
vol.12 「巻小手」
先日、唐突に柔道場を借りての練習となり、初めて「巻小手」を練習した。
私が右腕を差し出す。
その手首を、攻者が右手で掴む。
攻者の手が外れないように左手で押えつつ、掴まれた右手首を内側に巻きながら、自分の体に寄せると、攻者が転がる。
攻者の力が持つ意図の変化、そんな感じのことを手首に感じた。
最初、攻者の手は強気で、私を自分の意のままに動かそうとする感じで掴みに来たはずが、態勢が崩れて転がる瞬間から、私の手首にすがっている状態に変わってしまう――と言えばいいのか。
斜面で滑り落ちそうになったら、誰でも無意識に手を伸ばして、何かを掴もうとするだろう。
そんな風に、転がらないように私の手首に必死になって掴まっているような。
この変化を言葉でたとえたら、「こっちに来んかい!」が急に「あ、あ、助けて助けて」になっちゃう感じかな。
あとは自然と、重心が後ろ気味になって、攻者と一緒に転がらないようにバランスを取っていた。
それと、自分の足を引いて転がる場所を作ることに、ちょっと気をつけた。
力は使わなかった。
攻者が勝手にバランスを崩して、勝手に転がってくれるので、私は上手く転がれるように、ちょっと支えてました。そんな感じだった。
こんな感覚を味わったのは初めてで、すごく面白かった。
が、我ながらビギナーズラッキーに思える。
次に別の人に攻者をしてもらって、ちゃんとできる自信は……。
それに関する話で。
練習時、攻者はダンナ。
"大体、こんな感じかな"とやっていて、「何か変」と感じた時があった。
ダンナの体は転がるけど、何となくやりずらい。
すると、問うてもないのに、ダンナが起きてきながら、
「ちょっと位置が高いから」と言った。
自分の手首を持ってくる位置が、少し高いのだった。
ああ、それで。ナットク、ナットク。
「掴まれた手をチンチンにくっつける気でやってみ」
「チンチンないっちゅうねん」
男性は、目印がわかりやすくていいねぇ。
ダンナは"では下腹部に"と言ったが、私の場合、目印は恥骨だな。
恥骨にくっつけると言う方が、感覚的にも位置的にも、しっくりきた。
でも、ヘソの位置と恥骨では、何がどう違って、結果的にやりずらかったりやりやすかったりするのか。その辺は、わからなかった。
で、後日、ダンナに話すと「目安として恥骨と言うのはいいけど、それは自分の動きに過ぎないから、普遍性はないよ」という意味のことを言われた。
大事なのは、攻者の体の動きを見ることだそうだ。
ダンナが位置が高いと言った時も、転がるのに自分の腕が邪魔だったから、と。
私には、攻者の体の動きを見る・分析する作業が、圧倒的に足りないのだ。
ひとつの、大きな課題だ。