2002年1月
| 1月31日(木) 読書体験Part I 昨日の続きで、なんとなく本について。 今週、作家のリンドグレーンさんがこの世を去りました。 「長くつ下のピッピ」は、何度くりかえして読んだことでしょう。 とっぴで力もちな女の子。お父さんは船長さんで、長い航海に出ている。お母さんはいない。 ひとりで大きな家に住み、パンケーキなんかじょうずに焼きながら(この「パンケーキ」が憧れだった。ホットケーキのうんとおいしいやつだと思っていた)、元気に暮らしているのです。 近所のおせっかいおばさんや、まぬけな泥棒たちとの痛快なわたりあい。何度読んでもわくわくしました。 挿し絵のピッピが、ぜんぜん美人でもかわいこちゃんでもないのが、またうれしい。 今でも「ピッピ」ファンの女性は、きっとたくさんいるはずです。 ノーベル賞はとらなくても、思想界に衝撃を与えなくても、全世界の人々の心に生きつづける作品を残したリンドグレーンさんは、94歳で、家族に見守られながら亡くなったそうです。 小さいころに読んだ本といえば、ほかにドイツの童話作家、プロイスラーの「大どろぼうホッツェンプロッツ」「小さな魔女」。 E.ケストナーの「点子ちゃんとアントン」や「二人のロッテ」。 もちろん、モンゴメリーの「赤毛のアン」シリーズ。ワイルダーの「小さな家」シリーズ。 『少年少女世界の名作文学全集』全50巻は、おぼえるまで読み倒しました。 (手放してしまったこの全集、SSK氏はいまだにご実家に所有している。うらやましい) 初めて読んだ文庫本は、福岡の叔父がもっていた北杜夫の「どくとるマンボウ昆虫記」でした。 (つづく) 1月30日(水) 好きな本は、なに? とあるお昼、セミナーの準備のため、共通プリンターの前で原稿が出てくるのを待っていたときのことです。 大平楽にお弁当を食べていたAくんが、こうたずねました。 「フジイさん、本って読みますか?」 うーむ、と私は詰まりました。こういう無邪気な質問にはどのように対処したらよいのでしょう。 「読む読む〜!だいすき〜♪」と答えるか? そうすると、好きな本は何か、というもっとむつかしい質問がくるに決まってる。 好きな本について語ることは、自分の精神履歴を語ることにひとしい。 これは相当な覚悟がいるし、相手もシチュエーションも選ぶ。お酒が入ってるならまだしも、真っ昼間っから、リルケがどうの、と語れるだろうか。 だいたい更級日記の昔から、「本の虫」を自称するような女に、美人や幸せなおヨメさんがいたためしがない。 「私、本が好きなの〜♪」とはなかなか口にしづらいところがあります。 かといって、まったく読まないとウソをつくのも、どうもなあ。 結局私は「そうねえ、読むかなあ」と言葉を濁しました。 すると、やっぱり来ましたね。「たとえばどんな本を読みますか?」 ・・・お見合いじゃないんだから。 Aくんはカミュが好きとかで、今まさに、ゆかりご飯に箸をつっこみながらカミュを広げている。 おぼえているのは「異邦人」「シシュポスの神話」だけど、即座に不条理と実存について語れと言われると、ちと困る。 「最近は読んでないかな」とごまかすと、「え〜? 読んでないんですか?」と疑わしげに言われてしまいました。あちゃ。 こういうときのために、ふだんからの心がけがだいじなのね。とつくづく反省した次第。 「好きな本はなんですか?」 考えておこう。 1月29日(火) 飛ぶハチをおとす Eくんが、解剖しようとしたハチを逃がしました。 この研究室ではよくあることです。 そのため、ハチを捕獲するための捕虫網が常備されているのですが、これが摩訶不思議なシロモノ。 網の部分はカラフルな花模様、柄はどういうわけかビニール傘の先端にくくりつけられています。 おそらく、大昔の先輩の手づくりだと思われるのですが、どういう意図でこのようなデザインにしたのかは、まったくの謎です。 エンドウくんがそのビニール傘つき花柄捕虫網を振り回しているうちに、ハチは天井の配水管のかげに入りこんでしまいました。 ウーン、と見上げていると、SSKさんが楽しげな顔をして、片手に輪ゴムをもってやってきました。 「これ、輪ゴムで落としたら昼飯おごってくれる?」 いいですよと言うと、狙いを定めて一投。みごとにハチを打ち落としたのです。 しかし、氏は外にランチに出かけてしまったため、池袋にMOドライブを買いに行ったついでに、ユーハイムのお菓子をおみやげにしました。 ラングドゥシャをチョコレートで包んだもの10コ入り、500円也。 みんなでお茶をしつつ、いただきました。 でも、なんでEくんが逃がしたハチなのに、私がお菓子をおごらなくてはいけないのでしょう。 捕虫網よりもナゾです。 1月25日(金) 待合室の風景 附属病院へ。 待合室で、お母さんにつきそっている小学生くらいの女の子がいました。 そのお母さんは、体の具合が悪いためか、狷介な表情で女の子に当たっています。 「なにもあんたが来る必要はなかったのよ。診てもらうのはお母さんなんだから」 「ああ、うるさい。ここはなんでこんなにうるさいんだろう。呼ばれてるの、聞こえやしない」 「もそもそしないでちょうだい、まったく」 じっと黙って聞いている女の子が健気でした。 お母さんは、お嬢さんに当たりたいのではなく、具合の悪さや疲れ、心配などで、絶えず何かしゃべらないではいられない心境なのでしょうか。 女の子も、そのお母さんも、実にかわいそうだと思いました。 具合が悪いと、どうにもやさしくなれない。これが私?と思うような言動をとってしまうことがあります。 願わくば、あのお母さん、そして同じような思いをしている人たちが、早くよくなりますように。 1月23日(水) セミナー第二弾 今回は論文紹介。 ツェツェバエの共生細菌の話をえらびました。 関連論文などを読みながら、こうもできる、ああもできる、と話の流れを組み立てていたのですが、結局は論文の通りのストーリー展開になってしまいました。 それだと、かえっておもしろさが伝わらないんだよなあ。うーむ。 自分がこのテーマをやっているとして、どのようにプレゼンテーションするか。 一報の論文に洗脳されてはいけないのだよ。 1月11日(金) ライオンキング! このために、正月二日からラボに出ていたと言っても過言ではありません。 この水曜日、ついに、劇団四季の「ライオンキング」を観てきました。 いや〜、すごかった。 どうすごかったかって、これは絶対に、見ないとわかりません。(←表現力のなさを露呈) ディズニーの原作映画を見たときは、正直、あまりおもしろいと思わなかったのですが、 舞台の方が断然いい! ナラ役は、少々残念でしたが、それ以外のキャストは皆さんすばらしかった。 すねる旦那さまを家に残してきたらしいSさんとともに、 「次はぜひ、ブロードウェイというところに行ってみなければ」 と決意を新たにした次第。 やはりすねるのを研究室に残してきたSSKさんには、ライオンキングの絵入りクッキーを購入。 それにしてもよかった。 今からまた上演って言われても、絶対みると思うぞ。 1月3日 (木) 凍れる研究者 人がいない・スチームの通っていない研究室というのは、ばかばかしく寒いものです。 一台しかないストーブを勉強机の方に近づけておくと、実験するベンチ側が冷え込んでしまう。 ピペットマンをもつ手が、次第にかじかんでいきます。 それでも貴重なサンプルに過ちがあってはいけません。 感覚のなくなっていく指をお湯であたためあたため、慎重に実験を進めます。 できあがったサンプルを、よその部屋にある機械にかけるべく、 これまた笑っちゃうくらい寒い廊下を、肩をすくめて走っていると、 「これが、21世紀に最先端の生命科学をやっている姿だろうか?」という疑問が頭をかすめるのです。 こんな寒い思いをして実験をしているのだから、いいデータが出ないと承知しないよッ、と、 誰に言うでもなくつぶやきつつ、今日はもう、帰るのでした。 ああ、暖かい家に、家族と温かい食べ物があるって、なんて幸せなんでしょう。 東京は晴れていますが、全国的に大雪のようです。みなさま、どうぞぬくぬくとおやすみください。 1月2日 (水) あけましておめでとうございます 世の中が激しく動いた2001年が往き、新しい年がやってきました。 みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。 いつにもまして、あわただしい年の暮れでした。 24日は、ご主人の留守にサワタおねえさま宅を皆で襲撃、10人近くでにぎやかに鍋。 25日は、長年の友人・Wと1年以上ぶりに再会。銀座でご飯。 26日は、以前I研にいたTom夫妻が来日、I先生・SSK氏・T氏らとともに「だん」にて歓談。 27日は、内分泌のパク先生グループと「夢や」にてお好み焼き。 ・・・もちろん仕事もしていました。 しかし、29日まで忘年会に行っていたSSK氏にはかないません。 もう燃えつきた、とか、消耗品なのだから大事に扱え、などと威張っているわりに、 よくもまあマメに遊んでいるものです。 私は30・31・1日とお休みをいただき、今日から研究室。 午前中は、母と福袋を買いに池袋へ。 たいへんな人出に呆然としつつ、「絶対に知り合いが来てるよね」と言い合っていたら、 友人からメール。やはり池袋に買い物に来て、あまりの人の多さに思わずメールをくれたらしい。 お昼は、どうせ並びついでだい、と「光麺」へ。 ラーメン屋さんなどめったに来ない母とともに、舌鼓を打ちました。 湯島天神の参拝客を横目に、たった三日ぶりなのになぜかなつかしい理学部2号館へ。 さすがに地下31号室は冷えきっていました。 ストーブをがんがんに焚いてもなかなか暖まらない部屋で、SSK氏のあたたかい置き手紙を励みに、今年の仕事始めをしています。 隣の部屋には、節句働き仲間であるP嬢が出勤中。 ささやかな新年会をする予定です。(>2号館にいる人。連絡ください。) 皆さまのお正月はいかがでしょうか。 すてきな一年になることをお祈りしつつ。 |