●ダーシー・バッセル


 褒めまくりおかまいなしのコーナーとのことなので書いてしまうが、とにかく魅力的なひとである。 初めて彼女の舞台に接したのは、1992年の第4回ロイヤル・バレエ日本公演での「ラ・バヤデール」 のとき。当時バッセルのことは名前すら知らず、ギエムの負傷による代役ということでさほどの期待もなく 幕が上がって、ほどなく彼女が扮したニキヤが登場したときの衝撃を今でも覚えている。
 密林に咲く白い花。風に揺れる蘭のようなその姿に一目惚れしてしまったのは小生一人ではないと思う。
当日は彼女の美しさに陶然としているうちに幕がおりてしまったようなものだが、彼女は単に美しいだけの 踊り手ではなかった。別のプログラム、マクミランの「三人姉妹」で彼女が演じたマーシャの胸の想いは、 身体が作りだす表情だけで確実に観る者(この場合自分のことだが)に伝わって深い感銘を与え、「エリー ト・シンコペーション」では眩暈がするほどの輝かしさ、生命感で圧倒した。しかしながら彼女の本質は単 純ではないようだ。ビデオも含めてその後観た「パゴダの王子」、「眠れる森の美女」、「うたかたの恋」 など役が違うのだから当然と言えば当然ではあるが、それぞれに違う内面を表現しえている。特にオーロラ 姫を踊ったときの彼女は、人生を知る前の無垢な幸福感に溢れていて、むしろ切なさや不安を覚えたほど だった。(ビデオになっていないのが無念)現在のバッセルを踊り手として完璧と評価しているわけでは ないのだが、技術は素晴らしくとも、何を演っても同じに見えてしまうダンサーが決して少なくないことを 思えば、これは特筆大書すべき美質ではないかと思う。
年齢を重ねて、彼女はどのように変わってゆくのだろうか。成長する彼女の舞台に期待しつつも変わらぬ 彼女の姿をいつまでも見ていたいと思ってしまうのも偽らざるところではある。いずれにせよ、あと半年 足らずで、この日本で彼女の舞台を見ることができるわけで、ジュリエットはどんなに美しいだろうか、 キトリは・・と胸を踊らせている毎日である。
長々駄文を連ねてしまい、恐縮です。読んでくださった方には感謝するのみですが、フアンの方々には かえって不満の種を播いてしまったかもしれません。共感・異論・反論などお聞かせ頂ければ幸いです。

 by papasito



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