「ゼロ金利下の金融政策―― 中央銀行エコノミストの視点 ――」(IMES Discussion Paper 2000-J-4、日本銀行金融研究所、2000年4月) PDFファイル
本稿は、物価指数における品質調整を行う代表的な手法であるヘドニック・アプローチを採り上げ、その経済理論的・実証的な問題を整理するとともに、様々な製品の機能差・性能差がヘドニック・アプローチによってどの程度捕捉され得るかを検討する。
グリーンスパンFRB議長が問題を提起している、いわゆる「コンセプチュアライゼーション」では、経済活動の知識集約化が進展する中で、経済統計において品質変化の影響が的確に捕捉されにくくなっているとの点が一つの論点となっている。事実、上院財政委員会に設置されたCPI計測誤差に関する専門委員会は、計測誤差の最大の源泉として品質調整の問題を指摘している。
経済分析上、財・サービスの品質変化を捕捉する手法として、ヘドニック・アプローチが広く利用されている。同アプローチは、財・サービスの全体的品質をその機能・性能をもたらす各種の「特性」の合成であると考える。その実証分析の枠組みは、対象とする財・サービスの価格をその性能・機能をあらわす諸特性によって回帰する極めて単純なものである。しかしながら、耐久消費財のみならず、アパレル製品等の極めて幅広い製品に同一のフレームワークを適用し、品質変化を捕捉することができる。また、対象とするデータやサンプル分割と工夫することにより、そこで捕捉され得る品質差も多種多様なものに対応することができる。
キーワード:ヘドニック・アプローチ、ランカスター・モデル、物価指数、計測誤差、品質変化