■ vol.27 「とうちゃんに見てほしい!」(2001/09/30)

我が家では、小2の娘と幼稚園の息子が、地元のラグビースクールに通っています。

1ヶ月ほど前に、子供たちの試合がありました。
娘は風邪で欠席。息子とぼくとで試合場に向かいました。

いざ、試合が始まると、息子は、何ともチンタラチンタラとボールを一番最後尾から追いかけとるんです。
もう腹がたって、腹がたって。
ハーフタイムに、コーチの話が終わった後、ぼくは息子を叱りました。
後半は、一応、ちゃんと走ってはおりましたが。

試合終了後、弁当を食いながら、息子とこんな話をしました。
「おまえ、一所懸命やったか?」
「…チンタラしてた」。
「今度チンタラしたら、ラグビー辞めえ」
「…はい」

後日、この話を友人にしたら、厳しいですねえ、と言われました。
言われてみれば、確かに厳しいですわ。
相手は、まだ幼稚園児ですからね。
ただ、ぼくは、息子には2つの理由で叱ったんです。
ひとつは、手を抜いたらみんなに迷惑がかかる、ということ。
「おまえは仲間に迷惑かけてんねんど」と息子には言いたかったわけです。

もうひとつの理由は、イヤイヤやってんのやったら、辞めてもええねんで、ということです。
好きで始めたことでも、いつの間にかやらされている、という感覚になることってありますよね。
そうなった時に、「おまえ、ほんまにやりたいの?」という問いかけを常にしておくことは必要だと思うんです。

信念の元に息子を叱った・・・つもりやったんです。
ただ、気になることが…。
ハーフタイムに叱った後、後半戦で、息子はそれなりにやっていましたが、ぼくの方をチラチラと見るんです。
ぼくの顔色を常に確認しているんです。
なんかいたたまれない気分やったですね。

しばらく悩みました。息子を叱ったことはよかったんか、悪かったんか。
なまじ、ぼくもラグビーをやってるから、ぼくの取り組み姿勢をそのまま押し付けてるんかな、と思ったりもして。
で、一応の結論は得たんです。
何も言わんとこうと。
実は、ウチのラグビースクールは、全然厳しくないし、むしろ、遊ぶことを奨励しているようなスクールです。だから弱いんです。
でも、どういうわけか、5、6年生になると、県下の強豪チームを相手にええ勝負をするんです。
きっと、低学年から培った子供の自発性が、底力になっとるんでしょう。
決めた。あいつの好きにやらそう。

先日、再び試合がありました。
ぼくは、グラウンドの隅の方から、こっそりと黙って見ていることに決めました。何があってもクチを出さんぞ、と。
いざ、試合が始まると、息子はすごい集中力でゲームに臨んでいました。
ぼくの顔は1回たりとも見んのです。
午前中に3試合あったんですが、そのどれもがびっくりするくらいいいゲームでした。
もちろん、息子だけではなく、チームのみんなが抜群の集中力で臨んでいたんです。
娘も、初トライしたかに見えましたが、オフサイドという反則をとられて初トライはお預け。
オフサイドの意味がわからず、涙ぐんでおりました。くやしかったんでしょう。

午前中の試合が終わると、息子はニコニコ顔で、「頑張ってたでしょう」と自慢気です。素直に誉めてあげました。
午後にももう1試合あるんですが、連れて行った2歳の双子が寝てしまったため、グラウンドには行かず、その面倒をみよかと思っていたら、息子は「とうちゃんに見てほしい!」とキッパリ。有無を言わさぬ口調です。
こいつなりに思うところがあるんでしょう。
寝てる子を抱えてグラウンドに行きました。
結果、みんな疲れてヘロヘロにも関わらず、これまたすばらしいゲームでした。

隣では、まだ3,4年生の試合をやっていたので、全試合を終えた低学年は、そのまま応援です。
試合終了後、ふとおとなしくなった息子を見ると、グラウンドでそのまま寝てるんです。
この日は、県下からたくさんの少年ラガーマンが集まっていましたが、グラウンドでクゥークゥー寝てるやつは、こいつだけですわ。
それにしても、何とも満足気な寝顔でした。

さて、そろそろ結論に入らんといかんのですが、実は、結論が出んのですわ。
ようわからんのです。
あの時、叱ったのがよかったのか悪かったのか。
ひょっとしたら、再び息子は次の試合でチンタラするかもしれん。
その時、ぼくはどう対応したらええんやろう。
ようわかりませんわ。

ただ、息子はぼくに叱られて自分を振り返ったでしょうし、ぼくは息子を叱って自分を振り返った。
結局、人との関係って、こういうことの積み重ねなんでしょうね。


(三浦伸也)

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