結びついているからこそ、歌の魅力が際立っているようで、僕はバーズやビーチボーイズのレコードを聴いてる時と似た感じを覚えます。個人的な話で恐縮ですが、今の会社に入ったばかりの頃、なかなか慣れることができなくて疲れていた僕はこればかり聴いていた様な気がします。 (Terry)
"HOWDY" (Columbia) 2000
先行シングルを聴いて、「(1968年頃の)ゾンビーズやバーズみたいじゃないか!」と嬉しくて飛び上がりそうになりました。メロトロンの響きと「パパパ」のコーラス、新譜でこんなのが聴けるなんて幸せだなあ。期待に違わぬナイス・メロディーとギターサウンドをメロトロン、ハモンド等の鍵盤類やストリングスが若干控えめながらもこれまたよい塩梅で彩ります。6曲目(アナログでいうとA面最終曲)の最後にメロトロンが響く様が印象的でした。あっと驚く新機軸はないですが、良いレコードです。(Terry)


【勝手なSINGLEレビュー】
さすがに30枚近くありましたので、全部載せるのも大変。というわけで、その中から好き勝手にセレクトして紹介いたします。シングルならではの隠れ名曲、バージョン違い、多くのカヴァー曲など買って困らないのはいいけれど、ファン泣かせでもありますね。

"EVERYTHING FLOWS" (Paperhouse) 1990/1991
彼らのデビューシングルは、Paperhouse共通のスリーブに入っただけの1,000枚限定7"オンリーでのリリース。これを聞いてボビーが気に入ったとかなんとかいう話もあった気もしますが。で、1年後Neil Youngの"Don't Cry No Tears"のカヴァーを追加したCDSとなって再発されました。TFCの前進バンドのThe Boy Hairdressersにひっかけた日本語が出てきたり、Francisがドラムで参加してるバンドの名前の由来ともいえる"Speeder"という曲も収録されています。 (Q's)
"THE BALLAD OF JOHN & YOKO" (Paperhouse) 1990
ジョン・レノンの10周忌にあたる当日のみUKで発売された限定5,000枚の片面1曲のみのシングル。プロデューサーのドン・フレミングも参加し、レコーディング時のお遊び的セッションのようで割と原曲に近い。裏面は、全員の落書きのようなサインのようなエッチングが施されています。(Q's)
"GOD KNOWS IT'S TRUE" (Paperhouse) 1990
"A CATHOLIC EDUCATION"後に正規リリースされましたが、その後Creation移籍になったのでアルバム未収(シングル編集盤『DEEP FRIED FANCLUB』には収録)のシングル。ドン・フレミングのプロデュースということで、全体的に歪んだギターでガーという勢いを感じます。"Everything Flows"をもっとワイルドにしたようなタイトル曲をはじめ、疾走ナンバー"So Far Gone"やノイジーなインスト"Weedbreak"、"Ghetto Blaster"を収録。 (Q's)
"FREE AGAIN" (K) 1992
Kレコーズの"International Pop Underground"シリーズの1枚としてリリース。クラブで最も盛り上がるTFCの曲だと個人的に思うのが、このAlex Chiltonのカヴァーでしょう。非常に簡単で単純な曲なんだけど、妙にTFCのほのぼのしたキャラクターにマッチしており、聞く度楽しい気分にさせられます。B面は、Kレコーズの創設者カルヴィンのBeat Happningの"Bad Seeds"。初期の頃のような荒いノイジーなカヴァー。(Q's)
"NORMAN 3" (Creation) 1993
『THIRTEEN』からの先行シングル。このシングルが一部で有名なのは、12"にのみ「TFCになれる」というメンバーのお面がおまけで付いていたから(笑)。曲の方も歪んだギター中心の2ndアルバムのイメージとは異なるだけでなく、Flying Burritto Brothersの"Older Guys"をはじめ他の曲にもフォーク、カントリーの影響が強く出ており、戸惑ったファンもいたはず。(Q's)
"MINE EXCLUSIVELY / PATTI GIRL" (NME) 1993
UKの音楽誌NMEの通販のみで売られた5,000枚限定ボスニア難民救済のチャリティー・シングルで、"Free Again"の作者であるAlex Chiltonのいた伝説のバンド、Big Starと共演しています。TFCなどのグラスゴー勢やThe Posies、Matthew Sweetなどのアメリカ勢が彼らへのリスペクトを熱く語っていたお陰で再評価となり、そんなブームに乗って再結成をしていた時期であり、TFCにとってはまさに夢の共演だったことでしょう。ファンキーな"Mine Exclusivery"はBig Starが、フォークロック風な"Patti Girl"はTFCが歌っています。「Ain't That Enough CD2」では、Big Starの"Jesus Christ"もカヴァーしてます。(Q's)
"THIRTEEN BONUS DISC" (Creation) 1993
"THIRTEEN"のUK以外のヨーロッパで発売された(はず)限定盤(オーストリア産)についていたボーナス盤。CDもアナログも収録曲は同じ。1910 FruitGum Companyの"Goody Goody Gum Drops"、Sebadohの"It's So Hard to Fall in Love"のカヴァー2曲と"Radio"、"Gene Clark"のスタジオ・ライヴを収録しています。Sebadohで思い出しましたが、「NEIL JUNG (Alternative Version)」では、Yo La Tengoの"I Heard You Looking"のカヴァーもやっています。(Q's)
"HANG ON" (Creation) 1993
これまた、UK以外のヨーロッパで発売された(確かにUK盤は出ていない)CDオンリーのシングル。ラジオのオン・エアー用にT-Rex "20th Century Boy"のイントロをカットした"Hang On(Edit)"、アルバム・ヴァージョンの"Hang On"、そしてオランダのラジオ番組用に収録した"120 Minutes"、"Four Strong Winds(Bobby Bareのカヴァー)"、"Hang On"のアンプラグド・ライブ3曲を収録。ピアノをバックに歌われる"Hang On"の美しさといったら、もうたまりません。T-Rexといえば、シングル「WHAT YOU DO TO ME」で"Life's A Gas"のカヴァーを演ってます。(Q's)
"MELLOW DOUBT" (Creation) 1995
『GRAND-PRIX』からのシングル(CDS)は、全てアルバム・ヴァージョンとキーの異なるデモ風のオルタネイティブ・ヴァージョンとの2枚に別れて発売されました。2枚になったことで彼らのルーツといえるカヴァー曲もたくさん聞けるようになる訳ですが、オルタナの方には、C.C.Rの"雨を見たかい?"とThe Rutlesの"Between Us"を収録しています。それ以上にこのシングルのポイントが、TFCのB面曲の中でも1、2位を争うであろう名曲"Some People Try To Fuck With You"が収録されているから。ボサぽいイントロから始めるバカラック辺りの影響受けたNorman作のメロウなこの曲に彼らの奥深さを感じます。(Q's)
GRAND PRIX BONUS 7INCH" (Creation) 1995
『GRAND PRIX』の初回アナログ盤にのみ付いていたボーナス7"。いかにも4チャンネルで録りましたという"Discolite"と"I Gotta Know"のチープなデモ・ヴァージョンと、"Coffee Morning"(モー娘みたいだ)、"Untitled"のインストの4曲を収録。(Q's)
"THE PEEL SESSIONS" (Strange Fruit) 1995
BBCラジオの名物DJジョン・ピールの番組用に収録したライブ音源で、1991年にもTFC単独のが出ていますが、本作は最新シングル「I Need Direction」でもカヴァーしているPixiesの巨漢フランク・ブラックに頼まれ、TFCがバックバンドとして共演しています。Frank Blackによる新曲2曲とデル・シャノンのカヴァーなどを収録しています。 (Q's)
"LONG SHOT" (Creation) 1998
7"オンリー3,000枚限定で、1998年ワールドカップのBBCラジオ用に作られたフットボール応援歌。"Is This Music?"、"Get Funkey"、「AIN'T THAT ENOUGH」に収録された"Kickabout"などと同じ様なインスト。TV番組のエンディングで試合の様子がスローでプレイバックされている時に流れそうなゆったりとした選手への癒しと感謝 のこもったような曲とでもいうのかな。(Q's)




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