■ vol.31 「ジモト」(2002/3/13)

埼玉に引っ越してきて、今月末で一年になります。
なぜか、引っ越しの日は、何の前触れもなく、朝から雪やったんです。
雪が降るわ、部屋では暖房器具がまだ使えんわで、寒いしむちゃくちゃ心細かったんですわ。
引っ越しを決意した責任も、ド〜ンと感じておりました。
「子供たちはうまく馴染めるかな」「馴染めんかったら、ワシの責任やなぁ」などと弱気になっておったんです。

でも、子供はたくましいですね。
すぐに友達ができて、今ではその子たちと、毎日、日が暮れるまで遊び呆けております。
子供については、一安心したけど、問題は、親の方ですわ。特にぼくです。
どういうわけか、嫁はんはまったく弱気になってないんです。
シャカシャカと引っ越しの後始末をしながら、いつの間にか、近所に友達を作っております。電話で長話もしているようで。

一方、ぼくは・・・。
夜、仕事を終えて、電車に揺られて帰るでしょう。
駅に降り立つと、「あ〜、ここに知り合いはおらへんのやなぁ」と思うと、寂しくてねぇ。
以前に住んでいたところでは、帰り道で近所のダンナさんと会って一緒に帰ったり、近所の奥さん方とも、あちこちで「あら、こんにちは」と。
なんせ、ぼくの目指しているのは、地元の頑固おやじですからね。
例えば、自転車をプラプラとこいでいると、「おっ、こんちわ」と近所の人と会っては、そこでしばし話し込み、連れ立ってソバ屋に行って酒を飲んで帰ってくる。
あるいは知人の息子がシンナーを吸っているのを見つけたら、「このアホが!」と言ってしばきまくる。
そんな人物を目指しとるんです。
それだけに、誰も知り合いがおらんようになったというのは、けっこうショックなんですね。

で、一年経った今・・・。

ぼくは、地元のラグビーチームに所属し、毎日曜日になると、近所のグラウンドで練習しています。
若い衆、年寄りが入り混じっての練習はむちゃくちゃ楽しいもんです。
なんせ、会社の肩書きや年齢、経験のあるなしに関わらず、みんなが必死になってボールを追いかけるんですから。
試合中は、罵声を浴びることもあります。
けど、ひとたび、試合が終わると、さっきの試合を振り返りながら熱く語ったり、バカ話もしたりと、楽しい酒盛りの始まりです。
まさに、血と汗がいっしょくたになった仲間たちです。
最近は、夜になると、「いる? ちょっと出てこない」と電話がかかってきては、チャリンコで近所のお好み焼き屋で夜中までラグビー談義、なんてことが増えてきた。
なんか、地元にいるっちゅう感じがしますよ。

また、どういうわけか、今春から小学校のPTA会長となり、PTA関連の友達も増えました。
夕方になると、携帯に電話が入り、「今夜、PTAの打合せやろう」と。
で、打合せの内容は大したことないんやけど、PTAとは関係なく、地域の活性化について、おもしろおかしい企画を、あれこれと考えるんです。
近所のファミレスで、ドリンクバーだけで、夜中過ぎまでいるんですから、店の人にはええ迷惑でしょうなあ。

休日に、子供を連れてスーパーに行くと、よく挨拶されるようにもなりました。
「こんにちは」と声をかけられると、こちらも「こんにちは」と返し、小声で子供に、「あれ、誰や」と聞く。
「○○君のお母さん」と答える時もあれば、「知らない」と答える時も。
いったい、誰に挨拶されているのか、ようわからん状態ですが、声をかけられるというのは、うれしいもんです。

引っ越した当初のぼくの不安はどこへやら。
以前にも増して、地元の仲間が増えたような気がします。

いつも、回りに誰か知っている人がいる。
面倒臭いこともあるやろうけど、安心感もこういうところからしか得られへんような気がします。

よっしゃ! めざせ、地元の頑固おやじ!


(三浦伸也)

*******************************************
コミュニケーション・ジャーナルはほぼ隔週の発行です。
ご意見・ご感想をお待ちしています。
sanpu@gol.com
*******************************************