vol.2 「"足し算チーム"と"掛け算チーム"」(1999/11/10)

前回は、"自発"の楽しさと大切さについて、ぼくの思うところを書いた。この自発の楽しさが、 増加されるか、逆に苦しさになるかは協力者との関係、つまりはチームの在り方が大きく左右する。

チームの在り方としては、大きく分けて2通りあると思っている。"足し算チーム"と"掛け算チーム "だ。
足し算チームとは、上から下にやるべきことを指示しながら進めていく在り方。10名のメンバー がいたとしたら、1人はリーダーとしてやるべきことを指示、管理する。他の9名は、あてがわれ た役割に従って指示されたことを進めていく。この具体的な作業を行う9名の足し算によって、計 画的に進めていく在り方だ。よくも悪くも期待通りの結果が出やすく、それ以上の結果は出づらい。

一方、掛け算チームは、全員がコンセプトやイメージを作り上げる試行錯誤の作業から関わる在り 方。なかなか計画通りに進めることは難しいが、いい意味でも悪い意味でも、期待外れの結果が出 る可能性がある。ひとりの力が大きくマイナスにも働けば、プラスにも働く掛け算チームだ。

この2つのチームでもっとも大きな違いは、メンバーのイメージの持ち方だ。
足し算チームのメンバーは、与えられたイメージしか持っていない。自分から発したイメージでは なく、所詮は借り物のイメージなのだ。そのため、それぞれがイメージの編集ということをできな い。つまりは言われたことしかできない、やらないわけである。自発とはほど遠い。
個人的には、このチームの在り方は好きではない。必死になって自分の持っているイメージを説明 しても、メンバーはそのイメージに賛同も反対もせず、ただ理解しようとする。この雰囲気が気持 ち悪いのだ。「おまえはどう思ってんねん!」と言いたくなる。
作業としては、計画的、効率的かもしれないが、おもしろくないのである。どうなるかわからない という危うさがない分、可能性も感じない。
ちなみに、足し算チームでは、考えるセクションと実行するセクションが分離している。一見、効 率的ではあるが、本来、人間は自分で考えて、自分で行動する一貫性のある生き物だ。であるとし たら、足し算は不自然な在り方であろう。

一方、掛け算チームは、メンバーそれぞれが自分なりのイメージを持っている。最初のイメージは リーダーが描いたにしても、そのイメージを咀嚼し、自分発のイメージに変換してしまうのである。 だからこそ、それぞれがイメージの編集をできるのだ。当初、描いていたイメージが思わぬイメー ジに変わることなど、度々ある。
このチームは、どういう方向に行くかわからないという危うさ、おもしろさとともに、メンバーの やる気が非常に高い。自分のイメージ、つまりは自分にとっての意義を明確にしているため、自分 の判断と責任のもとに取り組めるのである。

今の社会は、足し算チームの考え方が中心となっている傾向がある。それに埋没するのはおもしろ くなかろう。
イメージを共有できる仲間とともに、新たなイメージを練り上げ、新しい現実を作っていく作業は、 しんどくて、面倒臭くて、大変で…、でも、けっこうおもしろいのだ。
もちろん、浪人会も掛け算チームを心掛けている。

(三浦伸也)

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