ONIMANIA

鬼の類型1


清代の「古今図書集成」の「神異典」巻八所引の「六道集順正理論」によるインド仏教の影響の元での分類。

  無財

・炬口(ここう)
炬口鬼はつねに口から猛炎を吹き出していて、その火勢は絶えることがなく、体は燃え尽きてしまいそうで、多羅樹の形をしている。吝嗇家のなれのはて。

・鍼口(しんこう)
鍼口鬼は腹が山のように大きく、口は鍼をした孔のようで、飲食に便利なようにみえるけれども使うことができないので、飢えと耐え難い渇きに悩まされている。

・臭口(しゅうこう)
臭口鬼はつねに口から異常な腐臭を発していて、その臭気は汚物よりもひどく、便所の出入口のように漂い、つねに吐き気に悩まされ、飲食をもてなされても受け入れることができず、飢えと渇きに悩まされ狂ったように叫びながら走り回っている。

  少財

・鍼毛(しんもう)
鍼毛鬼は体毛が固くて銛のように鋭く、近寄ることが出来ない。内側の体毛が自分の体に突き刺さり、体に鹿の様な斑が出来ていて、毒矢が当たると驚きと恐ろしさのあまり狂ったように走り回り、不浄なものに出会うと飢えや渇きをいささかいやす。

・臭毛(しゅうもう)
臭毛鬼は体毛が非常に臭く、常に汚物にまみれ、肌や骨がただれ、胃腸が蒸れてけがれ、喉から出て嘔吐となり、耐え難いほど苦しく、その体に触れて毛を抜くと、皮膚が傷ついて破れ、瞬く間に激痛に襲われ、不浄なものに出会うと飢えや渇きをいささかいやす。

・大瘍(だいえい)
大瘍鬼は悪行の力を呑み込んでいるので、大きな腫れ物のような瘤が出来、腫れて熱が出ると体が凝って痛み、さらに剥いだり潰したりして臭い膿が湧き出ると、先を争って食べ合い、いささか飢えを満たす。

  多財

・希祠(けし)
希祠鬼はつねに祠に赴いて、祠に捧げられるご馳走をうけとってしまう。

・希棄(けき)
希棄鬼は自分の排出した残糞をつねに取っておいて食べ物とし、ふたたび豊かになることを欲している。

・大勢(だいせい)
大勢鬼は 「婆沙論」にいうように、この鬼の中でいいものは威徳があり、端正な容貌をしていて、神々と変わるところがない。この鬼の中で醜いものは威徳がなく、醜悪な容貌をしている。


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