愛知の杉浦さんへ知人から転送されたメールを、ご本人の許可を得て掲載させていただきます。

多くの方にご心配いただき、メールも頂戴していましたが、私は、無事 Two World Trade Center (以下 2WTC)から避難しました。

以下、その顛末です。

○△銀行のオフィスは、2WTCの79階から82階にあり、わたしは、8時過ぎから79階のオフィスにいました。
8時40分頃、ドーンという大砲のような大きな音がしたので、海軍が眼下のハドソン川で気勢をあげているのかと思って、それを見ようと、窓の方を振り返ったところ、上空から火の玉とか、燃えている物体とか

がどんどん降ってくるので、上層階で爆発があったと思いました。
(実際には、隣の、One World Trade Centerに激突した、最初の飛行機のものだったのですが、それはあとからわかりました)

こりゃ、相当やばいと思って、取るものもとりあえず、あわてて、非常階段から降りはじめました。(79階分です)
パニックもなく、避難は比較的スムースに進み、46階まで来たところでアナウンスがあり、
”爆発があったのは隣の1WTCであるから、このビルは大丈夫。避難しないで、今いるところにとどまるように。”

それを聞いて、非常階段で降りるのを止めて、またビルのフロアにもどったり、エレベーターを探し始める人もいました。
(30階、40階階段で降りると、相当足腰にきます。しかも、こちらのビルは天井が高いし)
わたしは、ここから、オフィスに戻るために、79階まで階段で登る気もなかったし、そのまま、階段を降りはじめました。(80%の人がそうしました)
30階まで来たところで、このビル自体が大きな爆音と共に、大きく揺れました。(2機目の衝突です)
こんどは、同じビルだったこともあり、とたんに匂いが立ち込め、煙も出てきたため、階段はパニックになりました。

いったい何が起こっているのかわかりませんでしが、二つのビルが同時に爆発するのは、テロ以外に考えられません。私も正直言って、ある程度の覚悟を決めました。

避難していて幸いだったのは、オフィスビルなので、避難している人の中に子供や老人がいなかったことです。
みんながある程度同じ歩調で、階段を降りることができました。
しかも、ほら、20階に着いた!!、とか、あと15階だ!!とか、大声で周囲を励ます人もいて、感心しました。

1階まで到着すると、まどの外は真っ暗で、空からいろいろ物が降ってきました。
ビルの出口は危険なので使えず、地下を大きく誘導されて、ビルから離れた出口から外へ出ました。

この時点では、まだ、二つのビルは崩壊していなくて、上層階が燃えて、色んな物が降ってきているだけでした。
自宅に電話しようにも、マンハッタンの電話回線はパンクしていて、全くつながりません。
テレビを見ていた家内は、2機目が私のビルの、しかも、私のフロアの周辺に激突したのを見て、これまたパニックになっていたようです。(自分がどれだけ危険にさらされているかがある程度わかっている、避難している本人よりも、よほど、心配がおおきかったろうと思います。)

幸いにも、ビルの周辺でうろうろしないで、そのまま、その時点では動いていた地下鉄で家に帰ったので、その後の、ビル崩壊に伴う被害にも巻き込まれず助かりました。

現在、事件から6時間経った午後3時です。
まだ、ハイジャックされたまま行方不明の飛行機があるということ、更なるテロが予想されることから、マンハッタン島へ入るすべての橋とトンネルは封鎖され、マンハッタン島の上空を戦闘機が旋回しています。
大げさですが、さながら要塞です。

私と同じ○△銀行には54の△△さんがいて、隣の1WTCには、■△銀行の×○君がいますが、無事であるといいのですが。

家に帰ってきたら、NHKのニュースを同時中継でやっていて、こっちのニュースと交互に見ていましたが、海外でことがおこるとお決まりの、外務省と一体となった邦人の安否確認作業におおわらわのようです。
もし、邦人の安全が確認されれば、目出度し目出度し、とでも言うのでしょうか。

いつもの事ながら、日本人が無事だったらひとまずOKという、メディアの対応と、その意向に沿った動きをする外務省の対応に、疑問を感じえません。

(2001年9月12日)