vol.18 「物事は予定通り進まない」(2000/12/23)

年末は忙しい。スケジュール帳を見ると、25日の9時にどこそこで誰 それと打ち合わせ、などという予定がびっしりと入っている。当たり前 のことだが、この場合、先方とお互いに25日の9時に会えるというこ とが前提になっている。多くの場合、よほどのことがない限り、約束し た日時には、互いに合えると思い込んでいるわけだ。
そこには、物事は予定通りに進む、という考え方が横たわっているよう にも思う。

かくいうぼくも、結婚するまでは、無意識にそう思い込んでいた。例え ば、「今日は、仕事が一段落したから、見たかった映画にでも行こう」 と考えているところに、飲みに誘われたりすると、戸惑ってしまう。飲 みに行くのが嫌なのではなく、予定が狂ったことに不快感を抱いていた わけだ。

ところが、結婚して子供ができると、今まで無意識のうちに抱いていた 「物事は予定通り進む」という考え方は、まったくしなくなった。むし ろ、「物事は予定通り進まない」という逆の考え方が、ぼくの中ではす っかり定着した。

今週の我が家での出来事を例にあげよう。
1歳の双子が風邪気味で、そのうちのひとりは、耳から大量の耳ダレを 流していた。中耳炎だ。翌朝早くに病院へ行くことにした。午後早々に 大事なミーティングがあるのだが、朝のうちに診察が済めば充分に間に 合うだろう。
と、余裕で寝入ったのであるが、翌朝、中耳炎息子は目ん玉から血を流 して起きてきた。(結膜炎のひどいやつでした)。さらに、幼稚園息子 の体にブツブツを発見。おまけに熱がある。妻と顔を見合わせ「水疱瘡 !」と叫んだ。
"朝一番で耳鼻科に行き、午後一番の仕事に間に合うように出社する"と いう予定はぶっ飛んだ。
さあ、どうしよう、と焦るが、ミーティングに行けるよう段取りを組む しかない。耳鼻科、眼科、小児科と3つの病院を手順よく回って、結局、 ギリギリで仕事には間に合った。
その日、ホッとして帰宅すると、小学生娘が高熱。目から血を流してい ない方の双子も高熱。壊滅状態である。明日も大事なミーティングが…。 さあ、どうしよう。

翌朝、電話で何とか仕事の調整をつけた。互いが妥協し得る範囲での予 定変更だ。
さて我が家だが、複数の医者を数人の子供を連れて回るには、ぼくひと りでは無理だ。妻も一緒に行くことになる。必然的に、水疱瘡息子をひ とり家に置いておけない。高熱で喘いでいるこいつも一緒に車に押し込 んだ。
そんな時に、小学校から電話。娘が欠席する連絡は入れたが今日は終業 式だ。
「終業式なので、持ち帰る荷物がありますから、10時半にとりに来て 下さい。それが無理なら1時に。それ以後は職員会議なのでダメです。 」
この状態で行けるわけがないやろ。融通のきかんやっちゃ。いったい何 様やと思うとるんじゃ。と、ブツブツ言いながら、通知票は近所のお友 達に持たせてもらい、他の荷物は新学期にとりに行くことでカタをつけ た。
近所のお友達が持ってきてくれた通知票には手紙が添えられていた。
「本来は、通知票は他人に持たせないものですが、今回は特別というこ とで…」
何を寝言を言うとるんじゃ! 誰が決めたんじゃ、そんなこと! ウチ は毎日が特別なんじゃ!とひとしきり吠えることになる。

この先生、「物事は予定通り進む」という考え方を持った典型的な人で あろう。きっと、時間割や行事などのスケジュールを第一義に置く人な のだろう。娘から普段の教室での様子を聞いてもそれがわかる。子供は 予定通りにはいかない典型なのに…。

「物事は予定通り進まない」ものなのだ。予定通り進まない方が自然な のだ。自然界そのものが、予定調和の世界ではないのだから。
人は、物事を予定通り進めようとするが、予定通り進まない時にどうす るか。そんな変化に即応することの方が大切な気がする。
ぼくは、自然界のルールに従った方が、無理がないと思う。

(三浦伸也)

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