■ vol.6 「マメな男」(2000/01/20)
"男"というものに対する一般的なイメージの中で、「マメな男」というのは、あまりよい意味で
使われない。世間のイメージに縛られているのかもしれないが、ぼく自身も「マメな男」と言わ
れることには抵抗感がある。
ところが、ぼくは町内では「マメなダンナさん」で通っている。家のことをこまめにやるという
ことだろう。もちろん、そんなぼくをけなしているわけではなく、誉めてくれているのだと思う。
でも、何だか素直に喜べない。
確かに、自分でも家のことはよくやっていると思う。朝のゴミ出しもする。手があいていれば食
器の洗い物もする。妻が他の用事をしていれば、洗濯物を取り込みもする。休日は子供たちを連
れ出して外で一緒に遊ぶ等など。あまり、家でゴロゴロはしていない。
また、ぼくはいくつかのコミュニティの実務を受け持っているが、その作業を垣間見た人たちか
らは、よく「マメですねえ」と言われる。
「マメですねえ」と言われるたびに、心の中ではこう思っている。「マメだからやっているので
はない。必要があるからマメにやっているのだ」と。
仕事でも、ぼくのマメさには定評がある。
ほとんど使うことがないと思われる資料でも、たとえ1%でも使う可能性があれば、徹夜をして
でも作る。また、同じ内容の資料を、相手先ごとに表現を変えて作ったり、相手が資料を流用し
たそうであればファイルで渡せるようにしておく。必要があると思えば、打ち合わせ先にセロテ
ープを持参することもある。セロテープなどはどこの会社にもおいてあるだろうが、「ちょっと
セロテープを貸して下さい」と言う間が、ミーティングの流れを崩すと思うからだ。
思いつく気がかりなことは、できる限り事前に準備しておく。それでも実際には抜けがあるもの
だ。だから、準備段階では100%を心掛けている。
ぼくがこんなにマメになったのは、自らいろんなことに取り組み始めてからだ。具体的に何かを
やろうとしたら、マメにならざるを得ない。例えば、相手からハガキで返事をもらいたければ、
返信用ハガキを同封しておく。返信用切手も貼っておく。送付先も記入しておく。内容を書き込
みやすいようなひながたを作っておく。これらは、返事がほしければ当たり前の作業だと思う。
大雑把にやっていては、何も得られないのだ。
自主的に何かをやろうとすれば、マメにならざるを得ないのだ。
少林寺拳法の開祖・宗道臣は、こう言っていた。「小さいこともできんやつに、大きいことがで
きるか」と。また、家族を捨てて国のために奔走する幕末の志士をあまり評価していなかった。
「家族も守れんやつに、国が守れるか」と。
もちろん、足元のことばかりに目がいって先を見ていなかったり、マメにやるばかりに締切に間
に合わないなどは論外だ。それは、マメなのではなく、自分のことだけしか考えていないに過ぎ
ない。
"男らしい=細かいことは考えない"というようなイメージが一般的にはあるが、もう少し「マメ
な男」にも市民権を与えてあげてよいのではなかろうか。
マメに考えるとは、どれだけイメージを鮮明に持っているかということだ。そして、鮮明なイメ
ージは、どれだけ深く相手のことを考えているかということにつながる。
(三浦伸也)
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