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強酸性水の歯科臨床への導入 |
1994年5月作成![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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はじめに:
水の力をご存じでしようか。最近、テレビや新聞、雑誌などでアトピ−性皮膚炎に水が極めて有効であると報じられている。 この水とは強酸性水のことである。アトピ−性皮膚炎ばかりでなく、手指の洗浄は勿論、手術器具の殺菌・滅菌から環境衛生管理用水に至るまで、院内感染防止に利用できる限りない可能性をもった水である。 特に歯科医療においては、口腔内治療時の補助水として、研究が始められつつある。 このような強酸性水については諸先生方には既にご承知のこと思いますが、ここに紙面を借りて、最近入手したカタログや資料から得た情報をお知らせします。 強酸性水とはどんな水か:
強酸性水の他に、強酸性イオン水・超酸化水・強酸化電位水など各社で若干呼称が異なるが、強とか超とかついている水は、この強酸性水と全く同一のものと考えられる。
強酸性水は、普通の水に少量の食塩を加えて電気分解することによって陽極側に生成された水で、次亜塩素酸を多く含み、酸化還元電位+1000〜+1170mV位の値をもった、強い殺菌性のある水である。 装置や製法は一見簡単であるが、従来の家庭用浄水器から得られるアルカリ飲料水・酸性水とは全く異なった特徴を持っている。
強酸性水は食品加工業や農薬の一部代行として少し前から使用されているが、医療分野において効能が見出され、学会などで発表されるようになったのはごく最近のことである。
家庭用浄水の酸性イオン水はPH3〜4で、美容によい化粧水として使われたり、各種の洗浄にも使われているが殺菌力はない。一方、アルカリ水はPH8.5〜9.5で、飲んでおいしい水であり、腸内異常や消化器系統によいとして、飲料用に使われている。また、活性炭で有機物を吸着して臭いをとり、高性能なフィルタ−によってカビや雑菌などの微生物を除去しているだけの浄化水もある。
表1は家庭用浄水と強酸性水の特性を簡単に比較したものである。
表1 家庭用浄水と強酸性水の特性比較
酸化還元電位は英語では、Oxidation Reduction Potential(略してORP)といい、物質の酸化体と元体の存在割合を示す指標である。単位はmVで表わし、ORPが+1000mV以上あれば、強い酸化力を持ち殺菌性があるといえる。
強酸性水の殺菌力について:
強酸性水が強い殺菌効果を表すのは、その中に含まれている次亜塩素酸によるものである。 この物質は、水道水やプ−ルあるいは食品などの殺菌剤として永年の使用実績があり、殺菌性と安全性については、十分な信頼性が認められている。強酸性水はHOClとOCl-とに別れて存在しているが、不溶性なHOClは酸素(O)を放出して分解しようとする。このとき放出された酸素によって殺菌作用が生ずるわけである。 すなわち、強酸性水は電気分解時に発生する酸素と、水和化された塩素による強力な酸化作用の相乗効果によって、微生物の生存や繁殖を抑えて死滅させることになる。
微生物の最も生存しやすい環境条件は、PH約3〜10、酸化還元電位は約+900mV〜−400mVと言われている。しかし、強酸性水のPHは2.5前後であり、また、酸化還元電位は約+1100mVであるので、明らかに微生物が生存できる条件の範囲を越えていることになる。
どんなに殺菌力がある水と言っても、使用しやすく、生体に対して安全な水でなければならない。この点について、それぞれの設備製造元は検査機関に安全性試験を依頼しており、(財)食品薬品安全センタ−や北里研究所から安全性を確認した結果が報告されている。 また、この強酸性水は、飲料用にすることはできないが、うがいする時の誤飲程度の少量では問題ないと言われている。水による手荒れなどの心配もない。 強酸性水の利用分野と臨床応用例について:
メ−カ−カタログによれば、強酸性水は次のように多方面に活用されている。
厨房....ホテル等の調理器具の殺菌洗浄・手指の洗浄・作業場の洗浄
食品加工..生野菜・食肉・魚貝類の清浄・手指の洗浄・作業場の洗浄
農業用...農薬の一部代用・病害防除・土壌管理
工業用...電子部品等の洗浄・純水洗浄装置用配管の除菌
医療用...院内感染防止として消毒・殺菌・衛生管理
医療分野では平成2年頃から、日本環境感染学会・日本マイコプラズマ学会・日本臨床衛生検査学会・日本病理学会・日本老年医学会・日本細菌学会などの学術大会で発表されている。
歯科医療関連では、東北大学歯学部奥田禮一教授の発表がある。 強酸性水と普通水道水で歯をブラッシングした場合の、プラ−クに対する分解効果の比較について報告されている。また、細菌ごとの強酸性水処理による顕微鏡写真による比較なども詳細に報告されている1)。
さらに、設備製造元あるいは販売元からの情報によれば、齲蝕の痛み防止・歯ぐきの腫れている人の洗口・歯槽膿漏症の痛み防止・抜歯後の洗浄・歯周病患者の患部洗浄・石膏表面の滑沢性の向上、その他非常に強い止血効果・収斂効果・漂白作用なども明らかにされている。
当院では、平成5年より強酸性水の提供を受けて、治療に応用してきたが、現在は(株)セコ・インタ−ナショナルのアクアリファイン(能力=1リットル/分)を購入して、次のような分野で使用中である。
・口腔内の洗浄および消毒(盲嚢内の洗浄・Pの急発時の口腔内含嗽)
・抜歯時の洗浄および止血
・根管内の洗浄および消毒
・印象材練和時の殺菌および仕上げ面の滑沢化(アルジネ−ト印象材の練和時に使用
・材料・器具類の殺菌(ガッタパ−チャポイントなど、オ−トクレ−ブで滅菌できな
・白衣をクリ−ニング前に強酸性水によく浸しておく
・院内の床・ユニット・モ−ビルや手術室の壁面などの清掃用水として使用
・強酸性水は、光や空気に触れると電位とPH値を失って普通の食塩水に戻り、殺菌
・強酸性であるため、金属を腐食させるおそれがあるので、強酸性水で処理した後
・生成された水は、多量の雑排水が混合されるよう配慮すれば通常配管で処理しても
現在、当院が情報入手したメ−カ−は4社であり、表2に概略を示す。
ジャニックス社のス−パ−ウォ−タ−ミニはポ−タブル装置で、現在もっとも小型のものである。
同社からは強酸性水をポリタンクに入れ、簡単に手指の洗浄ができるようにした移動式洗面台も販売されている。
医療分野とくに歯科医院からは、もっと小型で安価な設備がよいという要望が多くあり、各社とも100万円以下あるいは0.5リットル/分程度の小型装置を開発している。
表2 各社強酸性水生成装置比較
強酸性水は院内感染防止対策や歯科治療の補助として、手指洗浄・器具類の殺菌・院内衛生管理・口腔内の洗浄・痛み止めや止血などさまざまな活用が考えられますが、水の効能、すなわち、殺菌力効果がデ−タとして表示され難いことが臨床上の問題となります。 臨床例を増加させ、お互いに情報交換をしながら、よりよい活用方法を確立する必要があると思います。
なお、大学などでも強酸性水に関する応用研究が進められています。
院内で試験用に使用する程度の強酸性水は、上記販売元に連絡されれば入手できますが、販売元によって無償と有償とがあります。
参考文献: 1)奥田禮一:歯科医療における感染予防:No.34歯科医療管理学会 (1993-6)
参考資料:(株)セコ・インタ−ナショナル社、(株)ナチュラルア−バン社、 (株)日本アンジュ社
(有)日栄社の4社の強酸性水生成装置カタログおよび各社が入取または作成した資料。
また、酸性水の応用例としては、Yoshida Child Clinicさんのホームページでも掲載されていますので、ご覧下さい。
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