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むし歯は文明病


かって、エスキモー人やアフリカのバンツー族の人たちでむし歯のある人は

4%しか無かったのに、欧米文明に接して数年後には何と4〜50%と10

倍にもなってしまったそうです。

日本でもアイヌの人たちは一九世紀中頃では10%以下のむし歯所有者率だ

ったのが、本州と交流が盛んになった20世紀始めにはもう60%に達して

しまったというデータがあります。

第二次大戦中、食糧事情が悪化するとむし歯が減り、戦後栄養状態が回復す

るとむし歯も復帰してきたと言うように、むし歯は食べ物と深い関係があります。

人間だけの話ではありません。野生のサルはむし歯所有率が2%であるのに、動物園のサ

ルは10%もあります。なんと野生サルの5倍です。


文明の歴史から見ていくと、縄文時代でも草創期とか早期にはむし歯は少な

いが、縄文前期以降になって食物採取が高度化すると共にむし歯は一般化し

弥生時代に20%、現代ではむし歯所有者率が数10%になっています。

むし歯の歴史は人類の食べ物の歴史に密接に関係しています。食べ物が軟ら

かくなった決定的な出発点は土器の発明です。

食物を煮炊きすれば軟らかくなります。木の実を噛んでいた時の強靭な顎や

歯は次第に働かなくてもよくなり、退化して来たのは当然のことでしょう。

上顎は頭蓋骨に付いているが、下顎は独立しているので、退化がより早く進み、親知らず

も生えなくなり、しかも狭い空間に全部揃って並べなくなって歯並びが悪くなってきまし

た。 一万年以上もかかって退化してきたのはともかく、現代社会の食べ物の軟化は急速

に歯に悪影響を及ぼしていると言えます。

「歯ーと通信No.2」でよく噛まなければいけない食べ物について記載していますが、と

にかく食べ物に気をつけましょう。


縄文人と現代人の歯を比べてみると、三つの大きな違いがあります。

その一つは噛み合わせです。縄文人は上下の歯がきちんとかち合う毛抜き型

であるのに、現代の日本人は上の歯が少し前に出ているはさみの刃型が多く

なっています。

この噛み合わせの変化は鎌倉時代頃に逆転したとされています。

二つ目は誰もがよく知っている親知らずという一番奥の大臼歯の生える率で

す。

縄文人は81%の人が4本とも親知らずが揃っていたのに、現代人では36%と2分の1

以下になってしまいました。

三つ目は歯並びです。縄文時代には「抜歯」といって年頃になると健康な前歯を引き抜く

風習があったそうです。もちろん現在のような麻酔もない。恐ろしいような話です。しか

し、歯並びは良かったようです。

それが現代では乱杭歯や八重歯が多くなり、このため歯列矯正を受ける人が多くなってき

ました。













(この文はM小学館発行の「大系日本史@日本人の誕生」を参考にしています。)


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